7/7に開催された国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で、2030年にフランス(アルプス地方など)で開催される冬季五輪で、「シンクロ9」が正式種目として採用されることが決定しました。
シンクロナイズドスケーティングが従来の16名制に加え、9名制の「シンクロ9」の試合を今季から本格導入することは知っていました。「人数を減らしたのは、冬季五輪への導入を目指すため」ということも認識していました。(五輪の宿舎問題等で、大人数の競技は追加が難しいと言われているため)

「追加されるとしたら、早くても次の次の五輪だろう」と思っていたので2030年にもう導入が決定するとは、かなり驚きました
16名でのシンクロナイズドスケーティングは2000年から世界選手権を開催していて20年以上の歴史がありますが、9名制はまだこれから始まる段階だからです
五輪種目になるとすると、いずれはフィギュアスケートの団体戦の種目に加わることもありうるのだろうか?
そうなると勢力図はどう変わるのだろうか?
…と色々疑問や不安も出てきます。
今回は、2030冬季五輪への採用が決まったシンクロナイズドスケーティング「シンクロ9」について、女子種目として実施される理由や団体戦追加の可能性など、気になった点を書いてみました。
「シンクロ9」、2030年冬季五輪より採用
2030年アルプス冬季五輪からは、萩原健司さんや渡部暁斗さんがメダルを獲得した「ノルディック複合」が残念ながら五輪種目から外れます。逆に新たに加わったのが「シンクロ9」です。
(公開時萩原健司さんの表記が抜けていたので追記修正しました)
日本の一般紙の報道では、「シンクロ9」の追加は本文に記載はありますが「ノルディック複合」除外が見出しになっています。


男女混合種目だったのに、2030冬季五輪では「女子種目」?
これまでの16名で演じてきたシンクロナイズドスケーティングは男女混合編成でしたし、私も「シンクロ9」は当然男女混合チームで行うものとばかり思っていました。
しかし、下記の共同通信の記事には、「フィギュアスケートの女子種目としてシンクロナイズドスケーティングの9人制『シンクロ9』の初採用を決めた」との記載があります。

ということは女子選手しかチームに参加できないということ?
男子選手が数名混じっているのに、妙に調和している点がユニークで面白いと私は思っていたので、これは残念な決定です。
本当に女子のみの参加なのかが気になってISUのシンクロナイズドスケーティング競技細則を確認したところ、「シンクロ9」は男女混合チームも認める一方で、2026-27、2027-28シーズンは女子のみで実施すると定められていました。
(2028‐29シーズン以降の運用については、現行の競技細則では明記されていません)
一方、IOCは現時点で2030冬季五輪の「シンクロ9」を公式の競技プログラムで女子種目として分類しています。(男女の参加総数を計上していますが、「シンクロ9」の参加者90名は全員女子としてカウント)

こういうのを見ると、「冬季五輪に参加する女子選手を一気に90名増やせる種目」であることが早期採用に働いたのかも?とつい思ってしまいますね…
しかし前述の通り、ISUのシンクロナイズドスケーティング競技細則では、「A Synchro9 Team must consist of 9 Skaters and may include both women and men(シンクロ9チームは9名で構成され、男女混合も可とする)」との記載があり、競技規則上は男女混合チームを認める内容になっています。
少なくとも2028年冬季ユースオリンピック(イタリア)では女子のみの実施が確定しているようですが、今後、五輪での運用が変更されて男女混合が認められる可能性はあるかもしれません。
シンクロナイズドスケーティングとは
シンクロナイズドスケーティングは同調性(シンクロ)を重要視する種目。複数のスケーターによる陣形変化、高速で移動する選手たちの交差、アクロバティックなリフトなどが見どころです。
下記の動画は、「シンクロ9」の紹介です。
シンクロナイズドスケーティング世界選手権の映像はISUのYouTube公式チャンネルにて、無料で配信視聴できます。
下記は今年の世界選手権(16人制で実施)のハイライト。
2026年の世界選手権ではカナダのチームが優勝。日本代表チームの神宮アイスメッセンジャーズは、15位でした。(日本チームの過去最高位は2025年の9位)
2026シンクロナイズドスケーティング世界選手権リザルトを見てもわかる通り、北米とヨーロッパ勢が上位を占めています。2位はアメリカ、3位はフィンランド。22チームが参加し、2チーム出場しているのはカナダ・アメリカ・フィンランドの3か国で、出場国は合計19か国です。
「フィギュアスケート団体戦種目」に「シンクロ9」の追加はある?
現時点ではIOC・ISUから五輪フィギュアスケート団体戦への追加構想は発表されていません。少なくとも2030冬季五輪で団体戦の種目に「シンクロ9」が加わる可能性は低そうです。
もし団体戦にも組み込まれるとなれば、「シンクロ9」に出場する90名の選手の滞在期間が長くなることも考えられ、大会運営面で新たな課題も出てくるかもしれません。
ただ、やはり国内外のフィギュアスケートファンの間では「将来的に団体戦種目への追加はあるのか?」という疑問がいくつも出ています。
これまでの男女シングル・ペア・アイスダンスのカテゴリーで競っていたところに「シンクロ9」が加わることになったら、団体戦の勢力図が変わることが予想されます。シンクロ強豪国のフィンランドなどには有利に働く一方、日本のようなシンクロではまだ世界トップとの差がある国では、戦い方が変わる可能性もあります。
各国のフィギュアスケートファンにとっては、将来的に団体戦の種目がどうなっていくかが今後気になることは間違いなさそうです。

