「しょまりん」こと本田真凜/宇野昌磨組がアイスダンスで競技復帰したこともあり、例年以上に日本で「アイスダンス」に注目が集まっている2026-27シーズン。
先日は、リズムダンス(RD)について、今季指定のリズムやステップ、新たに変更になった技術要素などをまとめました。

今回は、フリーダンス(FD)のルールや技術要素についてまとめました。前半では、これまでアイスダンスをあまりご覧になってこなかった方向けに、「RDとFDの違い」も紹介しています。
ISUのルール資料を読み込みながら、初心者の方にもわかりやすいよう、自分なりに整理してみました。試合観戦前の予習や、ルールを確認したいときの参考資料としてご活用ください。
2026-27シーズンのFD、主な変更点は3つ
FD(フリーダンス)は、RD(リズムダンス)よりも自由度が高いプログラムですが、必要な技術要素は決められています。2026-27シーズンは、その必須要素の一部の規定が昨季から変更されました。
特に大きいのは、下記の3点です。
- シンクロナイズドツイズルの必要回数が2回から3回に増えた(シニアのみ)
- ワンフットターンでホールドまたは接触が必要になった
- コレオグラフィックエレメントが3種類から2種類に減った
のちほどシニアのFDに必要な技術要素を一覧にしたうえで、昨季からの変更点を確認していきますが、まずはライトファン向けの「FDとは」という項目から始めます。
※この記事は、ISUが2026年7月14日に更新したCommunication No.2795、Communication No.2797などをもとに、ファン向けに簡略化してまとめています。解釈に誤りがございましたら、SNSまたは問い合わせフォームよりご指摘ください。修正対応いたします。
FD(フリーダンス)とは?
アイスダンスの競技は、RD(リズムダンス)とFD(フリーダンス)の2プログラムで行われます。
RDには、シーズンごとに指定されるリズムやテーマ、パターンダンスなどの課題があります。一方、FDにはそのような課題はありません。選手たちは比較的自由に音楽を選び、それぞれのカップルの個性や世界観を表現します。

各組の個性と表現が如実に現れる、まさに「アイスダンスの醍醐味」といっていい4分間を味わうことができます

しかし「自由」とはいっても、決められた技術要素をすべて入れながら、プログラム全体をひとつの作品として構成する必要があります。
2026-27シーズン・シニアFDの必要技術要素
2026-27シーズンのシニアFDでは、次の要素が必要です。昨季から要素の名称自体は変わっていません。
| 技術要素 | 必要数・内容 |
|---|---|
| ダンスリフト | 異なる種類のショートリフト3回、 またはショートリフト1回+コンビネーションリフト1回 |
| ダンススピン | 1回 |
| ステップシークエンス | ホールドで行うステップシークエンス(Style B)1回 |
| ワンフットターンシークエンス | ホールド/接触を含むもの1回 |
| シンクロナイズドツイズル | 3回のツイズルで構成する1セット |
| コレオグラフィックエレメント | 異なる種類から2つ |
このうち、リフト、スピン、ステップ、ワンフットターン、ツイズルには、原則として条件の達成度によってレベルが付きます。
一方、コレオグラフィックエレメントは、レベル1~4を獲得する要素ではなく、シングルのコレオステップなどと同様にレベル1固定です。必要条件を満たして要素として認定されたうえで、出来栄えがGOEで評価されます。
ここからは、それぞれの要素がどんなものか、どのような変更点があるかを順に見ていきます。
ダンスリフト
素人目にはもっとも派手に映る、ダンスリフト。シニアFDでは、次のどちらかを選びます。
- 異なる種類のショートリフトを3回
- ショートリフト1回とコンビネーションリフト1回
コンビネーションリフトとは、異なる2種類のショートリフトを続けて行う要素です。そのため、どちらを選択したとしても、FD内では3種類の異なるリフトを実施することになります。
リフトには「制限時間」が設けられており、ショートリフトの制限時間は8秒、コンビネーションリフトは13秒です。複雑なリフトに挑戦している場合、ちょっともたつくと即減点に繋がります。

これが本当に毎回細かい…
アイスダンスでの減点は、「リフトの制限時間オーバー」であることが結構多い印象があります
また今季は、RDで使用した種類のショートリフトを、FDでそのまま単独のショートリフトとして繰り返すことはできません。(コンビネーションリフトの一部として用いる場合は認められるようです)高得点が狙えるリフトのバリエーションが少ない組は、少し痛い変更かもしれません。
ダンススピン
ダンススピンは、2人が一緒にホールドを組み、共通の軸を中心に回転する要素です。シニアFDでは1回必要です。

1人ずつ回転するシングルのスピンとは違い、2人の位置関係や姿勢を保ちつつ同じ軸を共有して回ります。宇野昌磨さんが「シングルでのスピンに比べずっと難しいのに、その難しさが伝わりにくい技」として何度も言及しています。
ダンススピンでは、今季はスピンを終えた後の動きを評価する「Exit Feature(スピンの出)」がレベル判定の対象外になりました。ただ、レベル判定の対象外にこそなりましたが、スピンから次の動作へのつなぎ方は演技全体の流れや印象に影響しますので、「出の工夫」はそのまま継続する組も多いのでは?と予想しています。
ステップシークエンス
FDでは、2人がホールド姿勢を組んで滑るステップシークエンスを1回行います。直線系または曲線系のパターンを選び、リンクの広い範囲を使いながら、さまざまなステップやターンを組み込みます。
この要素については、昨季からの大きな変更はありません。

ワンフットターンシークエンス
ワンフットターンシークエンスは、2人が片足で難しいターンを連続して行う要素です。ツイズル、ブラケット、カウンター、ロッカーなどのターンを、片足のままつないでいきます。
「しょまりん」も、アイスショー「Ice Brave 新横浜Special Edition」で披露した「四季」(今季FDになる予定)でもワンフットターンシークエンスを入れていました。

しかし、昨季のシニアFDでは、2人が離れた状態で行う「Not Touching」のワンフットターンが指定されていたのですが、今季は接触またはホールドを含むワンフットターンへ変更されました。少なくとも2つのターンをホールドした状態で行う必要があります。
そのため、「四季」を今季のFD用にするには、ショーで披露していたワンフットターンをそのまま流用するのではなく、ホールドを含む形へ作り直す必要がありそうです。
これは、アイスダンス経験が浅い選手にとってはかなり大きな変更でしょう。
それぞれが離れて片足ターンを行う場合、自分の軸やタイミングを中心にコントロールできます。二人が接触した状態で行うと相手との距離や上半身の位置にも影響を受けるため、別の難しさが加わると思われます。

経験の浅い選手への負担は大きそうですが、そのぶんトップ選手たちの「技術と経験値の見せどころ」であるとも言えます
シンクロナイズドツイズルは必須回数が2回から3回へ
ツイズルは、片足で高速回転しながら移動するアイスダンスの代表的な要素。それを2人で合わせて行うのが「シンクロナイズドツイズル」です。アイスダンスを初めて見る人でも見分けやすい技です。
昨季のシニアFDでは、各選手が最低2回のツイズルを行う1セットが求められていました。今季は3回の実施が必須となり、昨季までツイズルを2回にとどめていた組も対応が必要になります。
(昨季もレベルを上げるための要件として3回目のツイズルを入れていた上位組は多かったので、これはちょっと気づきにくいルール変更かもしれません)

ツイズルのレベルを上げるには、入りのエッジを変えることや、途中で回転方向・滑走足を変えることなどが求められます。レベル4獲得には、3回とも4回転以上が必要です。

「アイスダンスでのツイズルは、シングルの4回転ジャンプのようなもの」と例える人が時折いますが…
今季はFDのシンクロナイズドツイズルでヒヤヒヤすることが増えそうです
コレオグラフィックエレメントは3種類から2種類へ
コレオグラフィックエレメントは、FDの中で各組の個性や作品性を見せる要素です。
今季は、次の7種類から異なる2種類を選んで、プログラム内に組み込みます。
- コレオグラフィック・アシステッドジャンプ/リフティングムーブメント(ChAJ)
- コレオグラフィック・キャラクターステップシークエンス(ChSt)
- コレオグラフィック・ハイドロブレーディングムーブメント(ChHy)
- コレオグラフィック・リフト(ChLi)
- コレオグラフィック・スライディングムーブメント(ChSl)
- コレオグラフィック・スピニングムーブメント(ChSp)
- コレオグラフィック・ツイズリングムーブメント(ChTw)
「コレオグラフィック」の文字が多すぎて目が滑りますが、一応これが正式名称なのですみません…w
昨季のシニアFDではこの中から異なる3種類を入れる必要があったのですが、今季は2種類に減りました。
つまり、ツイズルが2回から3回に増え、ワンフットターンにもホールドや接触が必要となった一方で、コレオグラフィックエレメントは1つ減りました。
推測ですが、技術要素の負担が増えたぶん、プログラム全体の要素数を調整した可能性はありそうです。(あくまで私の推測で、ISUがこの意図を明記しているわけではありません)
コレオグラフィックエレメントが減ることを、単純に「表現部分が減った」と見なくてもいいでしょう。コレオグラフィックエレメントに該当する動きをつなぎで取り入れてくる可能性はあります。

どの2種類を採用するかにも、それぞれの組の個性が表れそうです
「しょまりん」のコレオグラフィックエレメントはどうなる?
宇野昌磨さんがX(Twitter)で「10時17分をお知らせします」とふざけていた動きは、「アシステッドジャンプ」にあたります。
10時17分をお知らせします pic.twitter.com/Br8VTOZwGR
— 宇野昌磨 (@shoutube1217) January 14, 2026
また、振付をしてくれたJLBさんことジャン=リュック・ベイカー氏の得意技だった「JLBスライド」は「スライディングムーブメント」です。

この二つは先日の公開練習内でもやっていたので、おそらくFD内に取り入れると思います。
ただし、前述の通り「コレオグラフィックエレメント」に当たる動きを通常のつなぎや振付の一部として入れる可能性もあり、どれが「コレオグラフィックエレメント」として判定されるのかは、予定構成と実際の演技を照らし合わせてみないことにはわかりません。
実際にどれが「コレオグラフィックエレメント」扱いになったかは、暫定技術点表示や採点表で「ChAJ」「ChSl」などの技の略称文字が出てこない限り、観客や視聴者が特定するのは難しそうです。
昨季からの変更点の一覧・まとめ
今季FDの主な変更点を整理すると、次のようになります。
| 変更点のある要素 | 昨季 | 今季 | 変更の影響 |
|---|---|---|---|
| シンクロナイズドツイズル | 最低2回 | 最低3回 | 組によってはミスのリスクが増大 |
| ワンフットターン | 離れて実施 | 最低2ターンをホールド・接触状態で実施 | 組によっては技術的な負担が大きい |
| コレオグラフィックエレメント | 異なる3種類 | 異なる2種類 | 比較的小さい |
| ダンススピン | 「スピンの出」がレベル判定対象 | 「スピンの出」はレベル判定対象外 | 比較的小さい |
| リフト | RDと同じ種類のリフトは条件次第で使用可 | RDと同じ種類のリフトの重複を制限 | RD・FDのリフト構成に影響 |
ということで、ライトファンとして覚えておきたい今季のFDルール変更は、下記の2点を押さえておけば十分ではないでしょうか?
- ツイズルが最低3回になった
- 今季のワンフットターンはホールドを入れる必要がある
それ以外にも変更はありますが、ディープなファンでない限り演技を見ただけでは変化に気づかなさそうです。
今季FDを実際に見られる機会はもうすぐ!
「Ice Brave」では「四季」の変更点が確認できる?
「しょまりん」こと本田真凜/宇野昌磨組は、7/31(金)に愛知で開幕する「Ice Brave -A TURNING SEASON-」で今季の競技用プログラム2種を披露すると伝えられています。

FDは「Ice Brave 新横浜Special Edition」でも披露した「四季」。
初披露直後の鑑賞記はこちら

アイスショーのリンクは狭いので、競技用とは少々異なるバージョンの演技になるかと思いますが、半年を経てどう進化しているでしょうか?

ワンフットターンがどう変わっているか?
コレオグラフィックエレメントはどんな要素になりそうか?
が、私のチェックポイントです
RD「ポエタ」が初披露なのでどうしてもそちらに話題がさらわれてしまいそうですが、ニューバージョンの「四季」にも注目です!
他の日本勢も近々、新しいプログラムの披露あり!?
また、「Ice Brave -A TURNING SEASON-」愛知公演と同日程開催の「りくりゅう」アイスショー「THE DESTINY」では、「うたまさ」こと吉田唄菜/森田真沙也組と「いくこう」こと櫛田育良/島田高志郎組が出演します(競技プロを演じるかは不明)。
昨日スポンサー席の戻りがあったようで、良席が買えるようになっています!

また、8/6~9(現地時刻)には「りかしん」こと紀平梨花/西山真瑚組と「りかあつ」こと深瀬理香子/田村篤彦組がカナダの地方競技会「ケベックサマー」に出場します。ドイツ代表として活動する、岸本彩良&ミハイル・サヴィツキー組も追加でエントリーしました。
こちらはDaily Motion(シニアのアイスダンスはRink Glace)でライブ配信される見込みですが、日本からもVPNなしで視聴できるはずです。(アーカイブ視聴可)リザルトはこちらです。
日本時刻でのスケジュール
RD 8/8(土) 午前8:35~10:20
FD 8/9(日) 午前7:10~9:20

いや~今季のプログラムが少しずつ明らかになっていきますね!
まとめ
2026-27シーズンのシニアFDは、技術要素の項目自体が大きく変わったわけではありません。
ただし、ツイズルとワンフットターンというアイスダンスの基礎技術がはっきり表れる要素で、求められる難度が上がりました。RD課題には難易度の高い「ゴールデンワルツ」が採用されていますし、「技術の差」がより際立つ1年になりそうです。
今回は必要技術要素やルール変更を中心に紹介しましたが、アイスダンスはシングル以上にGOE(出来栄え点)の比重が大きく感じられるカテゴリです。私自身も「ジャッジは何を見て評価しているのだろう?」と感じることが多いので、今後もう少し時間をかけてISU資料を読みながら、「GOE評価につながるポイント」を自分なりに整理できればと思っています。

