2026年のグランプリシリーズ(GPS/GPシリーズ)フランス大会が終了しました。
今回は、男子フリーとペアの鑑賞記録です。
2026GPSフランス大会リザルト(ISU)
※滑走スケジュールや、採点詳細が見られます
男子フリーは予想以上の波乱。途中から友人と「これ、まさかの展開来る?」とLINEでやり取りしながら視聴する羽目に。
ペアは、今季のルール改正でアクロバティックになっているなと感じていましたが、更にアクロバット要素が強くなっていることを実感しました。
男子フリー第1G|日本男子ふたりと、米国のベテランが奮闘
男子フリーが行われる日の夕方は、子ども達とYOASOBIのライブを楽しんだ私。21時10分からの男子フリーはライブで観たいと、夕食も取らず急いで帰宅。
アダム・ハガラ選手がSP後WDして開始が少し遅れたこともあり、競技開始前には何とかリビングに陣取ることができました。
一緒に遅い夕食を取る家族も一緒に見るんだし、今夜は日本語解説の方が楽しめるよねと、リビングのテレビでBS朝日を視聴することに。
SPのリヴェンジを果たした三浦佳生選手
SP9位からのスタートとなった三浦佳生選手が、第1グループ早々に登場。
男子SPの流れについてはこちら

冒頭の4回転サルコウが綺麗に入り、「これは行けるパターン?」と期待したのですが、残念ながら次の4回転トゥループは転倒。次の4回転ループ予定はトリプルアクセルにして、4回転3種4本構成を2種3本構成に変更。
でも、そこからは持ち直してほぼクリーンにまとめました。ジャンプシークエンスで一つダブルに抜けた程度で、スピン・ステップ全てでレベル4を獲得したのは見事でしたね。

今回は大崩れすることなく、本来の実力をある程度発揮できてよかった…と胸をなでおろしました
彼が明るい色のファンデーションを塗って、アイラインを引いているのは6分間練習に登場した時点でわかりました。
我が家では「演目が『ジキルとハイド』だから敢えて仮面っぽいメイクにしているのでは?」と推測していました。
でも、ジキル&ハイドに合わせ左右でメイクを変えていたのには、残念ながら最後まで気づかなかったです。
住吉りをん選手と青木祐奈選手がメイクを手伝ったと下記記事などで報道されていました。

アンジェ市内のデモの影響でホテルに戻れなかったため、会場内の休憩場所でみな一緒に過ごしていたおかげで、そういう時間を持つことがリラックスに繋がったかもしれません。
フリーの得点は175.29で、総合247.96。
このとき私は、「これなら5位以上にいけるかも?台乗りもありえるけど、これで台乗りってことは波乱続きってことだから、それは勘弁してもらわないと」と思いました。

まさかこの点数で銀メダルを取ることになろうとは…
厳しい条件ながら、5位を獲得した山本草太選手
腰の怪我明けの山本草太選手はSP・フリーともに4回転は1本の予定との報道を目にしていました。
なので、てっきり冒頭が4回転ジャンプだろうと思っていたら、軌道が違って…跳んだのはトリプルアクセル!着氷が少し乱れてビビりましたが、こらえました。
その次の4回転トゥループはギリギリながら着氷。

その後もトリプルループ‐トリプルトゥループという、彼にしては珍しいコンビネーション。後半はトリプルフリップからの3連続ジャンプシークエンス、ルッツとフリップ単独を入れるという、本来の彼からしたらかなり抑えた構成です。
でも、大半のジャンプにギリギリ感があったので、「今の状態でできそうなギリギリライン」を攻めた構成だったのかもしれません。ある意味「ベテランならではの見極め力」を見た思いがしました。

もっと辛い展開になることも覚悟して見ていたので、抑え気味の予定構成を、大崩れせずに遂行できたのを見て、ホッ
これならランキングポイントが入る8位以内入賞は多分大丈夫かな…と演技終了直後は思っていたのですが、結果は5位!
勿論本来ならば表彰台を狙える選手ではありますが、今の状況を思うと期待以上の結果になりました
ジミー・マー選手(米国)の楽しいコレオスピン
今大会の男子フリーでプログラムを大きなミスなくまとめられた数少ない選手の一人は、31歳のジミー・マー選手。

総合221.44点で6位に入りました。
昨季フリーに当初「トゥーランドット」を選んでいたのに、シーズン半ばで「ノリノリ懐メロヒットメドレー」みたいなプログラムに変えて来たのを見て、昨年の私は完全に彼の引退を覚悟していました。
昨季の全米選手権後には、彼のフリー演技に対する万感の想いを綴っています。

なので私、今季GPSアサインに彼の名前があったのには、かなりビックリしたんですよ!現役を続けてくれて嬉しいです。

そして、今季に入っても、あのフリープログラムを続行したことに更にビックリ
昨夜のフリーでは、昨シーズンあれほど調子がよくなかった4回転トゥループを、冒頭で綺麗に降りてまたまたビックリ(笑)
昨季と同じプログラムとはいえ、今季ルールに対応して、お腹で回るちょっとおふざけ感のあるコレオスピンをラストに入れるなどの変更は加えていました。
アメリカ男子シングルは、イリヤ・マリニン選手に続く二番手の育成が課題だと痛感したミラノ五輪。しかし、代表候補となる米国男子選手たちの成績は今季、今一つ伸び悩んでいます。

ひょっとして、ジミー・マー選手が今季ふたたびチャンピオンシップ大会に出て来る世界線があるんだろうか?
…とちょっとだけ期待してみることにします
ちなみに、毎日新聞の吉田航太カメラマンが、こんな微笑ましい光景の写真をアップしていたので載せておきます。

練習時、彼の「YMCA」を楽しむ会場の空気感がよっぽど素敵だったんでしょうね。観客だけでなく大会スタッフまで一緒に踊っていたとは(笑)。
男子フリー第2グループ|表彰台の譲り合い、勃発
続いて第2グループ。
ここからの流れは、2018年のミラノワールド(世界選手権)を思わせるような見ていて辛くなる波乱の演技の連続でした。
GPS序盤の男子シングルは波乱がつきものですが、今回の演技は「も~何やってんね~ん!」って明るく突っ込めるような感じではなく、心が痛む系の演技が多かった気がします。結構ダメージを食らいました。
悪い流れが止まらない――ミハイル・シャイドロフ選手も大苦戦
フランソワ・ピトー選手(フランス)はSPで唯一大崩れしなかった選手ですが、フリーはそうはいかず。4回転トゥループ2本で転倒、そのあとは何とかまとめきりました。まぁ、ここはまだ想定内。
続くジェイコブ・サンチェス選手(米国)が、今季挑戦中の4回転サルコウで転倒したことは想定内でしたが、その後のジャンプまでことごとく崩れてしまったのは想定外でした。
昨シーズン、トリプルアクセルまでの構成ながら抜群の安定性を誇って世界選手権12位に入った選手なのに、4回転サルコウ一つを投入するだけでここまで崩れてしまうものなのか。4回転ジャンプを投入することのハードルの高さを思い知った気がしました。
そして、一発逆転もありうるかも?と私がひそかに期待していたミハイル・シャイドロフ選手(カザフスタン)。

冒頭で4回転トゥループ-オイラー‐4回転サルコウの超絶3連ジャンプに挑戦する予定だとの情報を目にしていましたが、トゥループの着氷が乱れて実現ならず。
それ以降の流れは、見るのが結構辛かったですね。
一応4回転3種4本を跳びはしましたが、アンダーローテーション「<」を多数とられました。後半に入れた4回転トゥループはコンビネーションジャンプにしなければいけなかったのに、転倒してしまって単独になり大幅失点。
着氷時に足が踏ん張れないように見えました。先日の「ネペラ・メモリアル」では総合272.75、フリーで176.77を出していたのに何が起きたのか?怪我でもしているのか?と心配になるくらい。

私はこの辺りで試合を観ているのが辛くなって、友人に「これ、佳生くん台乗りしちゃいそうな展開?」と連絡をとり、そこからはLINEで「ああ、この選手もあかん…」とガッカリする気持ちを共有しながら見ることになりました。
ソ・ミンギュ選手 怪我明けの影響?序盤のジャンプで連続ミス
続いて登場したのはSP3位のソ・ミンギュ選手(韓国)。木下グループ杯ではAINとして出場していたロシア勢を抑えてフリー1位でしたから、逃げ切って表彰台を早々に確定させるかも?という期待はありました。
しかし、4回転サルコウが絶不調という練習情報が伝わっていました。
「この悪い流れだと、呑まれちゃうかもな」と覚悟していたら、冒頭の4回転サルコウ-3回転トゥループは見事に着氷。「絶不調って言ってたのに…」となったのもつかのま、次の単独4回転サルコウは2回転に。そして次のトリプルアクセルでも転倒。
演技後のミンギュ選手への取材によると、彼は背中の怪我を抱えていて、大会前に練習できたのは1週間だったとのこと。ジャンプの不調も無理はないようです。
下記の記事に怪我の経過について答えたミンギュ選手のインタビューがあります。

「これはひょっとして佳生くん表彰台の流れ?」という考えが一瞬頭をよぎりましたが、幸いそこからは安定した演技を見せてくれました。最後のコリオステップの疾走感は本当に凄いですね。
ミンギュ選手と三浦選手、どちらが上回るか微妙?と思ったのですが、大ミスが複数あったためかPCSが私が思ったほどは伸びず、フリー161.07で総合244.90。
これで三浦佳生選手の表彰台が確定したのは、ちょっぴり複雑な気持ちになりました。
アレクサンドル・セレフコ選手 4回転ルッツは華麗に決まったが…
続いて登場したSP2位のアレクサンドル・セレフコ選手(エストニア)。今季序盤のCS大会では連続優勝するなど好調でした。
彼は4回転ルッツとトゥループの4回転2種3本構成に挑戦中。CS2戦目のネーベルホルン杯では、一つに軽微な回転不足判定の「q」はついたものの、3本とも着氷できています。
ただ、その後のジャンプ複数がダブルに抜けてしまい、この構成でまとめきれるところまではいっていません。

なので「1転倒、1抜けくらいはあるかな」と覚悟して観始めたのですが、冒頭の4回転ルッツがかなり綺麗に決まって拍子抜け。
しかし、そこからはことごとくジャンプの回転が抜けます…。
トリプルアクセルは2本ともがダブルアクセルに。結果的にダブルアクセルが3本となり、繰り返し制限に抵触して1本が無得点になるという最悪の展開。
結局予定通り綺麗に降りられたのは、冒頭の4回転ルッツと最後の3回転ルッツのみ。
フリーは144.49で、総合得点はソ・ミンギュ選手の得点を下回る229.98。SPの貯金でわずかに山本草太選手を上回って最終順位は4位。
演技後のインタビューは、SP後の三浦佳生選手状態。怪我などはしておらず、「何でこうなったかわからない」とただひたすら落ち込んでいるようでした。
Aleksandr SELEVKO 🇪🇪144.49/229.98 On his performance I don’t know what happened. I don’t have an answer right now. On his condition I felt fine. I was nervous, but I was ready to go. On the difficulties after a strong start I really don’t know. I can’t answer that right now. #GPFigure #FigureSkating
— Golden Skate (@goldenskate) October 25, 2026
次戦はスケートアメリカなんですが、ちょっと心配です。
アダム・シャオ・イム・ファ選手が久々にSP・フリーを揃え優勝!
最後に登場したのは、地元フランスのアダム・シャオ・イム・ファ選手。
本来ならSPで2位に20点以上の差をつけているので、余裕で優勝、のはずです。
でも、彼はミラノ五輪、2026プラハワールドはどちらもSPで100点超えをしながら、フリーは160点台で表彰台を逃しました。調子が悪い時はフリー150点台もありえる選手です。
アレクサンドル・セレフコ選手の想像以上の崩れっぷりにうろたえていた私。友人ともども「これでアダムまで崩れて佳生くん優勝になっちゃったらどうしよう…」と心配し始めました。
優勝はおめでたいことですが、上位勢の総自爆で転がり込んでくる優勝はかなり微妙な気持ちになります。

でも、今冷静になって思えば、暫定1位だった三浦佳生選手の得点は250点を切っていたので、過去と同程度の大崩れを再現したとしても、優勝の可能性は高かったんですけどね…
真剣に心配していた私たちは、アダム選手にかなり失礼かもしれません(苦笑)
いや~何度も大崩れを見てきたトラウマがね…と言い訳しておきます
私たちの心配をよそに、幸い彼はいい演技をしてくれました。
足の怪我の回復途上にあるため、今大会では4回転はルッツ抜きの、トゥループ・サルコウの2種3本構成。
後半の4回転トゥループでわずかに手をついたり、トリプルアクセルの着氷が若干乱れたり、ジャンプシーケンス中に跳ぶトリプルサルコウなどがダブルになったりと、細かなミスはありました。それでも、大きなミスなくプログラムを情感たっぷりにまとめきりました。

彼がSP・フリーを大きなミスなしに両方まとめたのは一体いつ以来のことでしょう?SP・フリーどちらも首位で優勝したのはかなり前だったような気がします。
結局、2位に36.28点の圧倒的な差をつけて完全優勝。心配したのがバカバカしい結果です。

2018ミラノワールドで波乱の演技が続いたあとに、最終滑走のネイサン・チェン選手が好演技で締めてくれたことをちょっと思い出しましたね
三浦佳生選手がこの点で2位に入れたのは勝負運が強いといえるでしょう。グランプリファイナル進出に期待が持てます。
次戦が激戦の中国杯なのは大変ですが、SPで今回のような大崩れがなければ次も表彰台を狙えます。

ペア|「ボイコズ」VS「メテベル」、アクロバティックなペアスピン
フランス大会ペア競技で私が一番注目していたのは、AIN(中立アスリート)として出場するロシアの「ボイコズ」ことアレクサンドラ・ボイコワ/ドミトリー・コズロフスキー組と、五輪銀メダリストの「メテベル」ことアナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組(ジョージア)の一騎打ち。
SPの段階では両組ともスピンやステップでのレベルの取りこぼしはあったものの、ジャンプやリフトなどの主要な技は問題なく決めました。
結果、「メテベル」が77.34、「ボイコズ」が75.85と僅差。勝負はフリー次第、となりました。
「ボイコズ」のスロー4回転サルコウ、転倒が次のジャンプにも影響
「ボイコズ」のフリーの武器は、スロー4回転サルコウジャンプ。
9月上旬の「木下グループ杯」で見せたスロー4回転サルコウは、見事でした。

しかし、今大会で挑んだスロー4回転サルコウは、転倒。
木下グループ杯では131.41を獲得できたフリーの点数も、今回は121.81にとどまりました。

決まると超カッコいい、あのスロー4回転サルコウから次のジャンプへの流れ
でも、ひとたび転倒となると、次の要素まで犠牲になる確率が高い超・ハイリスクな技の流れなんですね…
スロー4回転サルコウにかなりの自信があるからああいう構成にしているんでしょうけど、私、今後あのスロージャンプ前にはかなりビビッてしまいそうです…
ロシア国内の報道記事がこちら。記者会見で話した内容や、今後のGPS大会の予定などが記されています。

次戦のフィンランド大会については、コズロフスキー選手が10月25日時点でビザの手続きが続いていると説明しています。フランスのビザは取得できましたが、フィンランドへの入国に必要な手続きが完了したかどうかは、まだはっきりしていません。
「メテベル」もスロージャンプで転倒
最終滑走は、「メテベル」。
「ボイコズ」に大きなミスが出たことで、少し落ち着いて演技ができるかな?と思ったのですが…アナスタシア・メテルキナ選手のジャンプが微妙にハマりません。
何とかこらえていたものの、後半のスロートリプルループで転倒してしまいました。
「これは結構僅差の勝負になるかも…?」と思ったのですが、結果は127.31とフリー1位。結局「ボイコズ」をSP・フリー双方でかわして完全優勝となりました。

個人的には、この二人の衣装の豪華絢爛さが印象に残りました。SP・フリーともに装飾がゴージャスの極み!今季になって衣装の豪華さが更に増したような気がします。

現地で見たら映像とは段違いに光り輝いているんだろうなぁと思いながら見ていました(笑)
衣装の参考用にと貼った上記の記事には、上位3組と、フランスから出場した3組の話題が書かれていて、情報量が豊富です。興味がある人は是非日本語訳でどうぞ。
コヴァレフ夫妻を上回り4位に入ったメーガン・ウェッセンバーグ/デニス・ストレカリン組は新たに結成されたばかりとのことで、ちょっと驚きました。

新設のコレオグラフィック・ペアスピンが超アクロバティック!
木下グループ杯のときから実感していたことですが、今季のペアはとにかくアクロバティックさが増しています。
特に、今季から導入された「コレオグラフィック・ペアスピン」は、選手たちの動きがこなれてきてますます激しくなったような気がしました。
特に、今大会銅メダルを獲得した「ホッケクン」ことアニカ・ホッケ/ロバート・クンケル組(ドイツ)がフリー演技最後に見せた「コレオグラフィック・ペアスピン」はアクロバット技の極み、という感じ。
未見の方には是非こちらのISUのInstagram投稿をご覧いただきたいです。エキシビションでは見たことのある技ですが、今季は競技でもこんな形で見られるようになったとは…。
女性がエッジを氷につけることなく、男性が女性の手や足などを持って大きく振りまわすかのように回転したり、女性が男性の体をつかんだ状態で回転したりと、これまでのペアスピンとはかなり印象の違う動き。
「ペアスピン」というよりも、ほぼアイスダンスの「ローテーショナルリフト」に見えます。そして、「コレオグラフィック・ペアスピン」は「ローテーショナルリフト」よりアクロバット感がマシマシな気がします。

女性のぶん回し方に遠慮がない感じで、よりパワフルで激しいんですよ!
ビビりな私としては、頭を氷上に打ち付けないか、見ていてかなり怖かったですけどね…(苦笑)。
彼らは例年アクロバティックな技を多く取り入れていたので、今季のルール改正は「待ってました!」という感じでしょう。
ISU公式YouTubeチャンネル実況解説のクリスさんは、「絶対にこの動きは真似しないでくださいねw。(中略)あぁ、見てるだけで目が回って気分が悪くなってきた」と延々語っていたくらい。

もし高橋成美さんが解説をしていたら、「うわーすっごい楽しそう!私もやってほしい~!」と叫びそうだなって思いましたw
でも、残念ながら今大会のペアは放送がありません。彼女が初めて「ホッケクン」のフリー演技を解説するのはいつになるのか、ちょっと楽しみです(笑)。



