今日から滋賀の木下カンセープレゼンツ サマーカップ2025フィギュアスケート競技会(旧げんさんサマーカップ)と米国のクランベリーカップ2025と山梨の関東サマートロフィーが始まります。私は滋賀の会場に行って生観戦するか、配信で各試合を時間差で追うか今も悩み中です。
そんな中、今回は敢えて「時空がゆがんだのか?」という投稿をば。
というのも今月中に、ボストンで現地観戦した2025年世界フィギュアスケート選手権の記録をいい加減終えたいと思っていまして(苦笑)。
今回は、「超・超・今さら」な、ボストンで開催された2025世界フィギュアのエキシビションの振り返りです。

「記憶が薄れまくっているからもう書けないんじゃないか?」と思ってたんですが、当時の写真を見返したら意外と記憶が蘇ってきました
後は、会場のボストンTDガーデン内ロビーで開かれていたマシュー・キャロンさんの衣裳展+現地の小ネタエピソードを残すのみ。あと一息で、私の2024-25シーズンに区切りがつきそうです。
今年のワールドのエキシビションは昨年に比べると…
エキシビションが開かれたのは2025年3月30日(日)。4カ月以上前にさかのぼります。
正直言って、ボストンのエキシビションに関する私の記憶は、昨年のモントリオールワールドと比べると若干薄めでした。
エキシビションそのものよりも入場前に遭遇した男子シングルのスモールメダルセレモニーのことの方がより強く記憶に残っています。

2024モントリオールワールドのエキシビションは前後編に分けて鑑賞記を書いたぐらいに楽しめて、当時の映像を見返さずとも色々思い出せるんですけどね。
パトリック・チャンさんやエルヴィス・ストイコさんなど、地元カナダのレジェンドスケーターたちが演技してくれたことも大きかったかな。

会場の観客による「ベストパフォーマンス賞」投票も、実際に参加するぶんには楽しかったですしね。あと何と言っても一番応援していた宇野昌磨選手が出ていたのもあったかな。あれが現役選手としての最後の国際大会での演技でした。

ボストンのエキシビションにもスコット・ハミルトンさん(世界選手権4連覇&サラエボ五輪金)は登場してはいます。でも、リンクサイドでのトークのみで、演技を見せてくれたレジェンドスケーターはおらずでした。
スコット・ハミルトンさんの何とも懐かしい衣装を着たキッズスケーターの演技は現地では楽しめましたけれど、何かを語りたくなるようなものではなく。
ショー全体の演出としては、出演スケーターを「春夏秋冬」グループに分けて、リンクサイドで季節ごとの映像を投影したスクリーンを背景にスケーター達が立ち、ちょっとした小芝居をさせていました。

「エキシビションは出場選手中心のイベントであってほしい」という向きには歓迎される演出かもしれませんが、私は地元レジェンドスケーターの演技を少しは見せてほしい派ですね。

米国のレジェンドスケーターは大勢いますが、今もショーで滑ってる方がほとんどいないから仕方ないのかもしれませんが…
私の中でこの大会のエキシビション演技の記憶が薄めなのは、今年1月末の米国航空機墜落事故追悼イベントの側面があったことも理由の一つかもしれません。
エキシビション前半の締めには、事故でご両親(1994幕張ワールド金メダルのヴァディム・ナウモフ/エフゲーニヤ・シシコワ組)を亡くされたマキシム・ナウモフ選手の演技が披露されました。

ボストンワールド会場が多数の犠牲者が出たボストンスケーティングクラブの本拠地ということもあり、今大会のエキシビションは追悼色が濃くなるのでは?と予想していました。
しかし、ふたを開けてみればコミカルで明るい演目が予想以上に多く楽しい雰囲気。
それでも要所要所に追悼の演技が入るたびに事故犠牲者を想い、気持ちを切り替える感じだったので、記憶に残りづらかったのかもしれません。
ーでもあの事故がフィギュアスケート界に与えた衝撃を思うと、ボストン開催なのに追悼なしのエキシビションなんてありえないですからね。
先だって行われていた追悼アイスショー「Legacy on Ice」とワールドのエキシビションは異なる場です。だからこそ観客には楽しんでもらいたい。でも犠牲者のことも忘れてほしくないーという関係者の複雑な想いがあったように思います。

楽しかったエキシビションプログラムを振り返る
とはいえ、現地で私が撮影した写真を見ながら思い返してみると、出場したトップスケーター達の演技はどれも見ごたえはありました。
しっとり系のプログラムもいい演技が多かったですが、会場が盛り上がった楽しい系プログラムを中心に振り返ってみます。
懐かしのプロ披露
前半だとジェイソン・ブラウン選手の懐かしい「リバーダンス」には場内大盛り上がりでしたね。
「リバーダンス」は2013-14、ソチ五輪シーズンのフリーです。この衣装を見た瞬間、観客が「リバーダンス」をやるんだと悟り熱狂に満ちた空気に。
それもそのはず。彼は2014年全米選手権が行われたこの会場で「リバーダンス」を披露しているんです。(私はそのことは後で知りましたがボストン在住の観客は感動ものだったでしょう)

ワールドのエキシビションともなると、各選手のエキシビションプログラムの多くが「お馴染みのプロ」になっている中、こういう「懐かしいけど新鮮」な演技が挟まるのもいいものです。
定番プロも安定の楽しさ
「お馴染み」となった定番プロでも、「コンマチ」ことサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組の男女逆転プロ「Perfection」は安定の楽しさ。演技のレベルがパワーアップしてましたけどね!

もう五輪のエキシビションでもこれやってもらって、世界中のライトファンたちにも見ていただきたいくらい好き。
終盤の金メダリスト演技のターンで「りくりゅう」こと三浦璃来/木原龍一組を見られたのは胸熱でした。

彼らの2024-25シーズンの競技プロはどちらも渋い系だったので、ハッピーオーラ炸裂したエキシプロ「Can’t Stop The Feeling」は何度見ても楽しい。
本当は後半のジャイアントスイングを記念に撮影したかったんですが、私の座席位置から超遠いショートサイド。カメラのピントが合う前に技が終わってしまい、こんな超ピンボケ写真しか撮れず超残念(苦笑)。

この写真、「この選手は誰?」ってクイズに使えそうですね。まぁスケオタなら「りくりゅう!」って即答しそうですけど(笑)。
ワールドバージョンに進化した定番プロ
ニーナ・ペトロキナ選手に殺された三人の男子スケーター
定番プログラムでも、ワールド特別バージョンを見せてくれたスケーター達もいました。
そのうちの一人はエストニアのニーナ・ペトロキナ選手。演目はミュージカル「シカゴ」で女囚たちが自分たちが犯した殺人の告白をする「セルブロックタンゴ」。

欧州フィギュアスケート選手権(ユーロ)のエキシビションでは、セレフコ兄弟を含むエストニア男子全員を殺害しました(苦笑)。

なので私は、「ワールドでは誰が殺される(役をやる)のか?」と楽しみにしていました(苦笑)。
最初に銃殺されるペアのルカ・ベルラワ選手、次に毒殺される二カ・エガーゼ選手は現地で判別できたのですが、最後に絞殺される男子選手が誰だかがよくわかりません。
ロングサイド中央のリンク壁脇に、「殺される予定の男性」が座ってるっぽいのは演技開始直後に気づいたのですが、辺りが暗いからシルエットしか見えなくて。
私の席からだと肝心の殺害シーンではニーナ・ペトロキナ選手の陰に隠れて顔がよく見えず。演技終了後も暗闇の中そそくさと退場していったので、私は最後まで「あれはいったい誰だったんだろう?」と謎が残ることに。
現地で撮影した写真を見返したところ、最後に絞殺される役はアダム・シャオ・イム・ファ選手だったことが判明しました(苦笑)。

彼が氷の上に崩れ落ちた後も、ニーナ・ペトロキナ選手の演技は1分続きます。でも、アダム・シャオ・イム・ファ選手は微動だにせず最後まで死体役になりきっていました。迫真の演技でしたね!
アダム・シャオ・イム・ファ選手による「エキシビションゲスト出演」裏話
ちなみにアダム・シャオ・イム・ファ選手は4月の国別対抗戦時の海外専門メディアの取材で、ワールドエキシビションの裏話をこのように語っています。

<質問>ニーナ・ペトロキナのエキシビションプログラムに出演した際、彼女が あの“殺人者たちのタンゴ”であなたを殺す演技をしたことはかなり話題になりましたよね?
上記記事より引用(筆者の拙訳なので間違いあったらすみません)
アダム:あれは本当に面白かったですね。ニーナが近づいてきて、「私のナンバーに参加してくれない? あなたを殺したいのよ」って言ったんです。それから「どうやって死にたい? 頭を撃ち抜かれたい?それとも絞殺?毒殺?」って聞かれたんです。
なので「好きにして」って答えました。その結果、僕は地面に寝転がる羽目になっちゃってね。
「演技の途中で立ち上がって椅子を畳んで立ち去ったら変だよな」って思ったんです。じきに終わるだろうって思って待ってたんですけど、思ったよりも長くって(笑)。
やりとりしてるところ想像すると笑えますよね。そして、氷の上に寝そべりながらの1分間「まだ終わんないのか~?」って思いながら待ってたのかと思うと、ニーナ・ペトロキナ選手の終盤のかっこいい演技も面白くなっちゃいそう(笑)。
ミハイル・シャイドロフ選手の「カンフーパンダ」最終形?
私が一番楽しかったのは、ミハイル・シャイドロフ選手の「カンフーパンダ」でしょうか。
昨夏のアイスショー「THE ICE」から何度もこの演技を観てきましたけど、観る度に進化を遂げていったのを感じとれたのが大きかったかもしれません。

カンフーパンダが今回闘うのは、格闘アクションゲームキャラを演じた、ペアの「メテベル」ことアナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組のルカ・ベルラワ選手!

ファイトシーンはこれまで見せてもらった中で一番凝ってて楽しかったです。ペア技も入ってましたしね。
着ぐるみを着ているシャイドロフ選手を背中に載せてスピンしたり、両足もって振り回したりするルカ・ベルラワ選手もとんでもないけれど、素直に振り回されてるシャイドロフ選手もなかなかのもので(笑)。

着ぐるみ着たまま決めたトリプルトゥループがツボでした。シングルしか跳べなかったときや転倒したときもあったのに、ワールドではビシッと決めたよ!って。

場内の喝采に応えるとき、着ぐるみの中にのぞく顔が笑顔なのが遠目でもわかって楽しかったです。

この若さでこれだけのエンタメ系エキシプロを用意して来る心意気はさすがロシア系のカザフスタン人。ワールド銀メダリストがこういうコミカルプロをやるってところがカッコいいなって思います。
まさか彼が銀メダルを取ってこのシーズンを終えるときは「THE ICE」でカンフーパンダを初めて見た時は全く想像してなかったですけどね。
(上位勢の調子次第では銅メダルに滑り込む可能性はあるかもね~とは思ってたけど、銀メダルは予想外でした)
締めはマリニン選手による米国航空機事故犠牲者追悼プログラム
このエキシビションでの前半の締めはマキシム・ナウモフ選手、最後の締めはイリヤ・マリニン選手。どちらも航空機事故を受けた追悼の演技でした。(他にも追悼と思われる演技をするスケーターはいました)

正直なことを言うと、私はマリニン選手の演技自体にはあまり入り込むことができないまま終わってしまいました。
これは彼の演技がどうこうというのではなく、会場の観客と自分との温度差を感じてしまったせいです。
ペアのアリサ・エフィモア/ミーシャ・ミトロファノフ組(米国)のフリー演技の時と同じ。会場の観客が強く心打たれているのが伝わってくれば来るほど、自分との温度差を感じてしまってのめりこめなくなっちゃうんです。悪い癖というかなんというか。

それでもこの演技終了後に感極まって涙するイリヤ・マリニン選手の姿には驚嘆しました。氷上であれだけ自分の感情をさらけ出すことができるのは、彼の強みだなと思います。
演技に感情をのせられるかどうかは、いくら訓練したところで誰もができるようになるわけではないと思っています。「いや~彼はこれからますます成長していきそう」と思いながら見ていました。
エキシビション終了後、会場を去るのを惜しむ人たち

エキシビション終了後の金メダリストたちの撮影が終わってスケーター達が退場し始めてからも、私は会場を去るのが名残惜しくてしばしとどまっていました。
この大会での私の通し券席は、フジテレビ放送席のすぐ傍でした。私がワールドでこんな「神席」に座れることはもう二度とないでしょう。

名残惜しくて会場をすぐに去りたくない気持ちの観客は結構いたようで、誰もいないフジテレビ放送席にやってきて記念撮影する人が続々と現れました。
(エキシビション中はアナウンサーさんたちが座って鑑賞しておられましたが、終了後すぐ退出されていました)
放送席に置かれていた放送機材はモニター以外はすべて撤収されていて、立ち入り禁止テープも外されています。なので中には放送席に座って記念撮影される方もいらしたりして。
私も誰もいない実況席を記念撮影しましたよ。


何とも言えない名残惜しさを感じながら、会場を後にしました。
連日通ったこの入口を見るのもこれが最後。昌磨さんが座っていた椅子よ、さようなら。

2年連続で楽しんだ海外でのワールド観戦、またいつかチャンスがあればーと思っていますが、次はいつになるかな?
宇野昌磨さん現役時ほどの「熱」をもてなくても「結構好きな選手が大勢いる今の状態」は、過度な緊張なしに試合を楽しめるんですよね。寂しさはあるものの、これはこれで過ごしやすさを感じています。
ただ、ミラノ五輪終了後は選手たちの顔ぶれもかなり変わっていそうで私自身の観戦熱がどこまで持続しているかはまだ読めません。
さぁ、滋賀のサマーカップ会場これから行こうかな、どうしようかな…。
おまけの小話(笑)
シャイドロフ選手がカンフーパンダプロで足を持って振り回されていたのを思い出した私。
「練習中に氷上で大の字になった昌磨さんがステファンコーチにおんなじようなことされてたことあったな~」って思い出して検索しようとしたらこんなことになりました(笑)
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私は練習中に氷上で大の字になった宇野昌磨さんがコーチに両足持たれ振り回される動画を再見したくて「昌磨 ステファン ヒトデ」ってググっただけなんです
— けろわん (@kero_one1) August 8, 2025
何なのこのAIのとんでもない説明?
ヒトデのような動きってどんなのか教えてw
つーかFootlooseで滑ったことないのに何を根拠にこんな回答に? pic.twitter.com/Ozv817dA9K