ロンバルディア杯2025【女子&ペア編】奇抜プロから王道まで、注目の五輪シーズン新プログラムと衣装

ロンバルディア杯のロゴ

チャレンジャーシリーズ大会「ロンバルディア杯2025」がイタリアのベルガモで開催されました。

ミラノ五輪シーズン序盤のCS大会とあって、多くの選手が新プログラムと衣装を初披露。

前回の投稿では、男子シングル注目選手の「五輪シーズン用新プロ&新衣装」の印象を振り返りました。

今回は女子シングル&カップル競技(ペアのみですが)を振り返ります。

ロンバルディア杯2025リザルト

目次

女子シングル 注目の今季プログラム

アリサ・リウ選手

昨季世界チャンピオンのイリヤ・マリニン選手と同様、アリサ・リウ選手もこれが今季初戦。SPフリー双方が初披露でした。どちらも振り付けはマッシモ・スカリさんです。

SPは「昨季SPからの続編」らしいのですが、私にはよくわからなかったです。曲のメッセージが「Promise」⇒「This is how it feels」で繋がっているということでしょうか?曲調は似ているなと思いましたが。

フリーはレディ・ガガメドレーとは聞いていましたが、「G.U.Y.」「Bloody Mary」「Disease」「Bad Romance」の4曲も使っているのには驚きました。ちょっとせわしなさすぎないか?って思いましたね。

レディ・ガガはイタリア系アメリカ人ではありますが、私はこのメドレーにはアメリカ~ンな香りを強烈に感じて「これ、ミラノで受けるだろうか?」と少し心配になるレベルでした。

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ガガメドレーは悪女系衣装。上記には背中の写真がないのですが、背中が去年のイリヤ・マリニン選手のフリー衣装みたいな魚の背骨系になっていてちょっと怖いです。この背骨デザインをこれ以上流行らせるのはちょっと勘弁してほしい(苦笑)。

アリサ・リウ選手は今靴調整に困っていて、片側だけ新しい靴で臨んだとのこと。そのためかジャンプの精度が今一つで点が伸びず表彰台を逃しました。でも昨季もシーズン前半はジャンプは重い状態からスタートし、徐々に精度を上げて行ったので、靴問題が長引かなければ間違いなく金メダル争いに絡んでくるだろうと思います。

サラ・エバーハード選手

今大会でイメージが急変!

去年序盤のCS大会で高得点を出し注目していたものの、GPSフィンランド大会で「うーむ」と思ってしまったサラ・エバーハード選手。まぁSPフリーどちらも松生理乃選手の直後の滑走になったことで、スケーティングの重く感じられてしまったーという事情があったのですが。

しかしフリー演技を見たら、あの時の「うーむ」感が払拭されました。

というのも、彼女が映画「哀れなるものたち(原題:Poor Things)」のサウンドトラック音源を使っていたからです。

フリーは映画「哀れなるものたち」より

「五輪シーズンにこんなイカれた映画(誉め言葉です)を選ぶのか!?ただものじゃないな」って(苦笑)

彼女の衣装は、この映画の主人公が着ている衣装がモチーフになっています。ちょっと奇抜なデザインなので、映画を知らないと不思議に思われるかもしれません。
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下記の映画予告映像は主人公がその衣装を着ているシーンから再生されるように設定しています。

イカれた研究者が成人女性の体に胎児の脳を移植して創造した美女「ベラ」。赤ん坊の脳が成人女性の身体を制御する方法を徐々に学んで、やがては性に目覚め、初めてひとりで外の世界に飛び出す時に着用している衣装です。

この映画、コアな映画ファンには絶賛されていますが一般受けしそうもない狂気に満ちた作品です。

でも私はこの映画が大好きなので、急にサラ・エバーハード選手が気になる存在になってしまいました(笑)。振付師であるシェイ=リーン・ボーンさんの選曲かもしれませんが、本人もこの曲を受け入れていてインタビューで演技に取り入れてた「ベラ」っぽい動きを語っていましたし。

そういえば宇野昌磨さん現役最後のSPも「Everything Everywhere All at Once」ってかなりイカれた映画のサントラでした。

でも、彼の演技は原曲のドビュッシーの「月の光」とあの映画に漂う不思議感のエッセンスのみを抽出した演技。

映画の世界観をどこまでプログラムに入れ込むかは、それぞれ違っていて興味深いです

関心のあるかたは下記のリンクからどうぞ

「哀れなるものたち(特典映像つき)」Amazon Prime

アカデミー賞11部門にノミネートされ、エマ・ストーンが主演女優賞を受賞したほか、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、美術賞の4部門を受賞。最優秀作品賞の呼び声も高かったんですけどね~ちなみにR-18指定で色々スゴイので、家族がいるリビングなどで気軽に視聴するのは絶対にやめた方がよいです

ララ・ナキ・グットマン選手(イタリア)

フリーの曲はまさかの「ジョーズ」

ララ・ナキ・グットマン選手のフリー音楽はなんと「ジョーズ」。過去にいそうでいなかった?選曲ですよね。鮫を意識したかのような衣装&振付で個性炸裂していました。私はこういうのに弱い。

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上記インタビュー内容によると、後半は「水」という抽象的なテーマを表現しているそうです。ちなみに振付は昨季の「イカゲーム」に引き続き、ステファン・ランビエールさんです。

イタリア女子の五輪代表枠は「1」

しかし、ミラノ五輪代表枠は女子シングルも男子シングル同様足りない…1」しかない出場枠を彼女とアンナ・ペゼッタ選手とで争います

どっちも豪快なジャンプ系で好きなんですけど、豪快であるがゆえに安定しないという…ポテンシャルは同じくらいあるので、今季ジャンプをより安定させた方が代表になりそうです。

「ジョーズ」プロは話題になりそうだし、彼女は現在22歳で次の五輪まで現役続けてくれるかどうかが?なので、ミラノ五輪では彼女を見たい気はします。ララ・ナキ・グットマン選手は春の国別対抗戦で出したパーソナルベスト(PB)201.56には及ばなかったものの、今大会で195.95をマーク。アンナ・ペゼッタ選手の現時点でのPBは186.19ですから一歩リードしている状況と言えます。

アンナ・ペゼッタ選手の初戦は来週末のオンドレイネペラ杯です。そして、大阪のNHK杯に来ます!

住吉りをん選手

日本人女子選手のプログラムのうち、私が初見だったのは住吉りをん選手のSPのみでした。マキシム演奏のピアノ曲「アルバ・ララバイ」で振付はミーシャ・ジーさん。

幻想的な曲調でグラデーションの効いた衣装だったことは覚えているのですが、昨季から継続のフリーの印象が強すぎて正直金曜に観たSPをあまり思い出せません…あのフリーは彼女に本当によく合ってて好きです。

SPの衣装はこちら(埋め込みが表示されない場合は「こちら」をクリック!)

シーズン序盤から209.59を出せたのは五輪代表争いに弾みがつきました。SPフリー共にジャンプで減点要素があってもこれだけの点が出るのはここ数年のGPSで見せてきた安定した演技の積み重ねですよね。彼女の次戦はグランプリシリーズ(GPS)1戦目のフランス大会です。

中井亜美選手&松生理乃選手

中井亜美選手はトリプルアクセルを着氷できずとも高得点を取り、総合2位松生理乃選手は体調がよくなかったらしくジャンプで精彩を欠き8位となりましたが、ワールドランキングに必要なポイントを得ることはできました。

二人ともジャンプで大きなミスが出た割には点数がそこまで下がらずで、男子の三浦佳生選手と同様ジャッジ勢から「実力ある選手」との認識を得た感触がありました。

五輪代表争いの序盤から一喜一憂していてもしょうがないとはいえ、候補選手たちがいい結果を残せるとほっとします。

でも、今は序盤だからうまくいかなかった選手がいても「まだ次がある」と思えるけど、そんな余裕もだんだん無くなっていくんだろうなぁ…

カップル競技

カップル競技って見出しにしていますが、ここで触れるのはイタリアのペア2組だけです。触れ始めるとキリがなくなるのですみません…

「ギラアン」ことレベッカ・ギラルディ&フィリッポ・アンブロジーニ組

3年連続でグランプリファイナル(GPF)に出場している「ギラアン」の今季SPはイル・ヴォ―ロによる「Volare」のイタリア語版(リンク先のYouTube動画で曲が確認できます)日本では2001年にキリンのビールCMに起用されたジプシー・キングスによるスペイン語版の方が有名です。

「ボ~ラ~レ(飛べ)!カンタ~レ(歌え)!」と超陽気な曲で攻め続けるパワーは凄い。

何より「ボ~ラ~レ!」のフレーズに合わせて決めるトリプルツイストとスロートリプルルッツがすっごくカッコよくて、クセになりそうな予感。

下記はフリー後のインタビュー時の写真。
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フリー前半は「ポエタ」を使ってましたが、フィニッシュポーズが記憶に残り過ぎて演技の詳細を忘れてしまいました(笑)。巻いてあった絨毯を下に広げるかのように、くるりん!って女性を下に回転させてから決めるフィニッシュポーズです。

映像で見てもらわないと何を言ってるのかわけが分からないと思うので(苦笑)、今後の「ギラアン」のフリーはフィニッシュポーズにご注目ください。サーカスの軽業のようでカッコいいです。

でも、直近で肩を脱臼した経験のある女性スケーターには絶対やってほしくないポーズですね。肩抜けそうで怖い…

「コンマチ」ことサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組

「コンマチ」のSPは「Concerto de Espana」でフラメンコ!そしてフリーはイタリア王道曲の「カルーソー」です。

SPでは華麗なフラメンコで来て、フリーはフィギュアスケートの王道のドラマチックプロに正面から挑んでいて、結構気に入りました。

下記はフリー後のインタビュー
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イタリアペアも五輪枠が…

男女シングルの枠がどちらも足りなくてキリキリしてしまうイタリア勢ですが、ペアは2枠あって本当によかった…と一瞬思いかけたのですが、違いました。

昨シーズン序盤、女性の怪我でほぼ1シーズンまるまる欠場したルクレツィア・ベッカーリ/ マッテオ・グアリゼ組が戻ってくることを私すっかり失念していました(!)。彼らのPBスコアはギラアンより3~4点上回っていて、次週のネーベルホルン杯でどちらも出場します。二組の実力は伯仲しており、ベッカーリ選手が手術後にどれだけ復調しているかが注目されます。

ううう、開催国だというのに結局アイスダンス以外全部イタリア枠足りないやん!

でもイタリアに1枠増やして日本の「ゆなすみ」の代表枠獲得に影響しちゃうのも困る~

個性的な新プログラムが多く観られたロンバルディア杯2025。ミラノ五輪に向け、それぞれの個性をどう磨き上げていくのか、今後のグランプリシリーズや五輪代表争いの行方に注目していきたいです。

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