現地観戦の記憶が薄れる前に、2024年全日本フィギュアスケート選手権の観戦記録をまとめようと思っていた私。
しかし「メダリスト」原作マンガの既刊11巻一気読みしちゃったり(アニメ初回ももちろん見ましたw)、名フェス関連の昔の昌磨さん映像漁りにかまけちゃってすっかり後回しになってしまっていました。
先延ばしにするのもいい加減にした方がいいと思ったので、今日は競技初日の男子SPのみ振り返ります。
男子SP第1~3グループ
全日本の第1~3グループは、一つのミスでフリー進めなくなる可能性があるので本当ドキドキします。
高難度ジャンプ無くとも好きな滑りなので密かに応援してた選手たちがいたのですが、ミスが出てしまい60点台届かず。SP落ちだろうなと思いつつも諦めきれず、しばらくはオンラインリザルトで順位を時折チェックしましたが、フリー進出ならず。
2年前にこの会場で全日本初出場だった中田璃士選手も1番滑走でSP落ちでした。
「あの時もちょっとショックだったよな~」と思い返しながら見ていました。
とはいえ、前半の注目株選手は「よく頑張った!」って思える演技が多かったです。
ジュニアの高橋星名選手や西野大翔選手はトリプルアクセル入りのほぼクリーンな演技だったし、三宅星南選手は着氷少し乱れたけどSPから4回転サルコウ入ったし。中村俊介選手は4回転トゥループこそ転倒だったけど、後のはまとめて世界ジュニア狙える範囲に食らいついたし。
その他の選手たちもミスは最小限に抑えた印象の演技が多く、見ごたえがありました。
男子SP第4~第5G1番滑走までの悪夢展開
しかし後半グループの演技はごく一部の演技以外はメンタル削られっぱなしでした。
まさかあんな展開になろうとは。
三浦佳生選手
第4グループは片伊勢武アミン選手の指先まで一瞬も気を抜かない好演技でスタート。
最初の波乱は2番滑走の三浦佳生選手でした。
NHK杯の時同様、足の調子がよくなさそうーという情報だったので波乱は予期できました。でも、彼は気合でまとめちゃうポテンシャルのある選手ですから、つい期待しちゃうんですよね。
冒頭の4回転サルコウー3回転トゥループは、好調時ほどの流れはないもののしっかり降りて一安心。トリプルアクセルも決まり、後半は確率高い4回転トゥループのみ…と思ったら派手な転倒に。(彼の転倒はいつも豪快ですが)
ただ、それでもスピンステップ全部レベル4で揃えてるんですよね。後半の単独4回転で転倒しても88.87点出せる底力はやはり凄いです。
この時は「あぁ、佳生くんはちょっと出遅れてしまったな…」と思ってました。
それがまさか最終的にSP4位になろうとは!
壷井達也選手
壷井達也選手は、滋賀のサマーカップではセルフコレオの新SPでしたが、その後昨季の「アランフェス協奏曲」に戻しました。「滑り慣れているプロだから」とあまり不安には思っていなかったのですが…4回転サルコウの着氷が乱れたのはともかく、その後のアクセルがまさかのすっぽ抜け。
今季の演技が安定してただけに、「えええええええ」ってなりました。
転倒はあっても「抜け」は少ないイメージの選手でしたしね。
彼も三浦佳生選手同様、スピンステップはレベル4で揃えました。しかし4回転サルコウのGOEマイナス&アクセルのすっぽ抜けが響き、得点は73.94。
去年の全日本男子フリーの「神試合」展開は最終前グループの吉岡希選手&壷井達也選手から始まっていました。彼は今季は絶対後半2グループには入るだろうと予想していただけに結構ショックでした。
島田高志郎選手
直前の大島光翔選手はスピンで若干乱れはあったものの、全体をまとめた好演技!彼のジャンプは迫力あって好物です。島田高志郎選手をリンクに送り出した後のステファン・ランビエールコーチが「やったね!」とキス&クライに祝福に行くぐらいでした。
好調と伝えられていた島田高志郎選手、去年の全日本で実力が発揮できていなかっただけに私の期待は大きめでした。
冒頭の4回転トゥループ転倒はまだ想定内のミスでしたが…全くの予想外だったのは後半のトリプルルッツートリプルトゥループの転倒。「えええええええ」ってなりました。一番驚いていたのは本人だったかも…さすがに直後は動揺が見えた気がしました。
ジャンプ以外の部分はツイズルもハイキックも美しくてさすがの一言。でも2転倒してしまうとどうしてもPCSが伸びない。SS7.68点…素敵な演技nのに悲しい。
壷井達也選手と同様、フリーは前半グループ確定となってしまいました。
佐藤駿選手
第4グループの最終滑走は佐藤駿選手。今季SP「ラベンダー」は気に入ってるプロの一つです。私は今季の彼の演技を一度もナマで観ていないため、凄く楽しみにしていました。
さほど不安も抱かずに演技を見始めたのですが、冒頭の4回転ルッツが変な転倒になりビックリ。テイクオフがいつもと違って、回り切れずに転倒した感じでした。
その後の4-3や後半のトリプルアクセルを決めたのはさすがの一言。しかし全体的に「動揺が薄く見え隠れする状態」で、私が観たいと願っていたしなやかな動きには少し欠けていた印象でした。
「これは点数伸びないかもな…」と構えていましたが、予想を更に下回る81.90。後でジャッジスコア見たら、4回転ルッツがアンダーローテーション判定になっていました。
第4グループのチャンピオンシップ大会代表候補全員が大きなミスをするという展開に、「なんか悪い夢でも見てんのかな…」という想いでした。
吉岡希選手
第5グループの6分間練習に入った時は、「ここで流れが変わってほしい」と願いました。しかし第5グループ一番滑走の吉岡希選手の演技も悪夢のような流れに。
冒頭の4-3は転倒、後半のトリプルルッツがまさかのシングルで要素抜け点。「もしコンビネーションジャンプが二つとも回転不足食らってたらフリー進出もやばいのでは?」って脳内プチパニックに。
結局ダウングレードされたのはセカンドの3回転トゥループだけで、得点は63.76。SP落ちは免れましたが、フリーは第1グループの滑走に。「嘘でしょ?」って思いましたよ。
今季の吉岡希選手がジャンプ不調気味なのは「何か慢性的な怪我でも抱えてるのか?」と心配していたのですが、「全日本3週間前に怪我をしていた」という情報がフリー演技後に流れていました。
悪夢に割って入った織田信成選手の「マツケンサンバ」
このどうしようもない悪夢の流れの中登場したのが、織田信成選手。
彼はミニマムスコア持ってないから代表争いには関係ない。今季引退表明済みだから来季の強化指定枠を狙う必要もない。観客は純粋に彼の演技だけを楽しむことができる。
何だか救世主が現れたような気分でしたよ。「頼む!この流れをどうにかして!」って拝むような。
脳裏に蘇る、以前の現役時代の悪夢
しかし。
彼をかつて応援していた人なら、「織田くんへの期待が裏切られてきた瞬間」の記憶の数々が残っています。私もその一人。
世界選手権のたびに「今年こそ!」と思って応援し続けたけど毎回「あああああ…またかー(TT)」となった記憶がじわ~りと蘇ってきます。
脳内では過去の自分が「期待し過ぎちゃダメよ!冷静に見守るのよ!」と必死で語り掛けてましたね(苦笑)
とはいえここは世界選手権ではなく全日本です。全日本はいい時とよくない時どちらもありました。
今回はどちらに出るだろう?年を重ね色んなショー等で経験を積んだから、この異様な空気の中の本番にも強くなっただろうか?ーと期待を込めつつも冷静に見守りました。
いざ、37歳による全日本SP!
そんな不安があったからこそ、冒頭の4-3決まったのは本当に気持ち良かった!
地方大会の演技&6分間練習の様子からいって「ここから後は心配ないだろう」と思えました。だから私は安心して「マツケンサンバ」の手拍子を始めたのですが…衣装チェンジで袖がスムーズに下りないハプニング発生!
この時だけは思わず「がんばれ!」と声が出ちゃいました(苦笑)。
この日私が演技中に発声したのはこの時だけ。
しかも応援してるのはスケートの技に対してではないというw
なんとか無事袖の金フリルが出てきて、そこから後はマツケンサンバワールド全開でした。
近畿選手権の会場で見たときは後半は少し疲れが見えていましたが、今回は最後までエネルギーを保ち続け、スピンのレベルも上がってたのには感動しましたね。本当に仕上げてきました。
その後の演技には衣装替えで焦った影響を全く感じさせなかったあたり、数々のアイスショーで場数を踏んできたベテランの強みを感じましたよ。
大ベテランの選手に失礼極まりないですが、「織田くんも立派に成長されて…(涙)」みたいな気分でした。今思うと衣装チェンジに手間取ったことは、場内を応援モードに持ち込むいいスパイスだったと思います。
彼の現役全盛期は、4回転ジャンプでミスした際の減点幅が非常に大きかった時代。SPでは4回転を入れるリスクを回避する選手がほとんどで、織田選手も回避していました。その彼が全日本のSPで華麗に4-3入れてプログラムをまとめる姿を引退10年以上経ってから見られるなんて感無量。
織田選手はキス&クライで「ルッツ緊張した…」と震える声で語っていました。私が鉄板だと思って安心していたタノ(両手を上げて飛ぶ)のトリプルルッツひとつにも緊張していたとは。
「大舞台に弱い」と言われ続けた彼が、この大一番でいい演技を見せてくれたのは素直に嬉しかったです。
場内が一体になって盛り上がってた感は、そりゃまぁ凄かったです♪
フレッシュな風を送り込んだ中田璃士選手
続いた登場したのは中田璃士(りお)選手。
彼もまた世界ジュニア出場が確定しており、シニア年齢に達していないため代表争いとは無縁。ドキドキせずに見守れる数少ない選手なので、織田信成選手のマツケンサンバの後に滑るには最適な人物でした。場内大盛り上がりの直後に滑るという経験も積めますしね。
シニア構成で挑める全日本ではSPから4回転絶対入れてくると期待していました。6分間練習では4-3で転倒したり、超華麗に決めたりと若干不安定さを見せていましたが、本番は華麗に決めてきました。
スピンステップオールレベル4でクリーンな演技!課題だったスピンも年々よくなってきてますよね。「こりゃ90点前後行ったりして?」と思ったら本当に超えてきちゃいました。
スピンの回転数など微妙なところが複数あったようで、中庭コーチは下手するとスピンにV(「要素が足りていない」との判定で、基礎点が減る)が2つつくかも?と予想。「85点あれば…」と発言していました。
でも結局Vは一つもつかない綺麗なスコアで90点台。一同ビックリ!というところが「伸び盛りのジュニア選手のキスクラ」らしくて微笑ましかったです。
その様子は、ジュニア時代の宇野昌磨選手が満知子先生に抱き寄せられてた時代をちょっと思い出しちゃいました。
まぁ「ガッツポーズ多すぎ」とたしなめられる璃士くんと、満知子先生に手を取られて操り人形のようにガッツポーズをさせられる昌磨くん(2013)との個性の違いは大きいんですけど(笑)。
しかしその後登場する代表候補選手たちは…
鍵山優真選手
二人続けての好演技で流れはすっかり変わり、私は鍵山優真選手の完璧な「サウンド・オブ・サイレンス」を見る気満々でした。
大舞台に強い印象がある鍵山優真選手もトップ選手になってからの全日本SPは鬼門なんですけど、そんなことは忘却の彼方。それ位の高揚感をこの時は感じていました。
なもんで後半のトリプルアクセルが明らかに回転が足りてない感じの転倒になってしまったのは驚愕。せっかくの絶品ステップも、そのショックから立ち直り切れないまま終わってしまい。何とももったいないことをしました。
ホント佐藤駿選手も鍵山優真選手も普段見たことのないような感じの転倒でした。
「関東ボーイズ仲良く3人とも転倒しなくたっていいじゃないかよー!」って思いました。
山本草太選手
なので、次に山本草太選手がリンクに現れた時も不安が押し寄せました。
「いや、彼は去年の全日本で自分の予想をいい意味で裏切ったフリー演技見せてくれたし、ベテランだからこの流れには引きずりこまれないかも」と思いながら演技開始を待ちました。
冒頭の4-3は決まったのですが、アリーナS席の私の目の前で跳んだジャンプは4回転ではなく3回転。「今のサルコウ…3回転だったよね?それとも私が見間違えた?」と脳内パニクってる最中に挑んだ後半のトリプルアクセルは転倒。
決まった四回転が1本で後半アクセル転倒では点は出そうもない…とかなり厳しい点を覚悟。それでも80.10点と80点台には載せてきました。
友野一希選手
最終滑走は友野一希選手。
「王者メンタル」で臨んでみたーというSP、確かにいつもとは違う雰囲気のリンクインでした。「もう私のメンタルズタズタだからお願いだから最後はいい演技で締めてちょうだい!」とこれまたお願いモードに。
鍵山選手がアクセル転倒&ダウングレードで92.05と、彼の実力からしたらかなり低い得点。もしここで友野一希選手がノーミスで演技できたら確実に超えます。
冒頭の4ー3、4回転サルコウは決まり、「次のアクセル決まれば友野くんまさかのSP首位スタート?」と期待が一瞬出てきたその直後。トリプルアクセルの着氷が乱れ「あああ、もったいなーい!!!」ってなりました。「なにやってんだよ~」って思ってしまった宇野昌磨さんに近い心境だったかも。
フィンランド大会でもトリプルアクセル苦労してたし、驚きはなかったです。むしろ「転倒せずによくこらえた!」って感じ。
でも、もしジャンプノーミスで首位スタートだったら…SPもフリーも最終滑走のプレッシャーはエグかったと思うので、SP3位はいい順位に着けたかなとは思いました。
私は最後のスピンしか気にならずでしたが、選手&コーチ目線では「スピン全部やばそう」だったみたいで明るくダメ出し食らってます。遠慮のないこの空気感、私は好きです。
男子SP全部を振り返って
幸か不幸か代表候補選手たちが全員大きなミスをやらかすという結果だったので、代表争いは横一線スタート。全ては翌日のフリー次第、となりました。
乱調の演技が相次ぐ中で輝きを放ちまくった織田信成選手と中田璃士選手の存在感は凄かったです。有力選手の乱調っぷりがあまりにもショックでブルーになっていましたが、今男子SP全体を改めて思い返して見ると、素晴らしい演技もたくさんありましたね。
フジテレビさんがまとめた全スケーターのSP演技をまとめた振り返り動画を最後にはっておきます。
こちらの動画は「各選手のいいところの詰合せ」なのでミスシーンは入ってません。なので心穏やかに振り返ることができます。
個人的には朝賀俊太朗選手の終了後の挨拶(四方に向けグリコのポーズ♪)を入れてくれてるのがツボでした(笑)
全日本振り返ってたんで、インカレ演技ライブでは観られてません。後でFODチェックします!