昨日は木下グループの入社式に浅田真央さんが登場し、「りくりゅう」こと三浦璃来/木原龍一組や千葉百音選手、島田麻央選手、「うたまさ」「ゆなすみ」がリンクに登場、さらには正式に「新入社員」になった島田高志郎選手らが演技を披露したことが華やかに報道されました。そのことについて楽しいまとめ記事でも書こうかなと思っていたら…
その夜には、鍵山優真選手が自身のSNSで来シーズン(2026-27)の休養宣言。
今回は、鍵山優真選手の休養宣言を中心に、昨日流れたフィギュアスケート界での大きなニュース二つについてまとめました。
鍵山優真選手、来季は休養
今シーズンの鍵山正和コーチは、ミラノ五輪後も今のコーチ体制を取り続けるのかどうか、微妙なニュアンスの発言をしていました。そして、例年出ていた初夏のアイスショー「Dream on Ice(ドリーム・オン・アイス/DOI)」の出演リストにも名前がないし、来季プロの振り付け情報も出てこない。
ひょっとしてコーチや拠点を変更する可能性もあるのだろうか?来季はGPSスキップして全日本とワールドのみの出場ということもありうるかな?と思っていました。
ーしかし、1シーズン丸ごと休養に充てるとは予想外。イリヤ・マリニン選手も来季休養の可能性を匂わせていましたし、フル休養はないと見ていたので、驚きました。
鍵山優真選手が休養を決断した理由
1シーズン丸ごとの休養を決断するに至った理由は何なのでしょうか。
本人が語ったことば
現時点では、本人からは「新しい挑戦とともにフィギュアスケートの魅力を再発見したり、自分自身を見つめ直す時間を作って過ごしていけたら」と語られているにとどまっています。真意については今後インタビューなどで本人の口から詳細が語られるのを待つか、実際彼が今後どのような休養期間の過ごし方をするかでしか見えてこないだろうと思います。
考えられる休養の背景
考えられる背景を順に挙げていきます。
コーチ体制や拠点を見直す?
今季の鍵山正和コーチは、今後コーチを続けるのかどうかについては微妙なニュアンスの発言が多かったように思います。

「北京五輪のあと、自分のもとを離れるべきだと強く説得したのに鍵山優真選手が納得しなかった」という過去エピソードを打ち明けただけで、今後離れる予定だと明言したわけではありません。
なので今後も父子タッグを継続する可能性もありますが、「ひょっとして一区切り置いている間にコーチ体制や拠点を見直すことも視野に入れているのだろうか?」と感じます。
宇野昌磨さんが長年過ごしてきたグランプリ東海を離れたときは、コーチ帯同なしでGPSに出場するという流れとなり、苦しいシーズンとなったことを思い出します。
コーチや拠点の変更は負荷が大きいので、鍵山優真選手は、次の体制&拠点をどうするかについてゆっくり考えたいと望んでいるのかもしれません。あるいは、そういう意図はなく、単に競技の一線から一時的に離れることで視点を切り替えたいと思っているのかもしれません。
新ルールへの対応
ISUでは大胆な競技ルールの改訂が検討中です。また、来季からフリーはジャンプが1本減る(コンビネーションジャンプは3から2へ)ほか、コレオスピンが導入されるなどの改訂が決定済みです。
ルール改訂決定時のこちらの記事では、2ページ目以降に来季からのフリーのジャンプ&スピン規定の変更が詳しく書かれています

この改訂により「コンビネーションジャンプの後半に高難度ジャンプを入れられる選手が有利になるのでは」とフィギュアスケートファンの間では予測されています。連続ジャンプ後半にトリプルアクセルや4回転サルコウを入れられるイリヤ・マリニン選手、ミハイル・シャイドロフ選手、スティーブン・ゴゴレフ選手あたりには追い風になるのではないかと。
鍵山優真選手はフリー後半でセカンドループを決められるとはいえ、このルール改訂の影響がどうなるのかは未知数。彼ならもう十分フィギュアスケート界での名声と地位は確立していますし、日本男子は層が厚いから彼が抜けてもワールドの枠確保も比較的心配は小さいです。彼が1年休養しても、復帰に大きな影響は出にくいと考えられるので、新ルール下での競技を様子見するという選択が可能です。
モチベーションのリセット
最大の理由は、「試合に出続ける気力の限界が来てしまったので、いったん区切りを入れたい状態」であるように見えます。
「もし来年に日本でのワールド(世界フィギュアスケート選手権)の開催でも近くに予定されていれば違っただろうか?」と考えたのですが…「それでも休養を選んだかもな」と思いました。
どれだけ技術や表現を磨いても、今の採点システム下で彼が世界一を目指すには、事実上イリヤ・マリニン選手のミス待ちに近い構図になっている。このストレスは大きかったのではないかと思いました。
「イリヤ・マリニン選手を破るとしたら鍵山優真選手」と思うフィギュアスケートファンは多かったでしょう。でも、そのためには現在の採点システム上「完璧な演技」が必須。彼を超えるためには4回転ジャンプを3種は入れたいのに、そうすると「完璧な演技」が難しくなってしまう。

TES(技術点)とは異なり、PCS(演技構成点)に天井があることが、一部の選手たちのモチベーションをそいでいるように思います
鍵山優真選手のようにスケーティング評価の高い選手ならばシニア初期の段階でPCSが天井近くに達しますから、「あなたはジャンプ以外ではもう伸びしろありません」と言われているようなものです
なかなか目標とする演技にたどり着けない苦しさを、彼はこの2年味わい続けているように見えました。なのでプラハワールドの会心の演技は嬉しかったですね。だからこそ休養する一区切りにできたのかもしれません。

改めて思う、採点システムの影響
こうした状況の背景には、現在の採点システムの構造があると思います。
新採点が導入後しばらくは、TESとPCSの割合はおおよそ1:1に保たれていました。しかし、4回転ジャンプを多数跳ぶ選手が現れるようになってからはTESが100点を超えるのは当たり前になり、ついには140点台を出す選手まで現れました。
しかし、PCSは100点満点のまま。連盟側もジャンプの本数を減らしたり、ジャンプの基礎点を減らしたりと対策は講じてきましたが、「TES偏重」との批判は強まっています。
イリヤ・マリニン選手自身、複数のインタビューで、ジャンプ偏重の採点とスピン・ステップに対する評価に対して問題提起しています。今年のISU総会ではこのような話題もちゃんと議論されることを祈りたいです。
「ほぼアイスショー」だった木下グループの入社式
「木下グループの入社式」は、もっとじっくり取り上げたかったのですが、ここでは印象的だった点だけ簡単に触れておきます。
木下グループに支援されているフィギュアスケーターは数多いですが、アカデミー所属、木下グループ所属、木下グループ社員登用、と選手たちへの支援度は段階的に変わっていきます。私的には島田高志郎選手が社員登用され、「新入社員」としてスーツ姿で演技を披露したのが大変ツボでした。
登場したメンバーが豪華過ぎて、もはや「ほぼアイスショー」状態です。一般客入れてお金取って公開した方がいいのでは…?と本気で思いました(笑)。

今のところ断片でしか映像を観られていないので、後で下記の動画群をゆっくり視聴するつもりです。
oriconなど、複数の動画に分けて多数のメディアが動画をアップしています。動画サイトを「木下グループ入社式」で検索すると楽しいです。
以上、昨日のニュース2本をまとめました。
来季の休養を決断した鍵山優真選手の動向に加え、三浦璃来/木原龍一組の進退も注目される中、それぞれの選択がどのような形で次につながるのか。今は静かに見守りたいです。休養後、NEW鍵山優真が見られることを楽しみにしています。

