GPSフィンランド大会 曲掛けミス連発と流血アクシデントを振り返る

2025GPSフィンランド大会の大会ロゴ画像

2025年フィギュアスケートのグランプリシリーズ(GPシリーズ)最終戦・フィンランド大会(フィンランディア杯2025/フィンランディア2025)が終了しました。

今大会は、通常ではありえないような曲の掛け間違いや、指を切って流血したまま演技する選手がいたりでトラブルが目立ちました。

今回は、競技2日めの全カテゴリ(男子シングル・女子シングル・ペア・アイスダンス)の演技を振り返る前に、今大会で起きた二つのトラブルについてまとめました。演技については改めて公開します。

2025GPSフィンランド大会リザルト
※出場者リスト・スケジュール・採点結果などの一覧です 

目次

相次いだ深刻な「曲掛けミス」

演技用の音源の掛け間違いは、フィギュアスケートでは時々発生することで、決して珍しいものではありません。

しかし、今大会は「ええ、そんなことあるの?」というようなありえない「曲の掛けミス」が複数発生しました。

「曲かけ練習」で最後まで曲がかからず終了

公式練習の際、ルナ・ヘンドリックス選手が事前に提出していた新SPの音源がなぜかかからず。彼女は曲かけ練習をすることができないままSP本番に臨むことになりました。

このため、公式練習でルナ・ヘンドリックス選手の次に曲かけだった松生理乃選手も、急に曲かけ練習をする羽目に陥ったのですが、そのことは日本のメディアでも報道されていました。

公式練習&本番の両方で、旧バージョン編集を誤って流す

実は、アイスダンス公式練習でも曲かけトラブルが発生していたようです。

アイスダンスの「タシュラーズ」ことナタリー・タシュレロワ/フィリップ・タシュラー組が、RDで古い音源(7月のものだったようです)をかけられてしまったことは先日の記事でも触れました。

彼らのコーチのマウリツィオ・マルガリオ氏がイタリアのテレビのインタビューで話した内容によると、彼らは公式練習の時から古い音源を掛けられていたそうです。(動画や記事は確認できておらず、伝聞です)

その際に「これは古い音源で、正しい音源はこちらである」と担当者に指示していたにもかかわらず、本番でも古い音源が流れてしまったのだと話していたそうです。

選手が演技開始前に気づくのは不可能

曲の掛け間違いはフィギュアスケートの試合では時々発生します。しかし、通常は冒頭で選手が気づいて審判に訴えに行き、改めて正しい音源が掛け直されるので大きな問題にはなりません。

ただ今回は「バージョン違い」の音源で冒頭30秒は全く同じだったため、演技開始前に選手が気づくのは不可能だったのが悲劇でした。

彼らは新しいバージョンに合わせ作り直した振り付けでここ何カ月も練習を積んできたことでしょう

ーなのに間違いを知った驚きを隠しつつ、4か月以上も前の音源に無理やり合わせて演技を続けねばならなかったとは、気の毒でなりません

昨季も類似の音源トラブルはあったが…

昨年のスケアメでは、ブレイディ・テネル選手が後半の音楽編集が少し異なる古い音源を流されるーという珍しいトラブルがありました。

当時のスケアメ振り返り記事ではその件に関して、彼女のインタビューを引用して触れています。

ただ、この時は、公式練習の曲かけ練習でも古い音源が流されていたのに、彼女がその時に別のことに気をとられていて音源間違いに気づけなかったーという事情がありました。

今回は取り違えに選手側が気づいていたにも関わらず再度同じ間違いをしたーとの主張です。これが事実ならば、運営のとんでもない大失態だと思います。

「音源違ってたのによく最後まで演技をしたね」と称え、「ごめんなさいポイント」をいくらか上積みしてもいいんじゃないのか?ってマジで思うぐらい気の毒なトラブルでした

選手が6分間練習で指を切り、流血したまま演技

こちらは防ぐことが難しい、不慮のハプニングでした。

6分間練習終わりかけでの負傷

男子フリー前半グループ第2滑走のアンドレアス・ノルデバック選手(スウェーデン)が、SP開始前の6分間練習中の最後、4回転トゥループジャンプを試みた際に左手中指を切りました。(映像には映っていなかったが、現地観客複数の証言あり)

第1滑走のヴァルター・ヴィルタネン選手(フィンランド)が演技開始前にジャッジに何かを訴えに言っていました。どうやらこの件を伝えに行っていたようです。

ISU公式配信画面より引用(日本からの視聴にはVPN要)

「僕は気にしない」という声だけが聞きとれましたが、おそらく「氷上に血が落ちている。でも私はこのまま演技します」と伝えていたのかもしれません。

ISU公式配信実況によるとヴィルタネン選手の演技後、係員が氷上に出て血が落ちた部分を削っていたようです。観客の証言によるとそれでも完全には取り切れなかったようですが。

リンクサイドで応急処置をして演技開始

配信視聴者とISU公式配信実況者が初めて事態を把握できたのは、ヴィルタネン選手の得点発表待ちが少し長引いていた際のこと。

リンクサイドで医療スタッフに応急処置をしてもらっているノルデバック選手の映像が映った時でした。

ISU公式配信画面より引用(日本からの視聴にはVPN要)

彼は応急処置を終えて、予定通りの2番滑走で演技スタート。4回転トゥループを持っている選手ですが、この怪我のためか4回転は抜いてきました。

選手がスケート靴のエッジや荒れた氷の表面で手を怪我することは時々あります。おそらくほとんどの選手が手を切った経験があるのではないかと思います。

男子シングルだと、ブライアン・ジュベール選手が2011世界選手権のフリー演技中に手切って流血しながらスピンをしていた記憶があります。

同じく演技中に手を怪我した選手としては、ジェレミー・アボット選手(2011GPSロステレコム杯フリー)と高橋大輔選手(2013全日本選手権フリー)の演技は、どちらも手を使った印象的な振付があったため、記憶に強く残っています

今回は演技中の怪我ではなく、事前に包帯を巻く応急処置が終わっています。なので私は当初はさほど気にせず演技に集中していたのですが…後半のトリプルフリップがダブルに抜けたあたりで、手の包帯に血がかなり滲んできていることにやっと気づきました

「ということは傷は結構深かったのか?十分な止血ができていない状態でジャンプやらスピンやらであれだけ高速回転してたら出血酷くなるよね…」とそこからは演技に集中できず。

「一生懸命演技しているのにゴメンね」という気分でした

演技終了後のレベランスで左手はあげないままお辞儀

結果的に「手負いのロミオ」に見える、意図しない演出効果はあったかもしれませんが、まっすぐ指を伸ばすこともできない状態で演技するのは大変だったろうと思います。

挨拶後は手を気にしながら退場、キス&クライでは左手をタオルか何かでぐるぐる巻きにされていました

今季の彼のGPSはこの一戦のみということで万全を期したいところだったでしょう。キス&クライでは少し意気消沈していたように見えました。

その後彼は、Instagramのストーリーでその後の手の状態を写した写真を載せていました。負傷したのは左手中指の内側根元あたり。何針も縫われていました。あれだけ縫うぐらい深い傷ということは、氷ではなくエッジで切った可能性が高いと感じました。

彼がリンクに引き上げてきたときに「ヴィルタネン先生(現役医師スケーター)そのままキス&クライで早く彼の傷消毒して縫ってあげて!」ってマジで思いました

さすがに選手のヴィルタネン先生じゃなくて医療スタッフが縫ったようですけどね

こういうハプニングは記憶には残るけど、心臓には悪いので勘弁してほしいです

さいごに

実は、この後の男子フリーの展開もある意味「予想外のトラブル発生」に近いものではありました。女子シングルも同様ですね…。

GPSフィンランド大会競技二日目の振り返りはまた別記事で改めて振り返ります。

なお、フィンランド大会と同時期に、ポーランドでは「ワルシャワカップ」が、日本では「全日本ジュニア選手権」が先程まで開催されていました。

私は結果はチェックしていますが、あいにくどちらもじっくり演技を視聴する時間が取れずじまい。全日本ジュニア選手権の演技については、FOD(フジテレビオンデマンド)で後日視聴する予定です。

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