「町田樹が考察するアイスショーの現状と問題点」の軽い考察

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昨日JBpressオートグラフにて公開されたインタビュー記事「町田樹が考察するアイスショーの現状と問題点」はとても読み応えのある内容でした。毎日1本ずつ公開が常道なのにいきなり3本まとめて公開だし!

町田樹が考察するアイスショーの現状と問題点、公演数の増加とチケット代の高騰による「インフレ」をどう乗り切るか|スポーツ科学研究者、元フィギュアスケーター・町田樹インタビュー(1)

現在のアイスショーに必要なものとは?町田樹が提案する「スターに頼らない経営」と「ショースケーターの育成」|スポーツ科学研究者、元フィギュアスケーター・町田樹インタビュー(2)

アイスショーの真のライバルは?数々の「勝負プログラム」を体現して魅せた町田樹が考える、ショーの意義と可能性|スポーツ科学研究者、元フィギュアスケーター・町田樹インタビュー(3)

近年フィギュアスケートファンが嘆いたり議論したりしてきたことが的確にまとめられ、そこに町田樹さん自身の考察が加わっています。

この記事をきっかけに日本のアイスショーの歴史を振り返りつつ、町田樹さんの提案についてごく軽い考察をしてみました。

目次

アイスショー増加の歴史

かつて日本で開催されるアイスショーは、日本生まれの「プリンスアイスワールド」(1978~)ぐらいでした。あの「ディズニーオンアイス」も、前身となるショーが始まったのは1981年で日本初演は1986年です。(今の「ディズニーオンアイス」という呼称になったのは1999年)

長野五輪で人気爆発したフィリップ・キャンデロロさんを主役にしたアイスショーが2001~2003年に開かれたことはありましたが、日本でアイスショーが急増した最初のきっかけは、トリノ五輪~バンクーバー五輪前後のフィギュアスケートブームだと言っていいと思います。

CICによる「ドリームズオンアイス」(2004~)が始まり、北米の老舗アイスショーも「スターズオンアイス」(1986~)が2005年から日本公演を開始。荒川静香さんの「フレンズオンアイス」(2006 ~)と「ジャパンオープン(競技)」後に実施される「カーニバルオンアイス」(2006 ~)」が新たに始まりました。

そこにIMGの「ザ・アイス」(2007~)、CICの「ファンタジーオンアイス」(2010~)が開始。日本の主要なアイスショーの多くがこの時期に生まれています。(エキシビション形式の「名古屋フィギュアスケートフェスティバル」(2004~)もこの時期の開始です)今思うと、本当に当時はすごいブームだったんだなと思います。

その後は浅田真央さん、高橋大輔さん、羽生結弦さんら競技を退いた著名スケーター達それぞれが主体になったショーがスタートします。さらに「艦これ」「ワンピースオンアイス」のような他カテゴリコンテンツと提携したアイスショーも生まれ、木下スケートアカデミーが傘下のスケーター達を集めた「ブルームオンアイス」のようなショーも始まり…今は完全にアイスショー過当競争の時代に入っています。

ショーに通うようなフィギュアスケートファンの資金と時間には限界があります。新たなファン層の開拓もこれだけ趣味が多様化した現在では、相当うまくやらないと厳しい。今後淘汰されていくショーは出て来るでしょう。

日本よりアイスショーの歴史が長い北米では、既に終了してしまったショーもあります。1969年からの歴史がある「チャンピオンズ・オン・アイス」(この呼称は1998~)は荒川静香さんがトリノ五輪金メダルを獲ったこともあり日本公演まで行われましたが、2007年12月に経営破綻しています。

(※上記の数字のソースはwikipediaに基づていますので、正確な情報でない可能性があります)

アイスショーに興味がなかった理由&ショーに行くようになった理由

青い衣装でスパイラルをする女性フィギュアスケーター
イメージ画像

私はテレビ観戦が中心で、アイスショーには長らく関心がありませんでした。

フィギュアスケートをナマで観る機会がめったにないお茶の間観戦者にとっては「ナマで観る良さ」はわかりません。「アイスショーってエキシビションと同じでしょ?有名なスケーターが出ているかしらないけど、ゆるい構成で無難に滑ってちょこっと群舞やるだけなら試合見るほうがいいや。あんな値段出すぐらいならミュージカルなどの舞台を見に行った方がずっとお得だ」と思っていました。

私がアイスショーに足を運ぶようになったのは、ロシア情勢の変化後です。あのスケーターの演技はもう当分日本で観られないかもしれない。『アイスショーだから』と敬遠せずに見に行っておけばよかった。好きなスケーターの全盛期の滑りをナマで観られる機会は貴重だったんだ”と実感したからですね。

今のアイスショー価格に感じること

ただ、今もアイスショーの値段は内容の割に高いと思っています。

取れる客から金をとるのはこの時代当然だと思うのですが、スタンド末席でも高額だったり、常設リンクで個プロを持ち寄って滑るスタイルのショーが企画もののアイスショーのような値段だったりするのには納得していません。「ぜひともナマの滑りを見たい!」と思えるスケーター達がいるからやむなく払っている感じです。

この内容で本場ブロードウェイミュージカルのチケット代より高いなんてありえない」と思う私は、よほどの事情が無い限り高額チケットには手を出さないようにしています。納得できないものに何万円もホイホイ出せるほどお金持ちじゃないし(苦笑)。

私がアイスショーに足を運びだしたのはここ3年ぐらい。未見のアイスショーには今後一通り足を運んでみようとは考えていますが、カネと時間は有限です。一度観たうえで、今後観るアイスショーは絞っていきたいと考えています。なので心の奥でひっそり、シビアに各アイスショーの比較をしています

たくさんのアイスショーに行かれている方も、よっぽど金&余暇時間に恵まれている方や、ものすごく夢中になっているスケーターがいない限り、近年はシビアな選択をし始めている人が多いのではないでしょうか?

「町田樹さんの考察」で驚いた視点

町田さんがインタビュー記事で発言されていた内容のほとんどは私も普段感じていることであり、うなずける内容でした。それに加え10年前と比べると軒並み20〜30%ほどチケット価格が上昇し、急激なインフレを起こしています」などの具体的な指摘は、「なんとなく」だった実感を明確に数値化してくれましたね。

ただ一つだけ新鮮な視点がありました。

市場原理からして、出し過ぎたものは蛇口の栓を閉めて供給量を減らすということをしないと需給のバランスがとれません。まさにアイスショー産業はそのような必要性に迫られていると、私自身は感じています。本来ならアイスショーの各ブランドが一堂に会してどう戦略を立てていくのか、産業全体を総合的に統括するような観点や仕組みがあってしかるべきだと思います

町田樹が考察するアイスショーの現状と問題点、公演数の増加とチケット代の高騰による「インフレ」をどう乗り切るか|スポーツ科学研究者、元フィギュアスケーター・町田樹インタビュー(1)

「業界関係者で集まって今後の戦略を話し合っていく」なんて発想、全く考えたこともなかったですわ。

アイスショービジネスの内側にいる町田樹さんがこういうことを考えて発言できるっていうのは、「関係者の規模が比較的小さい」「関係者で議論したり連携したりできる可能性がある」ということを実感しているからなんだろうなと思います。

端から見てると、対立しあう業者同士で戦略を立てるなんて非現実的にしか思えないんだけど、経団連の会合みたいなもんでしょうか(苦笑)。いや「〇〇製造組合」か?

そのような可能性を関係者が信じられるという土壌があるのなら、「関係者が一堂に会して戦略を立てること」が将来実現しなかったとしても、今後よりよい変革がありうるかも?と思いました。

ちょっとぐらいは期待してもいいのかな?

下記の投稿では北米アイスショーと日本のアイスショーのチケット販売の違いについて比較等していますのでよろしければどうぞ

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