宇野昌磨さんと本田真凜さんのアイスダンス復帰|「嬉しい」だけではない、ファンとしての本音

照明のあたる暗いリンクに立つ宇野昌磨さんと本田真凜さんのイメージ画像
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宇野昌磨さんと本田真凜さんのアイスダンス競技での現役復帰が発表されて2日。

最初に来たのは、純粋な驚き。そして次に来たのは、「嬉しい!」だけでは説明できない感情です。

宇野昌磨選手を長年応援してきたからこそ、新たに始まる競技人生への期待と喜びは大きい。

でも、アイスダンスという競技を長年見てきたからこその不安や、競技の世界に戻ることで増えるだろう厳しい声への怯え。そして、“シングルスケーター宇野昌磨”への未練めいた感情もあります。

今回は、「『嬉しい』ばかりじゃないけど、それでも応援したい!」と決意するに至った、ファンの複雑な心情をまとめてみました。

目次

複雑だった「現役復帰」の第一印象

「応援しよう」への切り替え

「二人がアイスダンスで競技に復帰する可能性」は、「Ice Brave 新横浜 Special Edition」の「四季」の演技を見た頃から頭の隅にわずかに生まれました。

競技用の要素がぐっと増えていたため、「ひょっとして将来の競技復帰を視野に入れている可能性があるかもしれない」とは思ったのです。

でもアイスダンスはハードルの高い競技です。「『現役生活に悔いはない』と言っていた二人のこと。決断するとしても何年か後になるだろうと勝手に考えていました。

なので、復帰の報に「応援しよう」という気持ちにはすぐに切り替えられたものの、手放しで喜ぶことはできませんでした。

アイスダンスという競技の採点への不安

私が100%喜びきれなかった最大の要因は、「アイスダンス」という競技の採点への不安です。

「アイスダンス」はフィギュアスケートをテレビ観戦し始めた子どもの頃から、大好きなカテゴリです。でも、同時に「真剣に観始めると色々ストレスが溜まりそうな競技」と感じていたため、のめりこまないように心がけてきました。

アイスダンスは“わかりづらい”競技

アイスダンスはルールが度々変わるうえ、採点基準が細かくてシングル以上にわかりづらいと感じます。私が最初に観始めた頃のアイスダンスと今のアイスダンスはもはや別競技かのように思えるほど。アクロバティックなリフトが多用され始めた頃には、「私の好きだったアイスダンスとはもう違う…」と心が離れていた時期もありました。

上位勢と下位勢の滑りの差は素人目にもわかるものの、点数に関してはジャッジのGOE(技の出来栄え点)評価が占める部分が他カテゴリよりも大きいです。

「なぜこちらの組にこれだけの点数が出て、こちらには出ないのか」という素朴な疑問に対し、納得のいく説明を目にすることもあるけれど、納得がいかないこともあります。

そして、採点には「派閥の力関係」のようなものを感じてしまうこともあります。

実際にモヤモヤした採点も多かった

特に2025-26シーズンは疑問を持つことが多かったです。

グランプリシリーズ(GPS)初戦では、メダル候補だったギニャファブことシャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ組(イタリア)に対するジャッジ間の採点格差が全組中最大に。海外アイスダンスファンの間で話題となり、私も下記の記事で言及しました。

その後のアメリカ大会やフィンランド大会では急にレベル判定が厳しくなり、「大会ごとに異なるレベル判定基準」に対し、国内外のアイスダンスファンだけでなく、ベテラントップ選手からも批判の声があがりました。

そして、プラハワールド(世界フィギュアスケート選手権2026)でもメダル候補だった「フィアギブ(ライラルイス)」ことライラ・フィアー/ルイス・ギブソン組(英国)がリフトで思わぬ減点を受け表彰台を逃す結果になりました。減点理由について明確な説明が出なかったこともあり、最後までモヤモヤが残りました。

※エキシビション開催について新情報があったため、本日追記しています

長年応援してきた人が、その世界に入る怖さ

2025-26シーズンだけでも、これだけのことがありました

演技そのものは楽しめても採点結果にはモヤモヤすることが多いので、「アイスダンスでは点数や順位を気にしないで見よう」という考えは強くなるばかり。

そこに自分が長年応援してきた人が入っていくとなると、心穏やかではいられません

そもそもアイスダンスのステップのレベル判定基準はシングル競技よりもはるかに厳しいです。いくらシングルで世界のトップを獲ったことがある二人でも、そんな簡単に高い評価は得られないだろうことはわかってはいます。

それでも世界トップレベルの選手ですら「?」となる採点の中では、ストレスを感じる機会はかなり増えるだろうなと

そして、成長過程の段階で試合に出るようになると、手厳しい批判を目にするだろうなという怯えもあります。

それでも応援しようと思えた理由

採点競技に“絶対の納得”はない

しかし、私が宇野昌磨選手の過去の採点に不満を感じなかったか?といえばそんなことはありません。どんな素晴らしい選手でも「全試合で高評価を受け続けること」は困難です。

採点競技の選手を応援する限り、「採点に納得がいかない」気持ちからは逃げられないでしょう。シングルでもアイスダンスでも、それは同じ。

ある意味、「アイスダンスの採点は理解が難しいもの」と割り切って純粋に演技だけを楽しむ、という私が長年貫いてきたスタンスをこのまま続ければいいだけなのかもしれません。

「自分の応援する選手がもっと評価されてほしい」という気持ちを強く持ち過ぎないようにしないとな…と思っています

「心無い言葉」への覚悟

ふたりともアイスダンス経験はまだ浅いので、何年かはジャッジから手厳しい評価が出続けたとしても受け入れられます。識者による冷静な批判や助言を目にすることも、新たな知見に繋がるだけなので辛くはありません。

ただ、技術的な批判ではない、体格に関する当てこすりや昔のエピソードやプライベートな話題を絡めた心無い悪口めいた批判は目にしたくありません。

でもファンにはいろんな人がいるから、どんな選手も誰かにどこかで酷く叩かれています。「批判を装った心無い中傷レベルの発言をあまり目にしないよう自衛するか、見てしまってもスルーする」というのはシングル現役時代に応援していたときの心がけと変わらないといえるでしょう。

引退後はファン以外の人が演技に対してあれこれ発信する機会が減っていたので、スルーの仕方を若干忘れている感が…

また思い出さないといけませんね(苦笑)

アイスダンスでの現役復帰で、失われるかもしれないもの

シングル競技への未練は消えていたが…

現役引退を表明した段階で、4回転ループやフリップなどの超高難度ジャンプが複数入ったソロ演技を見られた時代はもう終了しています。

私は「彼はまだ上位争いができる」と信じていたし、「競技用プログラム」の緊張感が好きだっただけに、引退という選択を受け入れることは辛かったです。

それでも、「彼のモチベーションが続かないのなら、やむをえない」という想い、そして引退後に充実した人生を送っている昌磨さんの姿を見て心の整理がつきました

シングルでの演技を観る機会が減る?

私は昌磨さんの演技はチャーリー・ホワイトさん&高橋大輔さんと共に「フレンズ・オン・アイス(Friends on Ice)」で披露した「サラリーマン」パフォーマンスのような、「1本もジャンプを跳んでいないショーナンバー」も大好きです。

「ワンピース・オン・アイス」で魅せた試合とは異なる系統の「演技」も、引退後の宇野昌磨アイスショー「Ice Brave」で見せてもらったアイスダンスの演技も、ストリートダンス風のグループナンバーも、全て試合の演技と同じくらい好きで、楽しんできました。

それでも「現役復帰会見」の真夜中には、「もうこれで昌磨さんのトリプルアクセルや4回転トゥループの入った競技プロ風味が残ったソロ演技を観ることはなくなっちゃうのかな…」という、ブルーな気持ちに襲われました

今後、高難度ジャンプを見られる機会はある?

幸い昌磨さんはアイスダンス用ブレードでもトリプルアクセルや4回転トゥループを維持するという、とんでもないことができたため、現役時代のようなジャンプもこれまでの「Ice Brave」では見せてもらえました。

今年1月末~2月に開催された「Ice Brave 新横浜Special Edition」ではショー終盤でトリプルアクセルと4回転トゥループが入ったソロプログラムまでありましたし。

でも、彼はその後アイスダンス用の靴に本格的に変更したようなので、今後のアイスショーでもトリプルアクセルなどの高難度ジャンプが見られるのかは、わかりません

高難度ジャンプは、加齢によっていつか失われるものではあります。それでも、アイスダンスの新技術を追求しながら、シングル時代のジャンプやスピンもショーで少しでも見ることができたら──という期待はあります。

彼の幅のある、空間を切り裂くようなスピード感にあふれたトリプルアクセルは大好きです。だから、もし今後見られなくなってしまったらやはり寂しいでしょう。でも、アイスダンス選手としての練習の日々は本当に大変でしょうから、覚悟は決めておかないといけないかもしれませんね…。

彼は現役中も積極的にアイスショーに出演していたし、五輪シーズン以外は「Ice Brave」を継続してくれるだろうと期待しています。

毎年そこでアイスダンスの新プロが披露されて、他の演目で彼のソロパートを見られるといいな…というのが今の理想です。

でも、新しく生まれる楽しみも多い

さて、ここまでネガティブなことを書き連ねてきましたが…シンプルに「楽しい!」「嬉しい!」と思えることもたくさんあります。一つずつ挙げていきます。

「新プロと新衣装」をまた待てる

「Ice Brave」では新プロや新衣装を見る喜び、プログラムが半年かけて「育って行く」のを見守る過程を体験できました。現役引退で失ってしまったと思っていたあの喜びを再び体験できたことは、とても嬉しかったです。

こちらの記事では、引退後も1シーズンかけてプログラム熟成していく過程を見守れた幸せを語っています

ただし、年間予定がはっきりしないアイスショーでは、いつどこで新しいプログラムや新衣装が見られるのかは、普通はショーを見るまではわかりません。

でも、「アイスダンス」のRD(リズムダンス)の課題は毎年変わりますから、毎年確実に新プロが見られます!

「今季はどんな曲を使うんだろう?」
「この曲ならどんな衣装だろう?」


ーというワクワク感を最低4年間味わえることには、喜びしかありません!

競技用リンクで滑る姿を見られる

アイスショーの美しい照明の下で滑るのを見るのは格別ですが、その一方で「現役引退すると競技サイズのリンクでの演技を観られなくなってしまうこと」を私はずっと残念に思っていました

アイスショーはリンク上に席を作ることが多いので、リンクサイズが小さくなってしまいますからね。このサイトでも何度か愚痴った記憶があります。

それが、競技サイズリンクでミッドラインやダイアゴナルなどのステップシーケンスが、たっぷりと見られるわけでしょう!?

しかもシングル時代以上に練習を重ねたステップが見られるはず。これも嬉しくてたまらないですね!

「表現」を追求した演技が見られる

FD(フリーダンス)は、「表現力」のページェントです。演劇的な表現をする組、ダンサブルなナンバーで観客を巻き込む組、ひたすら音楽表現を追求する組、各組ごとの個性が色濃く出ます。

「しょまりん」のふたりは、どんな系統のFDを見せてくれるでしょうか

昌磨さんの競技プロは、「物語」ではなく「音楽」をそのまま表現したような演技で、「誰かを演じる」ことは「ワンピース・オン・アイス」まではしてこなかったと私は解釈しています。

しかし、アイスダンスのプログラムにおいては、ストーリー性の高いプログラムを作ることもあるかもしれません。

それがいい方向に行くかどうかはわかりませんが、「新しい挑戦」を見られそうなのはとても楽しみです。

「競技者の顔」がまた見られる

昌磨さんの「競技に挑むときの真剣なまなざし」が大好きだった私。ゲーム大会でそのまなざしを多々見ることができたので満足はしていましたが、フィギュアスケートの試合でも再び見られるとなると最高です。

真凜さんも先日の会見では「勝ちに行く」とアスリートらしい闘志あふれる発言をしていました!

彼女と二人で「闘うモード」に入るところが見られるのか、あるいはシングル時代とはまた違った雰囲気で試合に挑む姿が見られるのか

どちらになっても楽しみです。

長く滑り続けてくれるかもしれない

正直申しまして、私は「昌磨さんは、いつフィギュアスケートの表舞台から去ってもおかしくない」と思っていました。

浅田真央さんのように、「まだ滑れるのに、まだ演技を観たいのに」と思うファンがどんなにたくさんいても、一度決断したらスパッとフィギュアスケートの表舞台から消えてしまう恐れは、彼の引退後常にありました。

彼のアイスショーに出来るだけ足を運ぼうと思っている理由の一つに、「いつ見納めになるかがわからない怖さ」があります。ステファン・ランビエールさん荒川静香さんのように40代になってもショーで滑っている可能性ももちろんありますけどね。

そんな彼が、パートナーの真凜さんと共に次のオリンピックを目指すと宣言。深刻な怪我などに見舞われない限り、最低4年間は試合が見られる保証ができました。

そして、アイスダンスは選手寿命が長い競技です。技が熟練の域に入っていくと、年々ジャッジ評価がじわじわ上がっていくことも多いので、できるものなら長く続けた方がいい。

2030アルプス五輪の次、2034ソルトレーク五輪を迎える時の二人の年齢は、なんと北京五輪のときの「チョクベイ」組(米国)よりも若いのです!

(マディソン・チョック選手33歳、エヴァン・ベイツ選手37歳に対し、真凜さん32歳、昌磨さん36歳)

二人に続けたい想いがあり、かつ事情が許せば今後10年近く現役でいることは不可能ではありません

20代で転向は遅いとは言えますが、時間をかけて成長していくことがまだ可能な年齢です。シニアではアイスダンスでの選手歴の方が長くなる可能性だってありえるのです。

今ですら強い魅力を感じるスケーティング技術や表現。

それを二人揃って更に追求していったら、どんなスケーターに成長していくのだろう?と思うとワクワクしかありません

結局、私は応援する

ということで、複雑な想いもありつつも、アイスダンス選手としての現役生活を応援しようという決断はあっさりと下せました。

不安も未練もあるけれど、それ以上に「これから二人がどんなスケーターになっていくのかを見届けたい」という気持ちの方が大きいです。

たぶんモヤモヤすることは色々と増えるでしょうけど、うまく付き合い方を身につけていこうと思います。

だって、たくさんの楽しみも待ち構えているのですから。

複雑な気持ちをようやく書き終えられたので、先程公開されたEVO Japan2026の密着動画をこれから見ます!(VARREL作成の動画もあります。ときどさんと昌磨さんのショートインタビュー2本は昨日もう見ましたw)

こちらの記事にもまたテレビ番組情報や新たに出た報道を追記してあります

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