欧州フィギュアスケート選手権(フィギュア欧州選手権/ユーロ)が終わりました。
各カテゴリの優勝者の国が全部別々で、ドイツ、エストニア、イタリア、スイスの国歌が流れるという面白い展開。スイス国歌はサラ・マイヤー(マイアー)選手の引退試合だった自国開催ユーロで優勝した年(2011)に流れて以来?
特にエストニア&スイスの国歌がユーロで流れるのは新鮮でした。
私はロシア国歌が好きだったので、あの旋律が聴けなくなったのはちょっと複雑な気分はあります。かといって色々あった今聴きたいかというと…なので、こういうユーロも新鮮でいいなと思いましたね。
(後ろ暗いことのない選手たちが大会に出られない状況が続いているのは気の毒に思ってはいますが)
Your 2025 European Figure Skating Championships medalists!
— Golden Skate (@goldenskate) February 2, 2025
🥇 Minerva Fabienne Hase / Nikita Volodin 🇩🇪
🥈 Sara Conti / Niccolo Macii 🇮🇹
🥉 Anastasiia Metelkina / Luka Berulava 🇬🇪
🥇 Lukas Britschgi 🇨🇭
🥈 Nikolaj Memola 🇮🇹
🥉 Adam Siao Him Fa 🇫🇷
🥇 Charlene Guignard / Marco… pic.twitter.com/Tqrl9prvz3
縦長写真をXでまとめ表示すると見切れがちですが、この投稿はメモラ君だけ見事に見切れてるのが何ともw
以下、2025欧州フィギュアスケート選手権を振り返ります。細かく振り返るのは男子フリーのみ、アイスダンスFDとエキシビションについても最後に触れてます。
記憶を整理するために書いてたら、見ごたえある大会だったせいで結構長くなっちゃいました。長文きつい方は好きなとこだけつまみ読みしてくださいw
男女シングルは伏兵の優勝?
ペア・アイスダンスの金銀メダルあたりまでは多くの方の予想通りの結果でしたが、女子シングルはエストニアのニーナ・ペトロキナ選手、男子シングルはスイスのルーカス・ブリッチギー選手が優勝。この結果を「意外な優勝」「波乱」的な扱いをしている向きも多く見かけます。
でも昨季ユーロチャンピオンのルナ・ヘンドリックス選手の欠場&アダム・シャオ・イム・ファ選手は怪我明けで構成を下げての出場ーという状況でしたし、優勝者二人ともメダル候補でした。意外というよりは順当な結果ではないでしょうか?「候補の中の誰が優勝してもおかしくない状況」ではありましたけどね。
優勝候補の最有力を絞り切れない状況だったからこそ、試合としては面白かったです。
ペトロキナ選手は母国エストニア開催での優勝という劇的展開、会場の盛り上がりが熱かったです。
ブリッチギー選手は「優勝行けるかも?」と思われたフリー最終滑走で大崩れした昨年のユーロとは真反対、SP8位からの逆転優勝。1位とは約10点差しか無かったとはいえ、やはり最終グループに入れなかった選手が優勝するとドラマチックには感じられますね。
にしてもスイス男子のユーロ優勝が1947年以来とは!
ステファン・ランビーエルさんはプルシェンコ選手休養時期にもユーロ金獲ってなかったのか!
そういや「3月男」って言われてましたもんね…
男子フリー振り返り
ここからは男子フリーの印象に残った演技を一つずつ振り返っていきます。
前半グループ
ヴァルター・ヴィルタネン選手
ヴィルタネン先生は冒頭4回転トゥループ抜けてしまった時点で、ワールドミニマムスコアクリアの夢は消滅。他の大会に出てミニマムスコアへの挑戦は続けそうですが、去年2月のタリンクカップで3位に入った時のキレは感じられず。今季のワールド出場は厳しそうですね。
ケヴィン・エイモズ選手
ケヴィン・エイモズ選手のフリー演技を見るのは怖かったので、先に情報を仕入れました。しかし余計見る気力が失われる羽目に…。
結局昨日午後ににフィギュアスケート好きの友人が我が家に来た際、「見るのキツイと思うけど見る…?」と誘い、一緒に視聴しました。一人で対峙する気力は持てなかったです。
ジャンプをことごとくミスしても魅力に溢れ、観る者の心を打つ演技は存在します。だからこそ結果を知っていても演技を見ようと思ったのですが…ステップのあたりまでは彼らしさを発揮していたものの、後半から明らかに彼の中の炎が消えてしまったのがわかりました。それが何よりも辛かったです。
結局3転倒でGOEマイナスなしで降りられたジャンプは3回転ルッツのみ。総合183.84は彼のフリーPBより低い点数で、結果は22位。来季ユーロのフランス枠は2のまま。
Kevin Aymoz 🇫🇷 113.16/ 183.84
— Golden Skate (@goldenskate) February 1, 2025
“I’m okay. I felt the warm support of the audience, and I felt the love, and I want to say thank you. I am sorry that I couldn’t deliver at this competition. The pressure was really on. Ahead of the short I dreamt of winning a medal. Ahead of the… pic.twitter.com/8T8c7vxj7O
演技後のインタビューでは落ち着いた様子で答えていた模様です。SP前日にもフリー前日にも、それぞれのプログラムをクリーンに滑ることができていたそう。SP前日には「表彰台行けるかも」と思い、フリー前日には「スモールメダル獲れるかも」と思ったけど、うまく行かなかったと。体調ではなく完全にメンタルの問題ですね。
彼には引退までにユーロメダルを獲ってほしいです。
SP100点台出せる&ワールド4位取れる人がユーロのメダル無いって本当信じがたいです。
イヴァン・シュムラトコ選手
その直後に登場したウクライナのイヴァン・シュムラトコ選手は重い空気の中登場となりました。しかし、私は彼のおかげで記憶を全然別モノで上書きできました。
荘厳なヴィヴァルディの後にジェームス・ブラウンに唐突に切り替わる謎編曲。
しかもヴィヴァルディに謎振付。(アクセル入る前の左手ヒラヒラが一番謎w)ユーロ!な変曲にあの振付ならわかるのですが、なぜこの曲にそれ…?というのが連発されます。
前衛的過ぎる構成&振り付けで、私の脳内を見事に「?」で埋めてくれました。
上記は11月のワルシャワカップ銅メダル獲得時の写真 この大会見てなかったのでこのフリーは初見でした
JSPORTS解説の岡部さんが「これはジャッジがどう評価したらいいか超悩むパターン」だと、かなり具体的に説明されていましたが、観客もどう評価したらいいのか混乱する、記憶に残るプロでした。
キス&クライで萎れたひまわり(ウクライナの国花)を見せる姿に、彼の変わらぬ主張と硬直した戦況を感じました。彼は今もキーウにいるようですが当然リンク事情も厳しく、練習を継続するのはかなり大変なようです。
後半グループ
デニス・ヴァシリエフス選手
先日書いた「見どころ」では、私はデニス・ヴァシリエフス選手が再び表彰台の可能性もあるかも?と書いていました。今季の調子ならありうるんじゃないかって。
なのにSPで4回転サルコウすっぽ抜け…。「彼ならSPトリプルまででクリーンにまとめりゃ90点台出せるのに~」って少々歯がゆく思いましたね(苦笑)。でもSPから4回転入れようと思えるほど、今季は確率高いということ。
フリーでは4回転サルコウを4-3コンビ含む2本、トリプルアクセルも2本入りました!着氷乱れたり、回転不足取られたりしたりはしたけれど、かなりいい方の「ラ・バヤデール」。
これはステファン・ランビエールコーチ大喜びに違いない!って思ってたら、喜び加減は程ほど?レベルでした(苦笑)。ーということは、練習ではもっと凄い演技をしてるのかも?
ワールドでは彼がとんでもない「ラ・バヤデール」を披露して、ステファンコーチが小躍りする姿が見たいです
普通なら演技後のリプレイ映像は得点源となる部分を使うのに、彼はステップのディフィカルトターン部分ではなく、合間の「求愛」ポーズ部分がスロー再生されていました。視聴者ニーズわかってますねwって言いたくなりました(苦笑)。
そういや友人に「腰のヒョウ柄布が気になって気が散ってしまった。あれはステファンコーチの差し金か?」と聞かれましたw
「ステファンコーチはシマウマだったし違うんじゃないの?」としか言えなかったです。この布に関して言及したインタビューとかあるかな…?
(「獣の毛皮風の布をまとうと、心を強く持てる効果があるのか?」とか色々考えちゃいましたw)
ダニエル・グラッスル選手
ブリッチギー選手と同様、「優勝候補」に名を挙げていたダニエル・グラッスル選手はSPフリーとも精彩を欠く演技でした。
彼は2022‐23シーズンの開幕前から数か月ほど、ボストンスケートクラブを拠点に練習していました。(その後ホームシックを理由にシーズン中に帰国)先の米国便墜落事故の情報は伝わっていたようなので、その動揺は他選手よりも強かったのではないかと推察します。
SPフリーともキス&クライで、以前からあった症状が随分強く出ていたので心配しています。今季はGPF出場&イタリアナショナル優勝だからワールド出場はほぼ当確のはず。しかも会場はボストン…3月までに身心共に回復できることを祈ります。
ルーカス・ブリッチギー選手
ルーカス・ブリッチギー選手は今シーズン怪我の影響で思うような演技ができていません。なのでフリーもミスが出るのを覚悟で見始めたのに、ジャンプが驚くほどバシバシ決まるじゃないですか!?
途中からは「今日はもうミスしないな」って気分になってきてた終盤、最後のトリプルフリップで軽いステップアウト。「勿体ない!」とは思ったけれど、まぁ神演技はワールドに取っておいた方がいいですよね(苦笑)。
History made! 🇨🇭🥇
— ISU Figure Skating (@ISU_Figure) February 1, 2025
Lukas Britschgi earns the first #EuroFigure title for Switzerland since 1947! #FigureSkating pic.twitter.com/jV75cqMyX0
4回転トゥループ2本構成でも、彼の場合スピードも落ちないしレベルもきっちり取ってくるので(スピン一つだけレベル3でしたが他はオールレベル4)、ジャンプクリーンに決まったら点数は結構出ます。SP82点台だったにもかかわらず267.09まで総合点を伸ばしました。
この後出てくるスケーターのうち、フリーでも好演技できるのは半分もいないだろうと思っていた私。「表彰台決まったかも。下手したら優勝しちゃったりしてw」ってこの時思っていました。
でも、実力ある選手たちがまだ控えてはいたから、あくまで「w」つきで、本気で優勝するとまでは予想してなかったんですけどね
セレフコ兄弟
兄のアレクサンドル・セレフコ選手は、ブリッチギー選手の演技直後、最終前グループの最終滑走。
いい流れが場内にはあったのですが、冒頭4Tー2Tが3Tー3Tに。「4Tもう一度跳ぶのはハイリスクだし、どうする?」と思ったらダブルルッツ。解説の岡部さんは否定してたけど、私は4回転ルッツ跳びに行って抜けちゃったんじゃなかろうかと推測しています。
「ジャンプ以外は美しいのに勿体なさすぎ…」と思いながら視聴。そこから後は後半3A転倒でリピートになるなど痛いミスが続き、総合9位。
去年の銀メダルがあっただけに、気負ってしまったかのようなことをインタビューで語っていました。
Aleksandr Selevko 🇪🇪 146.26 / 230.91
— Golden Skate (@goldenskate) February 1, 2025
“I actually feel very disappointed with my skate today. I think I was overthinking. I was thinking this free skate through so many times in my head today, and I think that was a mistake. Right now, I’m really disappointed. I watched my… pic.twitter.com/IseDQ6nOkT
弟のミハイル・セレフコ選手は冒頭に4回転ループを見事に着氷。ループ持ちなのは知ってたのですが、「国際大会で入れるならユーロ後の小さな大会でだろう」と思っていたのでビックリ!
でも、直後の4回転トゥループがすっぽ抜け…4Lo成功の興奮は一瞬のうちに冷めました。せっかくのループの点数もご破算やん!って。
それでもその後は着実に要素を仕留めていったので、「表彰台の夢は叶わずとも上位に残ってエストニア3枠(兄弟の順位を足して13以内)ならいけるかも!」と期待。そこでとどめのシングルルッツですよ(涙)。
その後のスピンステップレベル落としまくりで総合7位。来年のユーロ・エストニア3枠の夢はかなわず。
インタビューでは、ペトロキナ選手の優勝がちょっとプレッシャーだったと素直に話してます。
Mihhail Selevko 🇪🇪 154.15 / 239.00
— Golden Skate (@goldenskate) February 1, 2025
“It was a really good experience. I feel very happy. I feel really happy that I landed the quad loop. I tried it a couple of times in competition, not so successful. I landed it in nationals, but oh well. Overall, I’m very happy that I managed… pic.twitter.com/ifLGgtmQdL
気になるワールド代表には、ユーロもナショナルも上回った弟のミハイル・セレフコ選手が行くことになりそうかな?兄の方がジャンプさえ決まればPCSは高く出そうな気はしますが、どっちが言っても本当頑張ってほしいです。
イタリア対決 ニコライ・メモラ選手&マッテオ・リッツオ選手
その後はイタリア代表対決。まずは若手のニコライ・メモラ選手から。
冒頭の4回転ルッツー3回転トゥループのコンビネーションは高さも幅もえぐかったですね~!この日の彼は回転不足取らせてなるものか!ってな感じのジャンプの連続でした。
表現にも長けている選手なだけに見ごたえは抜群。SPに続きフリーもクリーンにまとめてきてビックリですよ!モントリオールワールドのフリーと同じで、彼は終盤のビッグマッチに強いイメージがつきました。
今回跳んだルッツ3本のうち「!(エッジ不鮮明)」マークがついたのは冒頭の4回転ルッツのみ。最後のトリプルフリップ以外は「q」もつかず、エッジエラー判定にに苦しみがちなメモラ選手にしてはクリーンなスコアでフリー177.69。総合で262.61と260点台に乗せて暫定2位!
メモラ君は先輩の肩に手を回し、リッツオ先輩は後輩の腰に手を回すと丁度よい模様
対するマッテオ・リッツオ選手はパヴァロッティの曲と、珍しくイタリア風「王道路線」プロで挑みました。
しかし4回転がトゥループは転倒、ループも着氷が乱れ、イタリア代表争いからは早々に脱落です。メモラ選手に比べるとリッツオ選手のスケーティングは際立って見えましたが、ジャンプが決まらないことには上位には行けない。
また、使用曲も王道かと思いきや、何か不思議な編曲でしたしね。そこにジャンプミスが複数加わると、私も今一つその独特な世界観にハマり切れないまま終わってしまいました。
手術明けのシーズンだったマッテオ・リッツオ選手の照準はあくまでも来季の五輪。このフリー、来季に持ち越すんじゃないかなと踏んでいます。滑り込めばいいプロになるのでは?という期待は持てました。
結局ユーロもナショナルもメモラ選手がリッツオ選手より上位。おそらくワールド代表はグラッスル選手&メモラ選手じゃないかと予想。イタリアに五輪3枠を何としてでも取って帰ってきてほしいです。
ウラジーミル・サモイロフ選手&ニカ・エガーゼ選手
その後滑ったのは、ポーランドのウラジーミル・サモイロフ選手&ジョージアのニカ・エガーゼ選手というロシア風味強い二人。エガーゼ選手は銅メダルあたりありうるかな?とは思っていたけど、二人ともフリーも揃えるのは厳しいだろうと予想していました。
でも、二人とも予想以上の崩れ。「ユーロ表彰台」or「ユーロ優勝」が目の前にちらつくプレッシャーはとんでもないのかもしれません。
アダム・シャオ・イム・ファ選手のコンディションは万全ではない。となると、「自分にチャンスがある」と彼らもわかっていたはずですしね。
おかげで、これだけ入れ替わりの少ないグリーンルームも珍しい。デニス・ヴァシリエフス選手は靴をぬいでソファーへの腰かけ方がどんどんくつろぎモードになっていくし、ルーカス・ブリッチギー選手と楽しそうにしてるし。随分まったりした空気感だったので眺めてるのが楽しかったです。
アダム・シャオ・イム・ファ選手
最終滑走は、ユーロ三連覇がかかるアダム・シャオ・イム・ファ選手。復調しきれておらず、フリーも構成を落として臨むとの情報。確かに今のユーロ出場者に4回転多種3~4本を入れてまとめきれる選手はいませんから、トゥループ&サルコウの4回転3本構成でもまとめたら十分優勝は可能です。
しかしSPの様子を見て「この感じだと、いくら構成を抑えてもフリー最後まで持つかな…」と心配になりました。
その心配は的中し、フリーは冒頭4回転トゥループで転倒。4回転サルコウは決まったものの、後半で挑んだ4回転トゥループは着氷が乱れコンビにできず、アクセルジャンプも着氷がハマらない様子。
でも、スピンステップはきっちりレベル4獲ってくるんですよね。ジャンプ不調でも表彰台は守り切ったところがさすがという感じでした。
🥉 Adam Siao Him Fa 🇫🇷 164.87 / 257.99
— Golden Skate (@goldenskate) February 1, 2025
“I'm not really happy with my performance but somehow knowing from where I am coming back, what I have to do is to accept it. It's going to be difficult to perform all the time, it's just part of the process and today I wasn't there. I know… pic.twitter.com/XOgshLwJl8
練習再開3週間でここまで戻せているだけでも凄いことかも
試合中は危ない着氷を何度も見て、再度足痛めるんじゃないかとヒヤヒヤ。まだ調子を戻しきれていないのであれば大事をとってユーロ棄権でもよかったのでは?とも思ったのですが、三連覇の可能性もあるし、ミラノ五輪を考えるとポイントは稼いでおきたいし…という中の出場だったのでしょうね。
強いアダムが見たいので、ワールドの頃までに復調していることを願います。
どうなる?ワールドでの五輪枠争い
次の最大の課題はワールドでの五輪出場枠獲得。3枠獲るのに失敗しても、ネーベルホルン杯で3枠目をゲットする手は残りますけど、一気に決めてしまいたいところ。
3枠確保を期待されている日本・米国・イタリア・フランスあたりの選手たちは「五輪枠獲得」プレッシャーがかなり強烈そう。
おそらくケヴィン・エイモズ選手はワールド代表に選出されると思いますが、そのプレッシャーの下で実力を発揮できるのか、心配過ぎます…。
アイスダンスFD
アイスダンスは今のところフリーダンスだけ視聴したのですが、すっごく見ごたえありました!
もともとユーロって個性強いスケーター達が全カテゴリに多いですが、今季の試合は国際大会メダル常連層以外の中堅メンバーの実力がぐっと上がった感じ&見ごたえあるプログラムが多くてもう大満足でしたね。
個人的に心に残ったのは、「ピリハラ」こと折原裕香/ユホ・ピリネン組の「コーラスライン」!フィンランド大会現地で演技見た時よりも更にキレが増していて、物凄く「陽のパワー」を浴びた感じ。
ただ、それは単なる「陽」ではありません。
「コーラスライン」って様々な背景を持つダンサーたちの群像劇じゃないですか?それぞれが辛く苦しい想いも抱えつつ、舞台では華やかに舞い踊るという。二人の見せたパワーがこれまで以上に強く感じられたせいか、楽しさ全開のプログラムの裏にスケーター&ダンサー達の人生が垣間見えた感じがしてグッと来るものがありました。
その直後はスマディクことオリヴィア・スマート/ティム・ディーク組の「DUNE」!いや~世界観凄いわ。オリヴィアさんがだんだんベネ・ゲセリット(作中に出てくる、女性が組織する教団)のメンバーに見えてきて、超能力で操られてるかのような錯覚すら感じましたわ。
私、今季のアイスダンスのFDプロではこれが一番好きかも。パイパー/ポワリエ組のバービー&ケンも気に入ってますが、ここまでは魅入れない。「砂の惑星」の世界観パワーを借りてる部分もあるとはいえ、別世界感凄すぎる。
ユーロ女子金メダルのニーナ・ペトロキナ選手のフリーも「DUNE」でしたが、今年のDUNE祭りはかなりの豊作です。
この二組にボルテージが上がり過ぎて、そこから先は夢を見てるような感じでした(笑)。「トゥルベル」ことユーリア・トゥルキラ/マティアス・ヴェルスルイス組のタンゴも良かったな~見る度に良くなる感じ。
メダルを獲得した3組は技術力素晴らいし見ごたえ抜群で文句なし。「表彰台足りないから増やしてあげて!」って思いました(苦笑)
ユーロのエキシビションは豊作過ぎw
今朝はのんびりエキシビションのアーカイブをISU配信でを鑑賞。時間がそこまでゆっくりは取れなかったのでちょこちょこ飛ばしつつではありますが、話題になってたプロは一通り鑑賞。
いや~ユーロのエキシビションは、試合後に行われるエキシビションの中では一、二を争う楽しさかもって思いましたね。去年も面白かったけど今年もかなりのもので。ジョージア勢とエストニア勢全力投球過ぎて素晴らしい。イタリアのコンマチ(ペアのサラ・コンティ/ニッコロ・マッチー組)の男女逆転プロも、ますますキレ味増してて凄かったですけどね。
以下はエキシビションの演出に触れてますので、視聴前のネタバレを避けたい方はここで読むのを終了してください。
エストニアからは、大会出られなかった男子シングル選手のアルレット・レヴァンディ選手まで出場。セレフコ兄弟はゾンビ(?)とスパイを演じるエンターティンメント性の高いプロを披露。
エキシの大トリを任せられた金メダリスト・ニーナ・ペトロキナ選手は、ミュージカル「シカゴ」の悪女を演じました。
「Cell Block Tango」に合わせて、リンク脇に待機していたエストニアの男子シングル選手たちを次々に殺害!その様はカッコよくて見ごたえありましたわ~。みんな殺されるの上手いし、殺害後のジャンプがめちゃくちゃ美しいし。
他にも見ごたえあるプロ多くて、会場で観られた人たちはさぞ楽しかっただろうな~って思いました。
米国の航空機事故のニュースと共に始まった感のあったこの大会。関係者もファンも動揺する中での開催となりましたが、選手たちは競技への集中を心がけ、最後はエンターテインメントに徹してくれました。
次のチャンピオンシップ大会・四大陸選手権の試合は2/19~23の予定です。