名古屋GPF観戦記<1>GPFの記憶を辿る旅&島田麻央4連覇・中田璃士2位のジュニア全カテゴリ振り返り

晴天のIGアリーナ外観 手前の階段を上がる人が映っている

2025年フィギュアスケートグランプリファイナル(GPF2025/2025GPF)、現地で観戦した記憶を振り返っていこうと思います。

前半は私自身の過去のGPFの想い出、後半はジュニア全4カテゴリの振り返りです。シニアの各カテゴリについては別記事で振り返ります。

2025名古屋GPFリザルト
※出場者リスト・スケジュール・採点結果などの一覧です 

目次

GPF観戦の記憶をたどる

私がGPFを現地観戦するのは2017名古屋GPF初日、2023北京GPF以来のこと。

2017名古屋GPF

2017名古屋GPFは当時シニア若手で上り調子にあった宇野昌磨選手ネイサン・チェン選手をどうしても生(ナマ)で観たくて、何とか仕事の半休をとって、日帰りで1日だけ観戦しました。

2017名古屋GPF 12月7日S席の電子チケット画面

本当は宇野昌磨選手の演技はSP「冬」よりフリーの「トゥーランドット」の方が見たかったのですが、あいにくフリーの日はチケットが取れず(チケット販売開始時点では仕事の休みが取れるかわからず出遅れました)

フリーの日は伊藤みどりさんがスタンドに観戦にいらしてたんですよね。

でもネイサン・チェン選手のSP「ネメシス」も大好きだったんでSPだけでも見られてよかったです。ペアもアイスダンスも見られたし。

とはいえ職場から直行して会場に着いたのは、ジュニア女子の最終演技前。最終滑走者のアレクサンドラ・トゥルソワ選手(当時13歳)の演技しか見られなかったのは、もったいなかったです。


当時のサイトで出場メンバーを改めて見ると「何とかして1日フルに休み取れなかったのかよ自分!」って思います。ペアとアイスダンスの面々も、今になって当時のエントリー見ると、懐かしすぎ。

幻の2021大阪GPF

2021大阪GPFの直前中止は、未だに悲しく悔しいです。

この時も仕事状況が不明でチケット早期手配できず、私が確保できたチケットは男子SPの日のみ。フリーの日はリセールを開始初日から申し込んでいました。

中止決定のニュース速報を職場で目にしたときの呆然とした気持ちは今でも忘れられません。

下記は当時のテレビ朝日のグランプリファイナルページ。

カップル競技を無視しがちなテレ朝サイトなのでアイスダンスの紹介がないのですが、シニアのアイスダンス出場組はこちら。全カテゴリ出場メンバーは豪華そのもので、今も眺めるとため息がでます。

名古屋GPFで思い出す、2021GPF中止の悔しさ

今回の名古屋GPFの素晴らしい演技&演出を見るたび、私は「選手達が五輪に向け仕上げつつある演技を披露する機会が奪われてしまったこと」を何度か考えました。

素晴らしい演技をした選手たちのファンが羨ましかったです。きっと今後何度も繰り返してあの演技動画を見返すことができるでしょう。

2021グランプリファイナル12/9(木)スタンドSS席のチケット画面

私は未だにあの決定を恨んでいます。他の大規模国際大会に比べたらGPFでの入国人数は小規模だったんだから、せめて観客不在での開催にしてほしかったです。

日本開催GPFをフル観戦できたことで、少しはあの時のリベンジを果たした気持ちにはなれました。

でも、いい演技を見たり、場内に歓声が響くのを聞いたりすると…。
気持ちは高揚しつつも、心の奥にある「失われた2021GPFへの切なさ」は増しました。

2023GPFと2025GPFは通し観戦

会社勤めを終えてから開催された2023北京GPF今回の2025名古屋GPFでは、満を持して通し券を購入しました。

実は、私が国内大会で通し券を買ったのは今回が初めて。

IGアリーナは大規模な新会場だし、いつものように連日違う席で見る方が楽しいだろうなとも思いました。でも、過去の日本開催GPFでは、男女シングルフリーの日は取れなかったので「万一抽選に外れてチケットが取れなかったら…」との不安が大きかったからです。

実際は販売開始初期に申し込んでおけば、何の支障もなく単日券で全日程揃えられたでしょうけどね。

それでも男女シングルフリーがある土曜日は早々に完売になっていたので、早めに抑えておいてよかったです。

「『フィギュアスケート人気が落ちてる』と根拠がよくわからない報道をするメディアがたま~にあるけど、全然そんなことないよw」って思います。

「宇野昌磨選手」の不在

私が過去に現地観戦したGPFには全て宇野昌磨選手が出場していましたけど、今回は彼の姿がありません。

2025名古屋グランプリファイナル開催が決まった2024年4月はまだ引退発表前だったので、「もう一度名古屋GPFで彼の雄姿が見られないものか」と願ったのですが、叶わず。

「強い思い入れがある選手がいない試合」は、気楽に観戦できますね。

隣の席の方が、応援している選手のジャンプ前に毎回息をつめて祈り、着氷に歓喜する姿を見て、羨ましくもあり、寂しくもありの複雑な気持ちになりました。今の私にはそこまで強烈な感情は訪れない。

もちろん出場している選手たちの多くを応援しています。思い入れが育ちきっていないので、今は感情が適度なボルテージに収まっているだけ。

名古屋GPFは合間に過去の記憶に浸りつつ、程よい熱さ加減で試合観戦&エキシビションを楽しんだ4日間でした。

ジュニアGPFの振り返り

ここからはジュニアのGPFを全カテゴリを順に振返っていきます。

男子シングル

ソ・ミンギュ選手がJGPF連覇

ソ・ミンギュ選手(韓国)が255.91点というシニア男子顔負けのスコアでSP2位からの逆転優勝を果たしました。

エクソジェネシスの音楽にのせた演技はすばらしかったですね。滑りも所作も、いやそりゃ点出るし韓国ナショナルで優勝しちゃうわって。4回転1本構成でフリー171.09は驚異的なスコアですが、演技に全く隙が無かったです。

彼は4回転2種以上を習得できるか否かがシニアでの活躍を左右するかと思いますが、滑りの確かさ&ジャンプ着氷の美しさで加点を稼ぐ、鍵山優真選手的な立ち位置のスケーターになりそうだなという想いを強くしました。

私はJGPFデビューシーズンは「宇野昌磨選手のジュニア時代を思い出させるな」と思って注目していたのですが、二年目から「あれ、なんか違う路線になってきた」と思い始め、今ではすっかりその印象はなくなっています。(彼自身の個性を感じるようになったという意味で、否定的な意味ではありません)

ジュニア構成なのに255.91点って、シニアGPS表彰台乗れるじゃん!って思いました(苦笑)

中田璃士選手はフリー自己ベストも2位

中田璃士(りお)選手は、4回転3本着氷したところまでは凄かったのですが、後半のスタミナが持たなかった印象。

本人は演技終了直後にはガッツポーズをしていましたが、4回転3本入ったとはいえこの後半の演技では厳しいだろうと思いました。リンクを引き上げる時には心なしか本人も不安そうな面持ちに変わってきていたので、内心では「ちょっと厳しいかもしれない」と思い始めていたのかもしれません。

フリーは162.33と自己ベストスコアではありましたが、SP1位から逆転を許しJGPFは2大会連続の銀メダルとなりました。

怪我からの復帰から間もないのにトゥループ2本&サルコウの4回転3本MAX構成で挑んできたのは、自分の強みをジャンプだと考えての決断でしょう。

でも、おせっかいなファンとしては「数年後も健康な体でトップスケーターでいられること」を最優先してほしいです。

疲労骨折の件が明かされて以来、個人的には4回転トゥループを跳ばれると少しドキドキしてしまいます(インタビュー記事によると、当時の3週間前の時点では4回転トゥループは止められていたそうなので)今は医師がOKを出しているのかもしれませんが、無理はし過ぎないでほしいと思ってしまいます。

といっても、十分な休養をとらなかったことで選手生命に影響が出てしまった事例もあれば、疲労骨折後も医師の指導のもと短時間集中練習を続けてその後も活躍し続けた宇野昌磨選手みたいな事例もあります。

こればかりは外野のファンには本当わかりませんね…

銅メダル争いは僅か0.25点差

銅メダルは4回転2本を決め、プロをクリーンにまとめたルシウス・カザネツキ選手(米国)でした。彼はJGPSの試合で受けていた印象通り、ジャンプ偏重のきらいはあるものの、所作は丁寧な選手でしたね。

でも、私としては、滑りと所作が優れていたデニス・クルグロフ選手(ベルギー)に表彰台に乗ってほしかったです。4回転なしの構成なのに、カザネツキ選手とはわずか0.25点差でした。

上記のジュニアグランプリファイナルの出場選手まとめ記事を書いた当時、私はデニス・クルグロフ選手の演技の記憶が薄い状態でした。ナマで見た彼の滑りはとてもよかったです。でも今の採点制度だと4回転のない選手はどうしても点が伸び切りませんね…。

女子シングル

フリーでは全員がトリプルアクセルに挑戦

ジュニア女子は全員がフリーにトリプルアクセルを投入してきました。

フリー6分間練習は誰を見たらいいものか悩ましかったです。練習では日本女子は皆トリプルアクセルに苦戦していましたが、韓国のキム・ユジェ&キム・ユソン姉妹は軽々と決めていて「本当にトリプルアクセルだったのかな?」と自分の目を疑うほどでした。

トリプルアクセルを決めたキム姉妹に割り込む岡田芽依選手

島田麻央選手以外ではキム姉妹のみがクリーンなトリプルアクセルを下りました。二人ともSP時はミスが出て5&6位発進となりましたが、二人揃ってフリー演技をクリーンに決めたので「双子でダブル表彰台もありうる?」と一時は思いました。

しかし、SP2位だった岡田芽依選手が、トリプルアクセルは転倒したものの他をまとめたことにより双子姉妹の間に入り込んで銅メダル、SP5位だったキム・ユソン選手が銀メダルとなりました。

余談ですが、エキシビションでのキム姉妹の演技は楽しかったですね~。

最初チアリーダー風衣装で二人で揃って出てこられて「全く区別がつかん!」と思っていたら、衣装の背番号の上に「ユソン」「ユジェ」ってちゃんと書いてあって助かりました(笑)

ファンの方に聞いた話ですが、二人を見分けるポイントはルッツ・フリップどちらが得意かだけではなく、姉のユジェさんの方が少し顎がシャープらしいです。…やっぱり区別がつけられないかも(苦笑)。

島田麻央選手はJGPF4連覇達成

島田麻央選手は6分間練習では調子が悪そうにしか見えませんでした。

なので、全日本ジュニア選手権のようにトリプルアクセル&4回転トゥループ双方にミスを覚悟して演技開始を見始めたのですが…

トリプルアクセルは見事に着氷。4回転トゥループは回転が足りず転倒したものの(アンダーローテーション判定)、そこから後は全て決めてきて、ジュニアグランプリファイナル4連覇を果たしました。

本当ここ一番には強い選手で、毎度惚れ惚れします。

でも、彼女も今季は骨挫傷もありました。世界ジュニアでも連覇を目指すでしょうが、くれぐれも無理をせずシニアで活躍する未来を最優先してほしいです。

中田璃士選手も島田麻央選手も来季やっとシニアに上がります。

ペア

ジュニアペアはカナダ VS 中国

カナダ3組・中国3組の出場となったジュニアのペアカテゴリ。

一方、シニアのペアはカナダ・中国以外の6か国(全部国が違う!)という所属国構成が興味深い大会となりました。

4回転ツイストに盛り上がる

私が一番演技を見るのを楽しみにしていたのは、優勝した中国のペア・Rui Guo & Yiwen Zhang組(日本語表記が確定していないので、英語表記のまま記載)

6分間練習で4回転ツイストを見て「うぉー!」ってなりました(笑)

実はナマで4回転ツイストを見るのはこれが初めてでして

以前試合で彼らが4回転ツイストを成功させたのに、テクニカルパネルが見間違えて3回転の記録になってしまったという逸話を聞いたことがあります。

でも、「あれはどうみても4回転だろ!どうやって見間違えたんだ」と思うぐらい見事でした。(その時は今ほどの精度がなかったのかもしれませんが)

4回転ツイストはかつては実施するペアがそこそこいました。

しかし、難易度の割にトリプルツイストとの基礎点の差が大きくはなく、「加点の得にくい4回転ツイストをやるよりも美しいトリプルツイストで加点を2~3点貰う方がお得」となり、一時は絶滅寸前になっていました。

北京五輪で「スイハン」ことスイ・ウェンジン/ハン・ツォン組が久々に4回転ツイストを決め、これが金メダル獲得の要因のひとつとなったのは記憶に新しいです。

スイハンとの思わぬ共通点

ちなみに北京五輪のスイハンが4回転ツイストで得た点数は加点も含め10.42。

そして、今回Rui Guo & Yiwen Zhang組が決めた4回転ツイストも10.42!それ位精度の高い仕上がりだったということです。

ただの偶然の一致とはいえ、面白いです。

彼らはスイハンと同じ拠点だそうで、今後の成長を楽しみにしたいと思います。エキシビションでも電車に乗り込む小芝居を見せていて好感度高かったです。

下記は彼らを取り上げたISU公式サイトのニュース記事です。

カナダVS中国の争いは、1位から順に中国・中国・カナダ・カナダ・中国・カナダとなりました。

アイスダンス

アイスダンスFDは、シニアカテゴリFDと連続で実施されました。

ジュニアカテゴリを見ると「いや~ジュニアなのに皆うまいな~」って思うんですけど、その直後にシニアのアイスダンスを見せられちゃうと…「レベル違い過ぎw」となって記憶がかき消されてしまいまして。正直申しまして、あまり記憶に残っておりません。

優勝したアメリカのカップルのハナ・マリア・アボイアン/ダニール・ヴェセルーヒン組(米国)が頭一つ抜けている感があったことは記憶に残っています。アメリカは層が厚いな~って思いました。

彼らのエキシビションは特に印象的でしたね。手持ちマイクを小道具に使ったパフォーマンスだったんですが、堂々たる感じはジュニアとは思えないぐらい観客アピールが激しかったです。彼らの成長も楽しみに見守りたいと思います。

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