「氷艶2024 十字星のキセキ」CS放送鑑賞記 ~異分野エンタメのプロたちが織り成す輝き~

「氷艶2024」鑑賞記用アイキャッチ画像

昨日「氷艶2024 十字星のキセキ」録画を再見しました。

実は11日のCS生放送では、フィナーレを堪能してる最中に生協の配達が来ちゃって「ゆず」さんのフィナーレ最終曲のラスト近くからの挨拶が見られてなくてですね(苦笑)。まずは未視聴部分を観ようかと思ったんですが、いきなり盛り上がり最高潮のところから再生し直しても気持ちが乗りきりそうもなかったので、結局最初から(笑)。

二度目だと曲にもなじんでいるし、アンサンブルの演技など細かいところにも目が行きますね。マイク受信機付けたベルトが外れちゃった?のを片手で抑えながら振りをこなす消防士姿のアンサンブルキャスト(長谷川開さん?)を発見したりとかね。(初回は全く気づきませんでした!さすがです)

感想もある程度整理できたので、追加で調べた情報と合わせてまとめてみました。ナマでショーを見ていない、CS放送を観ただけのフィギュアスケートライトファンの感想はこういう感じなのね~ってぐらいで、見て頂ければと思います。

※ショーの内容に触れていますので、ネタバレ避けたい場合は読むのをお控えください

目次

大野拓朗さん&高橋大輔さんの二大カリスマのバランス

トキオ役の大野拓朗さんの存在感には圧倒されました
アップで見ても引きで見ても圧倒的なオーラに満ち満ちた「誰が見てもあんたが主役!」な人ですね。

演技&歌のパワーには「さすがロンドンミュージカルの舞台に立てるだけのプロ」と思わせる凄さがありました。伸びやかな歌唱もできればパンチのあるシャウトもOKで。

ストーリーの主軸となる二人

始まってしばらくは「いくら高橋大輔さんが演技&歌をこなせるとはいえ、これじゃあ食われてしまうのでは?」という不安感が若干ありました。しかし、滑り始めると今度は「さすがの高橋大輔、滑り&所作で魅せる力半端ない」と物凄い強烈な存在感を放ちます。

二人とも「主役オーラ」の持ち主ではありますが、そのオーラは「俺だけを見つめろ!」系ではない、傍で見守るようなやさしさを併せ持っているタイプのように思えました。

大野拓朗さんの歌&演技で魅せる部分、高橋大輔さんの滑り&所作で魅せる部分を頻繁に攻守交代しているような感じ。どちらかに焦点を絞った演出を観たい方には不満があったかもしれませんが、私にはダブル主役状態のこのバランスは丁度よかったです。

アラブの富豪に騙されるシーンやエンディングなど、歌とスケートが同時に展開されるシーンは互いの本分を全うするだけではない、いい感じの化学反応も起きていたように思います。「異種格闘技戦」ならではの見どころでしたね。

でも、このあたりの「化学反応」は、テレビ放送を見るだけでは感じ取るのに限界があるんですよね~そこは残念。「現地の空気感」は感じられないし、自分の意志で見る範囲を決められないから。

絶妙な表情をアップで切り取ってくれるのはテレビ放送のありがたいところですが、スイッチャーさんの判断で視点が切り替わるので、「違う!そこじゃない、二人ともを映せー!」「くそー同時に全部視界におさめたいんじゃー!!」って何度もなりました(苦笑)

今後もし再演があったら是非観に行きたいな、またこういう形式の氷上ミュージカルを観てみたいな、と素直に思えました。

「滑りながら演技」をするハードル

「朝ドラ俳優さん」がまさかの…

私、テレビ俳優としての大野拓朗さんは知っていました。私は普段あまりTVドラマを観ないので俳優さん情報にはかなり疎いのですが、縁があって観ていたNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」で演じたエンタツ・アチャコをモデルにしたしゃべくり漫才師役は覚えています。

下記のサイトからは「わろてんか」をはじめとする数々のNHKドラマで彼が演じた役柄についてのインタビュー&映像抜粋が見られます

その彼がミュージカル俳優としてもキャリアを重ねていたこと、近年は英語を学び海外の舞台に立っていたことは、「氷艶」への出演が決まってから初めて知りました。

へぇ~「エリザベート」とか出てたんだ。
えっ「進撃の巨人」のミュージカルなんてやってたの?エルヴィン役?え~大阪公演もやってたのか~行ってみてもよかったな。海外にも大々的に配信してたんなら見るチャンスあったのに勿体なかったな。

えっ今秋NY公演まで決定してるの?
今日本の2.5次元ミュージカルってそこまで来てるの?
・・・と驚きまくり。


(ミュージカル詳しい人には「何を今さらw」なんでしょうけど、普段舞台観てない人だとこんなもんです(苦笑))

当初トキオを演じる予定だった小野田龍之介さんも凄い経歴でしたが、大野拓朗さんの経歴もとんでもない。「こんな直前にこんな人のスケジュールの調整がよくついた&よく出てくれたよな」と改めて驚き

スケート靴を履いて氷上で演技&歌をこなす難しさ

約20日間の準備で公演に臨んだ大野拓朗さんですが…私、彼がリンク中央で倒れ込んだ後、演技の流れを妨げることなく自然に立ち上がったのには驚きました

スケート慣れてない人が、何の支えもないところで立ち上がるのはかなり難しい。立ち上がれても無様な動きになりがちなのに、演技の流れを邪魔することなく自然に立ち上がっていて…しまいにはグループで踊る姿まで披露しましたからね。

難しいスケートのステップこそ踏んでませんが、氷上で陸上風に踊るのがいかに難しいか、リンクで滑った経験があればわかります。ただただ「スゲー」としか言いようがありません。役者として鍛えた運動能力&体幹がスゴいのかな。

大野さんの滑り始め&開演3日前の状態がちらりと見れます

素人だとスケート靴で氷上にただ立ってるだけも微妙にふらふらしてしまうものなのに、不安定さは微塵も感じさせず、腹に力を入れたパンチのある歌声を出せるなんてとにかくスゴイとしか言いようがないです。

日本で俳優キャリアを積み上げてきたのに「海外で活躍できる俳優になりたい」と留学しロンドンミュージカルの役を掴んだ大野拓朗さん。ロンドンでの体験を記事で読むと、彼にとっては海外の現場にひとり飛び込んでいったことと、スケーターだらけの中に準備半ばから飛び込んでいったことはある意味似てるのかもなと思いました。

大野拓朗さんがロンドンミュージカル「太平洋序曲」出演にどんな困難があったのか取材した記事は下記。(記事タイトルが文字化けしちゃっていますが、正しくは「大野拓朗、英国キャストに混じって初の海外公演スタート 夢に向かって『まず一歩』」、昨年12月の記事です)

ミュージカル歌唱の迫力 × スケートの疾走感

ミュージカル畑のまりゑさん、長谷川開さん、エリアンナさん達の歌唱力には圧倒されました。(エハラマサヒロさんの歌もよかったけれど、彼はスケート能力の高さの印象が強烈過ぎましたw)会場で直接声を聞くと、音圧が感じられて気持ちよかったでしょうね。

ケンタウルスで誰がどんな衣装だったか確認しやすい写真


ケンタウルスのクラブ風の派手派手ハイテンション歌唱から「25分の休憩!」で1幕終了の流れも痛快で楽しかったけれど、私は蠍座のシーンの歌唱が最も印象強かったです。衣装・歌唱・スケート・演技・照明・音響全部がMAXで絡み合ってた気がします。

今回の「氷艶」で初めてアイスショーをご覧になった方の感想をざっと見る限り、「スピード感」に圧倒されていた人が多かった印象です。歌手やミュージカル俳優の演技&歌は舞台等で味わえるけれど、ダンサーたちがあれほどのスピードで広大なスペースを駆け抜けることはないですからね。

私がフィギュアスケートに求めるもの最上位クラスにあるのが「疾走感」。今回は苦悩を抱えたカケルがバイクで走り回るシーンや、銀河鉄道が暴走するシーン、鳥捕りが鳥を追い続けるシーンなどで疾走感を堪能できました。「滑走屋」のメンバーがアンサンブルキャストに多く入っていたのには納得の仕上がりでしたね。

アンサンブルスケーターのほとんどの顔を知っているから、アンサンブルに「あ、〇〇くんがいる!」と見つけるのも楽しかったです。

クラブ・ケンタウルスの時はみんな賑やかな恰好してるから単独でアップになったり台詞を喋ったりしてくれないと判別が難しくて、写真や録画で別途チェックしました。あんなド派手な格好をしている彼らを見られたのは貴重でしたね(笑)

動きに映える衣装デザイン

氷艶シリーズの魅力の一つが豪華な衣装

蠍座の女王や車掌さんの第二形態衣装も迫力がありましたが、私は何より村元哉中さんと荒川静香さんの衣装が「スケーターの動きでより美しく見えるデザイン」で気に入りました。アラブの大富豪のパンツはめちゃくちゃスピンで映えるデザインで、惚れ惚れしましたよ。あのプリーツが風を受けて広がる美しさといったら!一般のアイスショーやエキシビションでもあの衣装使ってほしいぐらい。

荒川静香さんのヴィランの迫力も格別でしたね。

彼女の現役時代の演技は「これぞスポーツ!」って感じの男前なさっぱり系だったのに、こんなスケーターになるとは昔は思いもしなかったです。もはや滑ったり踊ったりする女性ヴィランやらせたら右に出るものがないぐらいの域に達している感が。

村元哉中さんも今後芸幅どんどん広げそうで楽しみです。

島田高志郎選手&友野一希選手のポテンシャル

初日のリポート記事

島田高志郎選手はショーで本当に「映える」スケーターだと再認識。あんなにど派手な衣装のスケーター達がてんこもりなケンタウルスのシーンでも「この人がキーパーソンなんだな」ってすぐわかる佇まいがあるのは強い。

私が彼の滑りを初めてナマで見たのは2022のスターズオンアイス(Stars on Ice)。群舞を見て「誰あの凄く上手い男性?」と驚いたのを覚えています。彼は氷上で一人の時より、複数で演技する時の方が「際立ち感」が増幅する気がしています。滑りや所作が美しいスケーターだからこそ目立つんですけどね。

鑑賞前にうっかり「大輔さんにリフトされるシーンがある」ってネタバレを見てしまったのがちょいと残念でした。知らなかったらめちゃくちゃ驚けただろうに(笑)。

54㎏の細身とはいえ男性の体型ですからリフトするのは大変だったと思います。高志郎君も憧れのスケーターにリフトしてもらう日が来るとは思いもしなかったでしょうね…演技とはいえ凄く嬉しそうな顔が見れてよかったです


友野一希選手はストーリー設定した演技が得意な人ですから演技は大丈夫だろうと思っていましたが、意外にも堂々とした歌声!あの声があの役に合っていて素晴らしかったですね。

原案となっている「銀河鉄道の夜」ではタイタニック号の犠牲者だったのが、東日本大震災を想起させる設定なっていました。でも、あくまで「想起させる」だけで直接的な描写は何もありません。ミニマムな説明でメッセージを伝える役目を背負っています。

「命果てるまで」は私が最も苦手とする「どストレートなメッセージソング」系ですが、友野くんにあそこまで素直な瞳でまっすぐに直球を投げられるとひねくれた私も受け止めることができました。曲調自体は好きな系統でしたし、スケーター達の滑りの爽快感がすごく良かったです。

「銀河鉄道の夜」は青空文庫になっているので下記から無料で読めます。最初の設定を聞いた時は「原作ほとんど原型とどめてないやんw」って思ってたけれど、観てから読み返すと当初思っていたよりも原作に沿ってる部分が多いですね

異分野エンタメの交流がもたらすもの

会場にはスケオタだけではなく「ゆず」さんファン、大野拓朗さんファン、ミュージカルファンなどが結集、異文化交流の場にもなっていたようです。ひょっとして宮沢賢治ファンも見に行ってたりするのでしょうか?

(「銀河鉄道の夜」好きの旦那によると、著作権が切れてからは演劇畑で使い倒されまくったたらしいので、賢治ファンは興味が薄いんじゃないか?との推測でしたが、如何に)

「ワンピース・オン・アイス」を昨夏観に行った時も、いつもの試合やアイスショーとは違う客層&違うリアクションが新鮮でしたが、今回も会場に行くとその空気が味わえたのかな。まだスケートファンとミュージカルファンの感想ぐらいしか追えていないので、今後もゆっくり鑑賞記など漁ってみたいなと思っています。

「ワンピース・オン・アイス」初演時も、上演終了後ゆうに1か月以上は各カテゴリのファンの感想を漁っていた記憶w

スケオタは「ゆず」さんの楽曲やミュージカル俳優の迫力を知ったり、ミュージカルファンや「ゆず」ファンはアイスショーの魅力を初体験したり…未体験のエンタメに触れ、互いにファンの裾野を広げていくのは楽しいですよね

やっぱり「マルチアングル」で観たい…!

「氷艶2024」は複数回見たいと思える仕上がりのショーだっただけに、テレビ放送だけだとちょっぴり不満は残りました。

それは、フィギュアスケート界では「マルチアングル」配信が近年トレンドだった影響かもしれません。Japan Openや名古屋フィギュアスケートフェスティバルでは、何台ものカメラの映像を自分で切り替えられて、配信チケット一つで何度も繰り返し楽しめました。

昨夏の「ワンピースオンアイス」のAbemaTVはまた一味違ったマルチアングル配信でした。各カメラの映像をそのまま配信するのではなく、メインの映像、引きの映像、寄りの映像と3種類のアングルを配信するんですが、3つの映像それぞれが適度にスイッチングされていたんですよね。

つまり、1回目はメイン映像を堪能し、2回目は全編引きの映像だけを見てスタンド上段に座った気分を味わい、3回目はメイン映像とは異なる角度からショーを見るーという3つの異なる観劇体験が出来た。

一つの公演に何度も通える時間やお金がない人&お気に入りのショーを違う角度から味わいたい人にはとてもありがたい配信でした。

BSやCSの放送は録画して手元に映像を残すことができる。ライブビューイングは迫力ある大画面と音響を楽しめる。配信はマルチアングルが楽しめる…と三者三様の良さがあるわけですが、私はこういう大人数が活躍するショーや舞台はマルチアングル配信が是非とも欲しいですね。

色々権利関係やらコストの問題が出て来るので全部は難しいのでしょうけれど。

放送、ライブビューイング、マルチアングル配信全部あって、かつDVD&ブルーレイ販売まであればいうことないんですけどね~

アクロバットチームのパフォーマンスはあまり放送画面には映っていなかったように思います。挨拶している時の高橋大輔さんが何で腕から血が出てるのかもわからなくて「?」ってなったし、サイドバイサイドで技やってるところとかも1人しか映ってなかったり。1回はずっと引きのサイズで全編観てみたいんですよね。

将来の「氷艶」ではマルチアングル配信も取り入れてほしいなぁーと心底思いました。それ位楽しめた公演でした。

放送初見時の感想&過去の「氷艶」とのご縁については下記投稿をどうぞ

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