日本初開催のチャレンジャーシリーズ(CS)大会「木下グループ杯2025」、1日目は現地観戦してきました。
2日目競技が開始する前に、昨日関空アイスアリーナで見た女子シングルSP&男子シングルSPについて、印象に残った演技を、会場内でしかわからない様子も含めて振り返ってみました。私が思う「2日目&3日目の見どころ」についても少し触れています。
<9/6 17:40> 場内モニター表示&選手たちの観戦風景で書きそびれていたことを追記
関空アイスアリーナ会場内の様子
場内はやはり寒かった
今回もやはり寒かったです…現地で感じた会場内の寒さや持参荷物の注意事項等の「現地観戦者向け実用情報」については、こちらの記事に別途追記しています。

ありがたかったコーチ情報&使用曲情報のモニター表示
CS放送では、日本人選手にだけ使用曲情報の表記があったようですが(録画はまだ観られていません)、会場内の大型モニターには演技時に選手名だけでなく、コーチ情報&曲名と演奏者名が表示されていてとても助かりました。振付師の情報まではなかったような…?場内撮影禁止で写真撮れなかったから記憶があいまいです。
例えば樋口新葉選手とイ・ヘイン選手は同じ「マイウェイ」を、山本草太選手と中村俊介選手も同じ「イエスタディ」を使用していますが、歌手が違うんだなとすぐわかりますしね。
コーチ名表示があると、タオ・マクレイ選手(英国)のことをご存じなかった観客も「中庭先生についてるってことは、法政大学で練習してる子なのかしら」ってすぐに推測してらっしゃいました。
<9/6 17:40 追記>
そういえば昨季?の総合パーソナルベストスコアも表示されてました。大きな大会に余り出場していない選手だとこういう情報あるとありがたいですね。
女子シングル
GPS(グランプリシリーズ)が主戦場の選手たちはまだ調整段階なのか、ミスのある演技が多めでした。
しかし、ミニマムスコア(大きな国際大会に出るのに必要な最低技術点記録)獲得や、高いシーズンベストスコアを残したいという選手たちは別。「ここが正念場」である選手たちとの意気込み&仕上げ方の差は少し感じられましたね。
全員取り上げていくと試合開始までに書き終われそうもないので、印象的だったベテラン2名と今日のフリーが気になる2名のみをピックアップ。大会終了後、また改めてじっくり感想を別途書くかもしれません。
坂本花織選手
6分間練習開始してまもなく、坂本花織選手がジャージを脱いだら背中が大きく開いたカッコいいブルー衣装がお披露目になりまして。場内から「おぉ~」というどよめきが上がりました。その声を聞いたら恥ずかしくなっちゃったのか、ジャージに顔をうずめて照れていたのが可愛らしかったです。

曲は「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」。後半のコンビネーションのファーストジャンプがダブルに抜けてしまい単独になったので60点台にとどまりましたが、それ以外は凄く仕上がっていました。
スピンでの手の動きなんて「うまい選手だとは思ってたけど、ここまでうまかったっけ?」と思うぐらい洗練された動きでしたね。凄いプログラムになりそう。
樋口新葉選手
樋口新葉選手もブルーの衣装。袖がアシンメトリーなデザインになっています。

「マイウェイ」はイ・ヘイン選手(韓国)も今季SPに使っています。節目に選手が使いたくなる曲なのでしょうか。
定番曲のメロディーは安定して盛り上がります。相変わらずドラマチックな演技でしたが、途中でのまさかの尻もちでビックリ。演技後の「やっちゃった~」という表情が可愛らしかったです。
ベテランの彼女のことですので、これからGPSに向けて仕上げていくと思います。
三宅咲綺選手
国際大会初出場
他の選手と違い、三宅咲綺選手はこれが初の国際大会。今季他のシニア国際大会出場予定は今の時点ではありません。
彼女にとってこの大会は、今後の出場機会を左右す重要なチャンス。

彼女のでっかいトリプルトゥループの2連続コンビネーションは本当に気持ちいいです。いい点が出るだろうと思ってはいましたが、70点超えにはビックリでした。国際大会初出場なのにPCSが思ったより高く出ています!
(理論上は初出場だからPCS低めに出がちなのはおかしいんですけどね。どうしても「PCS」には国際大会の実績が反映されがち)
国際大会にバンバン派遣されるべき時期にコロナ感染拡大期が重なる不運があった世代の選手が、こうやってちゃんと評価してもらえるのはありがたいです。
フリーではトリプルアクセル&ミニマムスコア獲得に挑戦
ただ、正念場はフリー。トリプルアクセル入れて来るみたいなので今日の放送を楽しみにしています。
そして彼女は国際大会初出場なので、当然、四大陸選手権や世界選手権、オリンピックの「ミニマムスコア」を持っていません。五輪代表候補選手の中でミニマムスコアを持っていないのは彼女ただ一人です。(SPでは惜しくもミスが出てしまった山下真瑚選手も持っています)
SPで36.18も技術点を荒稼ぎしましたから、フリーの技術点は51.82あれば世界選手権、38.82点あれば四大陸選手権のミニマムスコアをクリアします。

とんでもない大崩れをしない限りまず大丈夫だと思われますので、安心してトリプルアクセルに挑めるのではないでしょうか?
ソニア・ヒルマー選手(米国)
SPでは、あの個性を存分に発揮!
先日、「個人的な見どころ」としてソニア・ヒルマー選手の名前を挙げていた私。

いや~本当に嬉しかったです!以前一度だけちらっと書いたことのある「シット姿勢での爪先スピン」がナマで観られて最高でした。逆回転スピンもしれっと入れていたような(早く録画確認したい!)?
全米女子は選手層も厚く国際大会に出る機会が少ない選手ですが、この個性は超・貴重。
SPの演技はステップのところにタップ音を思わせるエッジ音(当然録音したもの)を入れ込むというしゃれた演出。幸いジャンプ等もまとめることができて、彼女の世界観を満喫することができて観客も大満足。

「よかったこれでスタオベできる!」と思って演技後すぐに立ち上がったら、周囲の観客もすごく沢山立ち上がっていて「同志よ」ってなりました(笑)
高得点は出ないかもしれないけど、あれはスタオベしたくなりますよね~
フリーの衣装にも注目を!
彼女はプログラム選曲や振付、衣装デザイン&制作もセルフ。
フリーの衣装は自分で白生地から描いて染めています。
彼女自身のInstagram投稿(下記)からその45時間もの制作工程のダイジェストが視聴できます。
この衣装での彼女のフリー演技、会場で見たかったなぁ…
男子シングル
男子シングルも全員に触れていると時間が無くなるので、思いつくまま書いていきます。
チャ・ジュンファン選手
ちょっと不満だった定番曲使用だけど…
チャ・ジュンファン選手の今季の使用曲が発表された際、定番曲ばかりだったので実はちょっと不満に思っていた私。
SPなんて「Rain, In Your Black Eyes」ですよ?凄くいい曲だけど余りにも使われすぎているので、「ちょっと変わった曲」好みの私としては残念で。
でも、実際に演技見ると「定番曲かどうかなんて、もうどうでもいいわ」ってなりました(笑)。転倒はあったけれど、SPに4回転2本入れようという今季への気合も感じ取れたし、とにかく美しかったです。
背中の通気口がパワーアップ(笑)
あと衣装!背中の通気口の数が増えてました。まるで七夕の提灯飾りのようだと思ってしまった私(笑)

肝心の背中が映ってる写真が見つけられないので、代わりに七夕の提灯飾り載せておきます(苦笑)

アリーナ席からよく見えたジュンファン選手のウォーミングアップ姿
最後の第3グループ滑走だったジュンファン選手、第1グループのときからジャッジ側席通路あたりでウォーミングアップする姿をちらちら見かけました。
ジャッジ席エリアからスタンド席に上がる階段(一般通行禁止)で何度もジャンプして登ったり降りたりする姿が他選手演技中も目に入ってきちゃうんですよ。同じくジャッジ席斜め後方にある控室に出入りするたびに「あ、ジュンファン!」と気づいてしまう。
他の選手も出入りしている様子が目に入ることはあるんですが、演技中ジュンファン選手があのあたりを動くだけで毎度毎度視線が一瞬奪われるので、「私にもついにジュンファンセンサーが装備されたのか?」って思いました(笑)
友野一希選手
友野一希選手は「SP新衣装が木下グループ杯に間に合うかどうか?」と話した記事が以前出ていたので新衣装に期待していなかったのですが、2シーズン前のSP衣装でした。

私、序盤のCS試合だというのに、ちょびっと緊張してしまいました。この時期の試合で緊張してたら、全日本とか私どうなっちゃうんでしょう(苦笑)。
実は前日の公式練習時の転倒で左足を痛めていたようで、不安を抱えたままの出場だったようです。
6分間練習では着氷乱れはあったものの、予定ジャンプ全部クリーンには下りていたんですけどね。本番でパキッと決まったジャンプは4回転サルコウのみ。でも4回転2本締めて着氷できたので調子は徐々に上がっている感じはしました。

米国拠点選手チーム(ジミー・マー選手&女子二人)が観客席から見ていたんですが、友野選手の演技まで見終えてから退場していったのが見えました
彼らにとって「観たい演技」だったんだなと思えて、ちょっと嬉しいです(笑)
山本草太選手
山本草太選手の体調情報を知っている観客のほぼ全員がものすごく心配していたと思います。私もその一人。
直前まで痛めている腰や肩のケアでもしてもらっていたのか、リンク脇に出て来るのも遅めだったので「本当に出場するんだろうか?」とギリギリまで心配していました。
心なしか見守る山田満知子コーチの表情も青ざめて見え、こちらまで心配に。「超・地元で開かれる初のシニア国際大会に出たい気持ちはわからないでもないけど、無理しないでね…」と思っていたら、6分間練習でトリプルトリプルを下りていたので「さすがに現実的な構成にはしてくるんだな」とちょっと安心しました。

「ヘルニア発症」との記事が出回りましたが、上記記事を読む限り「ヘルニア」までは行っていない、手前の段階だったようです。それにしても試合に出るには厳しい体調であったのは確か。
彼がリンクで魅せた踏ん張った演技に心は打たれましたが、心配はまだ消えません。SPの「イエスタディ」は滑り慣れている演目だからこそねじ伏せられた気もするからです。フリーはどうなるでしょうか。
三浦佳生選手と壷井達也選手
三浦佳生選手は後半の4回転トゥループートリプルトゥループのコンビネーションジャンプのファーストがトリプルに抜けてしまいました。練習では綺麗なのを跳んでいたので、あとは滑り込みなんだろうなと思います。彼は古傷の影響で今季出遅れた感こそありましたが、今もPCS評価は高く出ているしGPSまでに戻せば五輪代表争いに十分食い込めそうかな?と思いました。側転抜いたのは正解かもw
壷井達也選手は6分間練習前半で4回転で転倒を繰り返していたので、覚悟して演技開始を見守りましたが、まさかの抜け。でもそれ以外はまとめてきたので、練習のときから想像したよりずっと良い仕上がりでした。
SPから4回転を2本入れるのに苦労する選手は大勢いますが、そこをGPSでクリアできれば五輪代表争いに十分食い込んできそうに思いました。
他の選手たちもあれこれ書きたいけどキリがないので演技振り返りはこのへんで。
スタンドで見守る選手たちを眺めるのも楽し
初日はアリーナ席だったので、スタンド席の関係者用ゾーンで観戦する選手たちの様子がよく見えたのは楽しかったです。
一時はカップル競技の日本選手たちが勢ぞろいしてましたね。「ゆなすみ」こと長岡柚奈/森口澄士組は大きな日の丸を持ってましたが、誰の持ち物なんでしょうか。
男子シングル前半は、スタンド席横の階段踊り場スペース?のようなところで、ゆなすみ&坂本花織選手&樋口新葉選手が出てきて例の大きな日の丸持って大声で応援していました。途中からは吉田陽菜選手もいたかな?はっきりは見えなかったので見間違いかもしれませんが。
※埋め込みが表示されない場合はリロードまたはこちら
【チャレンジャーシリーズ日本大会】
— テレビ朝日 フィギュアスケート (@figureskate5ch) September 5, 2025
練習後の #ゆなすみ ペアとともに、ショートプログラムを終えた #坂本花織 選手と #樋口新葉 選手がチーム日本へ熱い声援を送っていました❤️🔥
会場も終始大盛り上がり📣👏🏻
明日はリズムダンス、ペアショート、女子フリーが行われます💐
写真は4人同じポーズで🤟🏻 pic.twitter.com/tIXEVF8FZ4
<9/6 17:40 追記>
坂本&樋口両選手は演技後のクールダウン終了後に女子シングル後半グループも見に来ていましたけど、出番の早かった韓国男子2名も同様、演技後に観客席で注目選手の演技を見守っていました。
韓国のイ・ヘイン選手も日本人選手たちの隣で一時見ていて日本人選手と何やら会話している瞬間がありました。昔からスケオタ度の高いイ・ヘイン選手が一番観戦してる時間が長かったんじゃないかな?
会場近くを歩いていると、外国選手たちが普通にスーツケースガラガラ転がして歩いてるので平静を装うのに必死になりますね。JGPS大会のときほど人数は多くなかったけれど、スケオタには有名な選手達もその辺普通に歩いているので、大きな国際大会観戦に来た錯覚が味わえてちょっと楽しいです。

もうすぐ2日目の競技開始!
今日はCS放送で見守ります