アイスショー「Friends on Ice(フレンズ・オン・アイス/フレンズオンアイス) 2025」観覧レポートの【後編】です。
この記事では第2部とフィナーレをまとめました。会場の雰囲気や豪華スケーターたちの演技の感想をセットリストと関連記事と併せて振返ります。
セットリストでの使用曲には極力原曲のYouTube動画リンクをはっていますので、チェックしたい方はご活用ください。
【前編】はこちら

※セットリストは、私が放送音声を曲名判別アプリで推定したもので公式情報ではないため、誤りがある可能性があります
※アーティスト名と見出しでのスケーター名は敬称略
第2部
グループナンバー2 「オペラ座の怪人」続編「ラブ・ネバ―・ダイ」メドレー
「オペラ座の怪人」の10年後、「ラブ・ネバー・ダイ」の世界
「オペラ座の怪人」の10年後を描いたミュージカル・「ラブ・ネバー・ダイ」からのメドレーです。
(日本国内の2025年公演は終了しています)

今年はプログラムの事前予習をほとんどしてこなかった私は、てっきり「オペラ座の怪人」メドレーだと思っておりまして。なので、会場で聴いた曲は耳慣れないのが多くて戸惑いました。
(「オペラ座の怪人」は舞台&映画鑑賞経験ありでロンドンオリジナルキャスト版CDも持っておりますが、「ラブ・ネバー・ダイ」は未見)
誰がどの曲を演じたか
冒頭「Prologue」は「かなだい」の陸上パフォーマンス。北ブロックに作られていたステージ上での短い演技でした。(初回公演の抽選コーナーで荒川さんが「二人は氷の上じゃない所から登場します!」と予告していたのですぐに発見できました)
続いて荒川静香さんの怪人ソロ「Til I Hear You Sing」、「いくこう」の「Once Upon Another Time」、本郷理華さんの「Love Never Dies」(「愛は死なず」)、「かなだい」による「Beneath a Moonless Sky」と続きます。最後は全員で「Conclusion」。
ソロプログラムを滑るあの「怪人」は誰?
私は今回「オペラ座の怪人」関連プロを持っている「かなだい」と本郷理華さんが出るってことぐらいしか記憶しておらずだったので、出だしの「怪人ソロプログラム」でかなり混乱。

「オペラ座の怪人」のはずなのに知らない曲だし…そもそもこの人誰?って(苦笑)
仮面をつけていてスタンド席からでは顔がよく見えないこともあり、てっきり男性かと思ったんです
ポジェさんやアボットさんにしては細身すぎる。とんでもなくスパイラルがキレイだけど、ジェイソンの滑りとは系統が違うしそもそも髪が長いぞ?じゃあ誰なんだ??って。男性だと思い込んでるから選択肢に荒川さんが出てこないんですよw
全く予習してこないと、こういう混乱が味わえるのですね(笑)。
ーまぁアリーナ席前方にいたら私も「荒川さんだ!」と気づけただろうし、荒川さんの大ファンならスタンド立ち見でも一瞬で見抜けただろうと思いますが。

(画面クリックで元ポストに行けます)
その後登場した「いくこう」の二人は、スタンドからでも誰が誰かがはっきりわかってスッキリ(笑)。
既存の衣装の持ち寄りでしたが、島田高志郎選手がシングル競技時代終盤の2シーズンに使っていた「死の舞踏」衣装を着ていたので、上半身を鍛えたのがよくわかりました。本郷理華さんと「かなだい」は本領発揮と言う感じで、満喫させてもらいました(笑)。
Get the Chance
今年の「Get the Chance」は田邊桜香選手(日本大学)。シニアの全日本選手権には出場歴がありません(全日本ジュニアは4回出場)。演目は、昨季フリーに使っていた「蝶々夫人」でした。
私がナマで初めて彼女の演技を見たのは一昨年の「げんさんサマーカップ」でしょうか?
ジャンプの難度を落としたショープログラムにするとここまで魅せられる選手なんだなと正直驚きました。どうしても試合だとジャンプの成否に印象が引きずられちゃって、いい選手を記憶に残し損ねてるような気がします。
本田武史「巡 (鼓童)」
冒頭紹介コメントで宮原知子さん振付と知り「おお?」と思っていたら…聞こえてきたのは何やら懐かしいマリンバの音。

こ、これは太鼓芸能集団・鼓童さんの「巡」ではないか!
宇野昌磨さん引退直後の「THE ICE 2024」で披露した目玉プロ!

しかし、本田武史さんが使用しているのはレコーディング音源。「THE ICE 2024」の「巡」は昌磨さんの演技に合わせた生演奏だったので、私の記憶に残っている曲調と微妙に違うのにちょっと戸惑いました。
そして、私はあまりにも「巡」を現地&映像で見倒しています。リンクの演技に集中しようとしても、脳内で昌磨さんの演技が自動再生されてしまうもので、今一つ集中しきれないまま終わってしまいました。

今年は1回こっきりしか現地鑑賞の機会がないっていうのに、もったいないことしちゃって本当にごめんなさいーという気分でした
シェイ=リーン・ボーン・トゥロック「Bom Bom」
シェイ=リーン・ボーン・トゥロックさんの今回のプログラムは、Sam & The Wompの「Bom Bom」。私は初見でしたが、これ楽しいショープログラムですね!
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鼓笛隊の男性(彼女の夫)がリンク外周の最前列席前を太鼓を演奏しながら1周。途中でおもちゃの管楽器を持ったスケーター達が入ってきて全員一緒に踊るくだりがあります。みんなが楽しそうにやってるのが見えると、こちらも楽しい。
この中にシェイ=リーンのお子さん?っぽく見える人が混じっていたので「ひょっとして家族総出のパフォーマンスだったのか?」と思い、CS放送で確認しようと思っておりました。
しかし当たり前ですが放送ではリンク上の演技を入れたサイズでしか撮影しないので、映像は私が現地で観た光景とさほど変わりなく。結局ご家族があの中にいたのかどうか、はっきりと確認はできずでした(笑)。
ジェイソン・ブラウン「Rock Around the Clock」/「Say Something」
ひょっとして今季競技プロ披露?SPの「リバーダンス」来る?と思っていたら、私が見た回はスタンダードナンバーの「 Rock Around the Clock」でした。
パイプ椅子を「相棒」としてうまく使い倒すショープログラムです。これをナマで観るのは初めてだったので楽しかった~。
しかし、千秋楽は今季フリープログラムのJacob Banksの「Say Something」で滑っていました。(土曜夜もこれだったのかな?)
先日米国で開催された「Summer Sizzler」での演技が米国スケート連盟のYouTube公式チャンネルに上がっているので紹介しておきます。同じ「Say Something」です。
今季プログラム情報を調べている際に、ジェイソン・ブラウン選手の今季の取り組みについての良記事を見つけたので併せて紹介しておきます。
英文ですが自動翻訳で十分読めます。どうやらミラノ五輪シーズンで引退とは決めていないようです(!)。

カロリーナ・コストナー「Make It Your Dream」
ここでカロリーナ・コストナーさんの登場。曲は Armand Amar ft.Isabel Sörlingの「Make It Your Dream 」。
ジャンプはありませんが、美しいスケーティングと所作のみで魅せるのなんのって。バックスパイラル気持ちいい~。
ここ数年、全日本選手権でコーチとしての姿を見かけるようになっていたので何だか過去に彼女の演技をナマで観たような錯覚を覚えていましたが、実は彼女のナマの滑りを見るのは今回が初めてでした。
荒川静香さんもそうですが、本当「女神」を崇める気分になります。「美しいスケーティングは正義」です。
ステファン・ランビエール 「シャルル・アズナヴールメドレー」
私はステファン・ランビエールさんが早々に観客席に現れたのに気づいていました。東側最前列の観客数名と触れ合ってからリンクに駆け出していって演技が始まるーという演出です。

あの席にいた人たち本当にうらやましい!
でも実際にあんな至近距離で来られたら私、反射的に逃げてしまいかねない(苦笑)
曲はシャルル・アズナブールの「Je m’voyais déjà/Hier encore」(邦題「希望に満ちて/帰り来ぬ青春」)。
ここ数年、内省的なプログラムが多い印象の彼だっただけに(宇野昌磨さんの過去プロを演じた「Ice Brave」は例外)、最初は「ど、どうしたんだそんな明るいはじけた曲で!」って一瞬思いました(笑)。
今回はこのまま陽気に最後まで駆け抜けるのか?と思っていたら、曲が急に終わり、ジャケットを脱ぎだす彼を見てある意味安心しました。脱ぎ方がまた「ステファ~ン」って感じでイイ。そこからはしっとりムードで締めました。

私は一軒目の宴会では陽気にはしゃいでいたサラリーマンが、二軒目のお店で急にダンディに変貌し、ワイン片手に人生論を語り始める…みたいな妄想を抱きながら見ていました(笑)
でもそのスケーティングや所作は、そのへんのサラリーマンではありえない美しさなんですけどね
ケイトリン・ウィーバー/アンドリュー・ポジェ組「Heroes」
個人プログラムのしめくくりは、ケイトリン・ウィーバー/アンドリュー・ポジェ組。曲はピーター・ガブリエルの「Heroes」。(私、ピーター・ガブリエルは来日時のライブ行ったくらい大好きだったので懐かしい!)
静かなバラード曲調ですが、「私たちはたった1日でも英雄になることができる」ということをちょっと抽象的な表現で歌っている曲です。第1部の「Champions」メドレーとは曲調は対極なのに、実は根底では繋がってる感がありました。

この選曲はケイトリン・ウィーバーさんのものなのか?
このプログラムからの連想であのグループナンバーを考えたのか?
それともメッセージ内容が似通ったものになったのはただの偶然か?
色々と尋ねてみたくなりました。
グループナンバー3 ミラノ五輪への餞 振付:ステファン・ランビエール
最後を飾るのは、2004年トリノ五輪に出場していた荒川静香さん(金)、ステファン・ランビエールさん(銀)と、高橋大輔さんとカロリーナ・コストナーさん(二人ともこの大会が五輪初出場でその後五輪銅)の4名で、ミラノ五輪出場メンバーへの一足早いエールともなるグループナンバー。

曲はポール・ポッツ歌唱の「Sei Con Me 」。「あなたと私は運命を共にする、常に傍にいますよ」という内容です。
一人で滑ってるだけでキラキラしたものがミストシャワーのように降り注ぐスケーターたちが4人も同時に氷上にいるもんだから、浄化された感凄かったです(笑)。
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平昌五輪前年、宇野昌磨さんを先輩たちが取り囲んだ「トゥーランドットメドレー」のときのように、特定の誰かを送り出す形ではなかったけれど、後輩たちへの暖かいエールを感じました。
でも私は、「あのトリノ五輪からもう20年近くが経とうとしているのか」と懐かしむ想いと共に、「みんな滑りの進化っぷりスゲーな」という驚きに似た感激の気持ちをより強く感じていました。
フィナーレ「ラ・ラ・ランド」より
「いくこう」⇒全員「City of Stars/Another Day of Sun」
フィナーレ冒頭に登場してきたのは「いくこう」。櫛田育良さんの鮮やかな黄色いドレスを見てすぐに、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」をやるんだろうなとわかりました。
しっとりしたナンバー「City of Stars」を二人で滑った後は、他のスケーター達が次々に入ってきて、「Another Day of Sun」へ。
華やかに踊るガールズたちをリンク脇の観客席で「品定め」しているボーイズたちの小芝居がなかなか楽しかったです。相変わらずフィナーレは目が足りません。

そこから後は、スターシップの往年のヒット曲をマーベル映画「サンダーボルツ」(2025年5月日本公開)用にカバーした「Nothing’s Gonna Stop Us Now 」。パニック!アット・ザ・ディスコによる「High Hopes」でフィナーレです。
周回&千秋楽は振付師紹介⇒荒川静香さんの「トゥーランドット」
終了後は通常は周回して終了。周回以降は観客撮影OKとなりますが、私はスタンド席だったのでおとなしく写真撮影のみに徹していました。
千秋楽は各グループナンバーの振付師の紹介と部分リプライズがあるのがいいですよね。これをCS生放送で観られてショーに行った気分がわかるのはありがたいです。
千秋楽の最後に荒川静香さんが最後の挨拶をしてマイクを持ったままジャンプを跳ぶのが最近は恒例のようになっていたのですが、今年はマイクを置きに行って「あれ?」と思ったら、「トゥーランドット」の音楽が流れてきてビックリ。

会場から驚きの歓声が上がったのが放送でもよく聞こえてきて、自宅にいるのに臨場感が少し味わえて楽しかったです
ミラノ五輪シーズンに向けた今年のショーは、「同じイタリアで開催されたトリノ五輪のあの演技チラ見せ」という粋な計らいでの幕引きとなりました。
さいごに
「1回しか現地で観てないんだし、さっくり書こう」と思っていたら…気づけば前編後編合わせて1万字超!使用曲情報調べてたら数珠つなぎで色んな情報が出てきて面白くなって、つい長々と書いちゃいました。
なお、「前編」で三浦佳生選手が公演2日目は「ラストサムライ」を2連続で演じていて、「ひょっとして今季フリーを「オペラ座の怪人」にするのか迷ってるのか?」というようなことを書いたのですが…
その後ISU(国際スケート連盟)のバイオグラフィー上のフリー曲が「ラストサムライ」に変更になりました。

国内メディア複数がフリー変更だと伝えていますし、どうやら今週末のCS(チャレンジャーシリーズ)大会・木下グループ杯のフリーは「ラストサムライ」で挑むもようです。
(先日の【前編】記事にもその旨追記済)

「Friends on Ice」が終わると、「そろそろ本格シーズン入りが近づいてきたな」という空気感が強まってきますね
先週末の試合関連動画もまだ一部しか観られていないのですが、まずは週末の「木下グループ杯」に向けた記事の公開を優先しようかと思います
…ってまだ全然取り掛かれてないので、これから書くんですけどね
今日も宇野昌磨さん「スト6」関連配信チェックしながらこの記事の誤字脱字チェックをしていました(笑)。