2026世界フィギュア男子フリー|第1〜第3グループの印象的な演技と、その背後のストーリー

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「世界フィギュアスケート選手権2026(プラハワールド2026/WC2026/世界フィギュア2026)」が終了しました。

上位選手の多くが実力を発揮した“好試合”という印象だった男子フリー、最終グループについては昨日振り返りました。

今回は男子フリー第1~3グループの印象的だった選手たちについて振り返ります。

世界フィギュアスケート選手権2026 リザルト
※出場者リスト・スケジュール・採点結果などの一覧です

目次

第1&第2グループ振り返り|地元の熱狂と前半グループの現在地

まずは前半グループ(第1&第2グループ)、続いて最終前グループ(第3グループ)の順で振り返ります。

地元・チェコ選手への声援と、懐かしのトマシュ・ベルネル

第1グループではゲオルギー・リシュテンコ選手への大きな声援に驚きました。

そういえば、彼は地元チェコの選手。1月の欧州選手権(ユーロ)男子シングルで銅メダルを獲得したというのに、どこの国の選手かを覚えていませんでした。

今季のユーロ男子は荒れ模様で、「ニカ・エガーゼ選手の初優勝&マッテオ・リッツオ選手の復活銀メダル」という結果が印象的過ぎて、それ以外は記憶から消えていました…

残念ながらリシュテンコ選手はミスが多くて観客も盛り上がり切れずでしたが、同じチェコのアダム・ハガラ選手は4回転回避ながらもクリーンにまとめて総合15位に入りました。男子シングルで上位争いに加われるスケーターが再び生まれるといいですね。

余談ですが、以前日本でも人気があったトマシュ・ベルネルさん(2008ユーロ優勝、2007&2009世界選手権4位)が選手へのインタビュアーとして登場していました。ペアの時も優勝者インタビューをしていたのに、私はライブ配信中は全く気付いていませんでした。

同じチェコのミハル・ブレジナさんはコーチとしてリンクサイドで度々見かけるけど、トマシュ・ベルネルさんが動く姿を見たのは久しぶりだったので…

2024ユーロでフローラン・アモディオさん&ハビエル・フェルナンデスさんとの記念写真(下記)を見たくらいかな?このときはカジュアルな服装でした。

彼がチェコ語をしゃべっているところを見たのが初めてだったのも、気づかなかった理由の一つかもしれません。チェコ語って舌を巻く発音が多い言語なのですね。

※彼のWikipediaに使われている写真は、やっぱりあの「勇名トラ」衣装でした

高難度ジャンプを武器にする選手たち

近年の男子シングルは、前半グループにも高難度4回転ジャンプをバンバン入れて来る選手が増えました

でも前半グループの選手は、たとえ高難度4回転を降りても、他のジャンプを揃えられずスピン・ステップのレベルが取れない「高難度ジャンプ偏重型」が多い印象です。「オールラウンダー」を好む私としては今一つ応援に力が入りません。

ゲンリッヒ・ガルトゥング選手(ドイツ)はまさにその典型で、「4回転ルッツやフリップ入れるのはいいけれど、もうちょっと他をなんとか…」と見る度に思わされてきた選手。彼の演技について触れた過去記事は何件もありますが、ほとんどでジャンプ以外の要素が厳しいことを嘆いています。

こちらもその一つ。この大会のSPではスピンがノーカウントでした

でも、以前はノーカンやレベル1を連発していたスピンが、今回はかなり改善されていました。

「この選手はジャンプ偏重型」との先入観をあまり強く持ち過ぎない方がいいなと反省しました

その中でも、ニカ・エガーゼ選手(ジョージア)は高難度ジャンプを武器に上がってきた選手だけあって、4回転4本をアンダーローテーション(<)一つでまとめました。スピン・ステップも一定のレベルを確保。(入賞を狙える実力の選手なので当然ではありますが)

彼がフリーで4回転4本を降りられたのは優勝した1月の欧州選手権以来。しかし、残念ながらGOE(出来栄え点)とPCS(演技構成点)が伸びきらずでした。SP15位と出遅れた中でフリー7位を獲得し、総合では11位になりました。

ドノヴァン・カリーヨの夢&デニス・ヴァシリエフス10回目の出場

前半グループには私の好きな選手が何名もいましたが、そのうち二人だけ触れます。

ドノヴァン・カリーヨ|魅せる力と気になる今後

ドノヴァン・カリーヨ選手(メキシコ)は4回転サルコウは着氷できましたが、2本目の4回転トゥループで残念ながら転倒。その後はジャンプの大半が回転不足を取られる、詰まり気味の着氷になってしまいました。

しかし、終盤のスピン・ステップは連続でレベル4の素晴らしい出来で観客を魅了しました。

彼は26歳。内心引退を心配してたんですが、試合直後の下記のインタビューでは「競技続行の意思はあり。あとは資金の問題」という内容でした。

彼の夢は、現役生活を終える前に「メキシコで開催する試合」に出ることだそうです。試合を開催するにはメキシコに競技用リンクを作る必要があるかもしれませんが、その夢を応援したいです。

デニス・ヴァシリエフス|10年連続出場のフリーはほろ苦い結果に

デニス・ヴァシリエフス選手(ラトヴィア)は今回で10年連続のワールド出場です。

今季前半はラトヴィアの連盟内の金銭トラブルが原因で競技続行の危機に陥っていたため、五輪・ワールド両方に出場できただけでもよしとするべきなのかもしれませんが、フリーの演技では転倒と抜けが相次ぎました。

去年のボストンワールドでは見事なフリー演技を現地で目撃できただけに、今回の演技は正直見ていてつらかったです

練習での状態はもっと良かったのか、彼自身も残念に感じる気持ちを下記のインタビューで語っていました。サムスンがスポンサーについてくれたことで競技を継続できたようですが、来季以降の支援については不明です。彼は26歳、本人が競技続行を望むなら支援が継続されることを願います。

「まずまずの好演技」続きだった最終前グループ(第3グループ)

最終前グループの6人は、それぞれにジャンプで抜けや転倒などの大きなミスは出てしまったものの、それ以外はまとめきった好演技が続きました。

キリロ・マルサック|成長を支えたフィンランドでの環境

ミラノ五輪ではSPで86点台を出して注目されたキリロ・マルサック選手(ウクライナ)。今回もSPでは戦地にいる父との関係を表現した「Fall On Me」で83点台を出して、後半グループでのスタートとなりました。

五輪のフリーではミスが相次いで130点台に沈んでしまいましたが、ワールドでの大きなミスは2本目の四回転ジャンプの抜けだけにとどめて、151.31をマーク。総合13位に入りました。過去2大会のワールドはいずれもSP落ちだったことを思うと、今季は大躍進のシーズンだったと言えます。

リンクサイドではフィンランドのヴァルター・ヴィルタネン選手(現役医師として働きながら38歳の今も競技を続けていることで有名)も見守っていました。2027ワールドはフィンランド開催なので、来季はさらに活躍しそうな予感がします。

キリロ・マルサック選手は、ヴィルタネン選手の妻・アリーナ・メイヤー=ヴィルタネンコーチに師事しています。

2022年のロシア侵攻開始で練習が困難になったマルサック選手に対し、ヴィルタネン夫妻が彼らが運営するクラブに来るよう声をかけたことがきっかけです。最初の1年はヴィルタネン先生のご両親の家に仮住まいしていたらしく、とても近しい関係のようです。

ことの経緯は下記の記事だけでなく、こちらのOlympics.comの記事も詳しいです。

ケヴィン・エイモズ|体調不良から復活、魅せた「ボレロ」

今大会のケヴィン・エイモズ選手(フランス)を見たときに「なんか痩せた?」と思ったのですが、SP後のインタビューによるとミラノ五輪後に出場したアイスショー(Art on Ice)の後、10日間も胃腸炎で苦しみ、体重が5㎏も落ちたそうです。まともに練習できたのは直前1週間だけだったとのこと。

それを思ったらすごい演技でしたね。

今季あまり決まっていなかった4回転トゥループ-3回転トゥループコンビネーションジャンプも入りました。2本目の4回転トゥループでは転倒してしまったものの、そこから後はまとめきりました。スピン・ステップはオールレベル4、ジャンプもすべて加点がつく出来。今季では一番パワフルな「ボレロ」でシーズンを締めくくりました。

彼は現役続行を明言していましたが、試合後の下記のインタビューでも来季への抱負を語っています。

彼がリーダーズチェアから拍手喝采を送っていた鍵山優真選手のフリー演技についても触れています。結局エイモズ選手は鍵山選手が演技を終えるまで、リーダーズチェアに小一時間座り続けていて、後半はかなり寒そうに見えました。でも長く座ることができたのはやはり嬉しかったようです。

個人的には、暫定1位の選手を寒いリンクサイドの椅子に一人で座らせるよりも、上位3人で暖かく過ごせるグリーンルームに戻してほしいです

演技後のクールダウンもできないですし、汗をかいた後に着替えもできずに上着だけ羽織ってリンクサイドに小一時間もいたら体も冷えちゃうだろうし…
長く座り続ける人が出ると、毎回気の毒に感じます

残り4名が繰り広げた来季ワールドの「出場枠争い」

ジェイコブ・サンチェス選手(米国)はトリプルアクセルがシングルに抜けましたが、他はまとめて総合12位。ジェイソン・ブラウン選手の代替出場が決まったのが直前だった&シニアワールド初出場なのに大健闘です。

ルーカス・ブリッチギー選手(スイス)は4回転サルコウがダブルになり、後半のトリプルアクセル踏切時に滑ってしまったのかシングルに抜けて激しく転倒。それでも他の要素が素晴らしく、総合9位に踏みとどまりました。スイスは2枠を実現
(と言っても現時点では他に出られるスケーターがいないのですが…ジュニア選手の成長が間に合うか?)

ダニエル・グラッスル選手(イタリア)は、4回転サルコウがダブルに抜けたものの、他はまとめました。ただ軽微な回転不足「q」2つとアンダーローテーション「<」1つを取られ、166.41。それでも総合8位には入って、来季イタリアの出場枠「2」は確保しました。

名古屋グランプリファイナルで出した194.72には及ばずでしたが、1月のユーロではとんでもない大崩れで13位だっただけにホッとしました

アンドリュー・トルガシェフ選手(米国)はちょっとヒヤヒヤしながら見守りました。サンチェス選手が健闘したとはいえ今後の展開は読めないし、「もしトルガシェフ選手が崩れたら米国3枠実は危ないのでは…」と内心心配していました。

何よりトルガシェフ選手がとんでもない大崩れをした昨年ボストンワールドの記憶は新しいです。あれは衝撃的過ぎました。

でも、2本目の4回転トゥループがダブルに抜け、終盤のコンビネーションジャンプのセカンドがシングルトゥループになった以外はまとめきりました。2大会連続で大崩れを避けられたので、ようやく私の中の「大舞台では大崩れするイメージ」が払拭されそうです。

総合10位に入り、マリニン選手1位で上位2選手の合計が「11」。来季出場枠「3」を確保する条件の「13」を下回ったのでアメリカ3枠は無事確保されました。

…でも、結果としてはサンチェス選手+マリニン選手でも順位合計が13だったので、アメリカは危なげない3枠確保でした

男子フリー全体を振り返って

前半はミスが続く選手も多かったですが、後半に進むに従い好演技も増え、全体として見ごたえのある大会だったと思います。

最終グループについては、昨日の記事で詳しく振り返っていますので、あわせてご覧ください。

これでミラノ五輪シーズンのISU公認大会は終了となりましたが、スモールメダルセレモニーやプレカン(記者会見)、インタビュー記事などまだまだ情報を追う日々が続きます。そもそもフジテレビの放送すら、録画をちゃんと視聴できていません。

アイスダンスも良かったですが、減点判定やまさかの途中棄権など色々考えることも多かったですし、前半グループの演技をまだ視聴できていません。振り返るのはもう少し後になりそうです。

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