群馬で開催されていた2026年の東日本選手権/アイスダンス予選会の現地観戦を終え、11月1日深夜に帰宅しました。
「しょまりん」初戦となったアイスダンス予選会は、初日も2日目もメディアの多さに圧倒されました。 フリーダンス(FD)では新衣装で登場した組も多く、全7組の演技を通じてそれぞれの現在地を確認。
その後に行われた東日本選手権シニア男子フリーは、全日本選手権への進出を懸けた熱戦に、観ているこちらも一喜一憂。夢を賭けて頑張ってきた選手たちの熱い気持ちと、それぞれの結末の重さに圧倒される時間でした。
まだ報道や演技映像を十分にチェックできていない段階ではありますが、今回は現地で見た大会最終日の光景や感じたことを、記憶が鮮明なうちに書き残しておこうと思います。
なお、記事末尾には、東日本選手権から全日本・全日本ジュニアへの進出を決めたシングル選手の順位・得点一覧も掲載しています。
大量のカメラが一斉に選手を追いかける光景
「しょまりん」初戦となった、2026年のアイスダンス予選会。多数のメディアが集まっていることは予想していましたが、本当に多かったです。
アイスダンス予選会開始前からカメラ機材を抱えてショートサイドに陣取っていたメディア関係者の「圧」が凄かった、と予選会初日の観戦メモに記しました。

最終日に数えてみたら、ショートサイドでカメラを抱えていた人たちは17名いました。初日はもう少し多かった気がするので、余裕で20名前後はいたんじゃないかと思います。
選手たちがリンクに登場すると、そのカメラが一斉に追いかけます。フリーダンス(FD)では「しょまりん」だけでなく、「いくこう」や「うたまさ」も新衣装になっていたし、リンクから目が離せなかったです。
なので、スタンド席に鍵山優真選手がいて「がんばれ!昌磨」バナーを掲げていたことも、樋口美穂子コーチと宇野昌磨選手のお母様が一緒に観戦していらしたことも、現地にいたのに全く気付かなかったです。
予選会2日目は東側の席だったので関係者席もよく見える位置で、双眼鏡も持って行っていたというのに、アイスダンス予選会の最中は一度も取り出さないままでした。
<公開直後に追記>
ちなみに予選会初日の土曜日に、宮本賢二先生らしき方は近くでお見かけしました。「Ice Brave」などのアイスショーのときとは違ってスタッフジャンパー的なものをお召しになっておらず、ファッションをバッチリ決めていらしたので別人感が強かったです。(かっこよかった、とも言う)
鍵山選手も玄関前で何やら出場選手たちと共に何やら取材を受けている様子だったのは目撃しました。人だかりが凄かったので、姿を見られたのは一瞬でしたけど。
放送と報道にキャッチアップするのは、また後日
長年の宇野昌磨さんファンとしては、「しょまりん」初戦関連報道をくまなく追いかけたい気持ちはあります。
しかし、フィギュアスケートファンとして追いたい試合がこれだけ渋滞している状況では、そうもいきません。今週末には、西日本選手権もGPS第3戦中国大会も控えています。
さすがに二人の試合後の囲み取材発言の記事には目を通しました。(全発言が読める有料記事の方がおすすめです)報道も特集企画の録画もろくに追えていません。メディアの記事や写真、識者やSNSの反応についてもごく一部を目にした程度です。
なんとアイスダンス予選会の演技映像も未視聴です。FOD(フジテレビオンデマンド)プレミアム配信で、各組のキス&クライでのやりとりはあらかたチェックした程度。それも、目は次に滑走する選手たちを追っていることが多かったので、大半は音声のみを聞いていました。
現地で自分の目で見た印象と、映像で見た印象とでは、少しズレを感じることがあります。
なので、敢えて現地の記憶しかない状態で感想メモを書き残しておくことにしました。なるべく現地にいないとわからないような内容を入れるようにしてみます。
アイスダンス予選会・全7組のFD観戦メモ
第1グループの3組
「はるりょう」こと矢島榛乃/北村凌大組
「はるりょう」は今季の結成。
矢島榛乃選手のアイスダンス選手歴は長いけれど、パートナーの北村凌大選手はシングルからの転向組。9月の東京夏季大会での初披露演技は未見だったので、どんな演技を見せてくれるのか全く予想がつかずでした。

出だしのワンフットターン部分で矢島選手が転倒するハプニング。それでも、その後の演技は素人目には大きな支障なく演じていたように見えました。キス&クライでは矢島選手が転倒時に打ち付けた脇腹あたりをかなり痛そうにしていたのが気の毒でしたね。
北村凌大選手が短期間でここまで来れていることに、ただただ驚きました。この新結成組が全日本でどこまで成長しているか、楽しみになりました!
「りかあつ」こと深瀬理香子/田村篤彦組
「りかあつ」は、「はるりょう」と同様、今季結成組です。

二人ともカナダのモントリオールを拠点としており、アイスダンス経験豊富。
深瀬理香子選手は2022年からはシンクロナイズドスケーティングに転向し、カナダ代表として世界選手権で3度の優勝経験ありの実力者。田村篤彦選手は、ジュニア時代から日本男子にありがちな「照れ」が微塵もない、踊り心のあるスケーターだったので、結構気になる選手の一人でした。
この二人なら新結成といえど相当な早さで仕上げていきそうだし、「しょまりん」より上位に来るかも?と思っていましたが、RDでの動きは想像していたより固め。「しょまりん」もそうでしたが、国内での初演技ともなると緊張もあったのでしょうか。
FDの「オペラ座の怪人」は打って変わって彼らの表現力が存分に発揮されていて、すごく引き付けられました。総合6位でしたが、FDでは「かほゆう」を抑えて5位になったのも納得の迫力でした。

RDの日は当日の公式練習なしでほぼぶっつけ本番だったことも影響しているかもしれませんね
正直言って、RDではどの選手も実力をフルに発揮できているという印象は薄かったです
「かほゆう」こと山下珂歩/永田裕人組
続いては「かほゆう」。出て来た段階で、木下グループ杯から山下珂歩選手の衣装が変わっていることに気づきました。

木下グループ杯のFDは、どちらも黒の衣装でした。永田裕人選手の衣装はそのままでしょうか?

私は両方黒よりも、今回バージョンの方が好きですね。
長年ふたりで組んできただけあって、二人は組んでの姿勢での滑りがスムーズ。直前がベテランのド迫力系演技だったので、彼らの若々しいさわやかさとはかなり対照的でした。素人目には、RD同様木下グループ杯のときよりもいい演技に見えました。
午後に、二人は会場入り口でニコニコとファンらしき方々の記念撮影に気さくに応じていました。近くで見ると二人とも小柄なんですね。スケートリンクで見ると大きく見えるのはさすがです。
第2グループの4組
5分間練習
今回、5分間練習の際に「りかしん」と「いくこう」が接触しかけるシーンがありました。
私は観客が騒ぐ声で気づいたので、どれくらい危険な状況だったのかはわからずです。大事にならずすんで、良かったです。
大会最終日はリンク入口が見える東側の席だったので、「かほゆう」がリンクを出ていく前から第2グループの選手達が視界に入るため、今回初披露の「しょまりん」FD用新衣装が気になって仕方なかったです。

しかも、新衣装になっていたのは「しょまりん」だけではなかったので、「ええ!この組も!?」ってなりました(笑)
「しょまりん」こと本田真凜/宇野昌磨組
「しょまりん」の新衣装は、基本的にはアイスショーで着用していた衣装を踏襲したデザイン。

本田真凜選手はデザインが変わっていないように見えましたが、スカート部分の裾周りとかが違うのでしょうか。
宇野昌磨選手は「ハチドリ」を模したデザインですが、腰のところに「尾っぽ」のようなヒラヒラ布がつきました。キラキラ部分に青み系が増えたようですが、背中のデザインは私は前の方が羽根っぽくて好みです。でもどちらの衣装もイイ!
FDの演技から受けた印象では、RDで感じた「安全運転感」はかなり軽減されていました。
初日はあれだけ注目を浴びた中での初演技、いくら歴戦のビッグイベントを体験してきた二人といえども「アイスダンス選手」としての初舞台は何かと勝手が違って、いつもとは違う緊張が気づかぬ間に滑りに出ていたのかもしれません。

なお「RDは安全運転だった」と初日の感想メモには書きましたが、パッションは伝わって来る演技だったことを書き添えておきます
ただ、5分間練習やショーのときよりも動き&スピードが慎重になっているように感じたんです
FDでは冒頭のステーショナル→ローテーショナルへの連続リフトは期待通りの仕上がり。でも、その後のリフトは見たことがない新技で入ってきてかなり驚きました。
「Ice Brave 新横浜Special Edition」でショー版演技として披露された「四季」を何度も観た身としては、競技バージョンの様々な変更点に対して「え、何それ初めて見た!」「あ、あそこの振り付けないんだ…」「なるほどここにコレを入れたのね!」ってな感じで冷静に試合演技を観られず。
おかげで演技に完全没入し損ねました。まぁ試合を見守る緊張がまだあったというのもあるんですけど。

これだけ多彩なリフトを披露した背景には、身長差を理由に「リフトが難しいはず」と決めつける声への反発心も、少しあったんじゃないかな、と私は勝手に思っています。
アイスダンスをよく見ている人なら、体格差がないのに凄いリフトをしている組が複数いることはわかるはずなんですけど、そういうことを知らない外野にはあれこれ言う人がいますからね…。
イタリア合宿に再度行くとのことなので、全日本のときはまた違うリフトを入れて来るかもしれませんね。
しょまりん初戦を振り返って
アイスダンスを見ていると、新結成の組は、最初の数試合で思わぬハプニングが起きることも珍しくありません。これだけメディアが注目している中で、二人がRD・FDともにど派手なミスなく演技をまとめられたことには正直ホッとしました。
ただ、RDでもFDでも乱れたのがツイズルだったのはかなり意外でしたね。
シングルとは勝手が極端に違うパターンダンス(ゴールデンワルツ)など、ホールド姿勢が必要なステップは、苦戦しそうだなと思っていました。でも、ショーや練習でのツイズルは距離も近く回転も揃っていて、アイスダンス経験者たちが口を揃えて褒めていたので。
「4回転ジャンプ入りのプログラムを練習ではうまくこなせるのに試合では入らない」というのと同様、「練習でできていることが試合ではできなくなること」は、アイスダンサーにもあるんだなということを実感。

「ツイズルでのミスが多いアイスダンス選手たちも、練習でのツイズルは鉄板なのかもな…」って思いました
繊細なボディコントロールを必要とするぶん、高難度ジャンプと同様成否がメンタルに左右されやすいのかも?
こればかりは試合経験を積むしかないんでしょうね
「いくこう」こと櫛田育良/島田高志郎組
「いくこう」も新衣装でした。

前の衣装の方が島田高志郎選手に「労働者階級のジゼルを裏切る資産家御曹司」感があった気がするのですが、アクラム・カーン版の「ジゼル」だと新衣装の方がピッタリくるのでしょうか?

彼らがFDに取り入れたことでアクラム・カーン版「ジゼル」のことは調べたものの、肝心の舞台は未見なのでよくわかりません。
木下グループ杯のときも書きましたが、これは本当に「はまりプロ」だと思います。国際大会本格デビューシーズンにふさわしい、彼らの個性を打ち出したプロ。
アイスダンス経験が浅い二人が組んでいるため、進化途上の足元をうまくカバーするかのような振り付け。それを見事な表現力で魅せきれる力があるふたり。

櫛田育良選手、これでまだ高校生なんだから驚きの表現力ですよね
今でこれならベテランアイスダンサーになったらどうなっちゃうんだろう…
「りかしん」こと紀平梨花/西山真瑚組
「りかしん」は、木下グループ杯で新調した赤×黒の衣装で登場。(私が気づいていないだけで、細部に変更があったかもしれませんが…)

RDでも感じましたが、この二人には組んでの滑りに進化をかなり感じました。
西山真瑚選手のアイスダンス経験が豊富なこともあるとは思います。紀平梨花選手は、体操経験からくるアクロバット動作の強みが注目されがちですが、西山真瑚選手のリードに合わせ、アイスダンス的な滑りを急ピッチで吸収していっている印象を受けました。
昨シーズンから今季序盤のカナダ地方大会にかけては、大きなミスが出がちでしたが、徐々に落ち着いて要素をこなせるようになってきています。試合経験を重ねうまく成長して行っているのは、さすがに元トップ選手の経験と実力でしょうか。
FD当日は、西山真瑚選手の体調が今一つ良くなかったとのこと。それを全く感じさせない演技だったのは凄かったと思います。
「うたまさ」こと吉田唄菜/森田真沙也組
最後は「うたまさ」。
私、現地では実は気づかなかったのですが、「うたまさ」も少なくとも吉田唄菜選手の衣装が新しくなっていました。少し染め変えたりして手直しをしたのか、全くの新衣装なのかはわかりませんが。

こちらが木下グループ杯の写真。新衣装は上部にピンク系のグラデーションが加わっています。森田真沙也選手の衣装は装飾が少し増えた?それとも変わりなし?じっくり映像で比較しないとわからないかも。

他の木下グループ杯出場組よりもFDを仕上げるのが遅かった「うたまさ」。今回の演技は木下グループ杯の時に比べたらかなり変わっていました。ただ、それでも本人たちに言わせたら「まだ35%程度の出来」だそうで。
今季のRDとFDは、吉田唄菜さんのパワフルな魅力をより強く生かしたものになっていると感じます。後続の組が続々と結成され、より個性を打ち出していくための戦略なのかもしれません。
この路線は、日本の組では「うたまさ」が一番得意とするもの。この「強い女王」に翻弄される男性のように見えていた森田真沙也選手にも、「強い女に翻弄される自分を楽しむ男の余裕感」が少し出て来た気が勝手にしています。
現状、日本の組の中では一歩抜けている感がある「うたまさ」。ただ、他の組も急ピッチで成長しているので、彼らも後続の組に負けない個性と表現力を、さらに磨いていくことになるのでしょうね。

追いかけられる立場が彼らをさらに成長させそうで、凄く楽しみ
国内競争があることは、やはり大事ですよね
各組の今後のミニマムスコアへの挑戦はどうなる?
現在、「うたまさ」を追う「2番手」争いをしている「いくこう」と「りかしん」の点差は、木下グループ杯でも今大会でもわずか。特に今大会はRDもFDも超僅差で、どちらが勝ってもおかしくない展開でした。
今月末のNHK杯ではジャッジがどういう採点をするのか、そして、ワールドミニマムスコアに届くかどうかが気になるところです。
世界選手権のCTESは98点。「いくこう」はあと8.07点、「りかしん」はあと10.37点必要になります。
ただ、CS大会に比べると、今季GPSのアイスダンスの採点は少し厳しくなっている感があります。ワールドミニマムを持っている選手のRDも60点台が結構出ています。そんな中、日本の2組が世界選手権のミニマムにどこまで近づけるかはわかりませんが、今後に備えて少しでも点を積んでおきたいところです。
ちなみに、12月にクロアチアで開催されるCS大会「ゴールデンスピン杯」の派遣基準は、世界選手権と四大陸選手権のミニマムスコアのほぼ中間にあたる、CTES91点でした。

今季の日本スケート連盟の海外CS大会派遣予定は、このほかに2月のチャレンジカップを残すのみ。
そのチャレンジカップも、現時点ではISU公式イベントカレンダー上では開催中止と表示されているため、「しょまりん」がチャンピオンシップ大会用のミニマムスコアに挑戦できるのは来シーズン以降になる可能性が高そうです。
来季も木下グループ杯が開催されるなら、そこに派遣してもらうためにも、まずは全日本選手権で今大会の表彰台3組に続く順位を目指したいところでしょうか。
東日本選手権 シニア男子 全日本を賭けた熱い闘い
アイスダンスの全組振り返り、もうちょっと現地観戦記風楽しく書くつもりだったのに、文章が随分真面目なトーンになってしまいました。現地のワクワク・ハラハラ感がちゃんと伝えられていないかも…(苦笑)。
というのも、そのあとの東日本選手権での「全日本を賭けた闘い」があまりにも熱くてですね…そのときの興奮と比べたら、アイスダンス予選会の感想はちょっと冷静になってしまうんですよね。

去年の西日本選手権のときにも実感しましたが、現地で伝わって来る熱気はやっぱり違うなって思いました
アイスダンス予選会は、「しょまりんデビュー戦」という点で注目は集めたものの、シングル選手と違って全員全日本出場が確定しています。今季最大の国内勝負は年末の全日本選手権だから、東日本選手権は全日本前の「力試しの場」という感じ。
メダルを獲得した選手たちは称賛されるべきだと思いますが、今回の順位や点数であれこれ論じるのも何だか違う気がするし…で、なんだかちょっぴり引いた感じの感想になっちゃいました(苦笑)。
とはいえ、この日私が現地観戦できた東日本選手権シニア男子フリーの一喜一憂をつぶさに書いて行ったら大長編になってしまうし…現地での様子のうち主要なところだけ記録しておきます。
第3グループ、悲喜こもごもの展開
私個人は、東日本、西日本の選手権で一番場内が熱くなるのは、表彰台争いよりも「全日本進出当落線上」の選手たちが数多く含まれるグループだと思っています。
東日本シニア男子の場合、それは第3グループにあたりました。
東日本選手権終了時に「通過」が決まるのは、シニア男子だと9名。後続選手の点数で状況が変わりうることはあるものの、滑り終わったときの暫定順位で、全日本に届くのかどうかがある程度見えてきます。
観客側にとっても悲喜こもごもの感情が押し寄せて来る時間です。
アイスダンス予選会のときと同様、私はシニア男子後半グループでは演技終了後はスマホでFODで配信されているキス&クライの様子をイヤホンをつけてチェックしていました。応援している選手たちの喜びの瞬間はともに味わいたいですからね。

ただ、そのためには辛い瞬間もともに味わうことになります
小田垣櫻選手の演技後は辛かったですね。トリプルアクセルを降り、演技後に大満足な表情を見せてくれていただけに、ごくわずかな点の差で、全日本には届かないであろう順位になったことは衝撃だったようです。
順位コールを聞いて顔を伏せて悲しむ姿、良い演技だったことを横で褒め称えるコーチの姿は記憶に強く残っています。最終的には10位で確定、再びの全日本出場はあと一歩で届かず。
一方、磯和大智選手のようにギリギリ通過が確定する暫定順位コールを聞いて、安堵で涙した選手もいます。トリプルアクセルを連続ミスしてしまって観客をヒヤヒヤさせつつも、その後をしっかりまとめた末に勝ち取った全日本出場。大島コーチと抱き合い喜び合う姿は胸を打ちました。
彼の双子のご兄弟が今週末から始まる西日本選手権に出場予定なので、そちらも応援したいと思います。
第4グループ、大島光翔選手の全日本への挑戦
最終の第4グループで、私が最も心配していたのは大島光翔選手でした。
なにせ彼は左足首の怪我で、先の東京選手権ではアクセルを1本も跳べない状態。ジャンプ練習を再開できたのは東日本選手権の1週間前。
SP終了後には、「左足にまだ強い痛みがあり、痛み止めを飲んで出場していた」という記事が出ていました。

まぁもっとも私、この記事を読んだのは試合後なので、今もそこまでの痛みがあるなんて知らなかったんですけどね。
ただ、6分間練習のときに「怪我の影響はまだ結構大きいのかも…」と思い始めました。
というのも、彼はトリプルアクセルからの連続ジャンプを一度試しただけで(2つ目のサルコウでステップアウトでした)、あとは私が確認できた限りではジャンプはごく軽い着氷確認をする程度で全く跳んでいなかったんですよ。他の選手たちがバンバンジャンプを練習しているだけに、その姿はかなり目立ちまして。
第4グループの選手たちが着々と演技をまとめていき、全日本出場を決めていきます。さすがにこのあたりになってくると多少のミスが出たところで順位は大きく落としません。
スケオタに大人気の田中蓮音選手は、終始落ち着いた感じに見える演技で観客を喜ばせていたし、三宅星南選手は4回転サルコウを見事に降りたうえ、情感溢れる映画「ゴースト」の世界を演じてベテランの貫禄を感じさせました。
しかし、大島光翔選手は…?
SPではジャンプの本数が少なかったけど、フリーは持つのかどうか私は心配過ぎて、演技前9位以内に入れるために必要なフリーの点数を計算しましたよ。「102点」という数字に「彼ならまず大丈夫よね…?」と自分に言い聞かせていました。

普通なら、SP2位の選手の演技前には、全日本選手権で後半グループに入れる2位以内を確保するために、暫定1位になるには何点必要かをチェックするんですけどね…
いやもう…本当に不安だったんですよ
フリー冒頭のジャンプは当然今季挑戦していた4回転トゥループではなく、3回転ルッツ。このジャンプは得意なのでまだ大丈夫。練習でステップアウトしていたトリプルアクセルからの連続ジャンプは…ステップアウトはしたけど次のサルコウまで降りた!
その瞬間、ちょうど目の前のリンク際にいた大島コーチ(彼の父親)が飛び上がって大声で喜ぶ姿が目に入りました。
あんなに喜ぶなんて、コーチ自身にも、あのジャンプに対して不安があったのかもしれません。ただ、その後の単独のトリプルアクセルはシングルに抜けてしまい、またもや不安に。
でもその後大崩れはなく、演技はまとめられました。抜けたトリプルアクセルをリカバリーしようと、後半のジャンプ構成を変更してトリプルアクセルを入れてなんとか降りたのは熱かったです。
演技後、キス&クライには同門の磯和大智選手と戸田晴登選手が乱入。一足先に全日本出場を確定させていた二人が大島親子に加わり、一挙に賑やかな空間になりました。
私は演技中盤で全日本進出を確信していましたが、それでも大島光翔選手は順位コールを実際に聞くまでは不安げな表情。コールを聞いたあとは顔をうずめて、泣いているようでした。
演技中は何度も笑顔を見せて観客を煽っていましたが、内心は本当に不安だったんだろうと思います。大島コーチと門下生たち全員で抱き合って喜ぶ姿に、私もじんと来ました。
次の最終滑走の片伊勢武アミン選手が、優勝のプレッシャーがあったのか、珍しく大きく崩れてしまったのはちょっとショックでした。彼の演技がパーフェクトに決まったときの凄さを知っているだけに。
それでも、大島光翔選手の演技前に全日本出場に必要な最低点数ラインは把握していたので、彼の全日本行きを心配する事態にはならずにすみました。フリーで順位は落としたものの、総合6位で全日本出場は確定です。
とはいえ、彼がSP後のインタビューで「全日本のSP後半グループで滑りたい」と話していたことを私は知っていたので、ちょっと複雑な気分で会場を後にすることになりました。
東日本選手権 全日本進出確定選手一覧
今回の東日本選手権で全日本選手権・全日本ジュニア選手権への進出が決まったのは、シニア15名、ジュニア21名の計36名。このほか、シニアのシード・出場免除選手9名とジュニアのシード選手2名も、それぞれ出場資格を有しています。
ただし、これで全日本の出場者がすべて確定したわけではありません。シニアでは西日本選手権終了後、東西の通過枠外選手の得点比較による追加選出があります。また、全日本ジュニアからの推薦選手も加わります。
| 順位 | 選手名(敬称略) | 合計得点 |
|---|---|---|
| 1 | 三宅星南 | 207.35 |
| 2 | 大島光翔 | 199.84 |
| 3 | 田中蓮音 | 194.10 |
| 4 | 戸田晴登 | 193.37 |
| 5 | 森本涼雅 | 184.27 |
| 6 | 片伊勢武アミン | 181.92 |
| 7 | 山田琉伸 | 174.60 |
| 8 | 周藤集 | 173.94 |
| 9 | 磯和大智 | 173.12 |
※別途、シード選手の佐藤駿選手・三浦佳生選手、出場免除の中田璃士選手も全日本選手権への出場資格を有しています。
シニア女子(6名)
女子は河辺愛菜さんが会心の演技で優勝を決めています。
| 順位 | 選手名 | 合計得点 |
|---|---|---|
| 1 | 河辺愛菜 | 184.45 |
| 2 | 髙木謠 | 175.73 |
| 3 | 奥野友莉菜 | 162.04 |
| 4 | 三枝知香子 | 159.73 |
| 5 | 穂積乃愛 | 152.08 |
| 6 | 髙橋舞 | 145.55 |
※別途、シード選手の島田麻央選手・千葉百音選手、出場免除の青木祐奈選手・中井亜美選手・住吉りをん選手・渡辺倫果選手も全日本選手権への出場資格を有しています。
全日本ジュニア選手権進出確定選手
2026年11月21~23日に茨城県ひたちなか市で開催される全日本ジュニア選手権。東日本選手権で進出が確定した選手の一覧です。
ジュニア男子(12名)
大島光翔選手の弟の佑翼選手もギリギリ通過を果たしています。
| 順位 | 選手名 | 合計得点 |
|---|---|---|
| 1 | 西野太翔 ※ | 225.10 |
| 2 | 森遼人 | 204.32 |
| 3 | 武田結仁 | 193.97 |
| 4 | 蛯原大弥 ※ | 193.24 |
| 5 | 木村碧一 | 183.10 |
| 6 | 小山蒼斗 | 180.96 |
| 7 | 松本悠輝 | 180.42 |
| 8 | 日髙晴久 | 177.55 |
| 9 | 萩原颯希 | 177.21 |
| 10 | 大林理人 | 175.58 |
| 11 | 佐々木陽人 | 170.86 |
| 12 | 山本航成 | 168.72 |
| 13 | 吉野咲太朗 | 166.50 |
| 14 | 大島佑翼 | 165.32 |
※西野太翔選手・蛯原大弥選手はシード選手。両選手が4位以内に入ったため、通常の通過枠12名に加えて14位までの選手が進出確定となります。
ジュニア女子(9名)
宮﨑花凜選手が圧倒的な得点で進出を果たしています。
| 順位 | 選手名 | 合計得点 |
|---|---|---|
| 1 | 宮﨑花凜 | 185.85 |
| 2 | 五箇心乙祈 | 141.49 |
| 3 | 上薗恋奈 | 140.23 |
| 4 | 中尾歩 | 137.66 |
| 5 | 八田琴子 | 135.37 |
| 6 | 前田悠名 | 131.69 |
| 7 | 宮本琉花 | 129.00 |
| 8 | 牛山胡香 | 126.71 |
| 9 | 工藤緒心 | 126.46 |
なお、東日本選手権/アイスダンス予選会の観戦の合間や帰りの新幹線で追いかけていたスケカナについては、また改めて書き残しておきたいと思います。

