昨日(9/20)に引き続き、今回もミラノ五輪代表を決める最終予選会競技2日目の鑑賞記録です。

当初は競技1日目のように時系列で各カテゴリをざっくり語ろうかと思っていました。
しかし、私にとっての昨日9/20(土)のハイライトは、「ゆなすみ」こと長岡柚奈/森口澄士組が五輪出場枠の獲得!
ーということで、今回はペアのみを先にまとめます。
男子SPも女子フリーも書き残したいこと一杯あるんですけど、女子フリーはまた後日。男子SPについては男子フリー開始前に記事をあげるのを目指します。

本当に本当に、「ゆなすみ」が五輪代表枠を取れてよかったです
「見守るだけの立場」のくせに激しい緊張が…
「ゆなすみの今の実力なら、多少ジャンプミスが重なろうが上位3組には入れるだろう。万一ダメでも繰り上がり出場が望める位置にはつけられるだろうから、五輪に行けないことはないはず」ーとは思っていた私。
ーそれでも緊張の度合いは朝から凄かったです。
ペアを結成してまだ3シーズン目のゆなすみ。急成長を遂げたことで手にできた五輪初出場のビッグチャンスを自力で掴めるのはこれが最後です。
これまで彼らのワールドミニマムスコアへの挑戦も、初めてのボストンワールドSPも見守ってきました。でも、近年のフィギュアスケート観戦でこれほど緊張したことは無かったですね…。
2022全日本選手権の友野一希選手のフリー以来かな?もちろん一番応援している宇野昌磨選手の五輪やワールドの演技を見守るときは、それはもう緊張しました。でも、世界のトップレベルで闘った経験のある選手と、国際試合経験値がまだ浅いゆなすみを見守るのとはまた違う心情なんです。

なのでこの日は朝から「ペア競技が早く終わって安心したい」「いや、怖いからまだ始まらないで」と気持ちがぐちゃぐちゃ…
そもそもボストンワールドSPがうまくいかなかった時点から「五輪最終予選ではうまくいきますように」って思ってきましたからね…「ついにこの日が来たのか」という心境でした
前半2グループの流れ
前半2グループを滑ったペアはどこもミスが出て点を伸ばしきれず、五輪代表枠争いは最終グループの4組内で決まりそうに思われました。
唯一ウクライナのソフィア・ホリチェンコ/アルテム・ダレンスキー組は、戦時下の厳しい環境での練習だった&ダレンスキー選手が怪我をしていたにも関わらずPBを出しましたが、総合170点までは届かず。
リフトやステップの質が高いゆなすみは、ジャンプにミスが複数出たとしても170には届くだろうから、きっと大丈夫なはず。(ウクライナペアにも五輪行ってほしかったので、ちょっと複雑な気持ちはありましたが)

ーそして、ゆなすみの二人が笑顔で6分間練習に登場すると、私の緊張はMAXに。

あかん、今からこんなんで本番の演技大丈夫か私!?
自宅のリビングでのんびりテレビを見ているだけの人間がこんなに緊張しているというのに、今このリンクに立つ緊張はどれほどなのでしょう?
ゆなすみフリー演技を見守っていた時の心境
細かいミスが連続するも、踏ん張り続けた前半
SPの時は表情に緊張が見てとれましたが、フリー演技開始時の二人には笑顔が見えます。それを見た私も「きっと大丈夫なはず!」と自分に言い聞かせながら見守ります。
トリプルツイストは入りました!でもキャッチが少し下の方だったせいか、マイナスがついています。そして次は私が一番心配していた3連ジャンプ。
トリプルループを踏み切った際、長岡柚奈選手の軸が少し傾いたように見えて一瞬「ヤバい!」と思いました。転倒は免れたものの着氷が大きく乱れてしまいます。「あぁ一番の得点源の3連が…」と頭が真っ白に。
今朝公開した記事に「3連ジャンプで大きなミスが出たら他のミスを最小限に抑えないといけなくなってヤバい」みたいなこと書くんじゃなかった…言霊になっちゃったか!?と後悔の気持ちがこみ上げました。

しかし、そこから長岡柚奈選手は冷静にセカンドをシングルアクセルに変更し、3つめにダブルアクセルを入れてきました。次のトリプルトゥループを3連に変更するリカバリー案も練習していたかもしれませんが、森口澄士選手も彼女の様子を冷静に確認して3連を入れてきました。

よし!これなら今後ミスが多少出ても耐え抜けるはず!
でも、そこから先は本当に心臓に悪かったです。
次のサイドバイサイドのトリプルサルコウとリフトは決まりましたが、スロージャンプの着氷が2本とも乱れた時は震えました。でもここも長岡柚奈選手はギリギリのところで耐え、転倒は免れます。
あぁジャンプ4つのうち3つで減点か…大丈夫だろうか?。後半のリフトでは森口澄士選手も、いつもより動きが硬いように見えます。

二人とも物凄い緊張感の中で全力を尽くしていることが見てとれて、頭の中はただただ「がんばれ!」だけしかなかったです
演技終盤の輝き
ーでも、終盤で見せた二人の笑顔はとにかく素晴らしくて。
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Yuna Nagaoka & Sumitada Moriguchi rose to the moment — securing Japan’s place at Milano Cortina 2026 with style and strength! 🇯🇵❄️#FigureSkating #SkateToMilano #OlympicQualifierd pic.twitter.com/AYAmfNV188
— ISU Figure Skating (@ISU_Figure) September 20, 2025
長岡柚奈選手がペアのトライアウトに初参加したとき、森口澄士選手にリフトを体験させてもらっている彼女を見たブルーノ・マルコットコーチに「君たち本当に初めて組んだの?」「君の笑顔がとても気に入った」と言われたという話には本当納得。
これだけ崖っぷちに追い詰められつつも踏ん張り続けた二人が終盤で見せた笑顔は私の心を打ちました。
採点を待つ緊張の時間
しかし、演技が終わった後明らかに二人の表情には不安が見えました。
たぶん暫定1位は取れる。ここで120点台を出して、3位以内に入れる可能性を高めておきたかったでしょうけれど、それは難しかろうと私も悟りました。
出た得点は115.98。総合点は178.66で暫定1位は取れましたが、後続の3組の実力を考えると3位以内に入れるかは不安が少し残るスコアです。ペアではおそらく最低1組の「五輪出場枠返上」が出そうです。この時点で4位以上は確定したので、五輪に行ける可能性はかなり高まりました。でも、ここでスッキリと自力で枠を獲得して二人に喜んでほしい。
何より先日のNHKニュース企画でのインタビューで森口澄士選手はこの試合を終えたら二人で泣きたい、うれし涙を流したいと語っていました。是非そんな二人を見たい。

でも、それは後続3組のミスを願うことにもつながりかねないので、何とも複雑な気持ちでしたね
最終グループ後続3組の演技
アルメニアのペアはSPを見た時点で「たぶんミスはほとんどないだろう」と思っていましたが、やはり確実に技を決めてきます。技術点を大きく稼いでゆなすみの総合スコアを上回りました。
続いてフランスのコヴァレフ夫妻。3連ジャンプの冒頭で女性が転倒し、大きく点を失います。この時点でゆなすみの3位は決まったなと思いましたが、何とも複雑でした。
ただ、彼女たちはここで枠獲得を逃しても、日本の「うたまさ」同様「五輪団体戦出場」は確実視されています。この後大きなミスをせず踏みとどまれば、繰り上がりでの個人戦出場の可能性もあることが救いです。
採点が発表され、ゆなすみの暫定2位が確定。演技が残っているのはあと一組なのでこの時点でゆなすみの3位=五輪代表枠獲得が決定しました。その瞬間のふたりの様子は胸を打ちます。
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🥹From disappointment to tears of excitement!
— CGTN Sports Scene (@CGTNSportsScene) September 20, 2025
❤️Yuna Nagaoka & Sumitada Moriguchi embraced in the mixed zone after clinching 🇯🇵Japan's 2⃣nd pairs spot for #MilanoCortina2026!#OlympicQualifiers #SkateToMilano #FigureSkating #フィギュアスケート #ゆなすみ #長岡柚奈 #森口澄士 pic.twitter.com/I0pgU7G4SD
個人的には料理?を運んできた方が「感動の瞬間の邪魔しちゃいけない」と背後の通路で待ってるのがツボw
その後は中国の若手ペアが男性のサイドバイサイド単独ジャンプの転倒はあったものの、見事にまとめて優勝。中国は中国で「絶対枠獲れよ」というプレッシャーが凄かっただろうし、彼らがこの大会で枠を獲ったところで実際に五輪代表に選ばれるのは大先輩の「スイハン」ことスイ・ウェンジン/ハン・ツォン組かもしれない。そういう苦しい環境の中でよくあれだけの演技が出来たなと感服します。
若手がこれだけの演技ができるとなると、スイハンはどうなるでしょうね?あまり情報が出てこないしNHK杯にも本当に来てくれるのでしょうか。
ゆなすみのミラノ五輪出場決定を受けて
私ボストンワールドの悔しいSPから半年。今日に向けて練習を重ねてきたふたりの心の荷はどれほどだったことか!森口澄士選手が顔をくしゃくしゃにして涙する姿に、どれほどの緊張感をもってこの大会に臨んでいたのかを思い知らされました。森口澄士選手の「怖かった」、長岡柚奈選手の「今朝は食事がのどを通らなかった」という言葉がそれを物語っています。
ミスは確かに複数出てしまった。でも大崩れせずギリギリのところで踏ん張り続けることができたことでつかめた五輪代表の枠。結成3年目に二人にとってこの大会は物凄く大きな経験になったに違いありません。

リンク環境もあり、カップル競技の選手は日本では育たないと長年思われてきました。そこに分け入り、ペアの道を切り開いてきた先人たちがいたからこそ今のゆなすみが生まれたと思っています。
ミスが続いて視聴者が不安になる中、ポジティブな暖かい言葉で実況を続けてくれた高橋成美さんには感謝しかないです。
ゆなすみにとって、最大の正念場だったこの大会。この後のGPSも五輪もワールドも(四大陸もある?)、ぞんぶんに楽しんでほしいです!

さて、もうアイスダンスFDが始まります!
是非「うたまさ」にも続いてほしいですね