ミラノ五輪フィギュア団体戦、決戦は最終日へ|競技2日目終了時点の暫定順位とメダル争いの展望

青空にたなびく五輪旗と白いフィギュアスケート靴写真が左右に配置されている画像

ミラノ・コルティナ冬季オリンピック(ミラノ五輪)フィギュアスケート競技の団体戦は、2日目を終え、メダル争いの行方がはっきりと見えてきました。

決勝でのアイスダンスフリーダンス(FD)終了後の暫定順位は、1位アメリカ、2位日本、3位イタリア、4位カナダ、5位ジョージアとなっています。

あす2月9日(月)早朝3:30(日本時間)より、団体戦決勝がペアフリー⇒女子フリー⇒男子フリーの順で行われます。

今回は、フィギュアスケート団体戦2日目の振り返りと、3日目の決勝の展望についてまとめました。

目次

現在の暫定順位&ポイント数を確認

こちらが、現在の暫定順位とポイント数です。

暫定順位国名現ポイント数
1アメリカ44
2日本39
3イタリア37
4カナダ35
5ジョージア32

2位日本と1位アメリカのポイント差は5。最終日(3日目)の競技は日本が強みとしている3カテゴリ(ペア・女子・男子)ですので、金メダルを獲得できる可能性はあります。

また、メダル争いも熾烈です。これまでの五輪団体戦では最終日前には大きくポイントが開きがちでしたが、この点差ならまだどの国もメダルを狙うことが可能です。全てはフリー次第。

こちらは、各カテゴリごとのポイント数です。

国名ダンス予選ダンス決勝ペア予選ペア決勝女子予選女子決勝男子予選男子決勝暫定得点
米国101069944
日本3610101039
イタリア6988637
カナダ7875835
ジョージア5796532

日本チームはペア・女子・男子の3カテゴリで1位を獲得。アイスダンスの結果も含め、自力で取れる限りでのベストな結果を納めたと言えるでしょう。

米国チームにとって、イリヤ・マリニン選手のSP2位はベストな結果ではありません。しかし、この2年間無双しているイメージは強いマリニン選手ですが、2024モントリオールワールドでは宇野昌磨選手に、2025名古屋GPFでは鍵山優真選手にSP1位をとられています。

米国チーム的には「ちょっと残念ではあるけれど、想定範囲内」。他カテゴリで理想通りの結果を納められているので、最小限のダメージのみの状態だと思います。

日本がイタリアに抜かれる可能性は、一番力のあるペアのサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組が怪我を抱えていることと、佐藤駿選手とマッテオ・リッツオ選手の予定構成の基礎点差を考慮すると、低いと推測できます。

日本選手に大きなミスが出なければ、銀以上が取れる可能性は高そうです。

演技の振り返り

日本時間の午前3:45~という競技開始時間にめげた私は、午前6時に目覚ましをセットして就寝。

しかし、期待からか午前4時台後半には目が覚め、リアルタイムとは少し遅れながらのディレイ視聴でライブ感を味わいました。

2日目も、1日目に続く好演技の連続でした。

ミラノ五輪2026フィギュアスケート競技リザルト(ISU版)
※スケジュール、滑走順、順位、採点表等へのリンクが網羅されたページです

男子SPは好演技が続く“異常事態”

何より驚いたのは、「男子SP」で転倒が1回もなかったことです。高難度ジャンプで出た大きなミスは、韓国のチャ・ジュンファン選手のトリプルアクセルがシングルに抜けてしまったときだけ。(転倒ではない)

この高難度ジャンプ化時代の男子シングルで、10人滑って1回も転倒がないというのは、かなり稀なことです。

団体戦男子シングルには「大きなミスする選手が続出し、怖い顔をしたコーチ陣のもとに顔面蒼白になった選手が帰っていくイメージ」しかなかったので嬉しい驚きでした。

ミハイル・コリヤダ選手がミスしたときのロシアの応援席の重苦しい空気感は未だに時々思い出すぐらい怖かった…

前半グループ

個人戦出場資格がないエドワード・アップルビー選手(英国)がトリプルアクセルを決めたことにちゃんと言及してくれた町田樹さんと実況アナウンサーはよかったですね。団体戦が一世一代の晴れ舞台の選手もいるんです。

スティーブン・ゴゴレフ選手(カナダ)は今季のSP本当に調子がいいので、高得点を出せるのではないかと思っていました。SP3位というのは彼が自力で出せるであろう最高の結果です。

ベテランのボーヤン・ジン(金博洋)選手(中国)がSPまとめたので同じくベテランのチャ・ジュンファン選手(韓国)にも決めてほしかったのですが、トリプルアクセルがシングルに抜けてしまいました。まぁ韓国は決勝に進める状況ではなかったので、個人戦前のいい厄落としになったということで。

後半グループ

私が不安に感じていたのは、団体戦初日に応援席やキス&クライでこわばった表情を見せていたダニエル・グラッスル選手(イタリア)とケヴィン・エイモズ選手(フランス)です。どちらもポテンシャルは非常に高い選手なのですが、好不調の波が激しくて。先月の欧州選手権(ユーロ)ではSP、フリーでそれぞれ大崩れしていただけにかなり心配でした。

どちらも本調子とは言えなかったですが、ギリギリのところで踏みとどまって演技をまとめ切ることができて本当にホッとしましたよ。個人戦への良いステップになったのではないでしょうか。

ケヴィン・エイモズ選手がダニエル・グラッスル選手6位を抑えて5位に入ったことは、日本と3位のイタリアとのポイント差を広げることに繋がりました。日本チームからすると、ありがたかったと言えます。

鍵山優真選手

鍵山優真選手は、北京五輪団体戦フリーを思い出させるような会心の出来でした。

演技フルではなく、抜粋動画です

TVerでのフル演技動画はこちら
※配信期間終了後、視聴できなくなる場合あり

長年一緒に戦ってきたよきライバルの佐藤駿選手&三浦佳生選手らと一緒に試合に臨んでいる感が良かったのかもしれません。ステップ加点満点だったのも納得の素晴らしい出来でした。

久しぶりに鍵山優真選手の感情がはじけきった演技を見た気がします。

イリヤ・マリニン選手

続くイリヤ・マリニン選手(米国)は、若干緊張した面持ち。世界選手権2連覇しているとはいえ、五輪は初めてですからね

予定構成は4回転アクセル‐3回転トゥループだったとのことですが、アクセルの軌道に入らず4回転フリップを跳びにいったので驚きました。ルール上、SPではアクセルジャンプは絶対跳ばないといけないのでトリプルアクセルを跳びに行きましたが、4回転アクセルに跳び慣れすぎたせいか珍しく着氷乱れ。

演技フルではなく、抜粋動画です

その後動揺が若干見え、次のスピンではレベル3と珍しくレベルを取りこぼし、後半の4回転ルッツ‐3回転トゥループというとんでもない高難度コンビネーションジャンプで回転不足をとられてしまいました。これが得点的には痛かったです。(軽微な不足の「q」ではなく、「<(アンダーローテーション)」を取られました)

鍵山優真選手の108.67に対し、イリヤ・マリニン選手は98.00と10点近い点差がつきました。
しかし、これは団体戦。ポイントは1点の差がつくだけです。

見ごたえのあったアイスダンスは「順当」な結果

その後、決勝に進んだ5か国でアイスダンスFDが行われました。

日本の「うたまさ」こと吉田唄菜/森田真沙也組は格上の選手たちと同じグループでも、気圧されることなくPBに迫る好演技。他のチームも軒並みいい演技でした。

演技フルではなく、抜粋動画です

エース格のパイパー・ギレス/ポール・ポワリエ組(カナダ)に代わり登場した、カナダ二番手のマージョリー・ラジョイ/ザカリー・ラガ組の演技は見事。次の五輪後のエースになりそうな予感を改めて強く感じました。

個人戦でメダル争いをするであろうシャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ組(イタリア)とマディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組(米国)の演技は気迫と情感が感じられて、見ごたえ十分

※埋め込みが表示されない場合はリロードまたはこちら

マディソン・チョック選手のスカートの裏地が再び赤に戻り、細かいところがブラッシュアップされていて、さすがシーズン終わりにはプログラムを仕上げまくって来る二人だと感心しました。シーズンベストスコア(SB)を更新、個人戦も期待できそうです。

※埋め込みが表示されない場合はリロードまたはこちら

カメラワークは改善されたか?

さて、私が団体戦初日直後にさんざん愚痴ったカメラワーク。

アイスダンスFDの映像は初日のアイスダンスRDほどひどくはなかったけれど、やはり度々上半身だけを写す時間帯がありました。

ステップに入ってるのに顔を撮ろうとするの本当にやめてほしい…

団体戦最終日の展望 メダルのゆくえは?

ここからは、明日の団体戦決勝最終日の展望です。

団体戦3日目の出場予定選手

出場予定の選手たちは、下記から確認できます。
選手名の横の「+」マークをクリックすると、競技前だと予定構成が、競技後だと採点データが表示されます。

ペアフリー
女子フリー
男子フリー


※選手名の横の「+」マークをクリックすると、競技前だと予定構成が、競技後だと採点データが表示されます

ペアは5か国ともSPと同じ布陣。日本の「りくりゅう」はSP・フリーの連投ですが、連投なのは全組同じです。

アメリカはイリヤ・マリニン選手連投で来ました。女子は予想通りアンバー・グレン選手
イタリアはマッテオ・リッツオ選手に交代です。

昨年の名古屋GPFフリーで佐藤駿選手を上回ったダニエル・グラッスル選手(イタリア)が出場しないのは日本にとってはありがたいかもしれません。今季のマッテオ・リッツオ選手は4回転1種構成のため技術点の基礎点が低く、佐藤駿選手が上回りやすいからです。

ただし、マッテオ・リッツオ選手は高いPCS(演技構成点)を出せる実力者。ジャンプミスが多少出ても一定の点数以上でまとめ切れる力があります。ポテンシャルは高いが大崩れするリスクがあるグラッスル選手を連投させなかった点からいって、イタリアは銀メダルを狙うよりも、銅メダルを確実にねらいに来た印象です。

決勝進出国の並びの影響

日本にとっては、アメリカの弱点であるペアが強いカナダ&ジョージアが決勝進出を決めているのは若干有利です。アメリカのペアのエリー・カム/ダニエル・オシェイ組は、SPでは上回られてしまったカナダのリア・ペレイラ/トレント・ミショー組を上回りたいところです。

ただしアメリカペアはリフトが大きな得点源。リフトで得られる得点が多いフリーはアメリカペアの方が強い傾向があります。多少ジャンプミスが出ても、カナダペアを上回る可能性が高そうだと予想しています。

となると、「りくりゅう」が1位を取れたと確定しても、追い上げられるポイントは3ぐらい。今日本とアメリカは5ポイント差ですから、男女シングルでポイント差を2~3くらいは詰める必要がある計算になります。

その障壁になりそうなのは、男子のニカ・エガーゼ選手(ジョージア)やスティーブン・ゴゴレフ選手(カナダ)でしょうか。彼らはジャンプが最大の武器なのでジャンプの調子次第ではかなりの高得点を出すことができます。

「エース連投」という選択

女子はもし坂本花織選手が完璧にまとめられたら、アンバー・グレン選手がトリプルアクセル入りでクリーンにまとめても届かないのでは?と思います。SPにアンバー・グレン選手を出していれば、アンバー・グレン選手が上回る可能性が十分あったと思うのですが、米国チームはトリプルアクセルでミスした際に順位を大きく落とすリスクを避けたかったのでしょう。それがどう出るでしょうか?

日本が坂本花織選手の連投という手段に出たのは、金メダルを獲りに行くにはベストな選択だったでしょう。そして、アメリカも、イリヤ・マリニン選手を連投させてきました。

マリニン選手は全米選手権で見せたような「安全構成」でもフリー1位の公算が高いとはいえ、男子シングルは団体戦と個人戦の間が中一日しかありません。連投はかなりの負担です。そこを敢えて連投させたあたり、アメリカも本気で金メダルを獲りに来ている感があります。

男子二番手選手だと5位になるリスクが結構高いので、苦渋の決断かもしれませんが…

同ポイントになったら順位はどうなる?

もし最終的に上位チームのポイントが並んだら、どうなるのでしょうか?

ISU公式の競技規定によると、団体戦で複数チームが同ポイントの場合は下記のとおりになっています。
※以下のタイブレークに関する記述は、ISU公式競技規定の該当箇所を読み解いた上で整理したものです。最終的な順位決定については、必ず大会公式の発表をご確認ください。

1)「上位2種目のポイント合計」 が多いチームを上位とする
2)1)が同じ場合、「その2つの上位2種目における総得点(各選手の得点合計)」 を比べる
3)2)でも差がつかなければ、同様のルールを 3つの種目分 に拡げて比べる
※これでも差がつかない場合にも細かい規定はあるようですが、詳細の説明は割愛します

実は、もしタイブレークになった場合、マリニン選手がSPで1位を逃したのがここで地味に響いてきます

アメリカはアイスダンスで10点+10点ですが、女子シングル、男子シングルは9点のみ。つまり、2種目で満点を揃えることができません。しかし、日本は「りくりゅう」ペアと坂本花織選手、佐藤駿選手のうち2種目で1位を取ることができればタイブレークになった場合アメリカを上回ることができます。

なので、アメリカが金メダルを獲得するためには日本にポイントで並ばれないようにする必要があります。

決戦は明日!

2022北京五輪と同様、日本選手が持てる力を全て発揮した展開になったことにより、決勝最終日まで金メダルに期待が持てる展開となっています。

試合予定時刻は下記の通り。日本に限らず、全選手たちがいい演技をできることを祈ります。

日程実施予定時刻(日本時間)カテゴリ(種目)
2/9(月)03:30~04:24 団体戦決勝 ペアフリー
04:45~05:32 団体戦決勝 女子フリー
05:55~06:42 団体戦決勝 男子フリー
06:42~07:00 団体戦表彰式
青空にたなびく五輪旗と白いフィギュアスケート靴写真が左右に配置されている画像

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