11月6日に開幕したフィギュアスケート・グランプリシリーズ(GPS/GPシリーズ)第3戦、中国大会。
2日目の11月7日は、アイスダンスFD、女子フリー、ペアフリーが行われました。
日本勢では、千葉百音選手が女子で優勝。そして「ゆなすみ」こと長岡柚奈(ゆな)/森口澄士(すみただ)組がGPS初の銅メダルを獲得!
特に「ゆなすみ」は、4位とわずか0.04点差での表彰台。アイスダンスでも3位と4位が0.09点差という大接戦となりました。
今回は、そんな中国大会2日目の3カテゴリを振り返ります。

ペアフリー:ゆなすみ、GPS初の銅メダル!
ペア最終結果
こちらが中国大会ペアの最終結果です。
| 順位 | カップル(国) | SP | フリー | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ミーシナ/ガリャモフ組(AIN) | 74.69 | 135.15 | 209.84 |
| 2 | メテルキナ/ベルラワ組(ジョージア) | 67.06 | 131.21 | 198.27 |
| 3 | 長岡/森口組(日本) | 63.06 | 118.44 | 181.50 |
| 4 | アコポワ/ラフマニン組(アルメニア) | 66.34 | 115.12 | 181.46 |
| 5 | リウ/ベダード組(米国) | 62.71 | 100.31 | 163.02 |
| 6 | プラザス/フェルナンデス組(米国) | 59.48 | 98.71 | 158.19 |
| 7 | ジャン/ファン組(中国) | 56.52 | 99.58 | 156.10 |
| 8 | デロシェ/スラッシャー組(カナダ) | 59.24 | 93.84 | 153.08 |
怪我からの復帰戦で表彰台
SPを4位で終えた長岡柚奈/森口澄士組は、フリーで118.44点を獲得。フリー3位となり、総合181.50点で銅メダルを手にしました。
ゆなすみにとって、これがGPS初のメダル!

今季序盤は長岡柚奈選手の2度の骨折に苦しみ、今大会がようやくの国際大会復帰戦。個人的にも、今回の中国大会で何より楽しみにしていたのが、この2人の演技でした。
でも、氷上練習を再開したのは8月になってからで、ジャンプ練習再開は10月。GPSに間に合わせてきただけでも驚きだったので表彰台への期待などは口に出さないようにしていました。

表彰台を期待する気持ちは心の奥にあったので、2人の初表彰台、すごく嬉しいです
BS朝日の放送では、インタビュー中に銅メダル確定の情報を聞いて大喜びする二人の姿が見られたのも最高!
昨季は2大会とも4位で本当惜しかったんですよね~

フリーでは冒頭のトリプルツイストでレベル2となり、スロートリプルループでは着氷の乱れから大きくGOEを落とすなど、決して完璧な演技ではありませんでした。
大きかったのは、サイド・バイ・サイドの3回転ループからのダブルアクセルでしょう。その後の3回転トゥループも含め、プラス評価。

難度の高いジャンプをペアで決められるのが「ゆなすみ」の強み
今季のルール改正でコンビネーションに組めるジャンプが2つに減ったのは、二人にとって痛いかもなと危惧していたのですが、今も十分武器となっていますね
リフトでも相変わらず高い評価を得ています。彼らの実力を知っていると、スピードやパワフルさは「まだ出せる」と心のどこかで思ってしまいますが、僅か数か月でここまで仕上げてSP・フリーを滑り切っただけでも凄いことだと思います。
本人たちも滑り込みがまだできていないので後半のスタミナが課題であるようなことは話していました。フリーの方はまだこれからよくなっていくんだろうなという予感がします。
特に最後のコレオペアスピンは完成形が見られたらなんだかすごい感じになりそう?NHK杯の演技が楽しみになりました。あ~希望席種のチケット取れてたら現地で観たかったなぁ…。
0.04点差での逆転劇
ゆなすみの銅メダルは、非常に僅差での確定でした。
私は正直言って、SP3位だったアルメニアの「アコラフ」ことカリナ・アコポワ/ニキータ・ラフマニン組を超えられる可能性はあまり期待していませんでした。

「アコラフ」はミラノ五輪の2025-26シーズンに所属をロシアからアルメニアに変更。ミラノ五輪代表最終予選で「ゆなすみ」を上回る2位に入ったペアです。その後のミラノ五輪では14位、世界選手権8位と活躍していて、比較的ミスが少ない印象がある組でした。
この試合で優勝し中国の五輪枠を勝ち取ったジャン/ファン組は今大会7位。今季調子を落としているのが残念です…

なので、怪我明け初試合の「ゆなすみ」がSPでは3.28点の差をつけられていた時点で、「ゆなすみ」の逆転表彰台は望み薄だろうと思っていました。
しかし、「ゆなすみ」はフリーでは3.32点上回り、総合ではわずか0.04点差で逆転。
「アコラフ」はリフトなどでは高いレベルを揃えたのですが、ジャンプでは3回転トゥループがダウングレード判定となり、転倒するなどの大きな失点がありました。一方、「ゆなすみ」はスロージャンプ2本とも着氷が乱れたり、レベルを取り切れない技が複数ありました。
そのため、フリーの技術点は「アコラフ」が0.47点上回っています。
しかしPCSでは、「スケーティングスキル」の項目で8点台を取るなどした「ゆなすみ」の62.94点に対して「アコラフ」は60.15点。
さらに「アコラフ」には転倒による1点の減点があったことが、この僅差の結果につながったと言えます。

長岡柚奈選手が着氷が乱れても転倒することなく耐えたのが、表彰台に繋がりました!
「ミーガリ」優勝、「メテベル」は2位でGPF進出確定
優勝したのは、AINの「ミーガリ」ことアナスタシア・ミーシナ/アレクサンドル・ガリャモフ組。フリー135.15点、総合209.84点でSPからの首位を守りました。

フリー冒頭のトリプルサルコウの連続ジャンプも軽微な回転不足の「q」マークがつくなど、万全の演技だったわけではありませんが、ツイストやスロージャンプ、リフトなどで加点を重ねた結果です。
SPのときは慎重な滑りだったのか、スピードが今一つに見えましたが、フリーではSPのようなスピードの物足りなさは感じなかったです。

まぁ曲の編集が「あぁロシアペアが帰ってきたな…」という感じでしたがw
2位はジョージアの「メテベル」ことアナスタシヤ・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組。フリー131.21点、総合198.27点でした。
なんだか今大会はSP・フリーとも「メテベル」らしくない感の演技でした。フリーは後半に疲れが見えるようにも感じられ、リフトでヒヤヒヤさせられました。まだ若くて時々思いもかけないミスをすることのあるペアではありますが、最近大きなミスが減ってきていただけに、ルカ・ベルラワ選手が体調を崩したりしていたんだろうか?と思ってしまう程。
とはいえ彼らはフランス大会で優勝しているので、今回の2位でグランプリファイナル(GPF)進出を確定させました。
よくよく考えると、「メテベル」もロシア出身選手同士のペア。「ゆなすみ」はロシア出身選手による3組と相対して、銅メダルを勝ち取ったと言えますね。

女子フリー:千葉百音選手がイグナトワ選手を抑えて優勝!
女子最終結果
女子シングルSP首位の千葉百音選手は、最終滑走のフリーでも安定した演技を披露。148.40点(TES78.12/PCS70.28)、総合224.48点で優勝しました。
| 順位 | 選手(国) | SP | フリー | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 千葉百音(日本) | 76.08 | 148.40 | 224.48 |
| 2 | アレクサンドラ・イグナトワ(AIN) | 72.37 | 148.90 | 221.27 |
| 3 | イ・ヘイン(韓国) | 67.49 | 143.30 | 210.79 |
| 4 | アナスタシヤ・グバノワ(ジョージア) | 75.05 | 133.53 | 208.58 |
| 5 | ララ・ナキ・グットマン(イタリア) | 71.76 | 130.93 | 202.69 |
| 6 | 山下真瑚(日本) | 69.17 | 124.15 | 193.32 |
| 7 | ソフィー・ジョリーン・フォン・フェルテン(米国) | 60.19 | 129.02 | 189.21 |
| 8 | ジュー・イー(中国) | 64.58 | 115.89 | 180.47 |
| 9 | ジャン・ルイヤン(中国) | 61.20 | 105.52 | 166.72 |
| 10 | オルガ・ミクティナ(オーストリア) | 55.41 | 102.45 | 157.86 |
| 11 | 渡辺倫果(日本) | 55.72 | 99.14 | 154.86 |
| 12 | アリナ・ボニージョ(米国) | 59.30 | 91.02 | 150.32 |
千葉百音の完成度
千葉百音選手は、ジャンプではトリプルルッツ-ダブルアクセル‐ダブルアクセルの連続ジャンプに軽微な回転不足を指摘する「q」マークがついたものの、そのほかのジャンプでは大きなミスもなく、レベル判定のあるスピンやステップはすべてレベル4。

スピンやステップが得意な選手には、今季のルール改正は本当に有利に働いていますね~
特にコレオシークエンスとコレオスピンでは大きな加点を獲得していました
3連続ジャンプにレビューがついていたので、「フリー1位は逃すだろうけど、総合では逃げ切って優勝できそうだな」と思っていたら、その通りの結果に。
今大会のテクニカルパネルは回転不足に若干甘め?な印象はありました。でも、回転不足を取られがちな千葉百音選手のジャンプも今回は良い仕上がりだったように思います。
怪我明けで今季の国際大会は初めてだったし、優勝は厳しいかもなと思っていたのですが…1つでもミスが出れば逆転優勝を許しかねないプレッシャーのかかる状況で、落ち着いてほぼ完璧にまとめきったのは素直に凄いと思います!

4回転ルッツ成功のイグナトワ
2位となったアレクサンドラ・イグナトワ選手は、冒頭の4回転ルッツを成功!後半に入れているジャンプもことごとく成功させました。その安定度は本当に抜群です。

ただ、初戦の木下グループ杯のときもそうだったんですが、後半のステップで若干疲れが見えたように思います。2戦目のときはそこが解消されていたんですけどね。前半のスピードは結構あったように思ったんですが。
フリーは148.90点で、千葉選手を0.50点上回っていました。技術点は83.01。これで4回転トゥループを投入してきたら手ごわいですね。
女子はSPに4回転ジャンプを入れられません。(トリプルアクセルの解禁も遅かったけど、4回転ジャンプの解禁も遅いと感じます…)そのうえイグナトワ選手はSPではスピンで基本姿勢が認められず、点数を落としていました。
とはいえ、イグナトワ選手にとって、SPでの3.71点差はじゅうぶん優勝射程圏内ではありました。そこでほぼパーフェクトな演技を見せた千葉百音選手に、PCS差で逃げ切られてしまったという感じです。

フリーのTESではイグナトワ選手が4.89点上、PCSでは千葉選手が4.39点上という結果。高難度ジャンプが大きな武器のイグナトワ選手と、演技全体の完成度で高い評価を得た千葉選手。両者の持ち味が得点にも表れた結果となりました。
イ・ヘインと日本勢
トリプルアクセルで逆転銅メダル
SP6位だった韓国のイ・ヘイン選手は、フリー143.30点を獲得。総合210.79点で3位まで順位を上げました。

彼女がここしばらくトリプルアクセルに挑戦していました。でも、トリプルアクセルを決めることはできても、その後崩れてしまうのを続けて見てきたので、彼女がトリプルアクセル入りでプログラムをまとめきったのには正直ビックリしました。そんなスタミナが彼女に今あるとは思っていなかったので。
演技終了直後に「これは表彰台行っちゃうのでは?」と思っていたら、表彰台候補と目されていたアナスタシヤ・グバノワ選手(ジョージア)やララ・ナキ・グットマン選手(イタリア)を上回り、本当に銅メダルを獲ってしまいました。

世界選手権銀メダルを持っている彼女ですが、実はこれがGPS初表彰台です!
山下真瑚6位、渡辺倫果11位
日本勢では、山下真瑚選手が総合193.32点で6位、渡辺倫果選手が154.86点で11位となりました。
山下真瑚選手は冒頭から滑りのスピードで魅せてくれました!

最初のトリプルルッツ-トリプルトゥループの飛距離と迫力の素晴らしかったこと!「このままいってくれ~!」と祈ったのですが、トリプルフリップで転倒。終盤のトリプルループもシングルに抜けてしまいました。「ボレロ」の高揚感を演じられていただけに勿体なかったです。
ISU公式YouTubeチャンネルの実況冒頭では、「憧れのショーマ・ウノにあやかってボレロを選んだ」というエピソードが紹介されていました。2戦目NHK杯では更にいい「ボレロ」が見たいです!
渡辺倫果選手は、前半のトリプルアクセル2本、トリプルループが全て両足着氷となり、いずれもダウングレード判定になってしまいました。6分間練習ではトリプルアクセルを綺麗に決めていただけに何がどこでどう噛み合わなくなってしまったんだろう?という演技で11位。

中盤から立て直すことはできたものの、後半のトリプルルッツやフリップにもアンダーローテーション判定がついています。
スケーティングの見直しをしているせいで調子が落ちているのか、腰痛の影響がまだ続いているのか、単に試合で実力を出せなかったのか、不調だった理由はわかりません。
ここは辛抱の時期なのかもしれません。次戦のフィンランディア杯では調子が上向いていますように。
アイスダンスFD:「フィアギブ」連勝、銅メダル争いは0.09点差!
アイスダンス最終結果
中国大会のアイスダンスを制したのは、英国の「フィアギブ(ライラルイス)」ことライラ・フィアー/ルイス・ギブソン組でした。
| 順位 | 選手名(国) | RD | FD | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | フィアー/ギブソン組(英国) | 80.00 | 114.93 | 194.93 |
| 2 | デイビス/スモルキン組(ジョージア) | 79.31 | 114.23 | 193.54 |
| 3 | スマート/ディーク組(スペイン) | 70.98 | 107.32 | 178.30 |
| 4 | タシュレロワ/タシュラー組(チェコ) | 73.10 | 105.11 | 178.21 |
| 5 | ドゥムジョ/ル・メルシエ組(フランス) | 71.41 | 105.53 | 176.94 |
| 6 | ブラッティ/サマーヴィル組(米国) | 65.04 | 102.93 | 167.97 |
| 7 | ペイト/バイ組(米国) | 64.84 | 96.20 | 161.04 |
| 8 | シャオ/フー組(中国) | 62.48 | 89.81 | 152.29 |
| 9 | レン/シン組(中国) | 59.16 | 91.56 | 150.72 |
| 10 | リン/ガオ組(中国) | 44.86 | 80.21 | 125.07 |
「フィアギブ」「デビスモ」のGPFは?
「フィアギブ(ライラルイス)」はRD・FDともに1位、総合194.93点で優勝。2戦連続優勝でグランプリファイナル(GPF)進出を確定させました。
ジョージアの「デビスモ」ことダイアナ・デイビス/グレブ・スモルキン組も総合193.54点で2位。こちらも2戦連続2位でGPポイント26点を獲得し、GPF進出が非常に有力となっています。
FDでも僅差の戦い
RDではわずか0.69点差、FDでも0.70点差。FDの技術点(TES)は「フィアギブ」が61.45点、「デビスモ」が61.15点で0.30点差。演技構成点(PCS)も0.40点差しかありません。
ここまで点差が小さいと、今後の対戦でもどちらが勝つか全く読めませんね。
「フィアギブ」の今季RDには今一つピンと来ていないのですが、FDは彼ららしいキラキラしたプログラムで結構好きです。まぁ、そろそろもう少し違う二人も見たい気持ちはありますけど(笑)。
一方、「デビスモ」のFDは、木下グループ杯で現地観戦したときはAI音楽の印象が薄く、あまりピンと来ませんでした。その後、音源を変更してブラッシュアップしていますが、まだ「お気に入りのプログラム」と呼ぶには何かが足りない感じ。

どちらもこれからプログラムを仕上げていくはず。GPFで再び対戦する可能性も高そうなので、今後の変化を楽しみにしています。
「スマディク」0.09点差の逆転銅メダル
RD5位だったスペインの「スマディク」ことオリヴィア・スマート/ティム・ディーク組が、FDでは3位となる107.32点を獲得。総合178.30点で銅メダルを手にしました。

一方、RD3位だったチェコのナタリー・タシュレロワ/フィリプ・タシュラー兄妹は、総合178.21点で4位。わずか0.09点差で表彰台を逃しました。
ペアの「ゆなすみ」と「アコラフ」の0.04点差と同様、アイスダンスでも僅差のメダル争いとなりました。
もうこのへんは、素人には差が全然わからないレベルですね(苦笑)。どちらも好きな組なので、順位のことはあまり気にしないようにします。
ただ、「スマディク」はプログラム自体は個性的でいいのだけれど、今季は今一つ調子が上がってこないもどかしさを若干感じ始めています。国内での代表争いが厳しい立場でもないので、今はじっくり仕上げていけばいいのかもしれませんけど。
中国の3組による争いもかなり興味深い展開だったのですが、こちらはもう少し掘り下げた上で、後日改めて記事にしたいと思います。




