「刀剣乱舞」アイスショーの反響から考えた、ショーで輝くスケーターの条件とPIWの役割

時代装束で刀を持って滑るスケーター3名のシルエット画像(AI生成イメージ)
AI生成のイメージ画像

「刀剣乱舞 -ICE BLADE-」が好評のうち終了し、初めてアイスショーをご覧になった方の反応をSNSで拝見してはニヤニヤする日々を過ごしています。

肝心のショーの方は、後日友人と録画を一緒に観ようと思っているのでまだお預け状態なんですけどね。

今回は「刀剣乱舞」アイスショー・「刀ブレ」への反響をきっかけに、「ショーで活躍するスケーターの条件」と、日本のアイスショーに「プリンスアイスワールド(PIW)」が果たしてきた役割を考えてみました。

目次

「刀ブレ」でアイスショー初体験の観客が注目したスケーターたち

先の週末は、SNSなどで飛び交う「刀ブレ」の感想を追っていました。

「ワンピース・オン・アイス」を観た際も、フィギュアスケートファンにとってはアイスショー初見客の感想は、とても興味深いものでした。

きっと今回も「バックフリップは物凄く反響を呼ぶんだろうな」と思っていたら、予想通りでした(笑)

役の表現に寄せられた評価と、スケーターへの関心

「ワンピース・オン・アイス」のときと同様、刀剣男士役のスケーターたちのフィギュアスケート技術は勿論、ちょっとした仕草一つが「キャラの解釈と落とし込みが素晴らしい!」と称賛されていたのは何だか嬉しかったですね。

「そうなんですよ、彼らは身体表現や芸術性が重視される競技に長年励んできた人たちだから、単なるスポーツ選手の枠組みではとらえられないんですよ~」って思いながら褒め言葉の数々を眺めました。

刀剣男士役の経歴に関する質問はもちろん、アンサンブルの出演者についても「あの役をやっていたスケーターは誰?」という質問が飛び交っていました。

その回答の一つが「Ice Brave」でも活躍していた唐川常人さんだったときは、「よし!」と思いましたよ(笑)

出演スケーターたちが見られる媒体や他ショーのPRも

ショーをご覧になった方たちとのやりとりの中では、2017年から始まった高橋大輔さんの「氷艶」で殺陣をやっていたことや、今回出演している無良崇人さんが熱い注目を浴びた2018年の「艦これ」アイスショーなどもよく話題に出ていました。

また、興味を持たれたスケーターさんがどなただったかにより、「その人なら『プリンスアイスワールド(PIW)』の公演や、『ワンピース・オン・アイス』『Ice Brave 新横浜Special Edition』のBlu-rayなどでも見られるよ!」とお勧めされているやりとりもかなり見かけました。

中には実際に「PIW東京公演観に行きます!」「ディスク購入します!」と答えている人まで。

テレビ放送されると大勢の視聴者の目に触れる機会は増えますが、Blu-rayやDVDが残されていると、こういうときにすぐに視聴をおすすめできるのはいいですよね~

浅田真央さんの「BEYOND」「Everlasting33」も、出演スケーター(⼭本恭廉さんなど)が活躍していらしたので話題にのぼっていたのですが、こちらは残念ながらもう円盤の新規購入はできなくなっているようです。

今年4月の「Ice Brave 新横浜Special Edition」Blu-ray発売決定時点では、「Everlasting33」のディスクはまだHMVでは在庫が残っていたんですけどね。買える間に買っておかないといけませんね。

(幸い私は購入済み。「Ice Brave」はまだ購入可能です!)

ショーで輝くために、競技実績は必須なのか?

アイスショー初体験の人たちのコメントを見ていると、やはりこのような2.5次元系エンターテインメントでは、「既存キャラクターの本質を読み解き、演じる力」と「一定以上のスケート技術」が揃っていることがものを言うことを強く実感しました。

知名度があるスケーターなら、「あの人にこんな一面があったとは」「ナマで見るとこんなに凄いんだ」という驚きを与えます。

知名度が低いスケーターの場合、「私の好きな〇〇を演じていたあのスケーターは一体どんな人物?」という関心を強めることに繋がっていました。

そして、つくづく感じるのは、アイスショーで評判を呼ぶスケーターになるために、現役選手時代の華々しい実績や知名度は必須ではないということです。

役を演じる力やスケートの魅力そのものが、大勢の観客に受け入れられつつあるのを感じます。

ショースケーターたちの活躍を支えてきたPIW

「刀剣乱舞 -ICE BLADE-」で、五輪や世界選手権に出場した経験があるのは、坂本花織さん、無良崇人さん、田中刑事さんの3名のみ。

それ以外の出演者は、日本国内の様々なアイスショーや、歌舞伎界やスピードスケート界などで活躍してきた人材です。(歌舞伎界にフィギュアスケート6級持ちがいるというのもなかなか凄いですよね…)

キャストの大半は、日本初のアイスショーチーム「プリンスアイスワールド(PIW)」のメンバーです。

前身は、1978年に佐野稔さん中心に作られた「VIVA!ICE WORLD」

PIWは、1977年の世界選手権銅メダリストの佐野稔さんを中心に始まったアイスショー「VIVA! ICE WORLD」が前身です。

下記はPIWの拠点だった品川リンクについての記事。PIW初期のことが書かれています。(記事閲覧には会員無料登録が必要)

発足は1978年。当初のショー演出は、佐野稔さんや渡部絵美さんなどの日本の著名スケーターを中心にすえていました。1992年以降は伊藤みどりさんも中心メンバーに加わります。

PIWが全国公演を始めたのは1985年。あいにく関西での公演機会は比較的少なく、私にとってPIWは長年「テレビで見るアイスショー」でした。私が見た当時の放送では、他のスケーターたちは「群舞担当」という印象でした。

私がPIWのショーに初めて行けたのは、2024年2月です。

幅広い経歴のスケーターが活躍するチーム

「PIW」はフィギュアスケートのシングル競技者だけでなく、シンクロナイズドスケーティングやスピードスケートの経験者も採用してきました。

団員応募書類ではスケート歴(シングル取得級)の記載こそ求められますが、公表された募集要項には、競技成績や特定のジャンプを応募の必須条件とする記載はありません。

ショーに興味があり、「魅せる力」があるスケーターには広く門戸を開いていると言えるでしょう。

PIW団員たちは、PIWショー以外にも「氷艶」をはじめ、数々のアイスショーでの脇役・アンサンブルスケーターとして出演してきました。演出サイドもそれぞれの持ち味を生かした見せ場を用意していたものです。

「刀ブレ」にも出演していた、スピードスケート ショートトラック出身の松橋浩幸さん(60代!)もPIW出身です。

「ワンピース・オン・アイス」フィナーレでも華麗なコーナリングを見せていた松橋さんの活躍ぶりについてはこちらの記事でどうぞ。

「名脇役」だったPIWスケーター達が「主役級」に

2025年に始まった宇野昌磨アイスショー「Ice Brave」の売りの一つは、「全員が主役になれるアイスショー」でした。

(「Ice Brave」からは、PIW所属の吉野晃平さん、中野耀司さん、佐藤由基さんに加え、櫛田一樹さんが「刀ブレ」にも刀剣男士として出演。平維茂(山姥)や火の神カグツチなど、様々な役を演じた唐川常人さん(PIW所属)も出演しています)

「Ice Brave」は7~9名の少人数編成。

世界選手権やグランプリシリーズに出場した経験のないスケーターも多く出演していることから、開催前には「無名スケーターをかき集めたショー」と揶揄する心無い人もいました。でも、私はメンバーたちを他のショーでも見ていたので、彼等なら絶対いいショーを見せてくれるだろうとの期待が大きかったです。

ショーで初めて出演スケーターのことを知った観客もいて、ショーを重ねるごとにファンが増えて行くのを見るのも楽しかったです

「名脇役」も「主役級」も

「刀剣乱舞」ファンの間では、名刀の化身である「刀剣男士」(刀剣の付喪神)のそれぞれに熱い人気があります。

今回のアイスショーで刀剣男士を演じたスケーターたちの「主人公度」はこれまで以上に高くなったと言えるのではないでしょうか。

数々のアイスショーの中で存在感を放ってきた「名脇役」であったスケーター達が、ついに「主役のひとり」を務めるまでになったんだなと思いました。

有名選手だけでなく、ショーで経験を積んできたスケーターたちが主要キャラクターを担い、大勢の観客を惹きつける

徐々に変わってきていたアイスショーの潮目が、今回、さらに大きく動いた気がします

単にPIW側が時代の波にうまく乗れただけではありません。PIWショーの歴史に詳しくない私でも、かなり以前から「PIWチームメンバー」には固定ファンがついていたのを認識しています。

コロナ禍の前後には、キャプテンの小林宏一さんが、男性スケーターのチーム「REBEL BLADE」を作って活動をしていたのも覚えています。

彼らが積んできた経験を様々なアイスショーで開花させてきたことが、今に繋がっているのではないでしょうか。

全日本出場経験がなくても、刀剣男士を演じる

PIWに入団するのは、フィギュアスケートのシングル競技経験者で、毎年全日本を見ているようなフィギュアスケートファンならお馴染みのスケーターが多いです。

しかし、今回「刀ブレ」で⼤和守安定を演じた佐藤由基さん(2024年~PIW所属)、鶴丸国永をWキャストで演じた小平渓介さん(2018~26年にPIW所属)はシニアの全日本選手権出場経験がありません。

どちらも全日本出場を目指して競技を続けたものの、出場は叶わず。ブロック大会や国体などまでチェックしているようなスケオタ以外には、あまり知られていない存在でした。

それでも、この2名はどちらもPIWでの人気を獲得し、数々のアイスショーにも出演をしてきました。

また、「刀ブレ」には「氷艶」「BEYOND」「Everlasting33」「Ice Brave」「滑走屋」「THE MELT」など、様々なアイスショー出演を重ねて、役を得た個人のプロスケーターもいます。

広がるプロスケーターの活躍の場

もちろん、「スターズ・オン・アイス」「THE DESTINY」のように、国際大会メダルを持つ国内外の有名スケーター達が多数集うアイスショーにもまた別の魅力はあります。

ただ、そういうショーはどうしても開催のタイミングが限られます。

プロスケーター達のみで構成するアイスショーは競技日程に左右されにくく、開催時期の制約が比較的少ないのが強み。ゲームやアニメ、コミックなどを題材にした2.5次元系アイスショーは、まだ今後も展開が期待できそうに思います。

これからは、一般知名度が高くないスケーターもショーで活躍し、注目を集める機会が増えていくのではないか?今回の反響を見て、その期待がさらに強まりました。

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