9/19~21に中国北京で開催されるミラノ五輪最終予選がついに発表されました。
各国から誰がエントリーして、誰が有力かなどの詳しい考察は試合直前に改めて…と思っていますが、現時点でのエントリーを見ていくつか驚いた点があったので、今回は「速報」的にさっと全カテゴリの展望についてまとめます。
宇野昌磨さんが出演した「ニノなのに」(8/20(水)にTBS系列で放送)についても書くつもりだったのですが、記事の毛色があまりに違うのでこの後記事を分けて投稿します(笑)。
五輪出場枠が決まる最終予選の各国出場予定メンバーが判明!
ISU発表のエントリー一覧
ISUのホームページに、ついにミラノ五輪最終予選大会のエントリー一覧が上がりました。
英語表記のみで少々見づらいですが、下記のリンクから確認できます。
2025/8/20 ISU発表エントリー一覧
男子シングル
女子シングル
ペア
アイスダンス
最新情報はISUのページでチェック!
この試合では、日本からはペアの「ゆなすみ」こと長岡柚奈/森口澄士組と、アイスダンスの「うたまさ」こと吉田唄菜/森田真沙也組がミラノ五輪出場枠を賭けて出場します。
ペア ~「スイハン」じゃなくて若手の「ジャンファン」が出場?~
一番驚いたのはペアのエントリーかもしれません。
スイハンの名前がない!
出場する予定と事前に報じられていた北京五輪金メダリストの「スイハン」ことスイ・ウェンジン/ハン・ツォン組(中国)は、出場予定にありません。
北京五輪後事実上引退していた「スイハン」ですが、昨季からスイ・ウェンジン選手が別の男性パートナーと組んで選手として活動を再開。組み替えて復帰?と思われていたところ、結局ハン・ツォン選手と再結成しミラノ五輪を目指すと報じられていました。
2025グランプリシリーズ(GPS)にはNHK杯を含む2戦にエントリーしています。

ハン・ツォン選手は復帰を望んでいるようには見えなかったので、どこまでが本人の意向なのか疑わしいと思って正直素直に喜べずにいましたが、NHK杯で再び演技を見られることは楽しみにしていました。

これは復帰に向けた練習が思うように進んでいないということでしょうか?それとも怪我?
NHK杯来てくれるの?
ーと、このエントリーを見てちょっと不安になりました
中国から出場する「ジャンファン」とは
五輪最終予選に中国から出場するメンバーは、「ジャンファン」(ZHANG Jiaxuan / HUANG Yihang)です。
昨シーズンのジュニアグランプリファイナルで優勝した将来有望なペアなので、枠を取れる可能性は十分あります。
私は今年8月上旬開催の「アジアントロフィー」までチェックしてなかったんですが、ここで彼ら優勝してるんですね!それも2025アジア大会でゆなすみと一緒に表彰台に上った北朝鮮ペアに40点近い差をつけて(!)。
このときトータルで190点を超えるスコアを出しており、シニアのワールドのミニマムスコアもクリアしています。

スイハン組が復帰を目指して取り組み始めたのは比較的最近のことですから、昔のような状態に近づけていくには時間がかかるでしょう
となると「上り坂にある若手がいるならそちらに枠取りを任せよう」となってもおかしくないかもしれませんね
ジャンファンorスイハン、結局どちらが?
スイハン組の名前は、補欠には載っています。なので直前にスイハン組に変更ということもありえないことではありません。
中国の連盟としては確実に五輪出場枠を確保できればいいのですから、直前に状態のいい方を出すという選択をしてくる可能性はあるかもなと思いました。
アメリカはチャンハウが補欠、シンナギが出場へ
3枠目の確保を狙うアメリカは、「チャンハウ」ことエミリー・チャン/スペンサー・アキラ・ハウ組が出るのかなと思ってたら、「シンナギ」ことオードリー・シン&バラージ・ナギー組を出場メンバーに選びました。去年結成してから伸び盛りですからね。
「ゆなすみ」の二人が今季からブルーノコーチたちの元を離れたのは、彼らがいるからかな?と推測。「ペアの五輪出場枠」争いでは敵になりますからね。
エミリー・チャン/スペンサー・アキラ・ハウ組は第一補欠です。
ゆなすみの五輪出場への道は?
ペアのミラノ五輪出場枠は現在残り3つです。「ゆなすみ」の五輪出場への展望は、下記の記事の「ゆなすみ」の項目で一度書いています。

「スイハン」が出ないとしても、「ジャンファン」のパーソナルベストは「ゆなすみ」を上回っており、中国ペアが一番の強敵であることは変わりありません。あとは「シンナギ」とフランスのコヴァレフ夫妻、アジア大会で戦った北朝鮮ペアがライバルでしょうか。

ウクライナとフィリピンのペアも可能性はありそうです。ライバルになりそうだったスイスのペアがなぜかエントリーしていないのですが、国籍問題があるんでしょうか…?
「ゆなすみ」はここで代表枠を確保できるだけの実力は備えていますが、ペアは一つのミスが大きな失点につながることもあるし怪我も多い競技。まさに本番勝負になります。

私この試合の「ゆなすみ」の演技、ライブ視聴で応援する勇気持てるかな…
ボストンワールドのときとは比べ物にならないくらい心臓バクバクになりそうです
アイスダンス ~「折原/ピリネン組」五輪叶わずフィンランド枠返上~
アイスダンスのエントリーには、フィンランド2枠目での出場を期待されていた「ピリハラ」こと折原裕香/ユホ・ピリネン組の名前がありません。
ミラノ五輪までに折原裕香さんのフィンランド国籍取得が間に合わないとのこと。彼女がフィンランド国籍取得を望んでいたかどうかは私は確認できていないのですが、「間に合わなかった」という文脈で海外メディアは報道しています。
これにより、フィンランドはミラノ五輪出場枠「2」のうち、1枠を返上することになり、五輪最終予選で決まる残り出場枠は「4」から「5」に増えました。五輪個人戦出場を狙う「うたまさ」の二人にはありがたい情報なのですが、何だか複雑です。
最終予選の展望は、こちらの記事に既に書いています。

この投稿を書いた時点からの大きな変化は、枠が1つ増えたこと&フィンランド出場者がいなくなったこと以外には「ワンリウ」ことシーユエ・ワン/シンユゥ・リウ組(中国)が復帰して出場メンバーに入ったことでしょうか?
(リウ選手は色々あったらしいのに復帰して大丈夫なのでしょうか…)
増えた1つは「ワンリウ」が持って行きそう?なので、「うたまさ」が「ギリギリ枠獲れそうなライン」にいることは変わりなさそうです。
「うたまさ」こと吉田唄菜/森田真沙也組はここで個人出場枠を獲得しそこねても団体戦での出場は確実視されているので、他選手と比べるとハラハラ感は若干薄まります。でももちろん頑張って個人戦にも出てほしいです!
個人的にはアイスダンスではスウェーデンのニコライ・マヨロフ選手がどこまで五輪に近づけるかを楽しみにしています。
女子シングル ~五輪最終予選とは思えない豪華メンバー~
シングル競技にはロシア選手がそれぞれ「中立アスリート」として1名ずつ出場します。

女子シングルでは、怪我で昨季ワールド出場できなかったルナ・ヘンドリクス選手(ベルギー)、昨季ワールドでSP落ちしてしまったアナスタシヤ・グバノワ選手(ジョージア)が五輪出場を賭けて、最終予選に出場します。
そこに「中立アスリート(AIN)」としてアデリーナ・ペトロシアン選手(ロシア)、ヴィクトリア・サフォノワ選手(ベラルーシ)まで出て来るので、例年ならギリギリ五輪出場を狙えるレベルの選手たちの出る幕がほぼありません…
ボストンワールドを振り返るとき、女子シングルの五輪最終予選展望もまとめています。

この時から大きく変わったのは、ロシアからアゼルバイジャンに移籍を試みていたヴェロニカ・ジリナ選手の五輪出場資格が認められず(ロシアの連盟が移籍を認めずISUもそれを追認)、五輪最終予選に出場できなくなったこと。
スウェーデンのヨセフィン・タリエゴール選手、中国、エストニアの選手あたりが残り枠の当落線上と見ていたので、このあたりにはジリナ選手が出場できなくなったのは大きいかと
なお、私が予想していたエヴァ=ロッタ・キーバス選手(エストニア)は補欠で、Nataly LANGERBAUR選手(日本語表記不明なので英語のまま記載)が出場するようです。
中国はRuiyang ZHANG 選手でした。誰?と思ったらジュニアの選手ですね。中国はペアも女子もシニア上がりたての選手を送り込んできています。
男子シングル ~厳しいけど頑張ってほしい選手たち多数~
男子も、ボストンワールドSPを振り返る際、ドノヴァン・カリーヨ選手(メキシコ)の項目で五輪最終予選の展望について記しています。

この時と変わったのは、ドイツの出場選手予想がニキータ・スタロスティン選手から今年からシニアのGenrikh GARTUNG 選手に変わったことぐらいですかね。昨季世界ジュニアで218.94点を出して7位入賞してます。ドイツ選手も世代交代か…
フランスの3枠目確保には、リュック・エコノミド選手ではなくフランソワ・ピトー選手が出ることになりました。実力拮抗してるから若手に頑張らせようと言う感じですかね。
ロシアからはピョートル・グメンニク選手が中立アスリートとして出場します。

男子シングルは残り5枠。男子シングルは当日のジャンプの出来次第で順位が大きく入れ替わることが予想されるので、最も五輪最終予選の結果の予想が難しいカテゴリです。
私としてはなんとかドノヴァン・カリーヨ選手(メキシコ)に五輪出場を勝ち取ってほしいのですが、どうなるか。
フィンランドからは「ヴィルタネン先生」ことヴァルター・ヴィルタネン選手38歳が21歳のマカール・スンツェフ選手を補欠に回してこの五輪最終予選出場メンバーに選出されていますので、健闘を期待したいと思っています。
五輪代表にはまず手は届かないでしょうけど、今季ミニマムスコア獲得を目指してほしい。諦めず闘う姿を見るのはいいものです。
<13:45追記>
アップを急いで、気になる男子勢情報が少し抜けてたので追記します。
誰が出るのか気になっていた男子韓国2枠目獲得に指名されたのはキム・ヒョンギム選手でした。ウクライナはキリーロ・マルサック選手でした。去年のワールドはイヴァン・シュムラトコ選手より上位だったものね…
あと、台湾のユーシャン・リー選手も出場しますので応援したいと思います。