2026年6月30日にISU(国際スケート連盟)が「ロシアとベラルーシのISU加盟団体に所属するスケーターが2026/2027シーズン中に『AIN(中立選手)』としてISUイベントまたは国際競技会に参加を認める」とする資料「Communication2804」を発表しました。

これは、2022年に発表していた規定「Communication 2469」を変更するためのものです。(ロシア・ベラルーシの役員に関する規定はCommunication2469の内容が継続)
そもそも、ロシア・ベラルーシの選手達の国際試合参加については、6月中旬のISU総会後に開かれる理事会で討議して決定すると言われていました。(下記記事の最終項目で触れています)

しかし、6月下旬になっても何も発表されず。「どうなっているのだろう?」と思っていたところ、ようやく出て来た資料です。私は「色々詳細を決めるのに手間取ってこの時期になったのかな?」と思っていました。
しかし実際に公表されたCommunication2804に目を通してみると…
どうも現時点では具体的な運用方法までは示されておらず、まだ制度の大枠が示された段階という印象です。現実的にはロシア・ベラルーシの選手がいつどの大会から出場できるようになるのかまではわかりません。
今回は、6/30に公表されたISU資料で決まったこと、まだ決まっていないことを取り急ぎ整理してみました。
<22:45追記>
シーズン前半のCS大会の出場関連の諸手続きが間に合うのであれば、という前提つきですが、ひょっとして9月の木下グループ杯はロシア・ベラルーシ選手が多数エントリーする事態もありうるのかも?と思えてきました…
ISU文書 Communication2804 で決まったこと
ISU文書Communication2804に書かれている情報を整理すると、下記の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2026-27シーズンから適用 |
| 参加形態 | AIN(中立選手)として参加可能 |
| 国旗・国歌 | 使用不可 |
| ナショナルジャージ等 | 使用不可 |
| 対象大会 | ISU EventsおよびInternational Competitions(詳細運用は未公表) |
| 軍関係者 | ロシア・ベラルーシ軍および国家安全保障機関の現役職員は参加不可 |
| 戦争への参加 | 2022年2月以降にウクライナ侵攻へ積極的に参加した者は参加不可 |
| 戦争支持 | 2022年2月以降に侵攻を積極的・公然と支持した者は参加不可 |
| 資格審査 | 個別審査あり |
| サポートスタッフ | コーチなども同様の資格審査を通過すれば同行可能 |
| 団体戦 | AINチームとして参加可能(詳細運用は未公表) |
| 継続監視 | 安全性・公正性をISUが継続監視し、制限変更の可能性あり |
| 発効日 | 2026年6月30日 |
「ジュニア選手から復帰を認めるのではないか?」と予測する向きも多かったですが、年齢で区別する記載は見当たりませんでした。
最小限の事項だけをまずは発表したという印象で、具体的な運用方法については、今後のCommunicationやTechnical Handbookなどで示される可能性があります。
ISU文書ではまだ決まっていないこと
ISU資料は最小限のことしか書いておらず、「まだ決まっていないこと」の方がずっと多いと感じました。
例えば下記の情報は決まっていないか、または公表されていません。
- 世界選手権・欧州選手権でのAIN出場枠の扱い
⇒AINに出場枠は設けられるのか?
設けられる場合、何枠になるのか?
ミニマムスコア(最低技術点)等をクリアして出場できたAINがいた場合、翌シーズンの出場枠にはどう反映されるのか?
- AINがグランプリシリーズ(GPS)大会の出場選手選考対象に入るか否か
⇒今回の文書からはGPS大会は「出場可能な大会」に含まれるように読めるが、新シーズンの出場選手は決定済み。棄権が出た場合の代替選手に選ばれるにも、昨季SB上位や世界ランキング上位などの条件を満たす必要があるのでロシア・ベラルーシのAIN選手の今季GPS出場は厳しい?ありうる?
(追記:ピョートル・グメンニク選手とアデリア・ペトロシアン選手は出場ありえそうです)
- AIN資格審査や参加申請の詳細(審査にかかる期間や大会エントリー方法など)
⇒チャレンジャーシリーズ(CS)大会など、各国開催大会出場前の審査手順はどう進める?
シーズン前半の国際大会などには間に合う?
開催国運営やエントリーシステムはAINとして登録できる?
- AINの世界ランキングを決める際の規定詳細
⇒現行ルールではほぼ全員が0ポイントからのスタートになると思われるが、AINの扱いについて追加規定が設けられる可能性はある?
将来所属国から出場可能になった際のポイントの扱いなどはどう規定する?
2026-27シーズン中には、何らかの国際大会に出場できるAINが現れるかもしれません。
しかし未定事項が多い現状では、それが何人くらいになるのか、いつ頃から参加できるようになるのかは、予測できるような状況にはまだないと思います。
ISUから今後追加で示されそうな事項
今後ロシア・ベラルーシ選手をAINとして試合参加を認めるにあたっては、おそらく下記の事項の詳細を決めていく必要がありそうです。
- 様々な国際大会におけるAINの事前審査・エントリー手順
- 世界ランキングの扱い
- GPS大会での選考規定
- 世界選手権・欧州選手権での出場枠
- 団体戦でのAINチームの扱い
- Technical Handbookへの追記やCommunication文書の追加
6/30に公表された「Communication2804」は、あくまでロシア・ベラルーシ選手の今後の「参加方針」を示した文書。実際の運用方法については、今後詳細を詰めていくべき部分が多く残されています。
今後はCommunicationや各大会要項などを確認しながら見ていく必要がありそうです。

