「サマーカップ2025」鑑賞記<後編>/成長めざましいジュニア男子&豪華シニア女子の熱戦

2025年8月11日曇天の木下カンセーアイスアリーナ外観
後半日程は雨の予報だったが幸いほとんど降られずにすみました

滋賀県で開催されていた「木下カンセープレゼンツ サマーカップ2025 フィギュアスケート競技会」

私は8月9日~12日のうち、2日目を除く3日間を現地観戦。今回はジュニア男子&シニア女子の注目選手の演技と会場の空気感をまとめました。

ジュニア女子とシニア男子の振り返りはこちら

「サマーカップ2025」初日に出向くまでのドタバタと初日のプチ感想はこちら

木下カンセープレゼンツ サマーカップ2025 リザルト

目次

ジュニア男子フリー 

ジュニア男子はSPの日は現地行きを諦めたため、現地観戦はフリー後半のみ。

本当は最初のグループから見たかったのですが、前夜シニア男子フリーからの帰宅が深夜となり、朝起きられなかったので第3グループからの観戦となりました。

選手を判別しづらいジュニアの6分間練習

ジュニアの選手は1年で大きく成長する子も多くて、以前サマーカップで見て気になっていた選手がいたとしても、6分間練習の段階では発見するのは結構難しいです。

今季のプロはどんな衣装なのかもまだ知らないから、衣装で区別つかないしね。

名前がコールされて「えっ!これが〇〇くん(〇〇ちゃん)だったの!?こんなに大きくなってたのか」って驚かされるのは毎回楽しいです

ほぼ親戚のおばちゃん感覚(笑)

ノービスから「サマーカップ」初参加!

この大会のジュニアカテゴリには、ノービス(9~13歳あたり)から参加する選手もちらほらいます。高校生や大学生の選手たちと比べるとひときわ小柄で目立つことが多いです。

昨季全日本ノービスAで優勝した佐久間陸選手もその一人。小柄だけど所作が優雅で目立つ目立つ。気になる方はスポニチのInstagramに写真がありますのでチェックしてみてください。一人で映ってる写真だと小柄さが全然わかんなくなっちゃうんですけど。

しかも彼のフリー衣装、遠目に見ると宇野昌磨さんの「ツィガーヌ」の時を想起させるんですよね。2012年のユース五輪に出た2011~12シーズンのフリーです。ステファン・ランビエールさんが「スーパー、スーパー、スーパー、スーパーキュート!」って言ってたあの時ね(笑)。

でも、後でじっくり見比べると青&紺系のオールインワンタイプ衣装でキラキラ装飾が斜めのカーブを描いて入ってるって程度の共通点しかなかったです(苦笑)。背格好が14歳の頃の昌磨さんに似てたから思い出したのかもしれません。

最終グループ それぞれの挑戦

成長真っ盛りのジュニア選手たちは、それぞれ今季どんな挑戦をしてくるのかも見どころの一つです。

アイスダンスカップル「すみいぶ」の「いぶ」こと小河原泉颯選手は、トリプルアクセルに挑戦していました(残念ながら転倒)。

「すみいぶ」の二人はどちらもシングルの大会にも出続けています

アイスダンスの練習も両方するなんて本当に凄いよな~って感心します

昨季ジュニアグランプリシリーズ(JGPS)で活躍した高橋星名選手の今季フリーは「ミッション」4回転サルコウを投入してきました!

残念ながら回転不足(>)で転倒してしまいましたが、そこからは安定した仕上がり。昨季よりもつなぎが増やされている印象を受けました。

1・2位は僅差の結果に

同じく昨季大躍進だった中田璃士選手の今季フリーは「グラディエーター」

衣装のテイストがちょっと去年のフリーと似てる?って現地では思ったんですけど、よくよく見返すと茶色が使われてるってことぐらいしか共通点無かったかも。茶系使うスケーター少ないけど、彼はよく似合いますよね。

冒頭の4回転2本(サルコウとトゥループ)はそれぞれ単独で決まったのですが、次のトリプルアクセルで転倒してから歯車が狂ったようでした。2本目のトリプルアクセルがダブルになったり、トリプルルッツで転倒したり。

こらえた着氷のせいか転倒のせいかはわかりませんが、後半はスタミナがもたなかった印象でしたね。

4回転2本を決めてもこれでは得点が伸び切らず、4回転1本転倒したものの後をまとめた高橋星名選手が僅差で逆転優勝となりました。

JGPSは今週末から開催!

実は中田璃士選手のJGPS初戦・ラトビア大会(リガ開催)は来週末8/21(木)~23(土)の開催。「サマーカップ2025」最終グループで一緒に滑っていた森遼人選手も今大会でJGPS初出場です。女子は岡田芽衣、高木謡両選手が出場予定。

高橋星名選手はその次週8/28(木)~30(土)のトルコ大会(アンカラ開催)
女子は村上遥奈、岡万佑子両選手が出場します

※CSテレビ朝日での放送は1か月遅れです
※おそらく今年もISU公式YouTubeチャンネルでライブ配信が無料視聴可能です

出発直前の試合でこんな悔しい結果になったので、メラメラ燃える中田璃士選手が見られるんじゃないかと思います。そのメラメラっぷりがいい結果に結びつくかどうかはふたを開けてみないことにはわかりませんけどね。

報道で伝えられているインタビューを読む限りではこの試合結果&鍵山優真選手のフリー演技は相当な刺激になったようです。

ジュニア最終年の国際大会でいいスコアを出しておくのはシニア初年の出場枠を確保するためにも大切なので頑張ってほしいです。

シニア女子 第1~3グループの注目選手たち

シニア女子はフリーのみ現地観戦でした。

当初は女子フリーのある最終日に現地に行くかどうか悩んでいたんですけど、この豪華なメンツが揃った試合が近場で開催されているのに行かないのは勿体ないな~と思い足を運びました。ジュニア男子も見ておきたかったですしね。

渡辺倫果選手

渡辺倫果選手のフリーは2022-23シーズンに使用していた、テレビドラマ「仁」のサントラ音楽のプログラムに再度挑みます。

初グランプリシリーズ(GPS)のスケカナでいきなり初優勝した時の強い記憶もあるし、和プロだしで五輪シーズンには効果的な選択かもしれません。。

衣装は色味が赤系統に変更されていました。

今季はSP・フリー併せて3本のトリプルアクセルを投入すると宣言しています。厳しい日本の五輪代表争いを勝ち抜くには必要な賭けでしょう。

残念ながら1本は転倒、1本は抜けに終わりました。演技前に曲のかけ間違いのあったSPでも転倒があったので、総合順位9位と彼女にしてはふるわない結果です。

でも、彼女はシーズン後半にかけて着実に調子を上げ、大事な試合にはきちんと決めて来る印象があります。なので「まずはここからスタートね」と言う感じで不安はおぼえませんでした。むしろここからどう上げていくのかが楽しみになりましたね。

松生理乃選手

先日の「Dreams on Ice(ドリームス・オン・アイス/DOI)」CS放送で見ることができた松生理乃選手の今季プロはSP(昨季フリーの短縮バージョン)だったので、新フリーの披露を私はとても楽しみにしていました。

曲は、「くるみ割り人形」。

スパイラルの連続が目に優し過ぎる、「This is 松生理乃」なプログラムでした。気に入りましたね。

ただ、ジャンプは若干微妙だったので点数はあまり伸びないかも…と覚悟はしました。そしたら想像以上にジャッジは厳しかった。観客も「126点」のアナウンスには「そ…そうですか」ってな雰囲気でしたね。いや~厳しい~。

序盤戦の時点で抜けや転倒なしに演技をまとめることは出来ているので、ジャンプの精度さえ上げて行ければもっと高得点が狙えるプログラムだと思いました。

山下真瑚選手&江川マリア選手

ちなみに松生理乃選手の直後は同門の山下真瑚選手で、こちらは「ラ・ヴィ・アン・ローズ」のちょっと変わったバージョンの個性的なプログラムでこれまた絶品。見た目クリーンな美しい演技が連続で続いて最高でした。
(山下真瑚選手はフリー3位でした!)

江川マリア選手「トゥーランドット」は昨季からの継続プロでしたが、こちらも良かったです!国際大会出場の機会が無いのが本当にもったいないです。

シニア女子 最終グループ

最終グループは五輪代表候補たちと、代表候補たちに匹敵する実力のスケーター達が揃った濃い顔ぶれ。

千葉百音選手

SPで2回転倒し、珍しく出遅れていた千葉百音選手。フリーは「ロミオとジュリエット」

3連続ジャンプで少し乱れはありましたが、全体はまとめきって総合2位に浮上。

ただ私、今回の彼女のフリー演技があまり思い出せなくって…具体的な感想が書けません。綺麗なものを見たというふわ~っとした印象しか残っておらず。

期待値が高すぎたのか、それとも次に滑った三原舞依選手の印象が強烈過ぎたので記憶が上書きされてしまったのか?ー実力のある選手なので次に見る機会(CS木下グループ杯)で再見するのを楽しみにしておきます。

三原舞依選手

この日一番声援が大きかったのは三原舞依選手だったと思います。まさに「再復活の好演技」でしたから。

右足首の疲労骨折&股関節の状態の悪化から、ここ2シーズンは苦しい戦いを強いられました。2025-26シーズンにつなげる最後の頼みだった昨年末の全日本選手権もSP後棄権で強化選手から外れ、今季は現在のところ国際大会の出場予定がありません。

今もトリプルトリプルのコンビネーションジャンプを入れるところまでは戻せてはいませんが、それ以外は調子をかなり戻してきています。SPでは5位に入り、最終グループでの滑走となりました。

SP・フリー共に過去プロ再演なのは、彼女の状況を考えるとやむをえません。SPは3季前の「戦場のメリークリスマス」、フリーは2季前の「ジュピター」。

「フリーは長丁場だし後半まで持たないかもな…」と、私は過度な期待はしないように自制していました。

なのに全ジャンプを下りたもんだから、驚きましたよ

ラストの2連続スピンでは、最後のスピンに入る前から拍手が止まらなくなって音楽が聞こえにくくなったほどでした

スピンステップはオールレベル4、難病を抱えながらの現役生活で何度も「復活」を遂げてきた彼女ですが、ここにきての再復活は本当にうれしい

坂本花織選手や樋口新葉選手が今季限りの引退を表明する中、彼女は「終わりを決めずに行けるところまで行く」と答えています。怪我とつきあいながら自分自身納得のいくフィナーレを探しているのかもしれません。

今季の彼女も熱い気持ちで見守っていきたいと思いました。

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河辺愛菜選手

昨季上向き調子になっていたのに全日本が13位で強化選手入りを逃し、代表争いでは苦しい状況でのスタートとなった河辺愛菜選手

SPは「ラ・ラ・ランド」で可愛い系でしたが、フリーはクールでかっこいい系。

しかしながら、フリーは後半で崩れてしまいました。報道によると「サマーカップ2025」直前に体調を崩していたとのことなので、体力が今一つ回復しきれていなかったのかもしれません。

シーズン後半にかけてプログラムが育つのが楽しみ。ジャッジ席前のポーズがかわいいとの噂のSPはこれから動画を見ます(笑)。

中井亜美選手

中井亜美選手はシニア初参戦のシーズン。楽曲の使用申請がうまくいかず、フリーがなかなか決まらずでまだ振付が完了して間もないとの話でしたが、それを感じさせない演技でした。

さすがにトリプルアクセルは1本のみでしたが、バッチリ加点付きで決めました。セカンドトリプルが入らなかったので点は伸び切りませんでしたが、振り付け完了から間もない状態でここまで仕上げて来るとは末恐ろしい

彼女も報道によると数日前に腰を痛めていたとのこと。腰は古傷なので、無理をし過ぎずシニアファーストシーズンを過ごしてほしいです。

住吉りをん選手

チャンピオンシップ大会出場経験がないものの、国際大会ではコンスタントに200点台をマークし続けている住吉りをん選手。主要な五輪代表候補選手のひとりです。

フリーは昨季の継続。ジャッジ評価も高かったプログラムだし、結局このプログラムではチャンピオンシップ大会出場を果たせなかったので賢明な選択かもしれません。

ただ、4回転トゥループは素人目にも回転が足りない状態で着氷が乱れ、後半のルッツは転倒。

どうも今季は後半にルッツ2本構成にするようです。(昨季の後半はフリップ2本)しかし後半ルッツどちらも回転不足(<)を取られたうえ、2本目はコンビネーションをつけられずリピート(Repeat)扱いになって1点台しか点数が残らずでした。

でも、この構成をクリーンに決められたらかなりの高得点が期待できます。今年もグランプリシリーズで活躍して、最大の壁・全日本をクリアできれば五輪代表になれる可能性は十分にあります。

彼女は「全日本に弱いイメージ」がついてしまっていますが、少しずつ克服してきている印象はあります。全日本で是非とも実力を発揮してほしい選手の一人です。

三宅咲綺選手

71.51点と言う高得点でSP1位で折り返した三宅咲綺選手

6分間練習の時は中井亜美選手と三宅咲綺選手が交互にトリプルアクセルに挑戦して観客の期待値は高まっていました。

フリー冒頭でトリプルアクセルを無事着氷し(「q」判定)、得意の豪快なトリプルトゥループの連続コンビネーションまでは良い感じでした。でもそこからは全体的にやや精彩を欠いた印象でしたね。

ジャンプでルッツとサルコウがダブルになったのはともかく、全てのスピン・ステップがレベル1~2にとどまったのは点数的には痛かったです。

フリー8位で総合4位。プログラム中にトリプルアクセルを入れるかどうかって本当大きな決断なんですね。

でも、このローカル大会は大技に挑戦する絶好のチャンス。試合でやってみないことにはわからないことは一杯あるでしょうし、結果はともかく収穫は得られたんじゃないでしょうか。

「サマーカップ」恒例 アットホームで温かい表彰式

結果、僅差で中井亜美選手が優勝し千葉百音選手が2位。3位&4位も僅差で、三原舞依選手が表彰台に上がりました。

以前は冠スポンサー提供商品としてお肉が景品だったこの大会。今年はバームクーヘンが景品になっていました。

去年の景品が何だったかは下記記事の後半にて(笑)

クラブハリエのバームクーヘンは有名だから知ってましたが、滋賀のお店だったって今回初めて知りましたよ、関西人なのに(笑)。

今季から新たに冠スポンサーになった木下カンセーさんの主事業は産業廃棄物処理なので、自社製品提供ができない代わりに地元特産物を贈呈してくださったんですね。

全カテゴリの表彰式は滋賀スケート連盟さんのInstagramでライブ配信してくれていましたので、無料で視聴できます!

始まるまでちょっと1分ぐらいかかりますけどね、ローカル大会の暖かい雰囲気が実感できてよいです。ジュニア男子たちがバームクーヘンを貰って「やった~」って喜んでいたのが可愛らしかったです(笑)

<おまけ>この衣装、どこかで見たような…?

最後に小ネタをば。

昨季まで本田ルーカス剛史選手とペアを組んでいた清水咲衣選手のフリー演技の衣装をご覧ください。(今回の彼女はSP・フリー・総合全て12位でした)

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私、現地でずっと「この衣装、どっかで見たことがある…?どこでだろう?」ってずっと思ってたんですが、帰宅後に発見しました。

この「サマーカップ2025」にも出ていた「石崎波奈選手」ことハナ・バス選手(オーストラリア)の昨季フリーの衣装です。これ、一緒ですよね?

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手の込んだ綺麗な衣装ですが実は既製品なのかな?Googleレンズ検索してみましたが、販売ページは発見できずでした。

本当に些細なことですが、記録しておきたかった(笑)

真夏のプレ全日本、「サマーカップ」はやっぱり楽しいですね。来年も都合が許せば是非足を運びたいです。

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2025年8月11日曇天の木下カンセーアイスアリーナ外観

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