今回も2024年全日本フィギュアスケート選手権の現地観戦振り返りです。インカレ動画を観る合間にちょこちょこと年末の記憶をたどってみました。
振り返るのは競技初日の女子SP。
代表候補選手たちの思わぬミスが相次いだ男子SPで結構メンタルにダメージ食らっていたので、好演技が相次いだ女子SPは一服の清涼剤のようでした。
前半グループ(第1~3グループ)
しょっぱなからハイレベルなスタート
いきなり櫛田育良選手、山下真瑚選手とトップクラスの技術を持つ選手が登場してのスタート。
しかし実力を備えた選手でも一つの大きなミスがあればSP落ちしてしまいかねないこの恐さ。櫛田育良選手も全日本ジュニアで銀メダル獲った年にフリー進めなかったことがありましたしね。
結局冒頭二人&ジュニアの和田薫子選手も好演技で、第1グループなのに60点台半ばを出した選手がもう3人も!。
フリー当落線上が予想される選手の時は「ちゃんと見ておくぞ」という気持ちで観ていました。
第2グループの6分間練習では江川マリア選手と河辺愛菜選手の衝突事故があって心配になったことは観戦直後に書いています。
事故直後の河辺愛菜選手が余りにも痛そうでかなり心配で、私は白岩優奈選手が今季限りの引退を表明していたことをすっかり失念。彼女のSP演技を「万一のことがあればこれが全日本最後かも?」という覚悟なしに見てしまいました。ループ転倒のミスは出ましたが冒頭のルッツートゥが効いてフリー進めてよかったです。
大場雅選手
第3グループで一番気合が入ったのは女子現役最年長の大場雅選手。
私が彼女の名前を知ったのは2010年の全日本。「体操仕込みのフィジカルですっごい幅のあるジャンプを跳ぶジュニアが出てきたよ!」と評判でね。バンクーバー五輪世代選手の多くがまだ現役の頃でした。
シニアデビュー年より後は国際大会出場こそないけれど、ほぼ毎年全日本に出場してきました。2017年&2020年以外全てで全日本出場を勝ち取ってきたのは本当に本当に凄い。もう特別功労賞を上げて欲しいぐらい。
今季の演技は去年よりさらにパワーアップしてて浄化されるような演技でした。私の近くの席に座っていたスケーターらしき若い男性たちが「滑りが気持ちよすぎる!」て褒めたたえまくってましたよ。私も同感でした。
一度SP落ちを喫したことはありましたが、いつも何だかんだでフリー進出を決める彼女。今回も即進出確定とはならずでしたが、「たぶん行けるだろう」という得点でホッとしました。私はまだ彼女の演技を見たい。フリーだけじゃなくできれば来年も!
その後は注目のジュニア選手3連続。中でも中井亜美選手はトリプルアクセルSPから挑戦してきてしびれました。うまくハマらずダブルに抜けてしまたうえ、フリップも回転が抜けてひやっとしましたが、フリー進出できました。
気が付くと大場雅選手も、大学卒業後の引退を撤回し現役続行して初の全日本出場を果たした平金桐選手もフリー進出を果たしていました。フリーでもう一度見られる。よかった!
後半 第4グループ
くじ引きの妙で、第4グループは一番滑走に樋口新葉選手、二番滑走に坂本花織選手と「いきなりラスボス級ベテランスケーターが連続見参!」となりました。
樋口新葉選手
樋口新葉選手の今季のプロはSPフリーともにお気に入り。ナマで見るのは初めてなので私もドキドキ。今季ずっといい感じでまとめてきてるから全日本でもきっちり決めて欲しい!
SPの曲は映画「DUNE 砂の惑星」。グランプリファイナルで後半に投入していたルッツートゥは前半に戻して確実に仕留める構成。彼女の気合が観客席に伝わってくるようでした。
71.05点とスコアが70点を超えたので私はてっきりルッツートウが回転OKだったのだろうと思ってたのですが、後でジャッジスコア見たら「q」がついてました。
この日結構点数は割と高めに出てたイメージなんですけど、スコアを見ると「うわ、結構回転は厳しく取ってたんやん」と驚きましたね。
坂本花織選手
続いて登場した坂本花織選手。
「もう登場か~早すぎるよ~~~」って感じでしたね。グランプリファイナルではSPでの転倒がありましたが、全日本はバシッと決めてきました。彼女のスピード感溢れる滑りは現地観客が味わえる特権。ああ気持ちいい。
彼女の演技終了後から、「何このベテラン選手たちが醸し出す『好演技』の流れは!」と会場が俄然色めきたってきた感じでしたね。
シニア代表候補は次々と好演技
そこに登場したのは14歳の上薗恋奈選手。昨季全日本4位、世界ジュニア3位と大活躍でしたが今季は少しジャンプに課題を抱えています。
不安に思いながら見始めましたが、やはりジャンプがうまくはまらない様子。本人は途中で「フリーに進めない」ことが分かったと思うのですが、ジュニアの選手にありがちなしょぼーん感はなく、現実を受け止めつつもしなやかな表現をしていく様には力強さを感じました。来季に期待。
渡辺倫果選手は「月光」をまとめて彼女の世界観を存分に見せてくれました。でも残念ながら点数は伸び切らず65.96点台。(ルッツとループにqが二つ…)
松生理乃選手のSPノーミスがやっと見られたのには感激でした。
70点台に乗ったので全部回転認定されたものと思ってたんですが、後半のルッツがアンダーローテーション(<)でした。ということはまだまだ伸ばせるということですね。
吉田陽菜選手もまとめきって68.42と、3人の選手が次々にいい演技!チャンピオンシップ大会の代表候補選手たちの多くが今季のPBを超えていくのは本当に気持ち良かったです。
後半 第5グループ
前半3人の痛快な演技
一番滑走は千葉百音選手。危なげなく全ての要素をクリーンに決めて行きます。「凄い流れ」はまだまだ続きます。
青木祐奈選手はルッツループ降りられて大満足。ファーストルッツにqついた&珍しくスピンで乱れたところがあったにも関わらず70点台に乗せてきました。大きなミスを誰一人することなく皆バンバン70点にのせてくるのって凄くない?
三宅咲綺選手の3Tー3Tは目の前で見たらもんのすごい迫力でした。回転不足?何ですかそれ?みたいな完全に回り切って下りてくるけどスピード感はある、ド迫力系ジャンパーは現地で見るに限ります!
この写真のエッジの深さたまりません!
三原舞依選手
第5グループのこの好演技の流れに唯一乗れなかったのが三原舞依選手でした。
去年の全日本も怪我を抱えている中での出場で踏ん張ることができたので、何とかならないかとは期待はしていました。しかし明らかにいつもの彼女の状態ではない…。コンビのファーストがダブルルッツになった後3Tつけにいって転倒、後半のループジャンプでも転倒。
彼女がいかに素晴らしいスケーターかを知っているだけに見ていて少し辛いものがありましたが、渾身の表現を終始続けた彼女に拍手を送りました。翌日フリー棄権が発表されましたが、やむを得ないと思いました。
ラスト二人も好演技
続いて登場したのは島田麻央選手。
中井亜美選手同様、SPでのトリプルアクセル挑んできました。qはついちゃいましたが、トリプルアクセルを安定して入れられてるの本当に凄いなと思います。
冒頭のアクセル以外全部安心して見られるのも凄い。試合でルッツトウ一度も転倒したことがないって凄すぎですよね…
彼女のスピンは加速が凄すぎて毎回見る度に笑ってしまいます。凄すぎるものを見ると笑えてくるというか。「WICKED」の名曲を使ったプログラムの世界観にあの魔法のごときスピンは物凄く合ってると思います。
最終滑走は住吉りをん選手。この時点で22時近かったので、観客が次々に帰り始めてちょっと気の毒でした。まぁこの時間帯だと遠方から来ている方は帰れなくなっちゃうのでやむをえないのですけれど。
彼女は全日本との相性があまりよくなく、特にSPは2大会連続で大きなミスが出てフリー後半グループに残れず。なので最初のダブルアクセルの着氷が微妙に乱れた時は凄く心配になったのですが、そこからはきっちりまとめてきて「これまでの彼女とは違う」と思わせてくれましたね。
これは70点台行くかも?と思っていたら得点は69.58。SP7位。ああ、こんないい演技しても最終グループ入れないのか。
ちょっと待って?今回最終グループの6人全員70点台じゃないか、とんでもない試合だったんだな…って思いましたね。
男子SPと好対照だった女子SP
点が伸び悩んだ渡辺倫果選手も65点台後半は出せているし、結局SPでは代表候補勢誰一人大ミスはなく、大きな差はつきませんでした。シニア代表候補勢が誰一人ノーミスでまとめることがなかった男子SPと対照的でしたね。
まぁどっちも「代表候補勢の得点に大きな差が出ることはなく、後はすべてフリー次第」になったのは同じでしたけど。
最後にフジテレビ作成の女子SPスケーター全映像はっときます。
本当、傷ついた心を癒してくれた女子SPでした。おかげで気持よく帰ることができましたよ。帰りの電車止まっちゃってホームで延々待たされて散々でしたけど、高揚感が残ってたおかげで何とか我慢できました(苦笑)。