欧州フィギュアスケート選手権(欧州選手権/ユーロ/ヨーロッパフィギュアスケート選手権)2026の全カテゴリの競技が終了しました。
前回の記事では、ミラノコルティナ冬季五輪(ミラノ五輪)代表争いで一番注目度の高かった男子シングルのみを取り上げました。

今回は、表彰台争いが注目されていたアイスダンス、ペア、女子シングルについて振り返ります。(エキシビションの話題も一部あり)
最後の項目では、ユーロ終了後の各国のミラノ五輪代表最新状況もまとめました。
欧州選手権(ユーロ)2026 リザルト
※出場者リスト・スケジュール・採点結果などの一覧です
アイスダンス
五輪代表選考がかかっていた男子シングル以外のカテゴリで、私が一番ヒリヒリしたのはアイスダンスでした。
今季ジャッジ評価が揺れていた「ギニャファブ」は銀メダル
今回私がアイスダンスの勝敗のゆくえで一番気になっていたのは、「ギニャファブ(シャルマル)」ことシャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ組(イタリア)です。
今季前半、ジャッジ間の評価が分かれて順位が低迷していた彼らが、「今季は低迷中」のイメージをどう覆せるかが気がかりでした。
彼らへのジャッジの評価が割れて論争を呼んだ2025GPSフランス大会についてはこちら

5分間練習時の靴トラブル後も、貫禄のFD演技
昨季までユーロ3連覇をしていた「ギニャファブ(シャルマル)」。今回は、素晴らしい演技で銀メダルを獲得しました。

「ギニャファブ」の表彰台を阻みそうだと思っていた「フィアギブ(ライラルイス)」ことライラ・フィアー/ルイス・ギブソン組(英国)や、「アリサウ」ことアリソン・リード/サウリウス・アンブルレヴィチウス組(リトアニア)にミスが出たことも一助にはなりました。確かに「フィアギブ」とは1点弱の僅差です。
それでも銀メダルに納得のいく、貫禄の演技でした。
試合後のインタビューで、シャルレーヌ・ギニャール選手は「私たちにとっては、これは金メダルのようだ」とまで話していました。シーズン序盤、一部ジャッジから受けた厳しい評価は本当に辛かったようです。
彼らは、ペアの「コンマチ」ことサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組と同様、母国開催の五輪でのメダルを期待されています。五輪の晴れ舞台でもこんな演技ができたらいいなと思いました。
イタリアは団体メダルの可能性も充分あります。交代メンバーが使えない中では個人戦とのペース配分が大変そうですけれど、どちらも頑張ってほしいです。
こちらのイタリア報道記事、翻訳読んだらイタリア愛凄かったです。フィアギブは超ストレートに憎き敵扱いで、お国柄の違いを感じました。

地元で勢いのある「フィアギブ」は3位
今季好評価が続いていた「フィアギブ」は、2位を予想する声が多かったですが、結果は3位。
ツイズルの出での思わぬミス発生
地元イギリスの大声援を受けてFD演技を開始した「フィアギブ」。しかし、前半のツイズルの出でギブソン選手のフリーレッグが氷に引っかかるミスが出てしまいました。
しかしそこからは逆に、少しずつ演技が落ち着いていったように思います。彼らが狙っていた2位は逃しましたが、主にGOE減点で済んだため表彰台には踏みとどまれました。五輪に向け、これがいい厄落としになればいいですね。
エキシビションではあの巨大靴が再登場
エキシビションでは、彼らが昨シーズンに披露した巨大スケート靴の仮装がまだ現役で使えることがわかって嬉しかったです。
昨シーズンにルイス・ギブソン選手がコツコツ制作してた動画は今も記憶に新しいです。まさか自力で作ってるとはね(笑)。
陸路移動が可能な場所でなら、この「大道具」を用いたプログラムをやってくれるのだとしたら…ミラノの五輪会場までこの「巨大靴」を持って行くことは可能でしょうか?
実は、バーバリーデザイン風のおしゃれな黒靴バージョンも作ってあるようなので、五輪ではそちらをデビューさせてもよいかと思います(笑)。バーバリーが五輪公式スポンサーになってないと使用不可ですかね…?
五輪直前のユーロ王者は「フルシゼ」
優勝は誰もが予想した通り、「フルシゼ」ことロランス・フルニエ・ボードリー/ギヨーム・シゼロン組(フランス)でした。
わずかなミスはあれども圧巻の演技。五輪での「チョクベイ」VS「フルシゼ」が楽しみになりました。

今年に入ってから、ギヨーム・シゼロン選手の以前のパートナー、ガブリエラ・パパダキスさんが出版した書籍に対してシゼロン選手の弁護士が差し止めを求めたことがゴシップとして注目を集めてしまっています。その影響は微塵も感じさせずでした。
日本でもその関連報道が出ていましたが、中には扇情的な見出しなのもあってどうかと思いました。双方の取材をちゃんとしたわけでもないだろうに…私は双方の見解が出そろっていないので静観しています。
最終グループ 演技開始直後の中断
中断のトラブルが2回発生
惜しくも4位だった「ロパブリ」ことエフゲニア・ロパレワ/ジョフレー・ブリソー組(フランス)ですが、FD開始直後に演技を中断。一瞬「曲の掛け間違い?」と思いましたが、氷上に何かが落ちていたためでした。

私は彼ら自身が気づいたのかと思っていましたが、試合後のインタビューによると会場内の誰かが笛を吹いて「あのあたりに何かが落ちているよ」と教えてくれたらしいです。演技動画を見返してみたら、確かに演技開始後に場内に笛の音が響いていました。
Evgeniia LOPAREVA / Geoffrey BRISSAUD 🇫🇷 122.34 / 204.72
— Golden Skate (@goldenskate) January 17, 2026
Evgeniina:
Today was great!
on the music stop at the beginning:
Evgeniia: Apparently something happened to Marco during the warm up and there were blowing the whistle because there was a hole in the ice. I don’t know how… pic.twitter.com/IopUyEizkO
私はこのインタビューを読むまでは誰かの衣装の飾りが落ちたのかと思っていました。しかしこれを読む限りではマルコ・ファブリ選手の靴の部品だった可能性もありそうです。何事もなく事前に気づけて良かったです。
実はマルコ・ファブリ選手も演技開始前に何かを拾っていましたが、練習中の落下物だったので減点にはならなかったようでよかったですね。減点になったら2位と3位は入れ替わっていましたから。
※演技中の衣装や髪飾りの落下は1点の減点になります。靴からの落下物が減点になるのかどうかは私にはよくわかりませんが…
その他印象に残った演技
これが今季初試合だった「トゥルヴェル」ことユーリア・トゥルッキラ/マティアス・ヴェルスルイス組(フィンランド)はまずまずの演技。五輪ではいい演技が見られそうで一安心。国籍のため五輪には出場できない「ピリハラ」こと折原裕香/ユホ・ピリネン組(フィンランド)はRDでミスはあったものの、FDでは「ムーランルージュ」の楽しいフレンチカンカンを見せて場内を沸かせていました。

「スマディク」ことオリヴィア・スマート/ティム・ディーク組(スペイン)の「Dune」の2作目プロは相変わらず好みで堪能できました。
イギリスの観客は選手たちに分け隔てなく暖かい応援を送っていて好感度高かったですね。それでもFD第2グループ最終滑走で出てきた「ベッカヘル」ことフィービー・ベッカー/ジェームズ・ヘルナンデス組(英国)のときは、演技自体が良かったこともあって会場全体が一体になって盛り上がっていて、観ているこちらも楽しかったです。
ペア
ペアは優勝候補の「コンマチ」ことサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組(イタリア)が欠場していたこともあり、若干物足りなさを感じる試合展開でした。
あわや「メテベル」もユーロ欠場寸前だった?
私は試合後に知ったのですが、今回優勝した「メテベル」ことアナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組(ジョージア)は、イギリス入国ビザの受け取りが遅れ、現地入りできたのがSP前夜だったとのこと。

EU離脱後のイギリスの入国審査は厳しくなっていて、今大会ではアルメニアとアゼルバイジャンの選手がビザの発給が間に合わずに欠場となりました。下手したら「コンマチ」も「メテベル」もいない試合になっていたかも?と思うと、現地入りが間に合って本当によかったです。
SP1位の「ハゼボロ」にまさかの乱れ
フリー開始前は「ハゼボロ」ことミネルヴァ・ファビアン・ハーゼ/ニキータ・ボロディン組(ドイツ)がユーロ連覇を果たすかな?と思っていました。しかし、演技終盤でニキータ・ボロディン選手のスタミナが尽きたのか、リフトを下ろす時にあわや女性が落下?というミスが出てヒヤリ。
彼らはミラノ五輪金メダル候補でポテンシャルは高いのですが、今季は若干精彩を欠いている気がします。
結局、新ユーロ王者になったのは「メテベル」ことアナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組(ジョージア)。日本の「ゆなすみ」こと長岡柚奈/森口澄士組と同世代の若いペアが、チャンピオンシップ大会優勝で、五輪に弾みをつけました。3位には「ゆなすみ」のチームメイトである「パブスビ」ことマリア・パブロワ/アレクセイ・スヴィアチェンコ組(ハンガリー)が入っています。

「メテベル」が優勝を決めた演技後のポーズ
会心の演技後にリンク上に大の字に寝そべる選手は珍しくありません。
しかし、優勝を決めた演技後の「メテベル」のルカ・ベルラワ選手の「氷上を背泳ぎするかのような動き」はなかなか新鮮でかわいらしかったです(笑)。
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HISTORY MADE 🇬🇪✨
— ISU Figure Skating (@ISU_Figure) January 15, 2026
For the first time ever, Georgia claims the European title in Pairs!
Metelkina / Berulava stand on top of Europe as they #SkateToMilano 🏆⛸️#FigureSkating #EuroFigure #Olympics #WinterOlympics pic.twitter.com/iwtFjau0fG
「メテベル」はミラノ五輪個人戦では「りくりゅう」こと三浦璃来/木原龍一組の強敵になりそうだと思っています。
ですが、ジョージアは団体戦に全力を注いできそうなので、個人戦とのパワー配分が難しそうです。同じジョージアの女子シングルのアナスタシヤ・グバノワ選手も「団体戦に尽力する」と試合後のインタビューで明言していました。
女子シングル
ここからは、女子シングルを軽く振り返ります。
足の手術明けのニーナ・ペトロキナ選手が二連覇
今シーズン怪我で長らく試合に出られていなかったニーナ・ペトロキナ選手(エストニア)がいきなり快調で優勝したのには驚きました。右アキレス腱手術の影響を微塵も感じさせない、繋ぎが数多く入った演技構成。2位に20点以上の差をつけての優勝です。

SP後のインタビューによると、トリプルルッツとトリプルフリップの練習を再開したのは試合1週間半前からのことだそうで、それでこの仕上がりとは驚きです。彼女が言う「筋肉の記憶」、おそるべし。
こちらの記事では、過去に再生不良性貧血を患っていたことも書かれていました。そんな経歴が信じられない強さです

ルナ・ヘンドリックス選手とララ・ナキ・グットマン選手が表彰台
私がメダル候補筆頭かと思っていた、アナスタシヤ・グバノワ選手(ジョージア)はSPでのミスが響いて5位。
ルナ・ヘンドリックス選手が、ベテランの踏ん張りで2位に入りました。彼女は練習ではノーミス演技ができているそうなので、五輪での演技には期待したいです。
3位には、ミスがありつつも何とかまとめたララ・ナキ・グットマン選手(イタリア)が入りました。

ペトロキナ選手のエキシビション
優勝したニーナ・ペトロキナ選手は、今季もミュージカル「シカゴ」のエキシビションプログラム・「セルブロックタンゴ」の演出で、ユーロ男子3名を“殺害”する演技を披露していました。
このプログラムは大会ごとに参加する男子勢が違うので、何度見ても楽しいですね。今回殺される男たちを演じたのはギヨーム・シゼロン選手(後に出番があるのに!)、「ハゼボロ」のニキータ・ボロディン選手、アレクサンドル・セレフコ選手でした。みんな大真面目に演じてくれています(笑)。
五輪でもこのエキシビションをやってほしいので、是非上位入賞していただきたいです。
ユーロ圏の五輪代表選手決定状況まとめ
最後に、ユーロ終了後のミラノ五輪代表選手決定状況を確認していきます。
イタリアは発表済みだが、エストニアは未発表
マッテオ・リッツオ選手のミラノ五輪代表確定は正式に発表済みです。

しかし、エストニアはまだ公式に代表選手を発表していません。男子は兄のアレクサンドル・セレフコ選手、女子はニーナ・ペトロキナ選手で確定でしょうが、エストニアのオリンピック委員会と足並みをそろえる必要があるのかもしれません。
公式発表がまだなので、アレクサンドル・セレフコ選手も試合後のインタビューでは五輪に関する言及は避けていました。
五輪代表を未発表の国一覧(ユーロ圏のみ)
私が調べた限りでは、ミラノ五輪フィギュアスケート競技の出場枠を持つ国でまだ五輪代表選手を決定していないのはユーロ圏の国は下記の通りです。
エストニア:男女1枠ずつ
ドイツ:ペア2枠とアイスダンス1枠
フィンランド:女子1枠のみ未定
ポーランド:男女1枠ずつとペア1枠
スイス:男子1枠と女子2枠

フィンランドの女子枠以外は、「いや事実上決定してるでしょう」というメンバーばかりです
ミラノ五輪フィギュアスケート競技の個人戦参加者最終エントリーは1/26。上記の国もそれまでには発表すると思われます。
以上、ユーロ2026の振り返りでした。
そして四大陸フィギュアスケート選手権は1/22(木)から中国・北京で始まります!

