“無事これ名馬”というけれど/近畿選手権2025で見た、怪我と向き合うアスリートのリアル

リンクを滑る男子選手の後ろ姿の足元

先週末はジュニアグランプリシリーズ(JGPS)第6戦ポーランド大会の演技動画を視聴したり、近畿選手権と中四国九州選手権の配信を追ったり、チャレンジャーシリーズ(CS)大会のデニス・テン杯の配信を追って注目選手たちの今季プロをチェックしたり
ーと相変わらずフィギュアスケートの複数大会チェックに追われました。

アダム・クーパー出演の「コーラスライン」大阪公演を見に行ったこともあり、その関連動画も見まくっていたので家事と食事の時間帯以外は常に何らかのパフォーマンスを見ている状態に(笑)。

たくさんの出来事の中で何を書き留めようかと悩ましかったのですが、一番あれこれ考えるきっかけになったのは近畿選手権の朝賀俊太選手の欠場と垣内珀琉(はる)選手の演技でした。

そこで、今回は2025近畿選手権について振り返ってみたいと思います。

2025近畿選手権リザルト

目次

今年の近畿選手権は観客無し開催

去年の近畿選手権は会場に行って、織田信成選手の「マツケンサンバ II」と友野一希選手のSP新衣装をナマで見ることができました。

今年も近場開催なら行く気満々だったので、今年の会場が宇治の木下アカデミー京都アイスアリーナだと発表されたときは正直がっかりしました。近場ではあるのですが、この会場には観客席がないため、観客無し開催が確定だからです。

「なんでよりによって五輪シーズンの近畿選手権が無観客開催なんだよー!関西の常設リンクでほぼ持ち回り状態で開催なのは知ってるけど五輪シーズンぐらい観客席多めの箱にしておくれよ~!」と愚痴りたくなる気分でした。

三原舞依選手も大会終了後に観客のいない大会での演技はさびしかったと話していました。配信見てても拍手がまばらで何だか寂しいんですよね。観客なしでも国体とかだったら選手たちが「うぇ~い」と騒いでる声が聞こえてきてそれなりに楽しいんですけど。

やむなくFODでの配信視聴

ということで、2025年の近畿選手権はやむなくFOD(フジテレビオンデマンド)での視聴となりました。ブロック大会から全配信してくれるFODはありがたいです。

フジスケ「全日本への道 2025」

今年もブロック大会からの配信があって本当によかった!

去年のフジテレビ不祥事があったし、2025‐26シーズンのブロック大会配信どうなるかと一時心配していましたが、今年も無事配信あってよかったです。全日本選手権や世界選手権はともかく、予算不足のあおりを食うならブロック大会の配信や「全日本への道」サイトの運営とかじゃないか?と危惧していました。

全日本ジュニアへの道2025」「全日本ノービスへの道2025」も無事オープンしています。

10/1からFOD料金体験変更

FODプレミアムは10月から料金体系が変更になっていて、3つの料金体系からの選択になりました。

私はこれまでの料金と同額の月額976円の「ライト(広告つき)」と月額1320円の「スタンダード」のどちらにするかで少し悩みました。

でも、テレビドラマ等に関心が薄い私が見るコンテンツはほぼフィギュアスケートのみ。ライブ配信を視聴する比率が高いし、演技の途中に広告が入ったりしたら嫌だなと思い、割高だが広告なしになるスタンダードを選択しました。

その代わり今年は全日本終わったら早めに解約します。例年ずるずると春まで契約残しがちでしたけど全日本語はFODを見る機会あまりなかったですし。全日本やワールド関連の特典映像は見たいけれど、どのみち公開されるの数か月後だから視聴がさらに半年遅れても構いませんし。

※10月より前からFODプレミアムを契約していた方は自動的に1320円の「スタンダード」に移行されます。
「広告入りでもいいからこれまでと同額負担に抑えたい」という方はコース変更の手続きをお早めに!(来月以降はライト料金で適用されるかと)

近畿選手権2025の見どころ

今年の近畿選手権出場選手は、滋賀のサマーカップ2025や木下グループ杯などのCS大会や各地域の県大会・府大会にも出場していた選手たち。去年の織田信成選手のように「ここで話題の新プロを披露」ということはありません。

私の見どころは友野一希選手と三原舞依選手の演技でした。どちらもベテランになってきて現役の演技を見られる時間が残り少なくなっていると感じていますので。

友野一希選手

ただ、友野一希選手のSP衣装の初披露はこの大会だったので、できたら会場の6分間練習でジャージを脱いだ時に観客の皆さんと一緒に「おぉ~」って驚きたかったですね(笑)。本人談話によると「透け感があるセクシー系衣装」らしいのですが配信映像では透け感はよくわからずでした。

スロースターターの印象を返上すべく、例年よりは早めに調子を上げてきていた友野一希選手ですが、ネーベルホルン杯では調子よさげだった割に本番が今一つだったので、実はちょっと心配していました。

近畿選手権SPでは4回転トゥループの後に足がつるハプニングが。鍵山優真選手もロンバルディア杯SPで足がつってひやりとさせられましたが、まだ暑い時期の試合って水分不足になってつりやすくなるんですかね。

SPの時持ち込んでいたのは500mlペットボトルだったのに、フリーのときは2リットルに変わりました(笑)。

その甲斐あってかフリーで久々に4回転3本を抜けることなく着氷はできたのですが、回転不足認定やスピンステップのレベル取りこぼしなどで点数は今一つ伸びず。トリプルアクセルで加点が稼げなかったのは特に響いてますね。(そもそもこの大会、全体的に採点辛めだと感じました)

トリプルアクセル着氷の不調は本人も自覚していて対策していきたい旨キス&クライで話していたので、グランプリシリーズ(GPS)大会前に修正できるといいなと思います。

三原舞依選手

三原舞依選手はフリーで3回転ルッツー3回転トゥループに挑戦してきました。回転不足をとられるジャンプがまだ多くて点は伸びずでしたが、少しずつ元の調子に近づいているのがわかってうれしいです。

去年の全日本ではSPで無念の棄権になってしまったので今年は彼女のフリー演技まで全日本選手権で見たいですね。

ちなみに女子シングルの優勝は三宅咲綺選手。フリーでトリプルアクセルは着氷の乱れがありつつも、回転不足認定なしで降りることができました。彼女も今季フリーを仕上げるステップを着実に進んでいます。

衝撃の欠場情報&「ジャンプ等の技術要素ほぼ無し」演技

朝賀俊太朗選手「欠場」のお知らせに驚き

私の今年のブロック大会を見る楽しみの一つは朝賀俊太朗選手。もともとサマーカップや全日本ジュニアで気になる選手ではあったのですが、去年の全日本選手権が印象的過ぎました。

しかしいざ配信を視聴し始めると、楽しみにしていた朝賀選手が棄権だというじゃないですか?

近畿選手権男子シングルは人数が少ないことから全員西日本選手権に進めるのは知っていたけれど、「棄権の場合でも西日本選手権進めるんだったっけ?」と不安に襲われました。

翌日、連盟の通知で棄権理由と「免除」が発表に

翌日、日本スケート連盟から通知が出て、棄権した事情と近畿ブロック大会出場が免除され、西日本選手権に進めることが発表されました。

「左遠位脛腓靱帯損傷」ってよくわからなくてググって調べてしまいました。左足首の骨間靭帯の損傷のようですね。手術適応になるのは重症のようで、術後のスポーツへの復帰は医師の慎重な判断のもと段階的に進める必要があるらしいです。

当初は西日本選手権に進めることを喜んだのですが、この状態ならば11月上旬に競技プログラムを滑れる状態に戻れるのかどうかは何とも言えません。

怪我から復帰を急いだ結果、怪我の影響が長引いてしまった選手たちが過去には何人もいました。“全日本出場のために”と無理をして、選手生命に影響するようなことがあってほしくありません。練習復帰の判断は慎重に進めてほしいですね。

私は彼のはつらつとした演技スタイルが大好きなので、早期回復して、笑顔の演技をまた見られることを祈ります

垣内珀琉(はる)選手の驚きのジャンプ等の技術要素をほぼ抜いた演技

朝賀選手欠場の知らせだけでもショックだったのに、そのあとの垣内珀琉選手のSPはまたもや衝撃でした。ジャンプをすべてスルーしたうえ、スピンやステップも明らかにセーブしていたからです。

何より配信視聴者は怪我の情報も何にも知りませんでしたから「?」ってなりました。

のちに大会4日前に4回転ルッツの練習で転倒し、捻挫していたことが報じられました。

技術点の採点対象になったのはステップだけ。
技術点(TES)1.92、演技構成点(PCS)23.67で合計25.59点というかなり珍しい採点表となりました。

https://www.jsfresults.com/National/2025-2026/fs_j/block5/FSKMSINGLES———01QUAL000100–_JudgesDetailsperSkater.pdf より引用

蘇る山本草太選手の2017年中部選手権の記憶と照らし合わせ…

このとき山本草太選手が骨折から復帰した2017年中部選手権でジャンプがすべてシングルだったことを思い出した方は、私のほかにも多かったのではないかと思います。

これが当時の山本草太選手のスコア
ジャンプはすべてシングルで点数入らずでしたが、ステップスピンは採点対象になっていました。

https://www.jsfresults.com/National/2017-2018/fs_j/block4/data0103.pdf より引用 画像クリックするとリザルトが開きます

でも当時のフィギュアスケートファンは、山本草太選手が足の二度の骨折に苦しんでようやく試合に出られたことを知っていましたから、そういう演技構成になることはある程度予期出来ていました。

今回のように全然情報がない状況で、ジャンプ全スルーの演技を見たのは今回が初めての経験
海外の掲示板でもこの演技は話題になっていたぐらい、衝撃をもって受け止められていました。

スコアだけ見るとぎょっとしますが、技の規定要素以外のつなぎの部分はきっちりしていて、美しかったです

とにかく足に負荷をかけて回復を遅らせることは避けようという一心だったのかと

垣内選手は1か月後のNHK杯に出場予定

垣内選手も朝賀選手のように彼も近畿ブロック免除にしてもらえれば一番よかったのかもしれません。

捻挫したのが4日前とのことで、対応&判断が間に合わなかったのでしょうか?
それとも彼は西日本選手権出場免除対象(NHK杯出場のため)なんですけど、免除には今大会出場が必須条件だったのでしょうか?
そのあたりはよくわかりません。

ちなみに2017年の山本草太選手は、シングルジャンプのみで挑んだ中部選手権から1か月後の西日本選手権ではトリプルトゥループやサルコウ、ダブルアクセルは入れてきて全日本選手権への切符をつかみました。

垣内珀琉選手の次の試合は11/7(金)~8(土)のNHK杯。木下グループ杯の結果で得た、彼にとっては絶好のチャンスですから、ここまでには何としてでも治したいでしょう。ただし無茶をすることなく、慎重に練習を進めてほしいです。

アスリートにつきものの「怪我」とどう付き合うか

「怪我の話題」が多く報じられる今季

今季は本当に「怪我」の話題が多いですよね。ミラノ五輪シーズンとあり、練習に励み過ぎてしまう選手が多いからなのでしょうか?

日本男子シングルの五輪代表候補選手で今季怪我の話題が報じられていない選手は壷井達也選手くらいかもしれません。サマーカップで超順調な滑り出しを見せた鍵山優真選手ですら、足の痛みが出て一時練習を控えていたほど。

「無事これ名馬」というけれど…

よく「無事これ名馬」と言われるように、「怪我が少ないのも実力のうち」と称賛されます。

でも、フィギュアスケートの分野で一時休養が必要な怪我を経験したことのないシニア有名選手ってほぼ存在しないような気が…

「無事これ名馬」の代表のように言われていた宇野昌磨さんも坂本花織選手も、どちらもジュニア時代に疲労骨折を経験しています。むしろ若い時の疲労骨折の経験が、「怪我とのうまい付き合い方」を学ぶきっかけになったのかもしれません。

今シーズンは怪我の情報が出てきていない壷井達也選手もジュニア時代に手首の骨折を経験しているし、2019年は右足首怪我に悩まされ、全日本で無念の演技直前棄権も経験しています。友野一希選手は怪我による休養や棄権が知られていない稀有な選手だったのに昨年は股関節痛に悩まされたし。

「あの選手は大きな怪我をしたことがない」と思っていても、調べてみたら怪我の休養経験が大体あるんですよね。何より実際怪我をしていたけど報じられていないケースも多いことでしょう。

くれぐれも無理だけはしないでほしい…

今季は「五輪シーズン」であるということは、選手がつい無理をしがちになる要因になりそうに感じます。アスリートはどうしても目前の目標に向かって頑張ってしまうのでしょうが、ファンとしては才能ある選手の選手生命が短くなってしまうのは避けてほしいです。

アスリートには「無理」をすることも必要なのはわかってはいますが、くれぐれも選手生命を縮めるような無理だけはしないでほしいと思います。

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