1/21発売!「満知子せんせい みどり、真央、昌磨と綴った愛の物語」に流れる「愛されるスケーターに」の願い

名古屋フィギュアスケートフェスティバル2025で配布されたトートバッグと無料パンフレットの上に、会場で特別販売されていた書籍「満知子せんせい」が載っている写真

1月4日に開催された「名古屋フィギュアスケートフェスティバル」で観客向けに先行販売されていた「満知子せんせい みどり、真央、昌磨と綴った愛の物語」。昨日ようやく読み終えました。

買ってすぐに部分的には目を通していたんだけれど、年末の全日本選手権の録画を早く見終えて鑑賞記をまとめてしまいたかったので、ちゃんと読むのはずっと後回しにしてまして。何より「ユニバーシアードも始まるし、そろそろ読まないと…」ってね(苦笑)。

いや~面白かった!

フィギュアスケートの歴史や子どもへの指導方法などに関心がある方には凄くお勧めしたいです。「待つことの大切さ」とか、頷きながら読んじゃいました。

長年フルタイムで働いてきた身としては、「職業婦人」の先駆けがどう仕事を続けてきたのかも、興味深かったです。

中日新聞の連載をまとめた本ですが、特別コラムや内容に関連する過去記事の再掲(「番記者」による浅田真央さんのお母様(逝去後)への寄稿記事など)なども含まれていました。

目次

本を読んでわかること

以下、本で知ることのできた内容を、ネタバレになり過ぎない範囲?で箇条書きしてみます。

  • 山田満知子さんはどういう選手だったのか
     
    コーチの選手時代って結構な経歴があっても特に話題にされることもないから、積極的に調べない限りわからないですもんね。稲田悦子さんなど草創期の有名スケーターとも交流があってビックリ。
      
  • 山田満知子さんがフィギュアスケートを始めたきっかけ&コーチを始めたきっかけ
     
    当時近くにリンクがなかったらしく。「将来フィギュアスケートを習わせる時に役立つから」って理由で先にバレエを習わわされたってのが凄いw
      
  • 旦那さんとのなれそめ&旦那さんのキャラ
     
    そういえば旦那さんの話は全然知らなかったw 海外出張も多いお忙しい方だったとは!
     
    自分の家に知らぬ間に伊藤みどりさんが住み始めてても深く気にすることなく、娘と分け隔てなく接していた鷹揚さ。何ともユニークな方なんだなと興味がわきました(笑)。
     
  • モットー「愛されるスケーターに」という考えがどう育まれていったのか
     
    山田満知子さんは、「強い選手を育てる」よりも「スケートを楽しく滑れる子ども」を増やすことにより情熱を注ぎたいーという考え方です。

    彼女がよく言う「愛されるスケーターに」「記憶に残るスケーター」にというモットーには昔から共感を抱いてきたので、「こういう経験を経てそういう考えになったんだな」という過程を少し理解できたのは嬉しかったですね。

    世代は違うんですが、私も山田満知子さんにちょっと似た、両親以外の大勢の人にも世話してもらえる生育環境でした。だから彼女の考えには共感しやすいのかもしれません。
      
  • 女性が働くことが珍しかった時代、どうやって育児とコーチ業を両立していたのか
     
    フィギュアスケートを習えるぐらい裕福なご家庭だったでしょうから、私はてっきりお手伝いさんでも雇っていらしたのかと思ってました。まさかそんな風な解決法だったとは!
       
  • 昔の海外遠征エピソード
     
    昔のエピソードはどれも「へぇ~」の連続で楽しかったですが、海外遠征時のエピソードが一番ぶっ飛んでて面白かったです。
     
    鍵開けて部屋に入ったら言葉も通じない外国人がいるのは強烈過ぎる(苦笑)。
     
  • スケーター達との知られざるエピソードの数々
     
    選手時代の伊藤みどりさんは満知子先生の家で親子同様に暮らし、同い年の娘さんと姉妹同様に育てられていた話は当時から有名でした。
     
    昔の「みどりブーム」はかなりのもので事細かに報道されてたから、私も大抵のことは知ってるつもりでいたんですが…それでも「ええ、そんなことがあったんだ!?」というのがいくつかありました。
     
    伊藤みどりさんの記述が一番多いですが、小岩井久美子さん、浅田舞さん&真央さん、村上佳菜子さん、宇野昌磨さん、山本草太選手などの話題が出てきます。中野友加里さんや恩田美栄さんの話題も少しだけ。
     
    大半は満知子先生側&選手側双方に取材されていて、双方の証言が読めます
    特にみどりさんに取材しているところはみどりさんの声で脳内再生されます(笑)。
     

「氷上のクリスマス会」の話題には、「友野一希選手が所属するクラブの空気感と似てる?」って思いました。Instagramにアップされてるクリスマスイベントの楽しそうなノリを見る限り、あそこも満知子先生のいう「普及型」のクラブだと思います(笑)。
 
名古屋マダム(山田満知子コーチ)大阪のおっちゃん(平池大人コーチ)では「ノリ」はだいぶ違うだろうけど、底に流れているものは同じでは?って。

…クラブに通ったわけじゃないし実際の空気感を知ってるわけじゃないんですけどね(苦笑)

「愛されるスケーター・記憶に残るスケーターに」の教え

本の中で、山田満知子コーチは「私は『普及型』」と繰り返し謙虚に言います。「私は優れた選手を育てる力は持ち合わせていない、あくまでスケートを好きになってくれる子たちを増やしたいだけ」なんだと。

山田満知子コーチは昔から、優勝することよりも「愛されるスケーター・記憶に残るスケーターになりなさい」という教えを貫いてきました。

「そこが『山田組』が勝ちきれないウィークポイントだ」「山田組の生徒は勝利への貪欲さがない」ーとの批判を過去に見かけたことはあります。

でも、私はやはりこの考えが好き。共感を覚える方は、きっとこの本を楽しむことができると思います。

フィギュアスケートという競技は年月とともに、ルールも採点方法も大きく変わってきました。結局のところ「勝てるかどうか」はその時のルールに大きく左右され、「運」が占める部分もあります。

もしコンパルソリーがもっと前に撤廃されていたら…伊藤みどりさんはカルガリー五輪でメダルを取っていたでしょう。でもその一方、もしコンパルソリー撤廃があと数年遅れていれば、みどりさんに「金メダル確実」というプレッシャーがあそこまでかからずにすんだかもしれない。

「順位」という「結果」はルール次第でいくらでも変わる。でも、心に残る演技かどうかは「ルール」には必ずしも左右されません。

自分の応援するスケーターには、末永く「愛されるスケーター」&「記憶に残るスケーター」でいて欲しいと思います。

本を読んで伊藤みどりさんの過去&最近の動画巡りをすると、ヒリヒリしながら演技を見守った当時の記憶も少し思い出されました。

それでもやっぱり「あ~やっぱりみどりちゃんのスケートはいいなぁ、好きだなぁ」って思いましたね。「満知子せんせい」は、過去を振り返るいいきっかけをくれたと思います。

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