木下グループ杯2026・2日目現地レポ|佐藤駿選手2位&「いくこう」四大陸ミニマムクリア!

木下グループ杯と書かれた画像が映っている会場内モニターが映っているリンクの風景

9月5日(土)、「木下グループ杯2026」2日目も現地観戦してきました!

2日目に行われたのはペアのショートプログラム(SP)とアイスダンスのリズムダンス(RD)、そして男子シングルのフリー

6(日)の最終日は競技開始時間も早いので、今回は男子フリーで印象に残ったことと、個人的にかなり気になっていた日本アイスダンス勢のミニマムスコア(CTES)の状況を中心に、2日目をざっくり振り返ります。

「木下グループ杯2026」リザルト
※滑走順や詳細タイムスケジュール、採点表などが確認できます

全体スケジュール(8/19時点)

目次

男子フリー|ジキジ選手優勝、佐藤駿選手が2位

男子シングルの最終結果は次の通りになりました。(敬称略)

順位選手名(国名)総合得点SPFS
1位ウラジスラフ・ジキジ(AIN)265.682位3位
2位佐藤駿(日本)255.923位5位
3位エフゲニー・セメネンコ(AIN)253.306位2位
4位ソ・ミンギュ(韓国)251.079位1位
5位中田璃士(日本)243.151位7位
6位ピョートル・グメンニク(AIN)236.2513位4位
7位三浦佳生(日本)233.8111位6位
8位マーク・ゴロドニツキー(イスラエル)218.674位8位
9位ジェイコブ・サンチェス(米国)206.505位10位
10位ドノヴァン・カリーヨ(メキシコ)201.7915位9位
11位キム・ヒョンギョム(韓国)194.868位12位
12位リアム・カペイキス(米国)193.207位14位
13位ルシウス・カザネツキ(米国)189.2912位11位
14位ルカシュ・バツラビク(スロバキア)184.9714位13位
15位タオ・マクレー(イギリス)179.2810位15位
16位ラファエレ・フランチェスコ・ジチ(イタリア)152.1616位16位

男子フリー全体からは、「SPで悔しい想いをした選手が軒並みフリーで良い演技をした」という印象を受けました。

その中でSPとフリー双方でジャンプの大きなミスなく揃えてきたウラジスラフ・ジキジ選手(AIN※ロシア)が優勝となりました。

ロシア男子の4回転攻勢、それでもフリー1位はソ・ミンギュ選手

今回AINとして出場したロシア男子3人は、全員予想通り大量の4回転で挑んできました

ロシア男子には、スケーティングやジャンプ前後のつなぎなどの課題があるのは否めません。しかし、今回の3選手はいずれもフリーに3種以上、計4~5本もの4回転を投入。この構成をコンスタントに実施できる現役男子シングル選手はごく限られています。

2種類、3種類と4回転の種類を増やすことに苦労している選手がどれほど多いことか。

そんな中、4回転4~5本をコンスタントにフリーに入れているロシア男子勢が国際大会に参戦することは男子シングルの勢力図に大きく影響を与えることになりそうだとの思いを強くしました。

しかし、フリー1位はなんと4回転を1種類、2本しか入れていないソ・ミンギュ選手(韓国)でした。

4回転はサルコウ2本のみですが、ジャンプをすべてプラスGOEでそろえ、PCSも全選手トップの84.91点。まさにオールラウンダー。

「シェルブールの雨傘」の情感で観客をひっぱり、最後のコレオスピンで魅せたその姿は、「4回転をたくさん入れれば勝てるというものでもない」というのを体現しています。

…とはいえ、彼がシニアのトップを争うためには最低もう1種類は4回転が必要になってきそうなことも現実なんですけどね。

日本男子は佐藤駿選手2位、中田璃士選手は5位

SP3位だった佐藤駿選手はフリー冒頭の4回転ルッツがダブルに抜けてしまいました。しかし構成を変更して中盤で4回転ルッツに再挑戦。

結局フリーで4回転3本を降りて170.21点でフリー5位。SPの貯金が生きて銀メダルを獲得しました。

96.48点を出しSP1位発進した中田璃士選手は、今季から改訂されたジャンプの回数規定に引っかかったことが響いて、フリーはまさかの7位。総合5位です。


今季から改訂された「同種のジャンプは回転数が異なっていてもプログラム内で3回までしか跳んではならない」というルールにより、4回転トゥループが無効になったのが原因です。

中田璃士選手は4回転トゥループ-3回転トゥループを決めたあとに挑んだ単独4回転トゥループがダブルに抜けてしまったため、リカバリーしようと構成を急遽変え、単独4回転トゥループに再度挑んで無事降りました。しかし、トゥループジャンプを4本跳んでしまったことになり、4本目にあたる4回転トゥループは0点に。

4回転トゥループは基礎点だけで9.50点あるジャンプですから、きれいに着氷したにもかかわらず丸ごと0点になったのはかなり手痛い失点となりました。

私は現地では得点コールを聞くまで、回数規定違反のことは頭に浮かばず

「4回転トゥループ再挑戦したのはいいけど、トリプルアクセル1本しかなかったよね?それだとあまり点数はリカバーできないかも…」などと的外れなことを考えていました

中田璃士選手を一つ上回る4位に入ったのは、彼と同様今大会がシニア国際大会デビュー戦だった、ソ・ミンギュ選手でした。ミンギュ選手はSPでジャンプミスが相次ぎ、9位発進となったものの、フリーでの会心の演技で4位に駆け上がりました。

シニアデビュー戦のSPでは明暗が分かれたと昨日書きましたが、フリーでは逆の立場で明暗が分かれました。

その他、男子フリーで印象に残ったこと

ここからは箇条書き形式で印象に残ったことを思いつくまま記録していきます。

中田璃士選手がはまったジャンプ回数規定違反、もともと「4回転トゥループ1種の人にはきつい改訂だな」と思っていたけど、これってよくよく考えると4回転ルッツ2本構成でも同様の事態になりやすいと思い当たり、驚愕。(4回転ルッツジャンパーは後半にトリプルルッツも入れていることが多いため)

複数種類の4回転を跳べる人は回避策があるけど、胸を熱くさせる後半リカバリーが激減しそう
なのは残念。

ロシア男子はとにかく4回転命。私はジャンプ偏重タイプは好みではないけれど、個性派ならミハイル・シャイドロフ選手のように許せてしまう。今回出場していた3人は三者三様の個性があって、嫌いじゃない。パターンが異なるシャイドロフ選手が大量に出ている大会のようだった。

ジキジ選手のフリー、ドラムベースの曲が冒険的で割と気に入ったのだけれど何故衣装にムンクの「叫び」がデザインされているのかさっぱりわけがわからない。謎衣装。

グメンニク選手はギヨーム・シゼロン選手が好みなのか?と思うような衣装と選曲。

ミーシンコーチ門下のセメネンコ選手は昔懐かしい男子シングルの面影のある衣装でちょっと嬉しかった。背中はロシア男子風味?現地では衣装に本当に紋章が描いてあるように見えたので写真を見てビックリ。

三浦佳生選手は、6分間練習で衣装トラブルがあったように見えて「ひょっとして衣装が破れたのか?」と心配に。燕尾服状になった上着の裾が気になるだけだったようだが、詳細はわからず。

フリーの演技自体はジャンプの回転抜けが一つあったものの、よくまとめた演技でフリー6位で総合7位に浮上。「ジキルとハイド」はとても合っているプログラムだと思うので、次戦のGPSが期待できそう。

ドノヴァン・カリーヨ選手(メキシコ)、フリーはSPと違ってまとめられて何とか200点台に乗せられて一安心。SPがよければランキングポイントに手が届いていただろうから、そこは残念。でも日本で彼が滑る姿をもう一度見られただけで嬉しい

★私が注目していた法政大学のタオ・マクレーン選手(英国)は欧州選手権のミニマムスコアを無事クリア!

冒頭のトリプルアクセルで大きく着氷を乱し、続くトリプルフリップで転倒、さらにルッツがシングルに抜けたときは「もう無理かも」と思ったけれど……後半の3連続ジャンプなどを冷静にちゃんと決められたのがよかったのでは。

キス&クライに戻ったときは泣きそうな顔になっていたが、点数発表でミニマムを取れたことがわかったらコーチたち一同笑顔になって本当によかった!

★初見だったジェイコブ・サンチェス選手(米国)の「鬼滅の刃」フリーは、思っていた路線とはかなり違っていた。あれは無限城にうごめく鬼の苦しみを表現してるのかな?想像以上に抽象的なプログラムだった。

4回転を持たないマーク・ゴロドニツキー選手(イスラエル)が何気に8位入賞しています。政治的な事情で観客から塩対応を受けがちな選手ですが、あの安定感はすごい。

★ロシアのアレクセイ・ミーシンコーチが表彰式から周回の間中ずっと嬉しそうにスマホで愛弟子のセメネンコ選手を撮影していた。佐藤駿選手との2ショット写真もじっくり撮影していたので、「ミーシンの秘蔵映像」についに佐藤駿選手も加わったのかと思うと感慨深い。(ひょっとしてジュニア時代に撮影されてたかもだけど)

アイスダンス|「いくこう」、四大陸ミニマムクリア!

個人的にかなり気になっていたのが、日本アイスダンス勢のミニマムスコア(CTES)です。

先日の記事で紹介した通り、うたまさはすでに世界選手権までクリア済み。一方、「いくこう」、「りかしん」、「かほゆう」の3組には今大会で四大陸選手権のCTESを獲得できる可能性がありました。

「うたまさ」は日本勢トップの4位発進

「うたまさ」こと吉田唄菜/森田真沙也組はRD71.50点で4位。すでに世界選手権までのCTESをクリアしているため、今回はミニマムスコアを気にする必要はありません。

「うたまさ」はミラノ五輪出場経験も積み、日本勢の中では現在一歩抜けている印象があります。昨季のRDあたりから彼らなりの個性も世界のフィギュアスケートファンに届き始めているように感じます。シーズン序盤ながら、ベストスコアに近い点を出せました。

上位に踏みとどまってランキングポイントも獲得し、「日本のうたまさ」を国際ジャッジにアピールしてほしいところです。

「いくこう」はRDだけで四大陸CTESクリア!

「いくこう」こと櫛田育良/島田高志郎組は、この日のRDでTES36.93点を獲得。

昨季FDで記録したTES49.93点と組み合わせると、

36.93+49.93=86.86点

四大陸選手権に必要なCTES85をクリアしました!

二人のこのプログラムをナマで見るのは今回が初めてでしたが、櫛田育良選手のあの衣装があんなにキラッキラだとは思いませんでした!現地で見る方が映像で見るよりまばゆいです。

そしてそのまばゆさに負けていない演技でした。6月の「Dream on Ice」での初披露時に比べるとぎこちなさが取れてかなりスムーズな動きになっています。

おかげでFDはミニマムスコアを気にせず、彼らの「ジゼル」の演技そのものに集中して観ることができそうです

「りかしん」はFDのTESで50.16点取れば四大陸ミニマムクリア

「りかしん」こと紀平梨花/西山真瑚組は、RDでTES34.84点。

二人はシニアの選手権に使えるCTESをまだ持っていないため、今回のRDとFDのTESを合計して85点以上になれば四大陸選手権の基準をクリアします。

85-34.84=50.16

つまり、四大陸選手権のミニマムスコア(CTES)を今大会でクリアするためには、FDでTES50.16点以上が必要です。

去年の西日本選手権のときにあった若干のぎこちなさは消えていました。カナダの地方大会での演技動画を見た時点で進歩しているのはわかっていましたが、ナマで見るとやはり「おおお」と驚きますね。

「いくこう」に近い点が出るかな?と期待していたんですが、残念ながらTESはそこまで伸び切らずでした。

今大会での四大陸ミニマムスコア取得は、狙えるかどうかギリギリ?というライン。今日はTESにも注目しながら応援したいと思います。

「かほゆう」は54.34点が必要

「かほゆう」こと山下珂歩/永田裕人組のRDでのTESは30.66点でした。

四大陸選手権のCTESを今回クリアするには、

85-30.66=54.34

FDでTES54.34点以上が必要になります。

今季シニアに上がったばかりの二人にとってはかなり高いハードルです。ただ、今回ミニマムに届かなかったとしても、木下杯で獲得したTESは来季までCTESの計算に利用できます。

まずは今日のFDでできるだけ高いTESを残し、今後につなげてほしいところです。

「しょまりん」も会場で観戦

余談ですが、海外合宿から帰国していた「しょまりん」こと本田真凜/宇野昌磨組も木下グループ杯2日目を観戦しに来ていたようです。それもステファン・ランビエールコーチ、島田高志郎選手と一緒に。(櫛田育良選手も前列に座ってます)

最終グループの前に着席した際には周囲がどよめいたらしいのですが、私が座っていたブロックとは遠く離れた位置だったので全く気付かず。SNSに飛び交っている情報で「観客席にいるらしい」と知りました。

トレーナーさんが帰国していらしたので、おそらく二人も帰国しているだろうから、「アイスダンスの日には揃って観戦に来るかもな~、目撃できたらいいな~」なんてちょっぴり期待していたんですけどね(苦笑)

この会場は一方向にしかスタンド席がないので、後方席に座れば観客に気づかれにくいという利点はあると思います。後ろを振り返ってのぞき込むのはそうそうできないし、前方にいるときは後ろ姿だけでは気づきにくかったりしますからね。

それでも日本女子が観客席に座って観戦しているところには偶然通りかかったんですけど、「しょまりん」には全く遭遇できずでした。今日はどうなるでしょう?(笑)

今日の最終日はペア、アイスダンス、女子シングルの決戦!

最終日はペアのフリー、アイスダンスのフリーダンス、女子のフリーの順で行われます。

ペアはSPでは予想通りAINで出場しているロシア勢が1~3位を独占。しかも首位チクマリョワ/ヤンチェンコフ組72.30点、2位ボイコワ/コズロフスキー組72.25点、3位ムホルトワ/エフゲニエフ組70.81点と僅差です。フリーでこの順位がどう動くのかにも注目したいと思います。「カップル競技のロシア国内の格付け」について語りたいところもあるのですが、長くなるのでまた後日。

アイスダンスは、「うたまさ」の順位争いに加えて、「りかしん」の四大陸CTES挑戦も気になります。個人的にはナタリー・タシュレロワ/フィリップ・タシュレル組(チェコ)が結構好きなので頑張ってほしい!

そして大会最後を飾る女子フリーでは、SP1・2位の中井亜美選手、島田麻央選手をはじめ、日本女子の活躍にも期待したいです。男子では日本勢の優勝ならずだったので、女子に望みを託すことにします。

本日は、これまでより少々早い、12時30分より競技開始です。最終日も現地で楽しんできます!

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木下グループ杯と書かれた画像が映っている会場内モニターが映っているリンクの風景

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