全米&全カナダ選手権2026 男子シングル結果|ジェイソン・ブラウンと五輪代表を分けた明暗

全米選手権2026とカナダナショナル2026のロゴを並べた画像

今日は全米フィギュアスケート選手権2026(全米/全米選手権)のアイスダンスFDと男子シングルフリーをBS有料チャンネルで視聴しました。
その後、深夜から昼前にかけて行われていたカナダフィギュアスケート選手権2026(カナダナショナル/全加)の各競技をチェックし、代表発表までは鑑賞記は書かないつもりでした。

しかし、全米の男子シングルは、好演技が連続した女子シングルとは打って変わって気持ちが沈む展開でした。良い演技を見せた選手もいたのですが、私にとっては見ていて辛い展開が続きました。しかし、同様に選手たちの明暗が分かれたカナダナショナルは、比較的スッキリ気持ちで観終えることができました。その気持ちだけは先に書き残しておこうと思います。

アメリカ男子シングルの五輪&ワールド&四大陸の選考を担当する人は、すごく悩みそうです…。

<以下、全米&カナダナショナルの結果のネタバレしていますのでご注意ください>

目次

米国の五輪代表発表は1/12早朝

米国の五輪代表チーム発表は日本時間のあす1/12(月)午前4時だそうです。
午前4時から全米選手権エキシビションが開催されますので、その冒頭で発表ということでしょうか?
(日本でもBS有料チャンネルのJSPORTS4にて生放送されます)

女子とアイスダンスは事実上確定か?

女子シングルとアイスダンスのミラノ五輪派遣チームは全米選手権1~3位でそれぞれ当確では?と推測します。

女子1~3位は、アンバー・グレン選手、アリサ・リウ選手、イザボー・レヴィト選手。
アイスダンス1~3位は、マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組、エミリア・ジンガス/ヴァディム・コレスニク組、クリスティーナ・カレイラ/アンソニー・ポノマレンコ組です。

アメリカのアイスダンスは層が厚すぎて、4~6位も五輪に派遣してほしいくらいです。

キャロライン・グリーン/マイケル・パーソンズ組も、エミリー・ブラッティ/イアン・サマービル組も、ブラウン兄妹も五輪で見たい…全日本選手権女子シングルを視聴する海外ファンもこんな気持ちなんでしょうか?

ペアは、エリー・カム/ダニエル・オシェイ組は確定でしょう。もう1組はエミリー・チャン/スペンサー・アキラ・ハウ組の可能性が高いかなと予想していますが、オードリー・シン/バラージ・ナギー組が選ばれる可能性もありそうです。実力が拮抗しているので、ひょっとしてワールドと五輪と代表を分けたりするかもしれません。

しかし最も読めないのが、男子シングルです。

全米男子シングルフリー 予想外だった展開

今日はアイスダンスの結果も出ましたが、RDと順位全く変わらず予想通りの結果で終了しました。
(シブタニ兄妹など、第1グループで複数組に大きなミスが出たこと以外は大きな波乱なし)

やや予想外な結果となった男子シングルをじっくり振り返ります。

事前の予想と大きく違った流れ

私は事前に公開していた見どころ紹介記事で、「イリヤ・マリニン選手は何があっても当確で、ジェイソン・ブラウン選手もよほど悪い結果にならない限りは当確ではないでしょうか」と書いていました。

しかし、その「よほど悪い結果」が本当に実現するとは思っていなかったです。

2026全米フィギュアスケート選手権リザルト

ジェイソン・ブラウン選手は五輪代表選考脱落の可能性が

一番「予想外」だったのは、ジェイソン・ブラウン選手が総合8位で終わったことです。

ジェイソン・ブラウン選手は不調とは伝えられてはいたが…

ジェイソン・ブラウン選手は公式練習でトリプルアクセルの不調が伝えられていました。実際にSPで不調なのは伺えましたので、私もSP後は「表彰台から外れるかもしれない」とは思っていました。

しかし私にはイリヤ・マリニン選手以外の米国男子選手が高得点を出せるとは思えず。ジェイソン・ブラウン選手が4~5位ぐらいになっても3位の選手と僅差の点数ならば、米国スケート連盟はジェイソン・ブラウン選手を代表に選出するだろうと予想していたのです。

ジェイソン・ブラウン選手は、まさかのフリー12位

しかし、SP3位だったジェイソン・ブラウン選手はフリーで大きく乱れ、総合8位にまで順位を落としました。
この成績で五輪代表に選ぶのはさすがに厳しいのではないでしょうか。

https://ijs.usfigureskating.org/leaderboard/results/2026/36273/CAT001RS.htm より引用

ジェイソン・ブラウン選手は昨季グランプリシリーズ(GPS)では不調でしたが、最終的にはボストンワールドには仕上げてきた実績があります。今季国際大会の成績も好調とはいいがたかったですが、それでも米国男子の中では2番目のパーソナルベスト(PB)スコアを出しています。全米である程度の演技を見せれば選ばれる可能性は高いと思っていました。

響いたトリプルアクセルの不調

しかし、SP・フリーで1本もトリプルアクセルが決まらなかったのは痛いです。

フリー冒頭のトリプルアクセルで転倒。次のトリプルアクセルをコンビネーションで跳ばなくてはいけなくなったのですが、シングルに抜けてしまいました。(ここをせめてダブルアクセルにして、後半のダブルアクセル連続ジャンプの2つめをダブルトゥループなどに変更できていたら…と思います。今言っても仕方ないことですが)

そこからあとが…。精神的動揺なのか、トリプルループもトリプルサルコウもダブルに連続で抜けました。ここは見るのがとても辛かったです。トリプルアクセルが1転倒&1ステップアウトでリピート判定になることぐらいまでは心の準備をしていましたが、まさか彼のこのような姿を見ることになろうとは。

演技後半のコンビネーションジャンプは決めていきましたが、最後のトリプルフリップでは耐えきれず転倒。2転倒では、頼みのPCSも伸びません。(2回の転倒はPCS上限を下げる規定がある)
スピン・ステップは全てレベル4でしたが、このジャンプ構成ではさすがに得点も伸びません。

動揺が見え隠れしたものの、演技をやり遂げた彼には会場から大きな拍手が送られました

でも、私はその喝采を素直には受け取れませんでした
私が見たいのはこんな光景ではなかったーという気持ちのほうが強かったです

会心の演技を見せた選手たち

シニア初年の思わぬ快進撃:ジェイコブ・サンチェス選手

実力を出し切る演技が出来た選手たちもいました。筆頭はジェイコブ・サンチェス選手

好きなタイプの演技をする選手ですが、今季シニアデビューでシーズンベストスコアが223.14です。なので私は五輪代表候補にも入れていませんでした。

まさかそれを25点以上も上回る249.07点(国内参考記録)も出して4位に入るとは想定外でした。しかも4回転なしで!(というか4回転を入れなかったことでこの得点だったと言えるかと)

今季最高の演技を見せたアンドリュー・トルガシェフ選手

今季の不振が嘘のような演技

アンドリュー・トルガシェフ選手も会心の演技でした。今季SBは239.54。現地観戦できたNHK杯では精彩を欠く演技で212.01で9位でした。まさかその選手が267.62も出すなんて。

今季フリーのステップは非常に情熱的で私はすごく好きです。全ジャンプが見事に入って、今季最高のステップを見せてくれました。

1か月ほど前、アンドリュー・トルガシェフ選手はSNS上のやりとりで4回転を持たない選手を揶揄するかのような発言をしてしまい、強い非難を浴びました。その精神的影響を受けやしないかと思っていたのですが、ひょっとして逆にそれが奮起の材料になっていたかもしれません。

彼は今季の国際大会こそ不調でしたが、昨季はワールドに出場していてポイントも高いです。推測ですが、3位に20点近い差をつけての2位ならば五輪代表に選ばれる可能性は高いのでは?と思います。

代表選出は濃厚だが、大舞台での演技に対する不安あり

ただ、トルガシェフ選手は全米選手権で素晴らしい演技をした年のワールド(世界フィギュアスケート選手権)でミスを多発し20位台に沈むーということを2回続けています。そのため、私は「ここで素晴らしい演技をしたとしても、五輪の大舞台でまたあんなことになるのでは?」という不安を正直拭いきれません。

私がもし米国チームの監督ならば彼を五輪団体戦には怖くて選べないですね…団体戦SPにはイリヤ・マリニン選手が出そうですが、安心してフリーを任せられる人材がいなくなってしまった感があります

マキシム・ナウモフ選手と樋渡知樹選手の明暗

もうひとつ、私の気持ちを落ち込ませる展開になったのが、マキシム・ナウモフ選手と樋渡知樹選手の明暗でした。

私が感じていた「会場の空気感」

SPの時点で、私は現地の「マキシム・ナウモフ選手の五輪出場」を期待する空気感を強く感じていました。

マキシム・ナウモフ選手は昨年の米国民間航空機の墜落事故でオリンピックメダリストであったご両親を亡くしています。

その中で現役を続け、好演技を見せた彼がメディアの注目を集めるのは当然のことでしょう。応援したくなるのは当然かと思います。

わずかの差の積み重ねが分けた勝敗

マキシム・ナウモフ選手はフリーで会心の出来とまではいきませんでしたが、4回転サルコウを1本降り、若干の着氷の乱れはありつつも演技をまとめきりました。そして彼はスピン・ステップをレベル4で揃えています。

今季国際大会でアメリカ3番手の成績を残していた樋渡知樹選手は、出だしからかなり慎重な滑り。大崩れはしなかったのですが、後半のトリプルアクセルの着氷が乱れてコンビネーションジャンプにできず、リピート判定で基礎点減点になってしまったのが痛かったです。スピン・ステップでもレベル3が二つと取りこぼしがありました。

その結果、SP4位だったナウモフ選手が3位に上がり、SP2位だった樋渡知樹選手が5位となりました。(4位はサンチェス選手)その差はわずか1.92点です。

現時点では五輪代表が誰になるかはわかっていませんが、この1.92点が五輪出場の明暗を分けることになるかもしれません。

ジェイソン・ブラウン選手と樋渡知樹選手に思ったこと

推測ですが、異国の地にいても感じた「マキシム・ナウモフ選手を五輪に行かせてあげたい」という会場の空気感が、その対抗馬になるジェイソン・ブラウン選手と樋渡知樹選手のメンタルに影響してしまったのでは?と私は感じました。

そんな想像をしてしまうのは、彼らのメンタルが弱いと言っているかのように聞こえて失礼だと思われるかもしれません。例え本当にそんな空気感があったとしても、アンドリュー・トルガシェフ選手のように素晴らしい演技をすればよかっただけかもしれません。

でも、私は二人とも観客の暖かい応援を力に変換するタイプに思えるだけに、この空気感の中で演技するのはやりにくかったのではないかと感じたのです。特にジェイソン・ブラウン選手についてはトルガシェフ選手のSNS騒動もありましたし、SP終了後にあれこれ批判する向きもありました。本人の耳にも入っていただろうと思います。

試合後の二人の談話

ジェイソン・ブラウン選手は演技後の囲み取材では、「かなり良い感触だった。準備はできていた。シーズンを通してこの試合のためにできる限りのトレーニングをしてきた。どんどん強くなっていると感じている。だから、足がふらついたり、まるで足が自分のためにそこにいないような感じがしたりするのは、確かにフラストレーションだった」と話しています。

これを聞く限り、メンタルの影響が今回は大きかったようにも思えます。

樋渡知樹選手は、演技後の囲み取材で「全体的には、本当によく戦えたと思います。もちろん、皆さんもお分かりの通り、細かい部分が欠けていました。今日の結果で一番の敗因は、本当に頑張ったのに、それが足りなかったことだと思います。自分に必要なものが足りなかったんです。」と語っています。全力を出し切ったと感じているとも話していました。

樋渡知樹選手の今季の好調を思うと5位という結果は少し残念に思いますが、ジェイソン・ブラウン選手の直後の演技だったことを思うと、あの空気感の中でよく頑張ったと、私も今なら思えます。

マリニン選手は本調子でない中でも優勝

最後に登場したイリヤ・マリニン選手が凄い演技を見せてくれたら、少しは私の複雑な気持ちもスッキリしたかもしれません。しかし、彼も名古屋グランプリファイナル後に交換した靴がまだ調子がよくないようで、本調子ではありませんでした。

彼に3回転ジャンプを何本も跳ばれると、クリーンに着氷しているのに何故か不安になってしまうという不思議な現象を経験しました。後半はしっかりいつものとんでもないコンビネーションジャンプを決めていたので324.88点というブッチギリの優勝ではあったんですけどね。

文句ない演技内容で連覇を続けたのに物足りない想いをしてしまうなんて、なんとも贅沢なものです。

ジミー・マー選手に送られた観客たちの声援

代表選考には絡まなかったけれど、心に強く残った情景もありました。ジミー・マー選手の演技です。

彼も五輪代表候補の一人でしたが、総合11位。昨季に続くチャンピオンシップ大会派遣は期待できない順位で終わりました。でも、彼のフリー演技は本当によかったです。

今季転倒続きだった4回転トゥループも何とか降りましたし、後半のトリプルアクセルの転倒などはありましたが、彼らしさは十分発揮できた演技でした。最後のステップでは会場の観客が大勢一緒に「YMCA」のポーズをやってくれて、最後はスタンディングオベーションの嵐に

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進退についての発表はしていませんが、彼はおそらく今季で引退だろうと多くの観客も考えていたのではないでしょうか?

私も彼がフリーをシーズン初めの「トゥーランドット」から明るいヒットソングメドレーに変更した時点で、「彼は試合で最後のお別れをしてくれているんだろう」とずっと思ってきました。大阪NHK杯でも、「これが彼の試合を直接見られるのも最後だろう」と思って拍手を送りました。毎年全米で見るのを楽しみにしていた選手なので、もし引退してしまったら寂しくなりそうです。

もしこれで現役続行だったらちょっとビックリしますけど、それはそれで歓迎します!

意外にも受け入れやすかった、カナダナショナルの明暗

ここからは全米同様に五輪代表の座を巡って明暗が分かれることになった、カナダナショナルの男子シングルについてです。

2026カナダナショナルリザルト

ペアと男子シングルの結果と五輪代表予想

カナダナショナルは今日の時点でペアとアイスダンスの競技が終了しました。

ペアは元世界王者のディアナ・ステラート=デデュク/マキシム・デシャン組がフリーで大きく崩れ、2位。若手のリア・ペレイラ/トレント・ミショー組が優勝。おそらくこの二組が五輪代表になるかと思われます。

男子シングルはSPで100点近い高得点を出し、リードしていたスティーブン・ゴゴレフ選手が優勝し、SP4位で出遅れていたロマン・サドフスキー選手はフリーで追い上げたものの、2位。五輪代表はゴゴレフ選手になるものと思われます。復帰で注目されていたキーガン・メッシング選手は相変わらず観客を魅了する演技でしたが技術点は伸ばせず、表彰台には届きませんでした。

スティーブン・ゴゴレフ選手とロマン・サドフスキー選手の明暗

私、スティーブン・ゴゴレフ選手は今季SPが大好きで(「スパイファミリー」のロイド・フォージャーさんと我が家では呼ばれています)、フリーはロマン・サドフスキー選手の「月の光」が大好きなのです。なので、どちらが選ばれても、どちらが選考に落ちても残念な気持ちになるのはわかっていました。

カナダナショナルは結果を先に知ってから、アーカイブ動画を視聴しました。演技後にロマン・サドフスキー選手がかなり泣いていた―という情報を知っていたため、私は当初見るのをためらっていました。

しかし、視聴してみたら…ロマン・サドフスキー選手の演技は想像していた以上に心を打つ、素晴らしいものでした。

後半の4回転サルコウで転倒してしまいましたが、それ以外は本当に何もかも見事で美しくて。あぁこんなに美しい滑りができる選手なのに五輪に行かせてあげられないなんて…と悲しくなりました。どんな内容の演技後でも感情をあらわにすることはあまりなかったように思う選手なのに、演技後顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくる姿には心を揺さぶられました。

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惜しかったのは本当にあの1回の転倒だけ。SPのミスが悔やまれますが、フリーは本当に私の記憶に強く残る演技でした。

実は私、全米男子フリーを観終わった後は気持ちが揺れていて、しばらくはカナダナショナルのアーカイブを見る気に全くなれなかったのです。しかし、思い切って観たカナダナショナル男子シングルフリーの動画は、私の気持ちを逆にスッキリさせてくれました。

実力のあるロマン・サドフスキー選手が五輪に行けないのは悲しいことだけれども、彼はナショナルで観客の心に訴える演技をできたし、スティーブン・ゴゴレフ選手はフリーもまとめきって文句なしの五輪出場を決めました。それは悲しくもスッキリとした結末だったと思えました。

複雑な感情を残した今年の全米も、あす代表発表が行われると徐々に気持ちが整理されていくと願いたいです。

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