ミラノ・コルティナ冬季オリンピック(ミラノ五輪)・フィギュアスケート競技団体戦の決勝が終了しました。
1位アメリカ、2位日本、3位イタリア。
アメリカは北京五輪に続く連覇、日本は銀メダルを獲得しました。
競技最終日も自己ベストを出す好演技が続出。日本も「りくりゅう」こと三浦璃来/木原龍一組、坂本花織選手、佐藤駿選手と見事なリレーで、最後までメダル争いにハラハラする異例の接戦に。見ごたえは抜群でした。
本記事では、団体戦競技最終日(ペアフリー・女子フリー・男子フリー)を、順に振り返りました。
日米の首位争いのみならず、イタリアVSジョージアの銅メダル争いについても少し厚めに記録しています。
ミラノ五輪2026フィギュアスケート競技リザルト(ISU版)
※スケジュール、滑走順、順位、採点表等へのリンクが網羅されたページです
私が期待していた展開とは
1位アメリカ、2位日本、3位イタリア。実は、これは私が内心願っていた順位どおりでした。
日本チームを応援していなかったわけではありません。「日本の金メダル獲得にはアメリカ側に大きな取りこぼしが必要になる」という力関係を認識していたからです。
私は全選手たちに実力を出してほしい。決勝に出る選手たちがそれぞれ本来の演技をできれば、最終的にはこの順位に落ち着くだろうと思ったからです。
予選のとき、普段フィギュアスケートをご覧になっていない方がアメリカ選手の失敗を期待するかのような声をたまに見かけて心が痛みました。

私はアメリカペアのエリー・カム/ダニエル・オシェイ組も、アンバー・グレン選手も大好きなんです
ライバルとなる彼らにも、彼らの歴史があって、数多くの困難を乗り越えてこの場に出場しているのです。頑張ってほしいという気持ちは同じです
本人的には悔いが残った選手もいるかとは思いますが、過去の五輪団体戦に比べると「見返すのが辛いほどの大崩れになった演技」が今回なかったことは嬉しかったです。
また、「団体戦の見どころ」にイタリアとジョージアの銅メダル争いをあげていた私としては、この二か国の銅メダル争いが最後までもつれ込んだのも熱かったです。

団体戦最終日をどう迎えたか
ここからは、私自身の鑑賞記録として、各カテゴリの流れを振り返っていきます。
決勝は追いかけ再生視聴しました。おそらく午前3~4時台に一度自然に目覚めたんですけど、「この時間から観始めると整氷の間に眠気が来そうだな」と思い、二度寝して5時台に起床。
いざ録画を見始めようとしたら…なんと録画ができていないという大失態に気づき真っ青に。(昨日予約録画設定したはず…と思ったけど、アイスダンス個人戦の録画と勘違いしてた?)
気を取り直して途中から録画をスタートし、録画出来ていなかった部分はNHK ONEにて視聴し始めました。
団体戦最終日観戦記<ペアフリー>
時差再生だから、私が見ているのは「もう終わっているはずの演技」なのですが、結果を知らずに視聴すると生放送と同様に凄く緊張します。
しかもペアのトップバッターは私が好きなアメリカの「エリダニ」ことエリー・カム/ダニエル・オシェイ組です。
エリー・カム/ダニエル・オシェイ組(米国)のスロージャンプ
昨春の骨折を乗り越え、たどり着いた五輪団体戦
結果的にアメリカの団体金メダルの鍵となったのは、ペアのエリー・カム/ダニエル・オシェイ組でした。
しかし演技前の6分間練習では、相変わらずスロージャンプで転倒していました。解説でもジャンプに苦心しているとの報告があり不安になりました。
彼らはリフトなどのペア技はとても良いもののスロージャンプが不得意なため、中々世界のトップ層に食い込めないのがもったいない選手。ダニエル・オシェイ選手は34歳にして初の五輪出場です。
先月の全米選手権で優勝したアリサ・エフィモア/ミーシャ・ミトロファノフ組が五輪出場資格(米国市民権)を獲得できていれば、エリー・カム/ダニエル・オシェイ組が団体戦ペアに出ることも無かっただろうと思うと彼らがここにいるのは感慨深いです。
日本の一般視聴者に「敵」扱いされがちなのが、少し悲しい
日本の金メダルを期待する人たちが、アメリカペアの順位が下になってほしいようなことをつぶやくたびに私は思って来ました。

ダニー・オシェイ選手は去年3月に足の甲の骨がポッキリ折れて手術して、まだ1年も経ってないんだよ!
懸命にリハビリ重ねてここまで来た選手なんだよ!
そんなこと言わないであげて…って

ミラノ五輪代表選考試合である全米選手権の演技後、ミスが出てしまったエリー・カム選手への態度も心に残りました。ふたりの息の合った感じにも好感を持っています。
「スロージャンプ一つだけでも降りられれば、もう一つは転倒になってもカナダペアを何とか上回れるかも」と思いながら観始めたのですが…
サイドバイサイドジャンプの着氷が若干乱れたり、三連続ジャンプの三つ目を省いたりはしたものの、何とスロージャンプが…
2本とも入ったではないですか!

スロージャンプが2本入っただけで目頭が熱くなってしまうのは、この組だけかもしれません(苦笑)
全体的に若干いつもより動きが硬い気はしましたが、おそらく物凄い緊張の中で滑っていたのでしょう。滑り始める時のエリー・カム選手の表情を見た時点では、こんな好演技が見られるなんて思ってもいませんでした。
不安そうな表情を浮かべがちなあのエリー・カム選手が、最後のリフトで笑顔を爆発させているのは本当に嬉しかったです。
フリー135.36、彼らのパーソナルベストスコアを2点近く更新しました。
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その後4組ともジャンプでの転倒なし!
そして、ここからペア選手たちの快進撃が続きます。
この団体戦ペア決勝、全組がジャンプ転倒なしで演技を終えました。
アクロバティックな技の多いペア競技では、これは珍しいことです。
カナダペアはPB6点近く更新
しかし、私が「これでアメリカはカナダを上回るだろうな」と思ったのもつかの間でした。
その次のカナダの二番手ペア・リア・ペレイラ/トレント・ミショー組も、私の想像をはるかに超える演技!スロージャンプでのステップアウト一つのみで演技をまとめきりました。
これは近い得点が出るかもしれない。ひょっとして…ということもありうるかも?とすら思いました。
結果はシーズンベストスコア(SB)を12点以上も上回る134.42。アメリカペアにはわずかに届きませんでしたが、彼らもPBを6点近くも更新しました。

何この試合、凄すぎるじゃないの⁉
ってこの時思いました
この日最初の「イタリアVSジョージア」
この後は、個人戦でもメダルが期待される3組が登場。中でも、銅メダル争いをしているイタリアとジョージアは両国のペア選手の実力が拮抗しているため、どちらが勝つかが注目されます。
イタリアのサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組は、3連続ジャンプでの乱れはありましたが転倒には至らず、失点は最小限に抑えました。サラ・コンティ選手の怪我の影響は若干感じましたが、年末の怪我後に2週間も氷に乗れなかった人の演技とは到底思えませんね。アメリカペアの点数を約1点上回りました。
ジョージアは、期待の若手アナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組でできるだけ上位をとっておきたいところ。スロージャンプが超絶安定しているものの、若さゆえか思わぬミスがたまに出ることがある組ですが、今回は大きなほころび無しに完走できました。最後のコリオシークエンスでメテルキナ選手が若干バランスを崩したところが転倒扱いになり減点されたのが少々響き、140点台には乗らず。それでもペア2位以上を確保。
「りくりゅう」が見せた会心のフリー
ここまで140点台ゼロだったので、「りくりゅう」こと三浦璃来/木原龍一組は「転倒などの大ミスが1つぐらい出ても、問題なく1位が取れるだろう」と比較的安心して見守ることができました。
そしたらSPに引き続き、またもやクリーンな演技でビックリ!
団体戦でこんな神演技を連続されると不安になってしまう程でした。(連続神演技できる選手たちもいますが稀有なので、どうしても余計な心配をしてしまうのです)
演技終了後、興奮で盛り上がる周囲とはうらはらに冷静さを保っている三浦璃来選手がキス&クライで「140ぐらい…」と話す声は聞こえました。でも、今季のこの難しいフリー、クリーンにまとめきれたことがなかったので、「いやいや150は超えるでしょ」と思ったファンは多いのでは?私もそうでした。

しかし155.55という数字には正直驚きました
PB8点近く更新ですもん!
驚き過ぎて椅子からひっくり返っちゃった三浦璃来選手にもビックリ(笑)
三浦璃来選手がひっくり返っちゃったところ、試合振り返り時に町田樹さんに「転倒のデダクション(減点)1ですね」って言われてたの最高でした(笑)。
SPのときは木原龍一選手がワンテンポ遅れてカメラからフレームアウトしてたし、団体戦のキス&クライでは二人ともそれぞれ伝説を残しましたね。いや演技自体ももちろん伝説レベルなんですけど!
団体戦最終日観戦記<女子フリー>
続いては女子フリーです。
ペアの調子で全選手振り返っていると、なかなか書き終われそうにないのでここから少しテンポを上げて行こうと思います。
この日2回目の「イタリアVSジョージア」
女子フリーでも、イタリアとジョージアのメダル争いは熾烈でした。
2番滑走だったジョージアのアナスタシヤ・グバノワ選手。SPでは好演技ながら回転不足判定が響き、5位に終わりましたが、フリーの「ゴースト」では会心の演技。140.17はSB、去年の国別対抗戦で出したPB141.39に迫る点数でした。これは後続の選手たちへはかなりのプレッシャーになりそうな点数です。
イタリアのララ・ナキ・グットマン選手は、ショート3位に入るという大活躍を見せました。

ついに五輪で世間の前に「ジョーズ」のフリープログラムが披露されてちょっと嬉しい私(笑)
後半のトリプルルッツがダブルに抜けてしまったのと、軽微な回転不足「q」判定ジャンプが3つもあったことから、演技の印象ほど点数が伸びきらず。
最終的に女子5位だったカナダのマデリーン・スキーザス選手とは1.94差で、実は結構危うかったです。ミスを最小限に抑えきれたことでメダルに一歩近づけました。
彼女はクリーンな演技ができていたとしても、140点台を出すのは厳しかったでしょう。順位はこれ以上はあげられなかったのではないかなと思います。
アンバー・グレン選手の踏ん張り
女子シングルで私が一番不安だったのは、アンバー・グレン選手(米国)でした。
「報われて欲しい」という想い
実は彼女は、私が今回の五輪で「報われて欲しい」と願っている選手の筆頭格なんです。
20代半ばから演技が安定してきて、26歳にして五輪初出場。グランプリファイナル優勝経験はありますが、チャンピオンシップ大会でのメダルがありません。今季の五輪やワールドでトリプルアクセルを決め、メダルを持ち帰ってほしいんです。

彼女がこれまでトップクラスに登り切れていなかった最大の理由は、演技の不安定さ。しかしここ数年はメンタルコントロールが功を奏して安定感が増し、躍進が始まりました。
とはいえ、全く乱れなくなったわけではありません。昨季のボストンワールドでは実力を発揮できなかった姿を現地で見ているだけに、とても不安だったのです。
その演技は…
冒頭のトリプルアクセルは決めたものの、着氷姿勢が前のめりになってしまいました。そして、その次のトリプルフリップからのコンビネーションが単独に。

もうこの時点で私の不安はマックス、心臓バクバクでお祈り状態
再び大崩れしてしまう彼女の姿は見たくない…
頼むからここで踏ん張って!
以前の彼女なら、ここから大きく崩れて後半の高難度ジャンプがシングルに抜けたりしていました。
でも今の彼女は違いました。後半で抜けたコンビネーションジャンプをリカバリーしたりと、傷は最小限に抑えることができました。
しかし、冒頭のジャンプ乱れによる失点が響き138.62。グバノワ選手を上回ることができず3位です。
その結果に、私は「あぁ届かなかったか…」と正直少し動揺しました。でも、グバノワ選手の演技は見事の一語でしたからね。「ここで大崩れすることなく切り抜けられたことは良かった」と思い直しました。個人戦にうまくつなげてほしいです。
坂本花織選手の安定感
続く坂本花織選手の演技は、「りくりゅう」の時と同様比較的落ち着いて見られました。坂本花織選手ならば、転倒やジャンプの抜けなどの大きなミスが1回ぐらい出ても140点台は超えられるだろうという安心感があったからです。
演技途中、スカート部分の布が腰回りの装飾に引っかかったままになっているように見えたのが気になるぐらいには落ち着いていました。(ずっとこのまま?と気になっていたので、途中で外れてよかったです)
それでも、この大舞台で、これほどの安定した演技を連続でできるのは本当に凄い。でもあまり神演技されると個人戦が不安になってしまうのが、素直な心情。なので、後半の3連続ジャンプの3つめが抜けたところで私は寧ろ安心しました。1位が取れるのはもう確信できた段階でしたしね。
細かいミスがありつつも素晴らしい滑りの結果、得点は148.62。女子シングル1位10ポイントを無事獲得しました。
男子フリーを前に、日米が同ポイント差で首位に
女子フリー終了後の各国のポイント数は下記の通り。
なんと男子フリー開始前に日米が59ポイントずつで首位に並ぶという展開になりました。
| 暫定順位 | 国名 | 暫定ポイント数 |
|---|---|---|
| 1 | アメリカ | 59 |
| 1 | 日本 | 59 |
| 3 | イタリア | 52 |
| 4 | カナダ | 50 |
| 5 | ジョージア | 47 |
日本とアメリカはこの時点で銀メダル以上が確定。男子フリーの結果で金メダルが確定します。そして、イタリアとジョージアは2ポイント差、こちらも男子フリーの銅メダルが確定するという熱い展開になりました。
金メダル&銅メダル争いが最終種目にもつれ込む展開
過去の五輪フィギュアスケート団体戦で、ここまでメダル争いが白熱したことはなかったと思います。
これまでは最終種目までに各国のポイント数に差が開いていることが多く、最終種目が始まる前に「最終順位は事実上ほぼ確定」になっていたことが多かったと記憶しています。
2022北京五輪のときも、最終種目だった女子フリーの前に日本の初メダルは確定済でした。
(本当はメダル確定していたのに坂本花織選手は気づいておらず、中野コーチが「花織に伝えないで」と他選手たちに頼んでいたというエピソードが懐かしく思い出されますw)
なのに今回は、日本チームは「銀メダル確定」を喜ぶよりも、「金メダルの可能性が残っている」状況に盛り上がる展開。しかも銅メダル争いにも目が離せないという、過去一熱い五輪団体戦となりました。
「金メダルはオプション」という言葉
フィギュアスケートを普段ご覧にならない方は、イリヤ・マリニン選手と佐藤駿選手のPBの差が40点以上もあることは当然知らないでしょう。その差がどれほど重いものかも。なので、「日米同ポイントで首位」という情報だけ聞くと、「日本は金メダル獲れるんじゃないか?」と期待した方も多かったと思います。
そんな中、テレビで放送された坂本花織選手のインタビューはとてもよかったですね。
下記記事に発言内容の記載があります

五輪初出場だというのに、「金メダル獲得の可能性が残った団体戦最終滑走」というとんでもない重要な役回りを任されることになった佐藤駿選手。
そんな佐藤駿選手に坂本花織選手は、「金メダル取れたらすごいことだけど、金メダルはオプションぐらいに考えて」と言ったと。私はこの言葉にじんとしました。
たぶんメディアは「勝敗まずありき」で、「僅差で金メダルを逃す」などと書くことでしょう。それは事実だし、勝敗も大事かもしれません。
でも一番大事なのは、この大舞台で心残りのないいい演技をすることだと私は思います。「金メダルはオプション」という言葉は、それを端的に、ユーモアまじりで伝えてくれる素晴らしい言葉だと思いました。
団体戦最終日観戦記<男子フリー>
男子フリー開始前のイタリアとジョージアのポイント差は「2」。
イタリアのマッテオ・リッツオ選手が5位、ジョージアのニカ・エガーゼ選手が3位以上ならジョージアの銅メダルの可能性が出てきます。両選手の今季の成績からいって、その可能性は十分ありました。
「イタリアVSジョージア」最終決戦
ニカ・エガーゼ選手
第一滑走は、ジョージアのニカ・エガーゼ選手。優勝した先月の欧州選手権通り、4回転ルッツ入りの4回転4本構成にチャレンジしてきました。
しかし残念ながら冒頭の4回転ルッツがダブルに抜けてしまいます。その後もジャンプがやや精彩を欠き、後半の4回転サルコウからのコンビネーションジャンプではファーストジャンプが3回転に。
元の演技構成が高難度過ぎるだけで「大崩れ」というほどではなかったのですが、得点は154.79。メダル争いをするには少し厳しい結果になりました。

彼は先月の欧州選手権で181.72を出した実力があるだけに、この結果は悔しかっただろうと思います
この後、悲しげな表情で応援席で後続選手の演技を見続ける姿が印象に残りました
解説の町田樹さんが、「挑戦した結果だから、この経験を個人戦につなげてほしい」ということを強調してくれていたのが救いでしたね。
マッテオ・リッツオ選手
第二滑走は、イタリアのマッテオ・リッツオ選手。
昨季終わりに思い切って足の手術に踏み切りましたが、復帰後はなかなか復調せず。しかし先月の欧州選手権ではフリーで168.37を出して五輪代表を勝ち取りました。先月のようないい演技ができれば勝機があります。

彼は「ここぞ」というときに強い印象がある選手です。私は「やってくれるんじゃないか」という期待感がかなりありました。
そして、彼はその期待に応えてくれました。今季ずっと苦労していた4回転トゥループが決まったときはホッとしましたね。リンクを引き上げる時のニースライドを久しぶりに見られて感動。
私は採点発表を前に、イタリア銅メダルを確信しました。それは選手達も同様だったと思います。アイスダンスのシャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ組が泣き出すの早すぎ(笑)。
下記のこの写真は、ジョージア選手との対比が見える構図です。ジョージアの選手達も複雑な思いはあったでしょうが、ベテラン選手の会心の演技を祝福しているように見えます。
得点は179.62。後続のカナダのスティーブン・ゴゴレフ選手を上回り、最終3位でした。
もしニカ・エガーゼ選手が欧州選手権時のような好演技をできていたと仮定しても、ジョージア3位、イタリア4位でイタリアの銅メダルは変わらなかったでしょう。
イタリアのメダルはライバル選手がミスをしたからではなく、このフリー演技で勝ち取った銅メダルだと思います。イタリアは、団体戦初のメダル獲得です。
イリヤ・マリニン選手の想定外
「エース連投」となったイリヤ・マリニン選手。当初は「個人戦への調整のためにSPしか出ないらしい」と噂されていましたが、米国の報道によると、連投を決めたのは直前だったようです。

団体戦では少し控えたジャンプ構成にしてくるだろうと予想できたので、彼が4回転アクセルを回避したのは驚きませんでした。
しかし後半の2回目の4回転ルッツでステップアウトしたのには本当に驚きました。そのせいでコンビネーションにすることができず、「REPEAT」判定になって4回転ルッツ基礎点まで減点される手痛いミスとなりました

彼の最大の強みは4回転アクセルではなく、後半で4回転ルッツからのコンビネーションや、トリプルアクセルを後半に組み込んだコンビネーションジャンプを安定して決められることだと思っています。
あまりに毎回決めて来るので、このジャンプ構成が常人離れしていることをつい忘れてしまい、今回も普通に決まるものだとばかり思っていました。彼も盤石ではないということでしょうか。
「ミスが多かったのに高得点だった」という印象を持った方もいたようですが、「あれだけミスしても200点を超えるぐらいジャンプ構成がとんでもない」ということは、しつこい位説明してもいいんじゃないかと思います。
佐藤駿選手の団体戦最終滑走
3日間に及ぶ団体戦競技の最終滑走は、佐藤駿選手です。
五輪初出場で団体戦最終滑走というだけでも責任重大過ぎるというのに、マリニン選手に想定外のミスが出たことで、周囲の期待は高まってしまいました。

最終滑走で全ジャンプ完璧に決めてスピンステップオールレベル4を出したら、佐藤駿選手の構成でも200点はワンチャン可能かも?
確かGPFでPB194点くらい出してたよね…?
と、私自身もこの時初めて、日本金メダルの可能性が、わずかに頭をよぎりました
しかし、そんな期待を受けて滑る側の緊張はいかほどでしょう。
ポイント差がついていたら、北京五輪団体戦の坂本花織選手の演技時のように「銀メダルは確定だし、あとはいい演技で!」と落ち着いて見守られていたはずなのに。
そして、彼はこの大舞台で素晴らしい演技を見せました。
全ジャンプの着氷が危なげがありません。途中ジャンプの助走に入る部分で氷の穴か溝に引っかかったのか一瞬バランスを崩してヒヤッとしましたが、あそこで動揺することなく演技を続けてくれて本当によかったです。町田樹さんも「観れば素晴らしさはわかるから、途中で解説辞めました(笑)」というぐらいの仕上がり。
ただ、私はこんな素晴らしい演技に大喜びする一方、またもや「個人戦まだあるのに団体戦でこんな神演技しちゃって大丈夫なの」という気持ちが少しあったのも事実(苦笑)。

でも、採点表を見たら安心できました
意外にも後半のステップやスピンでレベルをとりこぼしていたことがわかったからです。「まだ点を伸ばせるじゃないか!」って
また、嬉しいことにPCSのSkating Skillsの項目でついに9点台を獲得していました。今後のフリーで200点突破も夢じゃなくなってきています。
演技のリプレイを見たら、リンクサイドで日下コーチの喜びが弾けまくっていたのも楽しかったですね。個人戦フリーでもこんな光景を是非見たいです。
<公開直後追記>
佐藤駿選手のキス&クライでの涙の理由、私は最初は大舞台でいい演技を出来たことに対する安堵の涙かと思っていたのですが、その後の様子に「安堵ではなく悔しさ?」と思い始めました。
その後の本人談によると、出来る最善はつくせたという満足感はあったけれど、やはり「1位を取りたかった」という想いだったようです。ここで悔しいと思える気持ちがあるのがアスリートだよな…と思いました。
メダル獲得、おめでとうございます

興奮冷めやらぬ中の表彰式
私は興奮冷めやらぬ中、競技終了後のスタジオ解説を生放送気分で継続視聴。本田武史さんの目が赤かったのが印象的でした。
表彰式もその流れで一気に視聴しました。近年の五輪では、メダル授与は後日別場所で行う場合が多かったですが、今回は会場ですぐに渡されるようで良かったです。
北京五輪団体戦は、男子シングルの個人戦直前の夜遅くにセレモニーが予定されていて、「団体戦メダルセレモニーに出る男子選手たちが気の毒過ぎる」と心配していました。
結局謎の理由(ロシア選手のドーピング関連だったと判明したのは後日)でセレモニーが延期になってホッとしたことを覚えています。まさかその後2年以上もメダルをもらえないとは思いもしなかったですが。
とはいえ、アイスダンスの選手は翌日にもう個人戦RDですから、スケジュールは超ハードですけどね。選手ファーストな運営に少しは近づいてよかったです。

しかし、私が応援しているダニー・オシェイ選手に金メダルが掛けられる瞬間にちょうどサブチャンネルに切り替わり、我が家の録画は途中で切れていました…
残りは配信映像で見ましたが、五輪中継は本当サブチャンネル編成に泣かされますね
さいごに
今日は、競技を見終えた直後の熱量のまま、感じたことを記録しました。これからいろんな報道情報を見て回りたいと思います。
テレビ番組でペアの演技を過去に一度もご覧になったことが無いであろう出演者が、「フィギュアスケートであんなに人って飛ばせるんだ!」と驚く声がとても新鮮でした。長年のファンとしては、「そうなんですよ!もっと色んなカテゴリあるんですよシングルだけじゃないんです!」って叫びたくなりました。
あすからは個人戦がアイスダンスから始まります。個人戦のシングルカテゴリだけでなく、ペア競技の放送で「りくりゅう」や「ゆなすみ」が世間の注目を集めるだろうことを今から楽しみにしています。



