2024グランプリファイナル(GPF/GPFinal/GPF2024)、試合3日目の男子フリー振り返りを中心にまとめています。
私にとって男子SPは「現状の採点システムの在り方に不満が巻き起こる展開」でしたが、フリーは「ヒャッハー!」なお祭り状態。シャイドロフ選手やマリニン選手の「挑戦」の噂は知っていたので「ほんまにキター!!!」って感じで楽しみました。
「GPFならこういうのもいいんじゃない?」と私は割と肯定的です。レアなものが見られるのは素直に楽しかったです。ジャンプ最重視派は採点に萎えたかもしれませんが、私は採点が冷静だったことには安心できましたし。(「キビシー!」とは思いましたけど)
でもこう引いた視点で楽しめたのは、一番応援していた宇野昌磨選手が試合の場にいないからかもしれません。その後起きている色々な「論争」も、去年より「他人事」として見ている自分を感じます。
では、試合の流れ順に振り返っていきます。
すごい試合だったんで、長いです(苦笑)。最後にジュニアのペア&男子についても触れてます。
ケヴィン・エイモズ選手
SPではジャンプの転倒が相次ぐなか、彼らしい演技を貫いたケヴィン・エイモズ選手。フリーでは「絶対転ばねー!」ってな気合を感じましたね。2本目の4回転トゥループもその次のトリプルルッツもかなり乱れたけど持ちこたえました。あんな体勢でよくこらえらえるわ(苦笑)。
アップテンポなSPと違ってフリーは抒情的な曲調。彼の生まれ育ったグルノーブルの観客が「我が町の選手を応援したい!」と拍手したがっているのに、「この曲、拍手しづらい…
」ってなってた様子がちょっと微笑ましかったです(笑)。本当はもっと素晴らしい演技で大喝采を受けてほしかった…という欲も少しはありますが、昨年の北京GPFをナマで見てしまった私としては「笑顔で演技を終えられてよかった」という気持ちの方が遥かに大きかったです。
ダニエル・グラッスル選手
ダニエル・グラッスル選手の今季フリー「Billy Elliot」メドレーは本当にジャンプ安定してますね。4回転ループで壁に当たりそうでヒヤッとはしたけど。
でも私は「Billy Elliot」が好きなだけに、雑な曲編集がイヤすぎて好きになれません…
もうちょっと違う路線の近代的&前衛的プロやってくれたらなぁ…
「毎回高難度4回転を安定して入れてこられるのは凄い」って感心するんだけど、ジャンプ前が完全に「助走!」になってるのが私的には少々興ざめポイント。
高難度ジャンプを前半に詰め込むと助走~ジャンプの繰り返しになるのは致し方ない。でも、「助走」を退屈に見せないのはトップスケーターの証だと思うので、その域を目指してほしいなって思います。「ジャンプ得意な注目の若手枠」から中堅の域に入ってきて、私の観る目が厳しくなってるのかも。
全ジャンプ着氷しましたが、今回はガッツリ回転不足取られました。ループは少なくとも「<」だろうと素人の目視でも思いましたが、ルッツにも「<」が。フィンランド大会ではオールレベル4だったスピンも今回は全部レベル3。フリーは2試合連続180点台だったのが、173.20に。
といってもそれでも170点台、トータル250点台出せるのはやはり凄いです。
Daniel Grassl 🇮🇹 173.20 / 254.96
— Golden Skate (@goldenskate) December 7, 2024
“I am very happy on how I skated today, I felt really tired today and during the six minutes warm-up I did nothing so I am really glad how everything turned out. At the loop I was a bit too close to the board, I don’t exactly know what happened,… pic.twitter.com/KVxbCrIvtz
佐藤駿選手
続いての登場は、佐藤駿選手。
SPでは今季安定していた4回転ルッツで転倒していたので、フリーでは決めたいところ。
「よっしゃルッツ決まったー!」と思ったら、次の4回転フリップは跳んだ瞬間に転倒だとわかりました…。しかし、その後はしっかりまとめてきました。
転倒こそあったけれど「抜け」ではなかったし、ダウングレード食らわなければ点数はある程度残るはず。(「<」のアンダーローテーションでした)。出てきた得点は184.54、総合270.82で暫定1位。
後続のシャイドロフ選手が中国杯並みの得点を出せば上回りますが、今回ジャッジの回転認定厳しめだから佐藤駿選手の表彰台はほぼ決まったのでは?と私は思いました。
しかし佐藤駿選手は終始浮かない顔。フリップの転倒がそれほど悔しかったのか、これでは表彰台は厳しいと感じたのか?
…と言うことで今回はキス&クライでの師弟シンクロリアクションは無しでちょっと残念(苦笑)。でも鍵山選手と二人揃って表彰台に乗れたのは良かった!
ジャンプの加点は結構ついているし(フリー技術点、実は佐藤駿選手がトップ!)、あとはスピンのレベル取りこぼしをなくしてフリップが決まればまだまだ行けそうです。
公式練習でどんなに不調でも本番では大崩れしないーという強みもアピールできたし、ワールド代表がぐっと近づきましたね。
ミハイル・シャイドロフ選手
ミハイル・シャイドロフ選手は、「トリプルアクセルー4回転トゥループ」のコンビネーションジャンプを世界で初めて試合で決めた直後のインタビューで、「またクレイジーなコンビネーション考えてるからお楽しみにw」みたいなことを口走っていました。
どうやらそれは、「トリプルアクセル~4回転サルコウ」らしいことが試合前には判明。
世界初!トリプルアクセル~4回転サルコウへの挑戦
しかし直前の6分間練習では豪快に転倒。でも確かトリプルアクセルー4回転トゥループ試合で決めた時も6分間で転倒してたような記憶がぼんやりあるので、「今回も意外とあっさり決めちゃうかもね~」と軽く期待しながら演技を見始めました。例の「ベートーヴェンの月光/a-haのTake on Me」の謎編集プロです。
しかし、冒頭の4回転ルッツでいきなり派手に転倒。「あ~」と思ってたら…その直後に超あっさりとトリプルアクセル~4回転サルコウを跳んでしまいました。余りにもあっさりだったので、「あれ?今の本当に4回転サルコウだった?」って自分の目が信じられなくなるぐらい。
この世界初のコンビネーション、回転不足はつきませんでした。加点がわずかにマイナス(-0.55)なのでこれを「成功」とまで言うかは異論がありそうですが、世界初成功と言っていいんじゃないでしょうか?面白いもん見れました。
挑戦後の採点は…
そこから後はいつものシャイドロフ選手といった感じでガンガンジャンプを跳びまくり、他の要素もほどほどにまとめてきました。回転不足いくつかつくだろうと予想はしてましたが、思った以上に技術点の下がり幅が大きくて(暫定表示から10点以上下がった)、フリーは162.49。
なんとフリー最下位。
4回転2本のケヴィン・エイモズ選手より下なんですよ…
観客席からはブーイングが上がりました。それだけ観客に十分コネクトできていた演技だったのでしょう。彼、荒い演技なんだけど味があるのでわかる気はします。それに現地でスピンやステップのレベル判定ができる観客はそうそういないでしょうから「ええ!?」となるのも無理はないかと。
配信画面では足換えシットスピンのレベルが2(最終的にはレベル1(!))、ステップもレベル2と表示が見えてたし、演技終了直後の暫定技術点は佐藤選手より6点下回っていたので、私は現地観客ほどは驚かずにすみました。
「ジャンプであれこれ挑戦すんのはいいけど、他の要素まだまだだから他もちゃんとやれよ」ってマジレスもらっちゃったって感じでしたね(苦笑)。
Mikhail Shaidorov 🇰🇿 162.49 / 253.75
— Golden Skate (@goldenskate) December 7, 2024
“I fought yesterday and I fought today, I gave everything I had, and now I am looking forward to some rest. I felt so, so warmly welcomed here, it feels incredible and it makes me so happy that I can reach and attract people with my skating.”… pic.twitter.com/NK0OvsLddN
貰った巨大ぬいぐるみ2体を飛行機の席に座らせ持ち帰ったことをインスタストーリーに挙げてて可愛かったですw
「ぼくは”q”スケーター」発言への異論(笑)
シャイドロフ選手は試合後に「僕は“q”スケーターさ(TT)、イリヤ・マリニン選手と同じくね!」ってな自虐コメントをインスタストーリーに上げていて受けました。いや~強いぞw
しかし今大会の彼の採点表見たら…
SPもフリーも「q」は一つもありません(苦笑)。
お~い、間違ってるで!
彼がフリーで食らったのは「<」=アンダーローテーション3つです。転倒したルッツとタイト着氷だったフリップはともかく、後半のトリプルアクセルにまでついていました。(こっちは全然気づいてなかった)「q」より減点幅大きいので技術点が10点下がったのも合点がいきますね。
実は私、こういう「ジャンプ厨」的な演技、嫌いじゃありません。スピン&ステップも悪いという程ではないですし、それ相応の評価しかもらえてないし(苦笑)。
「スピンのレベル取りはもっと意識したらできそうなのに何でやらないんだ」とか「スケーティングもっと磨いてくれれば」とか「もうちょっと繋ぎ増やせないのか」とか色々思いはあるけれど、現時点では彼が明るく前向きに試合に挑んでる姿を見せてもらうのをかなり楽しんでいます。
鍵山優真選手
SPで4回転サルコウにまさかの転倒があった鍵山優真選手。フリーはミスなしで攻めたいところ。
冒頭の4回転フリップはしっかり入りました!「よし!やっと決まったぞー!」…と盛り上がったのもつかの間、直後の4回転サルコウがまさかのダブルすっぽ抜け。SPフリー連続で4回転サルコウ入らないなんて、サルコウ超得意な選手だというのに余りにも衝撃的。
ただ、フィンランド大会はジャンプミスの後どんどん連鎖反応的に崩れていってしまいましたが今回は持ちこたえました。そこから後のジャンプは全て仕留めて行きます。
ただ、ステップ直後にステップレベル2表示が出たのはビックリしましたよ。その後のスピンもレベル3が出てくるし…
今季はスピンステップのレベル認定が厳しくなっていますが、今大会は更に厳しい印象で、フリーでスピン&ステップオールレベル4を獲得したのはケヴィン・エイモズ選手ただ一人。総合技術に秀でたあの鍵山選手が最終的にスピンステップでレベル4を1つしか獲得できなかったというのには驚きました。(ちなみにマリニン選手は2つ獲得、他は4人とも1つ)
大きな大会で銀メダル取り続けられるのは本当に凄いことなので、胸張ってほしい!
スピンステップにレベル4でまくる近年の傾向はどうかと思ってたけど、レベルの違いが素人目には判断つきづらいのは難点です。後でじっくり解説してもらえれば納得はするんだけどスッキリはしないというか(苦笑)。一般ファンとしてはステップは「スゲー」とただ感じるのみで、演技中にトレースで綺麗な円が描けてるかどうかとかまで見てないしなぁ。
GPF連続メダルは素晴らしくめでたいことでよかったです!ワールドではスカッと笑顔で終われる演技を見たいですね。
イリヤ・マリニン選手
最後に登場したのはイリヤ・マリニン選手。
フリー前から流れていた「4回転7本構成」の噂
実はフリー前から「マリニン選手は4回転7本構成やってくるみたい」「5回転サルコウ入れてくるんじゃ?」という噂は流れていました。
例えば、英語圏のこの掲示板のやりとりとかね。
私は「5回転サルコウ入れるなら戦略的に見ても来季でしょ。でもSPで点差を確保できたから、4回転アクセルだけじゃなくて『4回転全種投入』もやるかな?でも、7クワドは無茶過ぎるような。そもそもこれ正式に公表された演技構成なのかな~」と話半分で受け止めてました。
そしたら本当にほぼこの構成でやってきてビックリしましたよ!曲かけでもジャンプ入れてなかったようだし、「何やるかはお楽しみ」的なコメントもしてたから何かは確実にやると思ってたけど、7クワドにマジで挑むとは思ってなかったです。
実際のフリー演技を振り返る
冒頭の4回転フリップはややタイトな着氷でしたが、次の4回転アクセルは決まりました。しかしその後の4回転ルッツは転倒。次は4回転ループは何とか。ジャンプの精度はどれもいつもより低めです。
…ってこんだけ降りられるだけでとんでもないんですけどね(苦笑)。
後半で4回転ルッツを再度跳んでコンビネーションにしてきたところで、ISU実況解説も私も「4回転全種入れたいんだな?…となると残るのはトゥループとサルコウ…マジで7回跳ぶつもりなんかww」と悟りました。
そっからあとの4回転コンビネーションジャンプの連発はお口あんぐり状態。
「ようやるわw とんでもねーなwww」ってな感じで純粋に楽しく見ました。
ジャンプ最優先にしたから滑りは今一つだわ繋ぎも表現もいつもよりおろそかになってるわで、ジャンプ以外の部分の見ごたえには著しく欠けてましたが、単純に「ジャンプ技術の祭典」としては最高に面白いです。
「こんな構成できる人今世界で一人しかいないんだし、GPFとか国別対抗戦でならこういう極端な挑戦もいいんじゃない?」って割り切って楽しみました。
世界初のフリー7クワド挑戦の採点はいかに?
しかし、さすがのマリニン選手もこれだけ高難度ジャンプ詰め込んだら降りるのがやっとになり、加点あまりつかずで演技終了時の技術点は121.27でした。
「こんだけ跳んでるのにそんなもんか~。回転不足とられそうなの複数あったし10点ぐらいは下がるかな~」なんて思いながら得点を待ったら…
なんと技術点は100.85まで下がってて、さすがにちょっとビックリ。
こんな4回転跳びまくったのに、4回転サルコウパンクした鍵山選手より下のフリー2位って。
「ジャッジ、マジレスし過ぎやろ」…って気分でした(苦笑)
それもそのはず、全4回転に「q」か「<」がついていました。
これを見ると、去年のNHK杯の宇野昌磨選手のフリー採点表を一瞬思い出すけど、あの時は映像で回転不足が確認できた「<」や「<<」は一つもなかったから、ちょっと違いますね。マリニン選手の前半のルッツとループは素人目にも足りないなと思えるジャンプだったし。
ですが、「q」が4つというのは同じ。いや~「q」そんなに多いのってどうよ?
特に4回転アクセルの「q」はさすがに厳しいんじゃないか?って思いましたね。あれで取るんなら過去の彼の4回転アクセル半分以上は「q」になるんじゃ?って思うぐらい。素人ファンには基準が全然よくわからない。
私は「一つの演技に『q』が4つも5つも並ぶのは不自然。『先入観』の影響が大きいのでは?」としつこく書いてきました。でも、今回は「先入観」じゃない気が。
「世界王者とあろう者がジャンプ全振りして他をおろそかにしてんじゃねー!世界王者に目指してほしいのは“トータルパッケージ”だ!」っていうジャッジの所信表明という気がしました(苦笑)。
試合後の「外野」の論争
得点が出た時、キス&クライのマリニン選手&コーチ(マリニンパパ)は「あ~やっぱりそうなるよねー」ってな表情に見えました。
しかし試合後、この採点に対して「彼の偉業を台無しにした!」と怒る人、「いや回転怪しかったし当然でしょ」って反論する人とで意見が入り乱れ、あちこちで活発な議論になっています。
確かに「ジャンプ最重視派」は盛り上がった気分に冷や水かけられたような気分だったかもしれません。私は演技中は楽しく盛り上がってたけど、もしこれで220点とか出てたらブーブー言ってたかも。さすがにジャンプジャンプで表現どころじゃなくなって、以前はいいと感じた最後のバックフリップも「あれならやらない方が…」って感じだったし。
マリニン選手はフリー演技後のインタビューで「ジャンプに全振りしたらどうなるか試してみたかった」的な発言をしています。
Ilia Malinin 🇺🇸 186.69 / 292.12
— Golden Skate (@goldenskate) December 7, 2024
“Going into the GP I wanted to show everything I have been working on as well as incorporating my artistry into my programs.
It was kind of a challenge for me to go all in with the technical content today.
I think I will have to go back and see if… pic.twitter.com/mJvn1UzUZP
このGPFは「彼のジャンプ能力は凄すぎてもう誰も勝てないかも」と思わせる一方、「彼が高難度ジャンプ一杯決めたところで回転不足の数次第じゃ他選手が勝てるんじゃ?」と言う期待ももたせる複雑な結果となりました。
まぁでもマリニン選手はワールドではこんなジャンプ最優先構成にしそうにないと思いますけどね。当然「ジャンプ以外の要素を犠牲にせずにできる構成」にしてくるでしょう。そうなると他選手が彼に勝つには「4回転4本以上でほぼ完ぺきな演技」がやはり必要になりそうです。
「4回転7本とも回転不足なしに成功」という記録に挑戦できるチャンスは来季2025-2026シーズンまで。その次のシーズンからはフリーのジャンプ規定本数が減らされる予定なので、挑戦自体が不可能になります。
ボストンワールド後の国別あたりでやって成功してくれると盛り上がりそうだな~と楽しみにしています。
新衣装について
予告通り、フリーは新衣装で来ました。トップクラス選手が色々衣装変えてくれるのは結構楽しいのでこういうのは嬉しいです。
でもこの新衣装、個性があってステキだとは思うんですけど、私あの背中の魚の骨みたいなのちょっと苦手です…なんかゾワーッって来ちゃう。血しぶき風赤いスパンコールには抵抗なかったのに何ででしょう?
7クワド関連の採点論争が賑やか過ぎて新衣装に対する声がすっかり埋もれており、評判がよくわかりません(苦笑)。
ジュニア男子たちの活躍と涙
ここからはジュニアのGPFフリー演技についての記録です。ジュニア女子フリーは下記にて既にまとめてます。
ジュニアペアの「さえルカ」
ジュニアペアは久々に中国ペアが優勝!
「さえルカ」こと清水咲衣/本田ルーカス剛史組はフリーも自己ベストを更新して4位、総合5位で初GPFを終えました!
「白鳥の湖」に真正面から取り組んだこのプロ。去年見た時よりツイスト等がぐっと進化していて本当にこの先が楽しみだなと思えます。デススパイラルとか課題はあるけど、まだ2年めですからね。
本田ルーカス剛史選手はペアに転向していなければ、おそらく今年が「最後の全日本」だったのではないでしょうか。この後も長く彼を見続けられそうなのが素直に嬉しいです。
Sae Shimizu /Lucas Tsuyoshi Honda 🇯🇵 95:46 / 145.66
— Golden Skate (@goldenskate) December 7, 2024
Lucas : “We are so relieved. We decided to focus on what we can do and not to feel too much under pressure. We managed that and we are very satified with our score.
The death spiral wasn’t ideal.
Next time we want to focus… pic.twitter.com/Arsgtdt0XS
高橋星名選手
SPではミスが相次ぎ、6位スタートとなった高橋星名選手。フリーではほぼクリーンな好演技でフリー3位に入りました。
ジュニア1年目の14歳でいきなりのGPFですからね。それで総合4位は凄い結果です!めでたい。
ジェイコブ・サンチェス選手
ジュニア男子の優勝はアメリカのジェイコブ・サンチェス選手でした。すごく好みのタイプの滑りをする選手なのですが安定性に欠け、ここぞという時に力を出し切れないイメージを勝手に引きずっていました。優勝するとまで思ってなかったのでビックリ。
フリーではトリプルアクセルに乱れが出てしまいましたが、全米選手権でもしこのプログラムをクリーンに滑ったら、アメリカのワールド代表選考どうなっちゃうんだろう?って思います。ジェイソン・ブラウン選手が復調できていなければ米国はジュニアの選手が3枠目あたりにしれっと入って来る可能性はあるかもしれませんね。
中田璃士選手
去年北京GPFでのフリー「007」が鮮烈な印象だった中田璃士選手。SP1位発進で、全選手中4回転を入れられるのは彼だけとなると優勝=JGPF連覇の可能性はかなり高いのでは?と期待されていました。
しかし冒頭の4回転トゥループで珍しくお手付き。4回転は練習でずっと好調だったため、このミスに動揺したらしく、次のトリプルアクセルがシングルにすっぽ抜けてしまいました。
そして後半のトリプルループもシングルに。明らかに動揺が見てとれてその後スピンにも少し乱れが出ました。
キス&クライで顔を伏せて泣く様子を見て、宇野昌磨さんファンの多くがこの会場で行われた2019年フランス大会のフリー後の昌磨さんの姿を思い出したのではないでしょうか。中田璃士選手は一人きりではなく、両サイドにコーチがいましたけどね。
これも何かの縁かな、この辛い経験が次の糧になるといいなと思いながら見守りました。
その後出たインタビュー記事に出ていた「自分の実力は絶対にこんなもんじゃないのに」という言葉に心が痛かったです。でも本人も言うように、次は世界ジュニアがある。シニア移行年齢が引き下げられたことで彼は来季もまだジュニア。今季世界ジュニア優勝すればこちらで「連覇」の夢は実現可能です。
翌日のシニア男子フリーの最中、観客席にいる日本人選手やコーチ陣が何度も映りましたが、中田璃士選手とコーチ(パパ)の姿は発見できず。「まだ落ち込んでいるのだろうか?」と私はちょっぴり心配していました。
でも、別の席でジェイコブ・サンチェス選手やヤンハオ・リー選手らと楽しそうに一緒に観戦してたみたいです。(彼のインスタに写真が上がってました)野郎チームでちゃんと盛り上がって観てたようで良かった(笑)。
ジェイコブ選手とは去年ビリヤードやって仲良くなってペンダント交換しあったとか微笑ましいエピソードも流れてきて、こういうのイイなって思いましたわ。
GPFに出場した選手達ももう帰国している頃でしょうか。もう来週から全日本選手権ですもんね~トップスケーターの12月って本当大変そう。観てるだけの私が「あれもこれも見られてない!忙しい!」とか愚痴ったら怒られそうです(笑)。