9月4日(金)、東京・辰巳アイスアリーナ改め田中貴金属アイスアリーナで「木下グループ杯2026」初日を現地観戦してきました!
初日に行われたのは、男子シングルと女子シングルのショートプログラム(SP)。
シニア国際大会デビューとなった中田璃士(りお)選手と島田麻央選手、シニア2季目の中井亜美選手がそろって素晴らしい演技を披露した一方、男子は上位候補にミスが目立ちました。対照的に女子は、まだ9月上旬とは思えないほど仕上がった演技が多くを占める展開に。
まだシーズン序盤ですから、今の調子を気にし過ぎる必要は無いと思っています。なので、私がかなり気になっていたのは、先日の記事でも紹介した「ミニマムスコア(CTES)」のゆくえです。

「欧州選手権まであと0.93点」だった選手がSPだけであっさりクリアしたかと思えば、「取れる可能性はあるかも」くらいにしかマークしていなかった選手が想定外のトリプルアクセルを決め、一気にミニマムスコア獲得しちゃうかも?という予想外の展開までありました。
ここからは、現地の写真なども交えつつ、試合初日を現地で感じた想いとともに振り返っていきたいと思います。
「木下グループ杯2026」リザルト
※滑走順や詳細タイムスケジュール、採点表などが確認できます
全体スケジュール(8/19時点)
木下グループ杯会場の「田中貴金属アイスアリーナ」へ
会場までの道のり
「Ice Brave -A TURNING SEASON-」で8月上旬に訪れた東京辰巳アイスアリーナ。

1か月もたたないうちにこの会場に再訪したわけですが、まさかその短い間にネーミングライツが決まり、愛称が「田中貴金属アイスアリーナ」に変わっていようとはビックリです。

日本の南方沖に停滞している台風の影響で大雨が予想されていたため、レインコートと、足元が濡れたとき用に使うタオル類は持参したのですが、行き帰り共に雨はパラつく程度。どちらも出番なしでした。
8月に比べたら涼しいですが、まだ蒸し暑かったですね。最寄りの辰巳駅、新木場駅からはどちらも10分以上歩くので、涼しい格好でないと会場に着く時に汗だくになるかと思います。

会場内の眺め、寒さ、椅子について
私は3日間とも1階のスタンドS席前方。前方列は逆に死角が多くなることもありますが、ここはリンクとの距離が程よくあるので、ジャッジ席側に近づいたときだけ足元が見えなくなるくらいで、リンクはとても見やすかったです。

「椅子が硬くて長時間の観戦は疲れるので、座面&背面用に敷くものがあった方がいいよ情報」がSNSで出回っていたので、クッション類を持参しました。世界選手権や全日本選手権に比べたら時間短いですけど、あるのとないのとでは疲れが全然違いますね。
場内が意外と冷える可能性に備えて薄手の秋冬物カーディガンを持って行きましたが、ひざ掛けに利用したのみで終わりました。冷房がやや強めの部屋にいる程度で、私はたいして寒くはなかったのでひざ掛けは無くても大丈夫でしたね。
とはいえ、屋外の気温に左右されやすい会場のため今日明日がどうなるかはわかりません。羽織れるものは持参した方が安心だと思います。
大型モニター2台が見やすい!
会場には、ショートサイド側とロングサイド側に1つずつ大型モニターが設置されています。

ショートサイド側にはキス&クライの様子が映し出されるので、双眼鏡を使わなくても選手やコーチの表情がよく見えます。
そして、ロングサイド中央のモニターにはこれから演技をする選手名、コーチ名、プログラムの曲名と作曲者や演奏者名が表示されます。
昨シーズンのパーソナルベストスコアも表示されていた選手がいましたが、出ていない人の方が多かったです。去年の関空アイスアリーナでの木下グループ杯では全選手のコーチ名&プログラム情報と併せて昨季PBも出ていて「あれは助かる」ということを昨年書いていました。

コーチ名やプログラム情報が表示されるだけでも十分ありがたいですが、前回同様全員の昨季PBも表示してもらえると最高なんですけどね。
ちなみに演技後の得点は、ロングサイド中央のモニターに表示されます。TESの得点も表示されるのでミニマムスコア獲得できたかどうかの確認には大変役立ちました。
また、ライブリザルトだと表示されないPCS三項目の得点も表示されるので、モニターが一番情報量が多いのでありがたかったです。「Skating Skillsでは8点が出てる!」などと即座にわかるのはいいですね。
会場で見かけた選手やコーチたち
通路で樋口新葉選手とすれ違ってちょっと嬉しかったです。一見無反応で通り過ぎましたが、内心「おおお」となっていました(笑)。
一番「おおお」となったのは、客席に座っていらっしゃるアレクセイ・ミーシンコーチを拝見したときです。

整氷休憩中に通路を歩いていたら普通に観客席に座っていらして驚きました
セメネンコ選手の出番でリンクサイドに立っている姿を見た時点で既に驚いていたのに、その後のグループの男子選手たちの演技を客席に座ってご覧になっていたようです
ミーシンコーチが今回出場しているエフゲニー・セメネンコ選手のコーチをしているのは知っていましたが、御年85歳ともなれば極東の国際試合に帯同などしないだろうと思い込んでいました。
アゼルバイジャンの女子選手を指導しているエフゲニー・プルシェンココーチは今回帯同していませんでしたが、ステファン・ランビエールコーチはイタリアの選手についていました。やはりアイスショー後そのまま日本に滞在していたようですね。
その他、有名コーチや振付師が何名もいらしていました。観客も日本人だけでなく、韓国やロシアから結構いらしていたように思います。
売店・トイレなど会場内情報
田中貴金属アイスアリーナの周辺にはコンビニが1軒しかありません。今回、スタンド席入口付近の自動販売機スペースにて菓子パンやスナックなどの軽食類と温かい珈琲を250円で販売していました。
ただ、比較的小規模な販売だったので、お腹にたまりそうな菓子類の品数は結構減っていました。確実に飲食物を入手したい場合は、持参するのが一番安心かと思います。応援バナータオルの販売スペースは残念ながら確認しそこねました。

今回の観客用トイレは2か所。会場入り口付近(スタンド席A&Bブロック近辺)とスタンド席G&Hブロックを超えた奥のスペースにあります。
入り口側の女性トイレ個室は13、奥の女性トイレ個室は15ですが、隣の男性トイレ内の個室8室も女性に開放していました。
どちらも長い行列ができますが、結構早く進みます。特に、奥のトイレの個室は合計23あるので思いのほか早いです。男性は入口側のトイレしか利用できないのでご注意ください。
会場そばの公園内にもトイレは複数箇所あります。途中の入退場OKですので、天候が荒れていなければ散歩がてらに公園のトイレを利用するのも手かもしれません。
男子は波乱、女子は9月とは思えない仕上がり
初日に行われたのは男子・女子のSP。
男子はジャンプをノーミスで仕留めた中田璃士選手とウラジスラフ・ジキジ選手が1・2位に立ちました。しかし、この二人以外の4回転ジャンパーにミスが出て、フリー最終グループはちょっと予想外のメンバーになりました。
| 順位 | 選手名(国名) | SP得点 |
|---|---|---|
| 1位 | 中田璃士(日本) | 96.48 |
| 2位 | ウラジスラフ・ジキジ(AIN) | 88.79 |
| 3位 | 佐藤駿(日本) | 85.71 |
| 4位 | マーク・ゴロドニツキー(イスラエル) | 76.71 |
| 5位 | ジェイコブ・サンチェス(米国) | 75.43 |
| 6位 | エフゲニー・セメネンコ(AIN) | 74.41 |
まぁ9月の大会の男子シングルならある意味予想通りと言えなくもないですが…
一方女子は、トリプルアクセルを着氷した選手が1~3位。下位の選手もジャンプミスが比較的少なく、9月の大会とは思えないくらいの仕上がりでした。
| 順位 | 選手名(国名) | SP得点 |
|---|---|---|
| 1位 | 中井亜美(日本) | 80.27 |
| 2位 | 島田麻央(日本) | 78.84 |
| 3位 | カミラ・ネリュボワ(AIN) | 76.08 |
| 4位 | アレクサンドラ・イグナトワ(AIN) | 74.92 |
| 5位 | アンナ・フロロワ(AIN) | 73.66 |
| 6位 | ベロニカ・ジリナ(アゼルバイジャン) | 66.60 |
ただ、トップグループでは青木祐奈選手だけジャンプミスが複数出てしまい、まさかのSP8位発進となる波乱はありました。フリーである程度浮上できると思うので、好演技を期待したいです。
ロシア女子は、久々の国際大会ということもあって緊張で崩れる選手が一人くらいいてもおかしくないと思っていたのですが、皆しっかり決めて来るあたりは凄かったです。
そして先日の記事でも取り上げた「ミニマムスコア(CTES)獲得への挑戦」にも、大きな動きがありました。こちらについては、男子・女子の演技を振り返ったあとで詳しく紹介します。
男子SP|上位候補にミスが続く波乱の展開
ロシア男子振り返り
乱調のセメネンコ選手&グメンニク選手
ロシア男子は、やはり予想通り荒れ模様でした。エフゲニー・セメネンコ選手の冒頭の4回転コンビネーションの抜けは緊張からくるもののように感じました。その後なんとかまとめたのは意地を感じましたけどね。
ピョートル・グメンニク選手は6分間練習の時点からジャンプがあまりうまくハマっておらず、「これは苦戦するのでは」と思っていたらやはりそのようになりました。
ミラノ五輪の予選会や本番での演技より、スケーティングも少し荒く見えました。単純に調子がまだ上がっていないだけなのか、もともとこういうスケーティングなのかは気になりましたね。ナマで見ると独特の華があるという印象は強かったですが、これまで映像で見ていた彼のパワーは昨日の演技からは感じられなかったです。
一人で持って行ったジキジ選手
ウラジスラフ・ジキジ選手は「ジャンプ偏重型でスケーティングは今一つ」という評判だけを知っていて、演技は一度も見たことがありませんでした。(私はロシア選手が国際大会出場禁止となってからのロシア国内の試合映像は一切見ていません)
場内モニターに表示されたプログラムの曲名が「Experience」だったことから、「ええ、ジャンパータイプの選手なのに、あんな抒情的なピアノ曲で滑るの?」と最初は驚きました。
でも、私の知ってるピアノ曲の「Experience」じゃなかった…

いったいどこであんなアレンジ曲見つけて来るんですか?
まさかこの曲でロボットダンスを見ることになろうとは
Last minute addition to the competition Vladislav Dikidzhi came ready to Kinoshita Group Cup and is in second place after the short program ✨ He earned a short program score of 88.79, and finished his program with in-character robotic bows 🤖 pic.twitter.com/r75etCNZGF
— In The Loop (@InTheLoPodcast) September 4, 2026
ジキジ選手は動きにキレがあってロボットダンスの所作が大変上手なので、スケーティングが好みの路線じゃないことを忘れてしまいます。
とどめはフィニッシュポーズ前に、ロボットのハートを取り外しちゃう衣装演出w。(マジックテープがついていてつけ外しができるようになっていた模様。大島光翔選手がマリオブラザーズで星をつけてたのと同じですね!)

「あぁロシアのフィギュアスケートってこういう衣装演出凝るの好きだったよな…」と、ゴタゴタがなかった昔を思い出し、何故かしんみりした気分になってしまいましたw
日本男子の振り返り
中田璃士選手、鮮烈なシニア国際大会デビュー ミンギュ選手とは明暗が分かれる
中田璃士選手は6分間練習から集中した感じでジャンプは私が見ていた限りどれも見事に決まっていました。「いや~これは来そう」と思っていたら、本当に来ました。SP96.48でSP首位スタートとは何と華々しいシニア国際大会デビューになったことでしょう。

ただ、スピンとステップではまだレベルの取りこぼしもありました。しかもタイムバイオレーションで1点減点があったので、細かいところを詰めていければ100点台も夢ではありません。
一方、ジュニア時代に競い合っていたソ・ミンギュ選手(韓国)は冒頭の4回転サルコウは綺麗に決まったものの、その後のトリプルアクセルと後半のコンビネーションジャンプのファーストで転倒。70.19点でまさかの9位発進で明暗が分かれました。
個人的には二人のシニアでのPCSの付き方がどうなるかを見たかったのですが、ミンギュ選手にこれだけミスが出てしまうと全体的にPCSが下がってしまうため、思うような比較になりません。スケーティング自体はやはり際立つ選手だと感じましたが、今日はなんだか不安が見えるような印象でした。フリーではいい演技を期待したいです。
佐藤駿選手はミスがあっても存在感
佐藤駿選手の6分間練習は可もなく不可もなくという感じでした。彼は事前の練習がどんなにカオスになっていても本番ではきっちり決めてこれるイメージがあるので、特に心配もせず。
なので、冒頭の4回転ルッツで転倒したのには正直驚きましたね。いやそこまで100%必中というわけじゃないんですが、昨年1年間で信頼感が増していたんだと思います。

私は彼への期待がやたら大きいので、スピンやステップには「もっとできるはずなのに」という想いが抜けきりません。今大会でもスピンは一個ノーカウントを食らっています。
それでも今季のSP「チャルダッシュ」は既に結構お気に入りで、あのハイテンポの曲に合わせて駆け抜けるステップは好きですね。ジャンプとスピンに大きなミスがあったにもかかわらず、PCSは、ジャンプノーミスだった中田璃士選手を0.32点上回っています。昨季積み上げてきたジャッジへの信頼と本人の自信かなと思います。
三浦佳生選手、練習とは裏腹に…
三浦佳生(かお)選手は68.44で11位という、まさかの結果でした。
6分間練習ではすごく美しいジャンプをバンバン決めていたんですけどね…。サマーカップのときも友人から「6分間練習のときは凄く調子良さそうだった」と聞いていたのですが、同じような展開になってしまいました。
体の調子は悪くないはずだけど、なぜか本番になると何かがハマらない。そんな流れが続いています。
今回は冒頭の4回転サルコウで転倒し、本来は単独の予定だった後半の4回転トゥループをコンビネーションにしてリカバリーしようとしたものの、ダブルに抜け、セカンドジャンプもダウングレードになるなど、ジャンプで大きなミスが出てしまいました。
それでもPCSのSkating Skillsの項目には8.00がまだ出ています。ジャッジも観客も彼が悪い流れを断ち切る日を待ち望んでいます。

その他気になった選手たち
ドノヴァン・カリーヨ選手(メキシコ)もジャンプがうまくはまらず、62.96で15位。でも日本で笑顔で滑る彼を見られただけでも私はかなり満足です。4回転サルコウの着氷で堪えたのは凄かったんですが、あのせいで足に来てしまったのかもしれません。
<追記>
採点表を見返して気づいたのですが、ドノヴァン・カリーヨ選手は3つのスピンとステップをすべてLevel 4でそろえています。これを達成したのは男子SPで彼一人だけ。スピンノーカンの選手も多かった中、これは凄い!ジャンプは残念でしたが、こういうところはさすがですね。
ジェイコブ・サンチェス選手(米国)はトリプルまででまとめて来るかと思ったら4回転サルコウに挑戦してきて「おおお」と思いました。
男子は大荒れの展開になって、「ジェイコブ・サンチェス選手あたりがトリプルアクセルまででまとめて最終グループにギリ残ったりして」なんてことをひっそり考えていたのですが、まさか4回転なしのマーク・ゴロドニツキー選手(イスラエル)が4位スタートになるという事態は予想していなかったです。
女子SP|シーズン序盤とは思えない演技が続く
ロシア女子を実際に見て
男子を語り過ぎて女子をじっくり語る時間がなくなってきました(苦笑)。
ロシア女子3選手はジャンプをそろってクリーンに決めました。イグナトワ(旧姓トゥルソワ)選手はどうしても出産後わずか1年での試合ということで違う目で見てしまいますね。ジャンプ跳んでるだけで凄いと思ってしまう。

得意のクリムキンイーグルは健在でした。これだけ体型が変化してもなお、産後1年でジャンプを取り戻してくるというだけで本当に凄いと思ってしまいます。
ただ、ロシア女子は全員美しくて申し分のない演技なのですが、SPの段階ではまだ今一つ強烈な個性を感じにくかったです。レディー・ガガで滑ったヴェロニカ・ジリナ選手(アゼルバイジャン)の方がインパクトがより強く残りました。(あの手袋凄いなと思ったので映像でアップで見たいです)

日本女子を振り返る
島田麻央、中井亜美の同世代トリプルアクセル対決
島田麻央選手がくじ引きで第一滑走を引き当ててしまったのはちょっと残念でしたね。しかも一番が島田麻央選手、その次がイグナトワ(トゥルソワ)選手と言う流れ、「いきなりクライマックス来すぎ」とファンが騒いでいたくらいです。

そんなシニア国際大会デビューだったのに、落ち着いて演技をしていました。冒頭のトリプルアクセルはさすがに緊張しますが、その後は比較的安心して見ていられるのはシニアデビューする選手への普通の反応じゃないですよね。
ただ、トリプルアクセルにq判定(軽微な回転不足)と、スピンでの取りこぼしがあって点数は80点台には届きませんでした。
一方、中井亜美選手はあまり調子がよさそうには見えなかったのですが、本番でトリプルアクセルをクリーンに下りてきました。ここで決められるのが凄い。ジャッジ際であそこまでキュートに煽れるメンタル素晴らしい!

青木祐奈選手の極上の滑りとジャンプミス
青木祐奈選手も最終グループに入れるだろうと思っていたのですが、冒頭のルッツが変な感じで抜けてしまってコンビネーションにならず、後半のフリップも転倒でリカバリーができずと、ジャンプはさんざんの結果でした。
でも、ジャンプ以外は本当に極上だったんですよ…後半のステップでの会場の一体感溢れる拍手は凄かったです。ジャンプはミスが出たけど、あなたの滑りは本当に凄いよ!残りも頑張って私たちにいい演技を見せて!という空気を感じました。

フリーで実力を発揮できればランキングポイントが入る順位にも上がってこれるんじゃないでしょうか。
<追記>3日の練習前から左肩に違和感と痛みがあったとの報道を、記事公開後に知りました。フリーもこのまま出場する場合は、無理なく試合を終えられることを祈ります。
※記事リンクが正しくはれていなかったのを9/8に修正済み
「あと何点?」ミニマムスコアのゆくえ
先日の記事では、木下グループ杯でチャンピオンシップ大会出場に必要なミニマムスコア(CTES)の獲得を狙う選手をピックアップして紹介しました。

CTESはSPとフリーのTES(技術点)を合計したものですが、同じ大会でそろえる必要はありません。
つまり木下杯のSPでこれまでの自己最高TESを更新すれば、過去のフリーのTESと組み合わせることが可能。逆に今回のSPで更新できなかった場合は、過去のSP最高TESをそのまま使ってフリーで基準突破を狙うことができます。
初日の結果を受けて、「あと何点?」がどう変わったのか確認してみました。(表内は敬称略)
| 選手 | 木下杯SP TES | SP最高TESの変化 | 目標CTES | フリーで必要なTES |
|---|---|---|---|---|
| ルカシュ・バツラビク(スロバキア) | 31.61 | 24.57 → 31.61 | 欧州86クリア! | 世界109には 77.39以上 |
| タオ・マクレー(イギリス) | 36.87 | 25.02 → 36.87 | 欧州86 | 49.13以上 |
| ラファエレ・フランチェスコ・ジチ(イタリア) | 24.08 | 28.57 → 更新なし | 欧州86 | 57.43以上 |
| アレクサ・ガスパロット(米国) | 31.04 | 24.93 → 31.04 | 世界88 | 56.96以上 |
| アンドレア・モンテシノスカントゥ(メキシコ) | 26.16 | 29.47 → 更新なし | 世界88 | 58.53以上 |
バツラビク選手は欧州ミニマムを余裕でクリア! でも「あ~、もったいない!」
昨日の記事で「欧州選手権のCTESまであと0.93点」と紹介したスロバキアのルカシュ・バツラビク選手。今回のSPでTES25.50点以上を取れば欧州選手権のCTES86をクリアできる状況でした。

なんと冒頭でトリプルアクセルを綺麗に降り、続く単独のトリプルフリップも綺麗に決めたではないですか!

「これは欧州ミニマム余裕やん!」と確信
それどころか、「これ、ワールドミニマムまで見えてくるんじゃ?」と思い始めていました。
ところが――。後半に予定していたコンビネーションジャンプのファースト、トリプルルッツで転倒。

あ~~、もったいない!
と思わず頭を抱えたくなりました。
実際のSP TESは31.61点。欧州選手権のCTES86は余裕でクリアしましたが、世界選手権の109にはフリーでTES77.39点が必要です。彼のフリーの最高TESは60.50点なので、ちょっとハードルは高いですね。
「もったいない」と言う気持ちがまた出てきました。

とはいえ、まずは欧州選手権のミニマムを無事クリア!
今日のフリーでは、77.39点にどこまで近づけるかに注目したいと思います。
タオ・マクレー選手がまさかの3A成功! 欧州ミニマムまであと1.39点
そして私が完全に予想外だったのが、イギリスのタオ・マクレー選手。
先日の記事でも欧州選手権のミニマム獲得を狙う選手として紹介しましたが、昨季までのCTESは72.76点。欧州選手権の86点までは13.24点も足りませんでした。

昨季の英国選手権ではトリプルアクセルを入れず、ダブルアクセルにしていましたが、実はその大会が昨季一番の高得点でした。「トリプルアクセルなしの構成でもクリーンにまとめれば欧州ミニマムは狙えるかも」というくらいに考えていました。

ところがSP冒頭…いきなり3Aを降りたじゃないですか!
え?ちょっと待ってどういうこと?
今回の彼のトリプルアクセルは回転不足判定なし。GOEも+1.12点がつき、要素だけで9.12点を獲得しています。
演技後のマクレー選手は感極まっているように見えました。
それを見て、「ひょっとして試合でトリプルアクセル初成功だった?」と思った私。ただ、「いや、彼は以前にも何度か3Aには挑んでいたはず……」という記憶もあって、その場ではよく分からず。
ホテルに戻ってから彼の過去の試合を調べてみたところ、私が確認できた範囲では、彼が試合でトリプルアクセルにプラスGOEがついたのは今回が初めてのようです。

そう考えると、演技後のあの表情にも納得です
そういう背景を知っていたら、スタンディングオベーションで称えたかったなあ…
トリプルアクセルの成功は大きく、SPのTESはこれまでの25.02点から一気に36.87点へ!
過去のフリー最高TES47.74点と組み合わせると現在のCTESは84.61点。
なんと欧州選手権の86点まで、残すところわずか1.39点になりました。
今日のフリーで必要なのはTES49.13点。現実味はある数字です。
昨日までは「あと13.24点」だったのに、SPを終えたら「あと1.39点」。
これは今日のフリーでぜひチェックしたいところです。
女子のガスパロット選手も世界選手権まであと0.97点!
女子で一気に世界選手権のCTESへ近づいたのが、米国のアレクサ・ガスパロット選手。

木下杯前のCTESは80.92点。四大陸選手権の基準75点はすでにクリアしていましたが、世界選手権の88点まではあと7.08点でした。
今回のSPではTES31.04点を獲得し、これまでの最高24.93点から6.11点更新。過去のフリー最高TES55.99点と組み合わせると、31.04+55.99=87.03点。
世界選手権まで、あと0.97点に迫りました。
日曜日のフリーでTES56.96点以上を取れば世界選手権のCTESをクリアします。
今年8月の米国内大会「Skate the Lake」では、国際大会のCTESには使えないもののフリーTES57.56点を記録しています。そのときと同程度のTESを国際大会でも出せれば届く計算。
ガスパロット選手はトリプルアクセルを持つ選手ですが、今回のSPでは投入せず。それでもここまで世界選手権の基準に迫りました。
こちらも女子フリーで注目したいと思います。
SP最高TESを更新できなかった選手は?
一方、今回のSPでは過去の最高TESを更新できなかった選手もいます。
ラファエレ・フランチェスコ・ジチ選手(イタリア)はTES24.08点。これまで持っているSP TES28.57点の方が高いため、欧州選手権のCTES86をクリアするには、今日のフリーではTES57.43点以上が必要です。
アンドレア・モンテシノスカントゥ選手(メキシコ)も、今回のSPはTES26.16点。過去の29.47点を更新できませんでした。四大陸選手権のCTESはすでにクリア済み。世界選手権の88点を目指すには、日曜日のフリーでTES58.53点以上が必要です。
今後のフリーでは、この数字も頭の片隅に置きながら演技を見てみたいと思います。
初日を観戦して
木下グループ杯、男女SPを終えて、
- バツラビク選手は欧州選手権をクリア
- マクレー選手は欧州選手権まであと1.39点
- ガスパロット選手は世界選手権まであと0.97点
という、かなり面白い状況になりました。
表彰台争いとはまた別の「あと何点?」。今日はペアSPとアイスダンスRDと男子フリー。日本のアイスダンスチームが国際大会に4組も出場するなんて…というだけでワクワクものなのに楽しみがさらにあるというのは贅沢ですね。
男子フリーは、4回転ジャンパーが多いだけにフリーで大きく順位が変わる可能性も高めです。波乱の多さを逆に楽しみたいと思います。そこがCS大会の醍醐味というものでしょう。
昨日大波乱だった選手たちが、今日は本来の実力を出せるように祈りたいです。

