2024全日本フィギュア振り返り<3>楽しいアイスダンスRD&ペアSP⇒好演に波乱が混じり過ぎた男子フリー

ラクタブドーム正面入り口に入る観客

2024年全日本フィギュアスケート選手権の現地観戦振り返り、今日は競技2日目についてです。

楽しく始まったアイスダンスRDとペアSPはともかく、男子フリーは代表候補選手たちの波乱の演技が余りにも続き過ぎました。

じっくり振り返るのはまだ少々きつかったです。

思い返せば素晴らしい演技も数多くあったのに「波乱」の影響は激し過ぎました。

第93回全日本フィギュアスケート選手権リザルト

気持を整理しながら書いてたので、やたら長いです。適当に飛ばし読みしてください…

動揺が隠せない観戦直後の感想記事はこちら。

目次

アイスダンスRD&ペアSP

アイスダンスRD

2024全日本は、アイスダンスもペアも4組ずつの出場でした。

アイスダンスは伸び盛りのあずしん&うたまさが注目の的ですが、私はあやみつこと佐々木彩乃&池田喜充組が表彰台に乗るかどうかも気になっていました。

小松原組が抜けたので前回全日本4位だった彼らが表彰台に乗るのは順当なことかもしれません。でも、あやみつが競技続行の為に募っていたクラウドファンディングでの目標を「全日本表彰台」に設定していたこともあり、是非ともいい演技で目的を達成してほしいなと願っていまして。

RDの得点は55.53、いい滑り出しとなりました。

ペアSP

全日本のペア競技は2016年に4組出場したことはあったものの、2018年以降は出場は1組のみ。6分間練習も1組だけが練習してそのまますぐ滑るのが常でした。コロナ真っ只中の2020年なんてペア無し開催でしたからね。

だから「全日本のペア6分間練習に4組も選手いるの久しぶり!」ってだけで何だか嬉しくなりました。

ペアの選手同士は少人数競技の連帯感からか(というか皆同門w)、リンクサイドで仲良さげに喋ってる光景眺めるのも楽しかったです。

ゆなすみのリフトはナマで観るとあの速さ&豪快感が本当気持ちいい!長岡柚奈さんが右足首を痛めていて構成を落としていたにも関わらずSBを上回る61.82点。伸び盛りとはこのことかという感じ。

4年ぶりの全日本出場となったりくりゅう。その滑りと技は格上感がありました。二人の試合での滑りを間近で見ることができた他のペアたちには大いに刺激になったのでは。「Paint it Black」は本当にカッコいいプロなので、ナマで観られてよかった!

男子フリー 前半グループ

続いて始まった男子フリー。前日の男子SPで代表候補全員が乱れた演技だったせいで「全てはフリー次第」でしたが、会場には既に若干の心配ムードは漂っているような気はしました。

第1グループ

第1グループにいる吉岡希選手を見るのは複雑な気分でした。

怪我の影響で全日本数日前まで練習もろくにできなかったのこと。よくぞ4回転2本構成に挑戦したなと思います。本来の実力を出せる状態にはなく総合22位、来季の強化指定からは外れるでしょうが、来年の全日本では実力を出して強化指定復帰できると信じます。

第1グループで他に強く印象に残ったのは朝賀俊太朗選手ですね。もともと印象的な演技をする選手でしたが、インパクトがあったのは演技後の挨拶。

SPの時はグリコポーズで、フリーの時はくいだおれ人形とおぼしきポーズw。ローカル大会で何度も見ていて気になっていた選手のひとりでしたが、そんなサービス精神旺盛なキャラだとは知りませんでした。

ちなみにフジテレビ制作の競技2日目の振り返り動画の朝賀選手部分には、ステップのニースライドのあたりと合わせてしっかりその部分が使われています。(SPでも挨拶部分が使われていましたw)

第2グループ

第2グループにはこれまた島田高志郎選手壷井達也選手がなぜかいます。島田高志郎選手のフリーについては下記で既に書いたので手短に。

4回転サルコウ直前に不運な大転倒をしてしまった2023全日本の「死の舞踏」はまさに「悲劇」でした。見る側も辛かったですが、今回の4回転ルッツでの転倒&直後のサルコウの抜けは「挑んだ結果」。その後の演技が素晴らしかったので充実感は感じられましたね。来季どうするかはまだわかりませんが、どうなっても今後も応援したいと思います。

その後の壷井達也選手は本当良かったですね。冒頭の4回転サルコウー3回転トゥループのファーストでオーバーターンが入ったとはいえ、そのターンが結構綺麗だったので、「これはもともとああいうターン入りコンビの予定でした」ってことでいいんじゃないか?とすら思いました(苦笑)。

「道化師」はいい意味でも悪い意味でも「大仰」なので、相応の演技が伴わないと「曲負け」するリスクが高い曲です。しかしこの日の壷井選手の技の精度は高く、難曲「道化師」を制圧できていた印象でした。NHK杯の時「今季もう一度こんな演技できるだろうか?」って内心思っててごめんねーって思いました。

「これで強化指定落ちの危機は完全に脱したね!これで後半グループまでは『達ちゃん漬け』が続くだろう」と確信しました。

しかしこの後はまさか最終グループ半ばまで漬け続け、表彰台に上るとは思ってもいませんでした…

関西人の私は神戸組のキス&クライでのやりとりが大好きなのですが、今回は珍しく壷井選手のキス&クライの動画を観られました。

冒頭「トゥループが旅行に行ってはる」ってやりとりが受けますw コーチ陣も壷井選手も160点台だと思っていたようで、この点にはビックリだったのですね。

続いて登場した中村俊介選手。彼は来季のためにシニアの強化指定枠にも入っておきたいし、来季GPS出場枠を確保するには世界ジュニアでのメダルが欲しい。そのためには世界ジュニア代表枠を勝ち取る必要があります。SPではミスが出てしまいましたが、フリーでは意地を見せました。

改めてジャッジスコア見ると「q」は3つついてるわ「!」はルッツにもフリップにも一つずつついてるわでなかなか厳しい。なのにフリー10位で踏ん張れたのは、スピンステップでオールレベル4取れたのが大きかったかも。

SPでは出遅れてしまったけれどこれなら世界ジュニア代表になれる芽はある。あとは残る他候補の演技次第、という展開にまで持ち込みました。

男子フリー 第3グループ

印象的な演技が多かった前半

後半グループトップの登場、大島光翔選手

自身のコーチであるお父さまがプロスケーター引退する時に滑っていたプロに正面から取り組んだ今季。

この構成をクリーンに決めていれば来季強化指定選手入りもありえたでしょう。だからこそ2本目のルッツが乱れてREPEAT扱いになってしまったのは勿体なかったです。

そこから後のジャンプ要素は乱れてしまい得点を伸ばしきれず。本人的には悔しさの残る演技だったと思いますが、演技は美しくて、いいものを見せて貰えた気持ちにはなれました。

彼は全日本の結果次第ではひょっとして?と引退を心配していた選手の一人。インカレ後のインタビュー記事(有料)で「とりあえず来季は続行」と明言していたので今はホッとしています。

続いて登場した三宅星南選手は、今大会では珍しい「ほぼノーミス」演技をした一人。

彼が4回転サルコウのコンビネーションジャンプを加点付きで決めたのは何年ぶりだろう?と気になって調べてみたら、2022年の近畿選手権以来でした。

2年ぶりか~。そのシーズンに滑っていた「タイタニック」に戻してでの全日本。プログラムにはあの時以上の進化を感じました。

得点は158.33。実は三宅星南選手がフリー4位なんですよね。大きなミスがないってのは本当強いんだなと実感。彼がいい演技ができるよう望んでいた人は多いと思いますが、彼が総合6位になると予想できたスケオタがどれだけいたでしょうか。

その後の片伊勢武アミン選手は得点を伸ばしきれなかったけれど美しい演技。続く西野太翔選手&高橋星名選手のジュニア勢は残念ながらどちらもミスが出てしまいました。

高橋星名選手はJGPF4位でほぼ当確だろうと思っていたので、世界ジュニア代表の残り1枠はこれで中村俊介選手になるだろうと確信しました。(代表3枠目に確定)

最大級の波乱だった山本草太選手

第3グループ最終滑走は、山本草太選手

最終グループには入れなかったものの、点差はそこまで極端ではなく、フリー次第では順位を上げられます。新衣装がプロに合っていい雰囲気だったし、練習では調子よさげに見えました

何も「今年の全日本でも去年のようなパーフェクトな演技を期待していた」というわけではありません。「そりゃネーベルホルン杯ぐらいの仕上がりなら最高だけど、ここ全日本だしな…」位に期待の熱度を敢えて控えめにしたうえで見守っていました。

まさかあのような流れを見ることになろうとは…

でも、改めて演技動画を見返すとジャンプ以外は悪く見えないのです。厳しい現実を前に表現を辞めてもいないし諦めてもいない。

大体諦めてたら後半4Tー3Tなんて下りられないと思うし。「4T-2Tに抑えておいた方が点は稼げたかも」とはちょっぴり思うけど、3度も転倒した後ならもう思い切って攻めるしかないと思うし。後半の4T-3T&3F~2Aが入ったことで、絶望的な気持ちから少し救われた感はありました。

そして、キス&クライでの山田満知子先生が明るく話しかけていて彼もそれに応えていたのもよかったです。

2022大阪全日本フリーのキス&クライでは、明るい満知子先生が声をかけることもできずに固まってましたからね…

二人の変化に年積み重ねた年月を感じました。

明暗が激しかった最終グループ

佐藤駿選手

最終グループの6分間練習で一番調子が悪そうだったのは一番滑走の佐藤駿選手でした。

ただ、佐藤駿選手は「練習で激ヤバだったのにいい演技をした試合」が何度もあります

その一つが、宇野昌磨さんが足首の負傷で欠場したため急遽彼が出場となった2023国別対抗戦。私は現地で6分間練習での悲壮な様子を見てめちゃくちゃ心配していたのに、本番は打って変わっていい演技だったんですよね。

それを機に私は「佐藤駿選手の練習は本番演技の参考にはならない」ーと心配するのを辞めていました。「今回も観客の心配をよそに結構まとめた演技をしてくるんじゃないか」と期待していたんです。

しかし冒頭の4回転ルッツがまたも変な感じの痛そうな転倒でビックリ。その後のフリップもトゥループも着氷が乱れ…「これはさすがにまずい?」と思い始めたら、トリプルアクセルからの3連続まで転倒。

「どんなに練習が悪くても本番には強いはず」という自分の思い込みは全く当てにならなかったことに気づかされました。

高難度構成を最後までやり遂げることはできたのはさすがの底力。しかしSP同様焦りが見える演技で、彼本来の表現力が十分に発揮できないままに終わってしまい悲しかったです。

演技直後のインタビューを見るのが一番きつかったのは佐藤駿選手でした。今季前半あれほど好調だっただけに、「なぜここで」という気持ちが強く感じられてしまうせいかなと思います。今季の彼がフリーで150点を切るんて考えたことなかったですもん…。

佐藤駿選手がインカレで明大マスコットキャラ「めいじろう」のぬいぐるみを抱えつつチームメイトと談笑する姿を見て、私もやっと気持ちを切り替えられた感じです。

織田信成選手のラストダンス

佐藤駿選手の演技を受けてざわざわしていた会場でしたが、次は織田信成選手異なるフィールドで闘う選手の登場に、場内の空気感は切り替わったように感じました

冒頭の4回転への助走は少しスピードが足りない気がして「これは…」と思っていたら転倒。これが全日本ラスト演技だっただけに4回転は入ってほしかったです。

でもそこからは素晴らしかった!

昨季の近畿選手権や西日本選手権では明らかに後半がバテていたし、スピンも新しいルールに対応しきれていない感がありありでした。しかしこのフリーでは、スタミナ切れを感じさせませんでした。

復帰前のJADA手続きミスが原因で2023年全日本選手権に出場できなかったことは本人には大きなショックだったでしょう。

でももう1年現役選手としての鍛錬を積んだことで、彼は更に演技レベルを上げてきた。もし2023年全日本選手権に出ていたとしたら、ここまでの一般からの反響は得られなかったんじゃないかと思います。あの年は他選手の神演技だらけだったし、当時の織田選手はジャンプ以外はトップ選手と争うのにはまだ少し厳しかった。

今年はジャンプ以外の演技レベルが底上げされていて「入賞」という高い目標も現実味がありました。さらに「マツケンサンバ」という世間の注目を集められる新プロを備えてこられた。37歳でもまだ演技レベルを上げてこれるのは、本当にとんでもないことだと思います。

実は私は彼の現役時代、世界選手権で期待を裏切られ続け「もう織田くん応援するの辞める!」って拗ねたことがあります(苦笑)。

でも最後の全日本では、会場の観客&お茶の間のファンの期待に応えることができて本当によかった

演技への賞賛の気持ちとこれまでの感謝の想いでスタンディングオベーションをしました。

あの頃セカンドジャンプに2Aを入れられるルールだったら、彼はワールドメダル複数持ってたかもな…

今月末の国民スポーツ大会、頑張ってほしいです。

三浦佳生選手

続く三浦佳生選手の登場で、再び現実に引き戻されました。彼は今季古傷の悪化に苦しんでいるので、滑る前にかなりの覚悟を決めていましたが、予想以上に厳しい演技内容でした。

6分間練習の調子は悪くなさそうでしたが、冒頭トリプルアクセルの助走に入った時点で「頭が3Aなら4回転本数を減らすんだろうから、調子は万全じゃないんだろうな」と身構えました。しかしその着氷が乱れてコンビネーションにできないとは予想してなかったです。

そこから後は悪夢のようでした。4回転トゥループも次の4回転サルコウも回転が抜け、前半4回転ジャンプ1本もなし、トリプルアクセル2本目もREPEAT回避こそできたものの、セカンドをうまくつけられず。

でも、あんなに絶望的な前半を経た演技後半で4回転トゥループー3回転トゥループを決めてくるところは「さすが三浦佳生選手!」で痺れました

しかし直後に再度挑んだ4回転トゥループでは転倒…

ちなみに私、会場ではジャンプの規定回数違反があったことに全く気づいていませんでした。点数想像以上に低いなとは思ったけど、あの4回転トゥループが0点になってたとは…。

織田信成選手の数々のジャンプ数規定違反なら分かるのが多かったんだけど…2024近畿選手権も演技終了直後に気づけました。

全日本のあの空気感の中ですぐに気づいたスケオタさんは冷静で凄いなって思います。三浦佳生選手自身もキス&クライでようやく気付いたようでした。

この時点で壷井達也選手がまだ暫定1位…!

私は「壷井くん表彰台、ありうるかも…!?」ってこの時初めて実感しました。

壷井くんがいい演技だったのは嬉しかったけど、「実力ある選手多いのに、ここまで誰も超えられなかったなんて…」とちょっぴり悲しかったですね。

友野一希選手

続いて登場したのは友野一希選手

今季は股関節の怪我もあって前半の代表争いでは出遅れ気味でした。しかしこの全日本の流れならば「そこそこいい演技ができたら再び全日本の表彰台に乗れる?」と期待したファンは多かったと思います。私も正直期待しました。

しかし前半の4回転が全てミスとなった時点で、早々に夢は消滅。しかも冒頭4回転3つのうち2つアンダーローテーションを食らって、全部合わせて8点ちょっとの技術点しか入っていません…厳しかったGPS初戦の方がまだ良かったという。

しかしGPSフィンランド大会フリーでは崩れてしまった後半、アクセル2本を含む後半のジャンプが全部加点付きで入りました。スピンステップもオールレベル4。悪夢のようだった冒頭の4回転のミスを忘れさせるぐらいの後半演技でした。

しかし決まった4回転が一つもない状態では点は出ません。

SPの貯金が生きたものの、総合順位は暫定2位だった織田選手を下回り暫定3位。この後鍵山優真選手が控えているので表彰台落ちはほぼ確定。
そして、この時点で壷井達也選手の表彰台が確定しました。

中田璃士選手

中田璃士選手が演技を始める直前の会場の雰囲気はかなり異常でした。

会場全体が、「友野選手までこんなことになるなんて…」という残念な気持ち、そして「この結果だと今年の代表選考かなり揉めるのでは?」という不安感からくるどよめきに満ちていました。

しかし、彼はそれに全く引きずられませんでした。過去に何度も綺麗に跳んでいたのを見たことがある4回転ループ。それが早くも実践投入に成功したうえ、次の4回転トゥループも決まる。その後のジャンプも全部クリーンに!

さすがに終盤のステップでは疲れが見えましたが、SPフリーノーミスで揃えました。この日の男子フリーでGOEマイナスが一つもなかったのは中田璃士選手ただ一人です。

まだジュニアの選手だし、曲も「パイレーツオブカリビアン」ならば、ガッツポーズやりまくりも許せました(苦笑)。

キス&クライに戻るなり、お父さまやコーチ陣に「ガッツポーズし過ぎ」とたしなめられまくる璃士くん(苦笑)。ガッツポーズしている映像リプレイを見て「演歌歌手みたい」とまで言われる始末だったのに受けましたね。

本人はこんな演技をしてても「ワンチャン表彰台ある?」っておそるおそる聞いてくるのは初々しさを感じました。

「ワンチャンどころじゃないですよ、ほとんどの観客はあなたが最後のループ降りた段階で全日本初メダルを確信してたと思いますよ」って伝えたいです(苦笑)。

男子ジュニア選手の全日本表彰台は2014年の宇野昌磨選手以来10年ぶり。中田璃士選手は数年以内に全日本表彰台に乗るだろうと思ってはいたけれど、まさかこんなに早く上がるとは!

ジュニアグランプリファイナルフリーでミスが続き、悔し涙にくれたことが凄く生きたんだろうなと思います。「もしJGPF連覇してたら表彰台に乗るような演技はできなかったかもな、失敗は人を強くするな」と思いました。だから今年悔しい想いをした選手もきっと…と思えるいい結果でした。

鍵山優真選手

中田選手の目の覚めるような好演技で会場の空気感は完全に変わっていました

暫定1位の中田選手の得点は263.99。鍵山優真選手の実力&構成からいって、彼がこの後の演技でミスしまくったとしても優勝はほぼ確実でしょう。でも彼の全日本初優勝は文句のない素晴らしい演技で取ってほしいし、それが彼にふさわしいと思っていました。

何より代表候補選手のうち、せめてひとりぐらいは実力を出し切れた演技を見せてほしい!

なので冒頭4回転フリップがキレイに入った時は嬉しかったです。その後も全部クリーンに決まっていって。後半着氷に乱れはあったものの、文句のない演技。NHK杯⇒フィンランド大会⇒グランプリファイナルと連戦の疲れもあるであろう中、素晴らしい演技を見せて締めくくってくれました。

中田璃士選手に続き2023さいたまワールド宇野昌磨選手リスペクトフィニッシュしたのはちょっと受けましたね。一度やってみたかったとはw。

私がこの日座っていた席はキス&クライが死角で肉眼では見えないところだったため、下記のキス&クライ動画を観るまでは鍵山正和コーチが最初から涙目だったことは全く知らずでした。

観客の大半が「滑る前から優勝はほぼ決まり」と思っていたとしても、試合では何が起きるかわからない。見守ることしかできないコーチ&父親としては緊張も大きかったでしょう。フィンランド大会のフリーはまさかの内容だったし、全日本SPもトリプルアクセルがまさかのダウングレード&転倒で、ほぼ無言のキスクラでしたしね。

鍵山選手が感極まってるお父さんを気遣うような視線をチラチラ送るところがなんとも微笑ましいです。

親子二代全日本王者なんてすごいこと実現できる親子はそうそういない。別に鍵山選手は親孝行のためにフィギュアスケートをしているわけじゃなしょうが、とんでもない親孝行をしたなって思いましたね。まだまだできそうですけどね!

ここ数年の全日本男子の結果を振り返って思うこと

北京五輪以降、男子シングルの全日本表彰台は「宇野昌磨選手+鍵山優真選手と誰か」という組み合わせでした。

鍵山選手が怪我で全日本以外欠場した2022年は島田高志郎選手と友野一希選手2023年は山本草太選手がそれぞれ表彰台に上がり。宇野選手が引退した今年は中田璃士選手と壷井達也選手が表彰台に

数々の国際大会で優勝してきた佐藤駿選手と三浦佳生選手が、未だに全日本の表彰台に乗っていない本当に信じられないことです。全日本メダリスト一覧表にまだ彼らの名前が一度も出てこないなんて。

どちらも追い込まれた局面の国際大会で「ここ一番の強さ」を見せたことが何度もある選手です。

山本草太選手や友野一希選手、島田高志郎選手もジャンプで特大級のミスが出た後の後半で技を決めて演じ切る強さがありました。

そんな彼らが本来の実力を発揮しきれない全日本。それがやっとできた2023年は、他の候補選手が全員実力を発揮したため全員は表彰台にたどり着けなかった。

いかに全日本選手権が「むずかしい大会」なのか、思い知らされます。

今思えば2021年の三浦佳生選手は実力を発揮できていました(羽生宇野鍵山の3名に次ぐ4位で、四大陸代表&ワールド代表第一補欠に選抜)。あれは今回の中田璃士選手と同様の立場だったのが大きかったかもしれません。あの時の彼は当時のルール上シニアの大会に出場できてはいたけれど、今の中田璃士選手と同じ16歳。まだジュニアが主戦場でした。

中田璃士選手がフリー演技後のキス&クライを離れる時、中庭コーチが「年々この全日本厳しくなっていくから一杯練習してね」と声をかけていました。全日本の緊張感を身をもって知っているコーチだからこそかけられる言葉でしょう。中田璃士選手もこれで一般からも注目される選手となりました。彼も今後は全日本の難しさと対峙していくことになるかもしれません。

そんな「むずかしい大会」に出て演技を終えた選手たち。それはそれで凄いんだよなって改めて思います。

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ラクタブドーム正面入り口に入る観客

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